突然ですが、みなさんに問題です。下の図にあるように、明治商品全体の購買量*が令和元年5月に入って増加しています。これは一体なぜでしょうか?
* 厳密にはONE自体もレシート買取枚数が伸びているため、それを補正したもの
【免責】本記事の内容はレシート買取アプリ「ONE」のデータを分析したものであり、公式が発表したものではないので事実と異なる可能性があります。以下文章に基づいてなされた一切の意思決定において責任を負いません。社外秘のため、詳細な数値は公表いたしません。また、統計情報には個人が特定できる情報を一切記載しておりません。個人情報保護法に基づき秘匿化したうえで、統計およびグラフを作成しております。
僕が真っ先に思い浮かべたのは「R-1」です。明治もお祝いボトル1万本を無料で配布するキャンペーンを実施しています。
「明治プロビオヨーグルトR-1」令和 お祝いボトル1万本を無料配布、吉田沙保里&澤穂希も登場
実際、R-1に関するツイートは5月1日に大きく伸びており、これが商品の購入につながったのだろうと予想しました。
しかしR-1の購買量を調べてみると、(少なくとも短期的には)R-1の購買に大きな変化が見られないことがわかります。
それでは、一体なにが明治の売上に貢献したのでしょうか?
売上に貢献したのは、「おいしい牛乳」だった
僕がこの事実を発見したとき、軽い衝撃を受けました。みんなゴールデンウィークになると牛乳を飲むのだろうか?まったく根拠のない仮説が頭をよぎります。
詳細な分析結果は割愛しますが、実はセブン‐イレブンが実施していた「明治の牛乳 20円引券プレゼント!」キャンペーンが要因でした。
興味深いことに、おいしい牛乳はR-1と比較して、ツイッター上で拡散されていたわけではありません。セブン‐イレブンのレシートに印字されていた「20円引券」で、みなさんこちらのキャンペーンの存在を知ったようです。
なぜ明治とセブン‐イレブンがこのようなキャンペーンを実施したのかまでは、ここでは踏み込みません。乳製品値上げといったマクロ環境の変化が背景としてあるものと考えられます。
施策の効果は購買データまで分析しないと見えてこない
当たり前のことですが、通常メーカーなどで実施される販促活動は、売上に貢献してこそ意味を持ちます。しかし、競合含めリアルタイムにそれを把握できている企業はほとんどないのが現状ではないでしょうか?
代替する指標としてSNSでの拡散などを追っているところもあるかも知れませんが、自分の漠然としたイメージが今回の結果で覆されたように、購買データまでしっかりと分析しなければ、判断を誤る可能性が十分にあると考えます。
人間ならば誰にでも、すべてが見えるわけではない。多くの人は、自分が見たいと欲する現実しか見ていない。
これはローマ帝国の礎を築いたユリウス・カエサルの残した言葉です。「自分が見たいと欲する現実」にとらわれすぎないよう、常日頃から意識したいものですね。