ありきたりの学生だった僕が学生パパになるまで#6

1年前の悩める僕「豊かな人生とは、自分が絶えず成長でき、大切な人のために生きられたと言え、自分が最期に満足できること。」

Mがカミングアウトしてから数日後に、僕はMの家に電話をした。
Mからタイミングを聞き、今と言われた時にかけた。

もちろん緊張したし、噛みまくった記憶もある。
でも電話で多くを話すつもりはなかったし、Mの母の目的も会う約束をすることだとはわかっていたので、僕にとっても一大イベントというほどのものではなかった。

お互いに名乗ると、僕は丁寧に謝罪。会って話をする機会を設けてほしいと伝えた。冷静な口調で何点か批判をされたが、怒鳴られたりすることはなく、とりあえずは会いましょうということになった。会食の詳細は後日M経由で伝えると言われた。

それからまた数日後、Mは僕に、一週間後の週末のお昼に所沢の木曽路を予約したけど大丈夫その日で大丈夫?と聞いてきた。」

大丈夫と返し、初顔合わせの日程が決まった。

その日の帰りに二人で品川駅により、駅ナカで手土産を選んだ。
Mの親は、好物に対してこだわりがあり、よく自分で買いにいくそうなので、それは避け、よくM家にあって皆食べているというミルフィーユを購入した。
Mも近々いくであろううちへの手土産を同時に購入した。千疋屋のフルーツゼリー詰め合わせだった。

この日から初めてMの親に会うまでのおよそ一週間が僕が人生で一番緊張した一週間だ。

小学高低学年のころ、僕は習っていたピアノの発表会の一週間前は、先に控えた本番の緊張で、生きているのが辛いほどだった。しかし、毎年あるものだったので、だんだんと慣れていき緊張は適度になっていった。それ以降はそれほど緊張することもない人生を送ってきていた。よって、今回以前で最も緊張したのは小学校低学年のときということになる。

この一週間は、ワードを開いて現状を整理しなおしたり、聞かれる可能性のある質問と聞かれた時の自分の答えを想像したりした。「産む」決断をどうやったら認めてもらえるだろうか。僕のことを全然知らない人にどうやったら、自分の覚悟を知ってもらえるのか。Mとは本当に良い関係だとわかってもらえるだろうか。どうやったら経済的に自立していないもの同士の結婚を認めてもらえるだろうか。留学についてはどう伝えよう。

大まかな方針を書いたファイルが残っていたので以下に載せる。
読んで意味がわからないところは補足したり、言葉を変えたりしたが、ほとんどそのまま載せる。

長いし、当時思ったことが羅列されているだけなので、さっと流し読みしてください笑

伝えること大きく三つ
1. 出産→結婚
2. 大学卒業
3. 留学

1については、当事者二人の合意によって産むこととなっている。
この決断の根拠は、私たち二人の今後の人生において悔いを残したくないというもの。根拠については話し合いをする。→本心を伝えて覚悟を伝えるのみ。

2について、まず大学卒業は私たち二人にとって大きな恩恵であることに間違いは無い。高卒と大学卒では多くの就職先の待遇も違う。しかし、産むという決断をした場合にかかる費用は診断に十万円、準備に十万円、出産に四十万円、衣類はセカンドハンド等で押さえるため無視、合計六十万円。また、独立したときにかかる金額は家賃は無料(大学卒業までは、よく遊びに行っていたMのおばあちゃんの家か、僕のひいおばあちゃんの家に行くことを考えていた。)保険、年金、税金にほぼ0円、となる。最低で見積もっても60万。それと別に生活費、雑費は結構出てくる。普通にバイトしたら、生活費と雑費でとんとんくらいと見る。慶應の学費を残り一年半分154万円、もしくは二人で308万円払うことは不可能である。私だけが大学をやめ、桃子だけが続けるということなら、奨学金次第ではいけないことは無いかもしれないが、その場合託児をしながら、高卒で働き出すことになる。これもできれば避けたい。
親が学費の支払いを継続してくれれば可能ではある。また、おそらく学費だけでは足りなく、生活の援助も職につくまでしてもらわなければならない。大学に行かなければ卒業できず、その分働ける時間はだいぶ減ってくるから。能力、人の成長的な視点からも、大学で得られるものはとても大きいと言える。私は大学の二年間で、本当に貴重なことを数多く学んだと実感しているし、続けられるならば自分のためにも続けたい。私はまず育児と大学卒業の両立をしたい。そのために、親には支援を要請する。
成人している以上、親は子の結婚、出産を決定できないが、経済的支援の義務も無い。つい先日成人したから良かったものの、こんな子供同然の身分で親に向かって権利ばかり主張するのではなく、助けてもらえる関係をきずくのが目的。それは忘れないこと。

