Janet先生の「認定研修Agile Testing for the Whole Team」に参加してきた!
もう品質はQAだけじゃない
去る2021/1/6~8に行われた、RSGT2021のYouTubeが公開されましたね。
Janet先生のキーノートもしっかりと動画公開されております。
そして実はこの動画の日本語字幕は私が担当しました。(変な日本語があればフィードバック頂ければと思いますw)
今思うとRSGTのキーノートは「研修の告知だったのか?」と思うくらい、(実際キーノートの最後に告知してた)Agile Testing研修の中身の話をしています。このブログでは2021/3/1~3にかけて行われた「認定研修Agile Testing for the Whole Team」に参加したので、ちょっとした報告を!
研修で学んだことはいっぱいあり、話したいことはたくさんあるのですが、ここでは「Whole Team」について話題にしたいと思います。
先ずはJanet先生すごい!
この研修が始まる前にJanet先生はYouTube動画を用意していました。研修期間(3日間)では全てを説明しきれないらしく、生徒は研修前に予め見ておくように言われていました。しかも15分程度(長くて30分ぐらい)の動画を16本もです。研修の前にこれだけの動画を用意して、「質問があればクラスの中で質問してください」とメッセージを残しています。
Janet先生すごすぎ!そしてありがとうございます!
(字幕翻訳してくれた方々もお疲れ様でした!)
動画の最後の方は、先生は咳きこんだり、明らかに疲れた表情していました。この研修にかける思いや、3日間では説明しきれない大事なことを伝えていただきました。
また研修では、事前にチーム分けされており、説明してはチームエクササイズの繰り返しでした。エクササイズはストーリーの定義から受入テストを作成し、どんどん深堀していく形式で、チームで一体となって成果物を作り上げていく感じが勉強になったし、とても楽しかったです。
もちろんエクササイズはどんどん進んでいくので、私のチームは途中でうまくいかなかったりしましたが、次の日にはJanet先生に修正していただいて、チーム内で回復できました。まさにレジリエンスを感じさせてくれた研修でした。
Whole Teamとは?
3日間を通して、ちゃんと理解しておくべきは研修のタイトルである「Agile Testing for the Whole Team」だと思っていました。つまりAgile TestingはWhole Team(チーム全体)のためなのです。Janet先生はWhole Teamを「デリバリーするためのチーム」と言っていました。
よくスクラムではプロダクトオーナー(PO)とスクラムマスター(SM)とスクラムチーム(Team)にロールが分かれており、テスターはTeamの一員と位置付けられます。ただ、Janet先生が提唱するWhole Teamはデリバリーに関わる全ての人を意味しています。
つまり、PO、SMはもちろんのこと、開発者、テスター、その他にもビジネスアナリスト、テクニカルライター、運用等のロールの人はWhole Teamになるわけです。私の現場でもデリバリーするために関わる人を想像すると、ぱっと考えただけでも大人数になりそうですが、Whole Team(チーム全体)と考えると納得感あります。
Whole Team Responsibility(チーム全体責任)
おそらく今でも「QA」と言われる組織は、開発者からあとよろしく状態でテストを丸投げされたり、品質を保証していると本気で思われたりしていると思います。(弊社でもそういったチームはあります)
だからこそJanet先生はWhole Teamを提唱していて、「テストはチームの課題」であり、「品質はチーム全体責任」と言います。
そのためには各ロールにはテストに関わる責任がついてきます。
- POはストーリーについて質問に答えることができ、受入テストの作成と実行に責任を持ちます。
- 開発者はコーディングだけでなく、品質にフォーカスし、テスタビリティを確保します。そのためにはテスターと連携し、TDDや機能テストを自動化します。
- テスターは何をするかと言うと、より速いフィードバックをします。そのためには、顧客やPOに質問したり、会話したりして、ビッグピクチャー(全体像)を把握します。そして受け入れテストの定義を支援したり、リグレッションテストの自動化を支援したり、テスト活動によって発生したリスクや隠れた仮説を可能な限り早くフィードバックします。
