WE-TechとマルシンモーゼルM712のニコイチ化

Kagurazaka Wenli
wenli.moe
Published in
6 min readJan 27, 2019

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2015年6月のアナウンスから丸一年、WE-Techのモーゼルミリタリーガスブローバックはようやく発売した。

これまで、多くのモーゼルトイガンは、いろいろメーカーさんによって製品化したが、ガスブローバック分野においては、未だにどれもボルトストップ(ホールドオープン)機能を実現できない。

前にも、このWEモーゼルも台湾K◯CのCO2モーゼルのように、てっきりマルシンモーゼルのデッドコピーと思いますが、オリジナル設計のボルトストップ機構を持つことを知ると、驚きました。

10連マガジンでフルオート撃ち切れる6mmガスブローバック、セミオートでバーストする事なく、そしてボルトストップ掛かる。

ーーまさに究極のモーゼルトイガンとも言える。

だが、ライセンス上の理由で、WEモーゼルの刻印はモーゼル社正規のものではなく、中華民国32年式拳銃「自來得手槍」仕様になった。

この「32年式拳銃」は実在するモデルで、第二次大戦の最中(1943年頃と思われる)で中華民国の国民党政府がモーゼルミリタリー・シュネルフォイヤー(M1932)をコピー生産した武器です。刻印以外、性能や外見はほぼオリジナルと一緒なんです。20世紀前半、数多く中国製モーゼルコピーの中には、かなり高性能の部類に入る。

WEモーゼル刻印の参考元、中華民国32年式拳銃の実銃写真。台湾・台北の軍史館に所蔵する物と思います

さてトイガンの話に戻りましょう。マルシンのM712と比べてみれば、作動面から言うとWEの勝ち。10連マガジンでフルオートしても確実に最後の弾まで撃てますし、そしてボルトストップも掛かる。セミオートモードでもバーストしない確実さを持つ。

銃口やフロントサイトの造型はちょっと残念だけど、整体の完成度は高く、割とよくできてトイガンです。

WE M712(と、WEの拳銃トイガン全般)のマズル造型が残念になる理由は、欧州やアメリカ輸出向けてオレンジの銃口パーツを設置しなければならないから。フロントサイトに至って、単なる手抜きと思いますが…

だか、マルシン版はモーゼル刻印がある。あと、私は台湾人ですから現地でフルメタルのトイガン所持しでも問題にならないが、おそらく日本の方は大変困るでしょう。

ですが、モーゼル好きとして、やはりオリジナルモーゼル刻印のM712欲しいーー。

WEモーゼルを入手した後、すぐに手持ちのマルシンモーゼル8mmガスブロ(ジャンク品)とニコイチできるかどうかを検討した。

結論から言えば、出来ます。ある程度のABSプラスチック加工作業は必要なんだけど。

このWEモーゼルのボルトストップ機能は、マガジンやボルト周りの機構で実現する。そこで、WEモーゼルのバレルエクステンションと機関部を丸ごとマルシンフレームに移植すれば、論理的には問題ないと考えられる。

あと、申し訳ないですが、手元に弾速計持ってないため、日本基準のパワーやデチューン等の考察はしていません。ご注意・ご了承ください。

なお、まことにご勝手ながらこの方法の改造は自己責任でお願いします。

左:マルシン 右:WE

まず両方のフレームを比べてみた。フレーム後部の寸法は微妙に違う。特に、インナーフレームとのキャッチ部。ここで、マルシンフレームの加工は必要です。

機関部/インナーフレームを取り出すと、まだ別の加工必要箇所を見つけた。
マルシンフレームの上部を削さないと、WEのバレルエクステンションはフレームに引っかかって入れない。
マルシンフレームの削り箇所は、フレーム後部や上部、そしてストライカー(バルブノッカー)前方の構造材です。絵で見れば分かりやすいと思います。

WEのマガジンは、修正なくでもマルシンフレームに入れる。

マルシンとWEのパーツ寸法が微妙に違いため、そのままマルシンのトリガーやセレクターを使うと、連射機能が利かなくなる。そこでWEのトリガーやセレクター部品と交換しましょう。

(追記:後日の組み上げテスト結果、実はトリガーだけWEのものを使うで済む模様。)

WEフレームパーツの外すや組み上げる方法は、基本的にはマルシンモーゼルと一緒。

これてマルシンフレームの改装を完了。加工がうまく行けば、WEのバレルエクステンションとインナーフレーム(機関部)は順調にマルシンフレーム入れるはず。

これて、ちゃんとボルトストップする、WEマルシンニコイチM712を完成しました。材質や色の差は激しいですが、キャロムショットガンブルースプレーがあれば、なんとか誤魔化せるでしょ。(台湾では、キャロムショットのモデルガンスプレー売っていない…悔しいw)

これは現状(2016年時点)で唯一、「日本でモーゼル刻印した、ボルトストップかかるM712ガスブローバックを楽しめる」方法です。

ちなみに、WEモーゼルのプラストックはマルシンフレームに加工なしでちゃんと付けます。

補足として、WEメーカー公称のロングマガジン装弾数は19発ですが、実際、ぎりぎりまで24発を装填・射撃できる。実用的には、20発くらいが妥当と思います。

あと、マガジンの構造やボルトストップ機構の関係上、ニコイチした個体でマルシンマガジンの流用は物理的に不可能と思います。

そして、ニコイチ個体の実射動画をYouTubeやニコニコに上げました。ぜひご覧ください。

HFC134aフロンガス使用。

願うは、世界中のモーゼルファンに良きモーゼルライフを。

ではでは。

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Kagurazaka Wenli
wenli.moe

Taiwan Crossdresser, Retro Game Collector, Motorbike Rider.