3については、今となってはわがままという言葉が脳裏をよぎるが、これは私のしたかったこと。将来どの企業に入りたいからなんていう理由からではない。研究したいテーマはあるが、それも二の次である。単純に自分の成長の機会を求めて、新たな世界、興味や刺激を求めているだけの話である。これの実現には親の全面的支援が必要条件。現在奨学金が一年で百万円でることとなっているが、二人行き、向こうでの出産はおそらく高額であろう。現時点では予算は把握できていないが百万円で足りない事は明らか。また、保険がないとそもそも二人での渡航は実現しない。これは今週末にははっきりとする。

私の心構えは、やりたいことはできることなら全部やる。それが親に援助してもらうという情けない姿であったとしても成長のために使える機会は使っていく。それが若い今にできるやっておくべきこと。稼ぎが無いから親の言うように従え?。金銭のかたちでは無いが、働いているようなものである事は事実。子供を産む権利は誰にだってある。それを自分たちだけで育てられないのは “学生” という職にこだわっているだからだ。親が自分たちでやっていけというのならやめる。が、ここで続けた方が息子、娘にとって良いことであることは事実であろう。だったら今親から援助を受けることはそんなに恥ずべきことなのか。もともとは最後まで払ってもらいつもりだったのだし、学生という職はあとになって賃金が支払われる。そのときに返すことの何がわるいのか。

保険が見つかり全面的援助が得られるのであれば、ドイツに二人で渡航し、向こうで出産する。これは私のやりたいことでしかないが、苦労して得た自分にとって大切な機会である。それに桃子が同意し、バックグラウンドが整うなどという幸福なことがあれば、私はこの機会を決して見逃しはしないつもりだ。

留学系現状

まだ交換留学の申請はしていない
不透明要素がおおすぎるから
今月末までに調べて決定を
まず妊婦とわかっているのに入れる保険があるのか!?
ちなみに日本には無い。
これがないと留学ビザはおりない
あったとしても高いかも

ドイツでは産まれた後は手厚い手当を支給しているため、それをフリーライダーで利用させないためのなんらかの対策があるのでは?

寮も大学にはないので自分たちで探す事

デュッセルドルフで産むことも視野にいれる→日本語の医者がいる可能性大だから→デュッセルから通う事になるかも(交通費と時間)
ドイツで税をおさめているわけではないので何百万という医療費がかかる可能性がある。
調べて、経済的に大丈夫か考えないと。
あとはしっかり勉強できるか不安
勉強どころではなくなるよ?って(学生部からの助言)

人生の目標: 豊かなものにする

豊かな人生とは、自分が絶えず成長でき、大切な人のために生きられたと言え、自分が最期に満足できること。

第一にMを生涯かけて、よい人生だったと思わせる。ほかにも、仕事や友人関係の中で、大きな助けを施す。そのために絶え間ない自己の研磨が必要となる。

スタンス
チャンスは無駄にしない。掴みにいく。冒険を大切と知る。
でもこれから守るものができると振る舞いは変わってくるであろう。臆病と勇敢の関係なのか、賢者と愚者の関係なのかは慎重に考えなさい。

こんなこと書いてたっけ笑

驚いた。マイファイルで妻の名前を入れて検索をしてみたら、出てきたものなのだが、人生の目標まで考えていた!笑
あんまり具体的ではないし、スタンスなんてどんな文脈で書いたのかすら思い出せないが。

確かに、今も僕の人生の目標はこれで変わっていないが、それはこのときに考えたものだったのかもしれない!

なんで自分の親には学費出してもらえることになっていたはずなのに、二人分学費計算しているんだろう・・・?

とりあえずいろいろと考えていたようである。

就活中の今より、しっかりと今後について考えていた!?

ような気がする。

次回いよいよ初顔合わせ!

辛かった記憶は忘れられてしまっており、思い出すのは難しい。
ちなみにMは当時のことを僕よりも全然覚えていない。笑
二人して楽しかった記憶だけがうまく切り取られて残されており、当時のラインを見返すのも嫌だ。僕もこの時のファイルを見返すのは辛いものがある。というか恥ずかしい。
それでも書きあらわすことにしてからは、過去のログを見返しているので、1年前の記憶が結構鮮明に蘇っている。
もうずっと過去のことのように感じてしまい、嬉しいような悲しいような。

--

--

Takuya Yagishita
What happens, happens -学生夫婦の子連れ日誌-

慶應大学に通う現役大学生であり、夫であり、1児の父。只今就職活動中。