クノール カップスープはどんな商品といっしょに購入されているのか?

Kyohei Sahara
WED, Inc.
Published in
6 min readJan 28, 2020

1月も下旬に入り、寒さがより一層厳しくなってきました。この季節には、温かいカップスープを口にする機会が増えるのではないでしょうか?おやつの時間だったり、夜寝る前だったり、楽しむタイミングも人それぞれかと思います。

そんなカップスープの定番とも言えるのは、1973年*から日本で販売されている「クノール カップスープ」です。数十種類のスープを提供しているクノールですが、いったいどんな商品といっしょに購入されているのでしょうか?

* クノールについて

(1964年に日本で販売を開始した「クノールスープ」は、お鍋で手作りするタイプの商品だったそうです。)

【免責】本記事の内容はレシート買取アプリ「ONE」のデータを分析したものであり、公式が発表したものではないので事実と異なる可能性があります。以下文章に基づいてなされた一切の意思決定において責任を負いません。社外秘のため、詳細な数値は公表いたしません。また、統計情報には個人が特定できる情報を一切記載しておりません。個人情報保護法に基づき秘匿化したうえで、統計およびグラフを作成しております。

クノール カップスープとよくいっしょに購入されているものは、朝食と関係が深い

今回はONEに集まった「オーケーストア」の2019年のすべてのレシートを分析対象とし、リフト値によって同時購入の度合いを評価します。

リフト値の概念については本記事の最後にAppendixとして記載していますが、ここでは「リフト値が1を超えると同時購入されやすい」という理解をしておけば問題ありません。

クノール カップスープと同時購入された商品のリフト値

上記はクノール カップスープと同時購入されることが比較的多かった商品を並べています。これを見ると、ベーコン・ヨーグルト・牛乳、そしてボイルするだけで食べられるブロッコリーやたまごなど、朝食と関係の深い食材がよくいっしょに買われていることがわかります。

お湯さえあれば簡単に作れることから、インスタント食品などと相性がよいかと予想していましたが、そうとも限らないようです。忙しい朝のメニューのひとつとして、カップスープがよく出されているのかもしれませんね。

同じクノール カップスープでも、種類によって同時購入されているものは異なる

さて、上記のチャートはクノール全体のお話でしたが、カップスープの種類によって同時購入される商品に違いはあるのでしょうか?

クノールの中でも特に人気の高いコーン系とポタージュ系(コーンを除く)とに分けて、たまご・ヨーグルト・もやし・牛乳・バナナの同時購入の状況を見てみましょう。

コーン系 / ポタージュ系と同時購入された商品のリフト値

結果はこのようになりました。いずれもリフト値が1を超えていて、同時購入される確率が高いことにはかわりありませんが、その程度はコーン系 / ポタージュ系によって異なるようです。

ポタージュ系の方がヨーグルトやバナナと併売されている確率が高いことから、「両者をよく購入する人たちの間で健康志向の度合いに差がある」といった仮説を立てることも可能です。

健康食品や栄養剤との関係性をより深く分析することで、また新たな発見があるかもしれません。

同時購入を調べることで、人々の生活が見えてくる

本記事の分析に用いたリフト値は、同時購入商品を推測するためのアソシエーション分析で使われる指標のひとつです。他にもConfidenceやSupportといった指標があり、これらの数値から「何と何がいっしょに買われたか」を総合的に評価するのが一般的です。

分析の結果、今回は「朝食」や「健康志向」といったキーワードが浮かび上がってきました。このようにして人々の生活を明らかにしてゆくことが、次の商品開発のヒントになるのかもしれませんね。

Appendix: リフト値とはなにか

リフト値は以下の式で表されます。

P(A)は事象Aが起きる確率、P(B)は事象Bが起きる確率、P(AB)は事象Aと事象Bが同時に起きる確率です。もし仮にABが独立した事象であれば、

が成り立つので、リフト値は1となります。リフト値が1を超えるということは、ABが独立した事象であると考えたときよりも、ABが同時に起きる確率の方が高いことを意味します。

事象Aと事象Bをそれぞれ「商品Aを買うこと」「商品Bを買うこと」のように定義すれば、「商品Aと商品Bを同時に買うこと」はリフト値が高いほど起こりやすいということになります。

実際に計算をするときには(1)の式を利用することが多いです。P(B|A)は条件付き確率と呼ばれ、事象Aが起きるという条件の元で事象Bが起きる確率を表します。

上記と同様に事象Aを「商品Aを買うこと」というように置けば、(4)の式で「商品Aを買ったとき、商品Aと商品Bを同時に買う」確率(Confidence)が算出できます。

具体例を見てみましょう。ある10枚のレシートを集計したところ、牛乳を買ったものが6枚、たまごを買ったものが4枚、牛乳とたまごを同時に買ったものが3枚であることがわかりました。

このケースにおいて「牛乳を買ったとき、牛乳とたまごを同時に買う」確率(Confidence)は3 / 6 = 50%です。一方で「たまごを買う」確率は4 / 10 = 40%となります。これを(1)に代入すると、リフト値は50% / 40% = 1.25となります。1.25 > 1なので、牛乳とたまごは同時に購入されやすいと言えます。

このようにリフト値は同時購入の分析をする際によく使われます。

参考文献

(弊社のデータを元に分析したい企業の方がいらっしゃいましたら、Webページをご確認いただくか、直接こちらまでご連絡ください。)

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