テスト管理ツール『TestRail』が改善してくれたこと

Wakana Kurita
WingArc1st Inc.
Published in
Dec 15, 2022

これはウイングアーク Agile and DevOps Stories のAdvent Calendar 2022(2022年12月15日)の投稿です。

テストケースを管理するのはExcel!という時代を長く過ごしていました。しかし数年前、ひとりの新人くんの「もっと管理しやすいツールを使おうぜ!」の行動をきっかけとして使い始めたのが、今回ご紹介する『TestRail』です。

最初は「どう使うんだ?」「Excelでもええやん」と面倒に思っていたこともありましたが、今ではチームに欠かせないツールのひとつになりました。そんなTestRailについて、Excelより「便利~!」「ラク~!」「だめだ…もうExcelには戻れねぇ…」と思った点を紹介していきたいと思います。(注意:TestRailの回し者ではないです)

▮ TestRail(テストレイル)とは?

TestRailはWebベースのテスト管理ツールです。上図のような感じでテストケースを作成して、テスト結果を登録できます。詳細な使い方については今回は省かせていただきます。以下はTestRailのサイトURLです。
https://www.techmatrix.co.jp/product/testrail/

▮ TestRailによって改善されたこと

ではさっそく、テスト管理ツールをExcel→TestRailに変更して改善された点を熱く語っていきたいと思います。
※TestRail以外のテスト管理ツールでも同一機能はあるかもしれませんが、ここではExcelと比較して…というお話になります。

1.画像を添付しやすくなったぁぁ

Excelでも画像は添付できます。ええ、できます。しかし、「貼るたびに重くなる!」「開くたびに画像の位置がズレたりする!キェェェ!! 」「1つ1つのテストケースに画像を貼ろうとすると、行の高さや列の幅が広くなってしまってしまう!」というイライラと闘う日々でした。個人的にはこの機能が一番ありがたく思っています。
(下図:添付していた画像が縦につぶれてしまっている状態です。 OMG!!)

本当は画像が貼ってあたけれど、潰れてしまっている状態

そもそも、テストケースやテスト結果にわざわざ画像を添付しなくてもいいのでは?と思うかもしれませんが、以下の点で良いことがあります。

テストケースの把握スピードが上がる!
視認性が向上し、テストに慣れてない人でもどの場所のテストなのか?どのような結果になればいいのかわかりやすい!
証跡となる!
お客様に説明する時に強い!説得力が違う!
画像の変化など、文章で説明できない場合
私が担当しているOEM版テストの場合、<ログイン画面の背景画像が元の画像から変わったかどうか>を確認する検証などがあります。その場合、元の画像って何?!となるので画像添付が必要になるパターンがあります。

実際にTestRailで画像を添付したテストケース&テスト結果を見てみましょう(下図参照)。AとBの部分に画像を添付しています。中央より上側はテストケース、中央より下側がテスト結果になっています。
Aの部分の画像を確認すればいいんだな!ということと、結果どのような画像になったのか確認しやすいと思いませんか?

セルに貼り付けるわけでは無いので、位置がズレたり縮んでしまったりでメンテナンスが必要になる心配はありません。

➡ファイルが重くならない(アクセスが早い)
➡画像の位置がズレたり縮んだりしない(不必要なメンテが発生しない)
➡サムネイルが作成される(拡大できて詳細を確認できる)
➡テストケースごとや手順ごとに画像を添付できる

2.テストケースの修正が1か所で済む

リグレッションテストの場合、テストケースファイルをコピーして利用することはあるあるだと思います。コピーを何度も繰り返した状態でテストケースの見直しが必要になった場合、散らばったコピーたちに同じ修正を入れていくのは困難です。そこで便利なのがこのTestRail!文章で説明すると長くなりそうですので、図で説明します。

TestRailの場合、参照先(親のテストケース)を修正すればテスト実行時には修正されたテストケースでテストができます。
※既に実施されたテストのテストケースは更新されません

