コンピテンシーマトリクスを作ってみた話
これはウイングアーク Agile and DevOps Transformation Stories のAdvent Calendar 2022、2022年12月13日の投稿です。
コンピテンシーマトリクス
今回は私の所属するグループで実施した「コンピテンシーマトリクス」を使用したワークについての記事です。
コンピテンシーについてとワークの目的
コンピテンシーとは、職務、または状況に対して、パフォーマンスを発揮する原因としてかかわっている個人の根源的特性と定義されている(らしいです)。
今回は、架空の業務シチュエーションを想定し、その中で組織に必要なコンピテンシーの定義と、現在のコンピテンシーレベルの可視化を行い、必要なコンピテンシーを充分な状態に満たすための施策の模索を試行してみました。
今後関わるプロジェクトに対してコンピテンシーマトリクスを作成するにあたって、どのような状況で作成、検討するのが効果的か、実施するためにどんな準備が必要かなどを体感するのが目的です。
今回のワークでやったこと
以下のようなシナリオで、コンピテンシーマトリクスを作成しました。
みなさんは、カウンター10席、4人用個室が2部屋の居酒屋を運営しています。
このお店はITシステムを用いて売り上げ管理や在庫管理などを行っています。
このようなシナリオに対して、以下の内容を4人で1hほど話し合いを行いました。
- 組織に求められる主なコンピテンシーを列挙する
- 1で決めたコンピテンシーの遂行に必要なレベルとその人数を決める
- 参加者の現在のコンピテンシーレベルを決める
- 理想のコンピテンシーと現在のコンピテンシーのギャップを埋めるための施策を議論する
以下の内容は各テーマごとに話し合いをしていた際の細かな内容です。
1.組織に求められる主なコンピテンシーを列挙する
コンピテンシーを挙げるにあたって様々な観点から業務を分析し、言語化することが必要でした。まず提供したい価値、顧客が求めるサービスについて話し合いました。あわせて業務内容として営業日、営業時間、勤務体制などもコンピテンシーの洗い出しに必要な要素かと思います。
今回は考慮に入っていませんでしたが、本来であれば予算なども考慮すべき要素として上がると思います。
ざっくばらんに色々必要なコンピテンシーを挙げ、今回は簡略化のためにグルーピングして残ったものをコンピテンシーとして試行しました。
今回は「調理」「接客」「責任者」「経理」をコンピテンシーとしました。
2.1で決めたコンピテンシーの遂行に必要なレベルとその人数を決める
今回は先で挙げたコンピテンシーを3つのレベルで設定する前提でレベルを定義しました。コンピンテンシーの各レベルが顧客や、組織に対してどういう状態なのかの定義および、言語化を行いました。
「接客」のコンピテンシーを挙げると
レベル1(見習い):商品の提供ができる
レベル2(一人前):レベル1+レジの扱いができる
レベル3(達人):レベル2+顧客の特殊なリクエストの受け答えができる
といった感じです。
そうやって定義したコンピテンシーのレベルを念頭において、今回のシチュエーションにふさわしい業務をおこなうにあたって、コンピテンシーを持っている人間がどれくらい必要かを話し合いました。
3.参加者の現在のコンピテンシーレベルを決める
今回は架空の業務の話のため、中の人の実スキルは考えないという前提があったので、ある程度適当に決めました。
実業務で行う場合、本人の自己評価で決める場合もあるかと思いますが、より正確なマトリクスを制作する要素としては本人に加えて俯瞰で判断できる上位の存在がいたほうが過大・過少評価のブレの少ないものができあがるかなと思います。
4.理想のコンピテンシーと現在のコンピテンシーのギャップを埋めるための施策を議論する
2と3の結果を比較して、ギャップのあるコンピテンシーに対してそのギャップを埋めるための施策を議論しました。一番簡単なものは、トレーニングを行う方法です。「上位のコンピテンシーレべルを持つ人間にコーチングを受ける」といったスタンダードなアイディアにはじまり、「お得意様のみを集めてプレオープンとして実業務を行う機会を設ける」などの方法があがりました。
また、別途システムを導入することによって必要なコンピテンシーレベルを下げるといった解決法もアイディアとして挙げられました。
やってみた感想
- 課題の洗い出し、現在の状況と、施策の策定ができるため、プロジェクト開始時にできると効果的と思いました。
- 実業務に反映するにあたって、プロジェクト単位で行う場合、業務内容の理解度が高い事が必要と思いました。
- 実際に行うにあたって、マネージャー+リーダーのレベルでコンピテンシーの定義(今回の1および2)、プロジェクト関係者にてコンピテンシーレベルの決定と施策(3と4)と2部構成にするなどの工夫が必要かと思いました。
- 今回は退職などのケースは考えませんでしたが、実際の場合ですと、退職したメンバーのコンピテンシーが具体化されている状態になっているので、補充人員に求める要素が言語化されているため、リクルートおよび、トレーニングが行いやすいのではないかと思います。
業務やプロジェクトを万全なものにするために、そのプロジェクトにおいて、何が必要なのか、あらかじめ検討することによって、避けられるトラブルというのは多岐にわたると思われます。
今後の業務において取り組んでみたいと思われるワークでした。ご参考になれば幸いです。
このワークはManagement 3.0で行われているワークを参考に取り組んだものとなっております。Management 3.0について興味のある方は以下の記事も併せてご参照ください。