因みに参考ですが、書籍『Agile Testing』ではTen Principles for Agile Testers(アジャイルテスターのための10の原則)が記載されています。これを見るとテスターがWhole Teamのために求められるスキルと役割がイメージできますね。
- Provide continuous feedback.(継続的にフィードバックする)
- Deliver value to the customer.(顧客へ価値を提供する)
- Enable face-to-face communication.(対面でもコミュニケーションを可能にする)
- Have courage.(勇気を持つ)
- Keep it simple.(シンプルを心がける)
- Practice continuous improvement.(継続的な改善を実施する)
- Respond to change.(変化に対応する)
- Self-organize.(自分を律する)
- Focus on people.(人に焦点を当てる)
- Enjoy.(楽しむ)
「QAはテストする組織」と思っている人は、世の中にまだたくさんいる様です。しかし、テスターは「テストだけをする人」ではなく、「テスト活動における色んなことをする人」なのですね。では、誰がテストするかと言うと、広義の意味では「チーム全体」であり、スキルや役割によって実施するテストは変わるはずです。
勇気をもって質問する
研修の中でJanet先生はずっと、質問やフィードバックをするよう促していました。とにかく質問することに恥ずかしいことはない。勇気をもって質問することをずっと言っていました。
実際にエクササイズでも、質問しないで進めると、意図しないものができる経験をさせて頂きました。
POや顧客と話して受入テストを作ったり、ビッグピクチャーを把握するにはコミュニケーションやコラボレーションが必要です。そのためには、やっぱり質問することが大事なんだなと実感しました。
Janet先生は言います。
「QAはQuestion Askerの意味もあります」
私も今現在、どっぷりとハマっているプロジェクトがあり、先ずはPOと信頼関係を構築することを目的とし、質問して、会話して、コラボレーションして、をずーっとやっている期間がありました。今考えると「大事だったんだなー」と思います。(その話はまた後で)
Built Quality In
「品質を保証することは出来ない。でも品質を作りこむことは出来る。」
これ、私の中でかなり名言です。Janet先生、RSGT2021でも言っていましたし、研修でも言っていました。
今までQAエンジニアとしてずっと悩んでた、「品質を保証するためにはどうしたら良いか?」という呪縛から解放されるような言葉です。
でも、品質は保証することができないからと言って、考えなくて良いわけではありません。品質を如何にして作りこむかを常に考えるのがAgile Testingですね。
あと、名言と言えば研修で話題になったこの言葉
”If you’re not willing to do the testing, don’t write the code.” / 「テストやる気ないならコード書かないほうが良い」
(誰かが、テスト書かない開発者を、どうテストを書かせるか、を質問した時の回答だった気がする)
Agile Testerは愛のかたまり
Whole Team以外でも「テスト自動化」や「ストーリーサイジング」等、学びは色々あるが、続きは次回以降にするとして。
結局Janet先生が、そうであるように、Agile Testerは愛のかたまりなのだと感じます。テストをすることだけがテスターの仕事ではない。チーム全体でデリバリーに成功することが大事です。
そのための活動として、Agile TesterはPOと会話し、ビッグピクチャーを理解して隠れた条件を明らかにしたり、開発者と会話し、可能な限り早い段階で品質を作りこむ活動をします。
つまりテストの枠を超えて、Whole Teamでデリバリーを成功させるためのいろいろな活動を行います。
DevOpsDaysTokyoでプロポーザル出しました!
このようなWhole TeamアプローチやAgile Testingマインドセットを、私自身が今実体験しております。その事例をDevOpsDaysTokyo 2021で発表できるよう、プロポーザルを出しています。
良かったら、いいね!(♡マークをクリック)してもらえると登壇の可能性が高まるので、よろしくお願いします!