➡修正は親テストケースのみでOK
➡実施済みテスト結果は過去のテストケースでの履歴が残る
➡いつどのように誰がテストケースを修正したか履歴が残る

3.手順の多いテストケースが書ける・見やすい

どうしても手順が多くなってしまうテストケースはあると思います(下図参照)。しかし、長すぎるとExcelでは横スクロールが発生して見づらくなりますし、かといって省略して記載すると分かりづらくもなります。(テストミスにもつながる)

TestRailではテストケースにタイトルを設け、そのタイトルを一覧表示してその先は別ページとして表示するため、手順数が多くなっても見づらさに影響を及ぼしません。下図は手順の多いテストケースをTestRailに落とし込んだものです。

➡長い手順のテストケースが書ける
➡タイトルを工夫すれば、観点として何を検証したいのかわかりやすい

4.過去のテスト結果を見るのが秒

テストでインシデントが発生した際、「これ、以前も発生していたかな?」と、過去の結果を確認したい時があります。同じテストケースを同じフォルダーにまとめていれば確認しやすいですが、当チームではプロジェクト単位で管理しているため、別のフォルダーに入っています。そうなると、過去の同じテストでどのような結果だったのか確認するのにフォルダーを行ったり来たり、ファイルを開いたり閉じたりしなければならず手間がかかります。

TestRailではボタンをポチポチっと押すだけですぐに確認できます!

5.テストの進捗をいろんな切り口で管理できる

決まった期間内でテストを進めるのは重要です。自分で消化状況を把握しておくのはもちろん、他のメンバーや委託先の消化ペースも把握しておくことが大事です。Excelの場合、何件中何件消化しているかは関数やマクロを設けておけば確認は可能です。しかし、プロジェクトの度にそれらを仕込むのは管理として大変です。
TestRailでは「マイルストーン」と「テストラン」というタスクを作成し、そこで管理を行っていきます。
・マイルストーン:プロジェクト
・テストラン:テスト・スイート(目的や対象ごとに複数のテストケースをまとめたもの)

テストを消化していくとテストラン、マイルストーンごとに進捗をグラフなどで表示してくれます。

➡プロジェクト全体、テスト・スイートごとの進捗が分かる
➡グラフで進捗を表示してくれるので消化ペースを把握しやすい

6.テストケースへのアクセスのしやすさ

テスト実施時に「このテストケースでインシデントが発生したので見てほしい」「テストケースの手順が分からない場所があるんですけど…」といったようなレビューや質問が発生します。その際に、テストケース単位にURLがあるとすぐにアクセスして確認→回答することができます。
Excelの場合、フォルダーパスやBook名、シート名、テストケース番号などを伝えないといけません。少しの手間の改善ではありますが、その少しのストレスを軽減することによって質問や依頼に対応する気持ちを軽くしてくれます。

Photo by Serhat Beyazkaya on Unsplash

7.その他

・テストケースにテスト用データなどを添付できる
・JIRAと連携しているので、チケットと紐づけやすい
・他のテストケースにリンクを貼りやすい

などなど。個人の感想ですので、チームで話し合ったらもっとあるかもしれません!

▮まとめ

ここまでExcelより断然TestRailという感じで書いてきましたが、Excelがダメなわけではないです。何度も繰り返して実施するリグレッションテストの場合にはTestRailが大きく力を発揮して工数削減をしてくれますが、新機能のテストでは余計に時間がかかってしまいます。(新規にテストケースを作るときはExcel並みの記入のラフさは無いです)
テストの内容によって、TestRailとExcelをうまく使っていく必要があります。

アドベントカレンダーの企画としてTestRailについての記事を書いてみて、普段思っているExcelの不便利さ改善したいこと、それがどう改善されたのかをしっかり考える機会となりました。

クリスマスまでもうすぐ!読んでくださった方々のもとに、幸せなことが起こりますように🎄

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