テスト設計時に開発者やドメイン有識者を巻き込んでみた話
これはウイングアーク1st Agile and DevOps Transformation Stories のAdvent Calendar 2023、2023年12月22日の投稿です。
みなさん、こんばんは。
Motionboard製品のQA担当のtakahashi.yと申します。
私たちは、日々エンハンス開発(機能追加・拡張、保守、性能向上)をしています。 これらの開発には、複雑に絡み合う既存のシステムの様々な点に注意しながら内容を詰めていく必要があります。
本稿では、様々な有識者の人を巻き込んでテスト設計をした体験談を記載させていただきます。
①テスト観点の洗い出し
「テスト観点の洗い出し」とは、テスト対象の機能に対して、その動作を確認するためのポイント(大分類)をおさえる活動のことをいいます。
今回実装フェーズ(UIが作成される前)で開発担当者と共にテスト観点を作成してみました。
以前吉田さんが書いてくれたブログ:テスト観点レビュー時のチェックポイントの「4.仕様書に書かれていない内容を観点に含める」の内容を実践しています。
作業時期:実装前~実装中
開発担当者と画面共有しながらテスト観点を作成することで下記のようなメリットにつながります。
- 開発の視点の共有
- QAの視点の共有(ユーザー指向の視点)
- 仕様書レビューで拾い切れなかった事象の発見
- 不具合の早期発見
②担当者、有識者を含めた多角的な視点でのレビュー
①で作成したテスト観点を、有識者にレビューをしてもらいます。
有識者には、下記の方々を巻き込みます。
- 製品ドメインに詳しい方
- マニュアルに詳しい方
- 過去バージョンに詳しい方
多角的な視点でレビューできるようプロダクトに関わる全員を巻き込んで、品質の作り込みを行っています。
それに伴って、テスト技法にあるOstrandの4つのビューに基づいてテストをすることが適切な評価を行うことにつながります。
有識者レビューを行うことで、関係者間との「認識のすり合わせ」が改めてできたことは大きいと思いました。認識のずれの調整ができたり、改善ポイントが追加されたりすることもあったからです。
①のテスト観点洗い出しから、内容の質が上がったことを実感しました。
③テスト観点をテンプレート化して共有する
テスト観点表の作成は共通のテンプレートを使用しています。
共通のテンプレートで情報を蓄積することによって以下のメリットが生まれます。
- テストしないと判断した場合の履歴を残せる
- 共通観点になるナレッジをお互いに蓄積ができる
- テストケースを共通化することで成果物を一元管理できる
共通のものを残すことで、別の開発担当者やQA担当者が作業を行ったとしても、蓄積したナレッジを利用することもでき、履歴を参照することでテストの実施判断の材料になります。
ふりかえり
こうした活動をよりよいものにするために定期的にふりかえりを行っています。いくつかのふりかえりを抜粋させていただきます。
よかったこととしては、上記の図にあがっているので、いくつかピックアップさせていただきます。
- テスト観点をもとに不具合が発見できた
- 仕様に対する話し合いの場が増えた
- お互いのスケジュールを意識するようになった
- 仲間意識がより強まった
ふりかえりで出た課題としては「レビュー会の日程調整が大変だった」
という意見がありました。調整作業を円滑に進めるにはどうしたらいいかは検討中となります。
活動を通じて思ったこと
にしさんのお言葉ですが、テスト技術者として目標とすべき内容が書かれてします。私自身ここの記載されている「良いテスト技術者」になることを目標としています。
現在、関係部署の有識者を交えてレビューを行うことで製品に対し多角的な視点を取り入れています。そのような現場を直に経験して思うのは、製品に携わる方々の思いが熱く伝わってきたことでした。議論、認識のすり合わせなどをしていくうちに、気づくと全員「一丸」となって前に進んでいるという実感がわきました。そこには、部署間の垣根はありません。
それでも、人数が集まった中で話し合うことには、緊張したり、うまく内容が伝えられなかったりします。私は、その強張った雰囲気を和らげるワンクッションとして、面白ネタを差し込み、「笑い」からスタートする会議を心がけていました(ネタが滑った際の私の表情で笑いが起きることもありましたが)。意見がすっと出せる雰囲気作りは成功していると感じています。
今回の経験を通じて、QAの役割の1つとして関係者の方々を結ぶ「架け橋」でもあるのだと改めて実感しました。
来年も、製品に関わる方々と共に突き進んでいきたいと思います。
ご精読ありがとうございました。