U R GLAM アイブロウパウダーは業界にどのようなインパクトを与えたのか

Kyohei Sahara
WED, Inc.
Published in
5 min readDec 12, 2019

みなさんは「U R GLAM(ユーアーグラム)」という商品をご存知でしょうか?100円ショップのDAISOが2019年4月に販売を開始した、化粧品ブランドです。

100円ショップ大手の大創産業が、業界初の本格コスメブランドを立ち上げた。1品100円という格安価格らしからぬデザイン、クオリティー、そして約100アイテムの圧倒的な商品展開で、若い女性がこぞって購入している。

* 日経クロストレンド『ダイソーの超本格100円コスメ 僅か2カ月で400万個突破

「若い女性がこぞって購入している」とありますが、U R GLAMは業界にどのような影響を及ぼしているのでしょうか?U R GLAMが展開しているアイブロウパウダーの購買データを使って、実際の動きを見てみましょう!

【免責】本記事の内容はレシート買取アプリ「ONE」のデータを分析したものであり、公式が発表したものではないので事実と異なる可能性があります。以下文章に基づいてなされた一切の意思決定において責任を負いません。社外秘のため、詳細な数値は公表いたしません。また、統計情報には個人が特定できる情報を一切記載しておりません。個人情報保護法に基づき秘匿化したうえで、統計およびグラフを作成しております。

U R GLAM アイブロウパウダーは、すでに他社の有名ブランドに並ぶほど購入されている

今回比較するのは、アイブロウシリーズ13年連続売上No. 1(インテージSRI調べ/アイブロウ市場/2006年1月~2018年12月累計販売金額)と謳われているKATEの「デザイニングアイブロウ3D」です。

左:U R GLAM アイブロウパウダー、右:KATE デザイニングアイブロウ3D

自分は使用したことがないので品質には言及しませんが、類似する商品として多くの比較記事が公開されているようです。価格はU R GLAMが100円(税別)なのに対して、KATEは1,100円(税別)。両者の月間購買量*がどのようになっているのか比較してみましょう。

* 厳密にはONE自体もレシート買取枚数が伸びているため、それを補正したもの

U R GLAMは4月の発売直後から大きく購買量を伸ばし、特に新作発表の直後(5月、9月)などは購買量でKATEを上回っていることがわかります。

U R GLAM アイブロウパウダーとKATE デザイニングアイブロウ3Dの購買量

また、およそ1/10の値段ということもあり、年代別でみるとU R GLAMは10代による購入が目立ちます。

左:U R GLAM アイブロウパウダー、右:KATE デザイニングアイブロウ3D

アイブロウパウダーの買い替えの周期は1〜2年が一般的なので、現段階で継続率といった数値を比較することは難しいですが、少なくとも購買量についていえば、U R GLAM アイブロウパウダーは長年トップを維持してきたKATEを脅かす存在になっていると言えそうです。

それでは、U R GLAM アイブロウパウダーはDAISOの顧客にどのような影響を及ぼしたのでしょうか?

U R GLAM アイブロウパウダーは、DAISOでの購買促進に寄与した

まずはじめに注意したいのは、「U R GLAM アイブロウパウダーを1度でも購入したことのあるひとによるDAISOでの購買量」は、「ONEを利用するすべてのひとによるDAISOでの購買量」のなかでもごく一部にすぎないということです。

DAISOでの購買量

そのうえで、「U R GLAM アイブロウパウダーを1度でも購入したことのあるひとによるDAISOでの購買量」に改めて注目してみると、5月を境に大きくその購買量が増加しています。

U R GLAM アイブロウパウダーを1度でも購入したことのあるひとによるDAISOでの購買量

これには以下の理由が考えられます。

  1. 既存のDAISO利用者の1人あたりの購買量が増えた。
  2. 新規の顧客がDAISOで商品を購入することになった。

詳細な分析結果はここで公開しませんが、U R GLAM アイブロウパウダーは実際に両方の効果を生んだようです。

特定の商品を購入した人々を追うことで、様々のものが見えてくる

今回は「U R GLAM アイブロウパウダー」や「KATE デザイニングアイブロウ3D」といった商品を実際に購入した人々に着目して、購買データを見てきました。

単に売上や販売数を比較するだけでは、消費者のリアルな感覚を掴むことはなかなか難しいと思います。「実際に商品を買っているのはどんな年代の人たちなのか」「その人たちは同じお店で他にどのくらいものを買っているのか」。消費者の実際の行動を知ることで、より多面的に物事を把握することが可能となります。

こういったデータを使いながら「ひとを知る」ことこそが、商品開発やマーケティングにつながってゆくのではないでしょうか?

(弊社のデータを元に分析したい企業の方がいらっしゃいましたら、Webページをご確認いただくか、直接こちらまでご連絡ください。)

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