タピオカブームはどこから来たのか

Kyohei Sahara
WED, Inc.
Published in
4 min readDec 20, 2019

2019年、「タピる」で新語・流行語大賞のトップテン入りを果たすほど話題になったタピオカ。同賞では以下のようにコメントされています。

この発祥地は台湾で、このドリンクに魅入られた人々がSNSでその魅力を拡散し、インスタ映えすることから女子中・高校生や大学生など若い世代のニーズにも合致した。(中略)台湾の大手チェーンが続々日本に出店、大都市だけでなく全国各地に広がっている。

* 『ユーキャン 新語・流行語大賞

「若い世代のニーズにも合致した」「大都市だけでなく全国各地に広がっている」とされるタピオカですが、実際にどのように拡散されていったのでしょうか?

【免責】本記事の内容はレシート買取アプリ「ONE」のデータを分析したものであり、公式が発表したものではないので事実と異なる可能性があります。以下文章に基づいてなされた一切の意思決定において責任を負いません。社外秘のため、詳細な数値は公表いたしません。また、統計情報には個人が特定できる情報を一切記載しておりません。個人情報保護法に基づき秘匿化したうえで、統計およびグラフを作成しております。

タピオカ購入量のピークを迎えるのが最も早かったのは熊本県

以下の図は、タピオカ購買量*のピークを迎えた月を、都道府県ごとに表したものです。

* 厳密にはONE自体もレシート買取枚数が伸びているため、それを補正したもの

タピオカ購買量のピークを迎えた月

自分自身、「日本におけるブームとは、東京から始まり地方に伝播するもの」と思い込んでいましたが、タピオカに関してはそうとは言い切れないかもしれません。

大都市である東京都や大阪府が購買量のピークを迎えたのが8月である一方、熊本県はそれよりも2ヶ月早い、6月に最も多くの購買がなされています。また、岩手県・福島県・長野県・高知県も東京都よりも早い7月が極大点となっています。

(実際に熊本県では、2005年にオープンした「tapiking」というお店を中心に、早くからタピオカドリンクが飲まれていたようです。)

10代のタピオカ購買量は未だ上昇トレンドにある

先ほどの結果を目にしたとき、僕は「若いひとから始まったタピオカブームに追いつこうとした30代40代によって、(特に東京の)購買量のピークが後ろに引き下げられたのではないか?」と考えました。

それを確認するために作成したのが下記のグラフです。

年代別のタピオカ購買量

こちらも自分の予想に反し、30〜50代の購買量のピークが8月となり、10代20代よりも早く極大点を迎えているという結果になりました。そして、10代は今なおタピオカ購買量が伸び続けています。

この結果に関しては、実は中高年がタピオカブームを牽引したと言えるかもしれないし、タピオカが単なるブームではなく日本に定着したとの見方もできるかもしれません。それを突き止めるためには、さらなる分析が必要となりそうです。

流行は必ずしも東京から地方へ、若者からミドル層へと広まっていくわけではない

今回の分析は「タピオカブームは都市部の若い女性から始まった」という通説を否定するものではありません。たしかに、彼らが発信したSNSがブームの火付け役になったのかもしれません。

しかしだからといって、都市部の若い女性によるブームが去ったあと、地方やミドル層の人たちがそれに追いつくという構図には、必ずしもなっていないことがわかりました。もしそうであれば、最初の地図は都市部ほど色が濃くなるはずですし、年代のグラフは若い世代ほど早くピークを迎えていたでしょう。

インターネットの発達した現代においては、地域や年代で物事を考えること自体、あまり意味を持たなくなってきているのかもしれないですね。

(弊社のデータを元に分析したい企業の方がいらっしゃいましたら、Webページをご確認いただくか、直接こちらまでご連絡ください。)

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