朝会はリプランするためのモノ

朝会の本当の意味を知る

Jumpei Ito
WingArc1st Inc.
8 min readJan 29, 2020

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スクラムガイドでは「デイリースクラム」と定義されていますが、我々の現場では「朝会」とか「夕会」と称して実施しています。

色々なプロジェクトに関わっていると、なんとなく「いいなー」と思う朝会と、「ん?」と気付く朝会があるので紹介したいと思います。

Jim CoplienさんのRSGT2020 Keynoteを見ました

デイリースクラムを説明していてすごく参考になりました!

朝会のルールを再認識

スクラムガイドのデイリースクラムには以下のようなことが定義されています

  • 15分間のタイムボックス
  • 毎日、同じ時間、同じ場所で実施する
  • スプリントゴールとスプリントバックログの進捗を検査する
  • 開発チームのためのミーティング

ここまでは大体共通認識で、皆さんがやっているものです。

また、プロジェクトファシリテーション実践編に朝会ガイドというものがあり朝会を行う際 の手引として参考になります。

デイリースクラムパターン

Published Patternsにデイリースクラムが公開されています。

これを読んですごく腹落ちしたので、実例を含めていくつか紹介したいと思います。

毎日の仕事は変化する

The team makes progress in a Sprint by finishing Sprint Backlog Items, but given the complexity of the work, the characteristics, size, and quantity of tasks change frequently — sometimes minute by minute.

チームは、Sprint Backlog Itemを完了することでSprintを前進させますが、作業の複雑さを考えると、タスクの特性、サイズ、および量は頻繁に、時々刻々と変化します。

例えばプロジェクト開始時に計画書を作成します。ただ、プロジェクトが進むにつれ、割り込み作業というものが発生します。
その際によく耳にするのが、以下のような言葉です。

「割り込み作業するには時間も人もない(リソースが足りない)」

これは元の計画どおりに作業できなくなるため、割り込み作業に対応できないという意味だと思いますが、プロジェクトが進むにつれ、何かしらの変化は絶対に起きます。この変化に対して効果的に対処できるのがこの朝会なのです!(といつも心の中で思っています)

リプランする

Have a short event every day to replan the Sprint, to optimize the chances first of meeting the Sprint Goal and second of completing all Sprint Backlog Items.

毎日短いイベントを開催してスプリントをリプランし、先ずはスプリントのゴール目標を達成し、2番目にすべてのスプリントバックログアイテムを完了させるような可能性を最適化します。

スクラムガイドにも説明があるように開発チームはスプリントゴールを常にイメージし、達成することを考える必要があります。そのためには割り込み作業が入ればリプランする必要があり、朝会はその気づきを提供してくれるイベントだと思います。

朝会の中で進捗報告を聞いていると、たまにこんな報告があります。

「障害が出て今ハマってます」

「ユーザーサポートが突然来ました」

「タスク今着手しましたー」

なんとなくはわかりますが、情報としては足りない気がしますね。

スプリントゴールを阻害する要因があれば、解決できるのか、解決できなければ支援が必要なのか、時間を延ばせるのか、いつまでに解決できるのか等、もっと情報が必要と感じます。また「タスクの実施中」という報告は良いと思いますが、スプリントのゴールを達成できる見込みはあるのかの情報もほしいです。

そこで、(あーこの報告素晴らしいなー)と思えるのが例えばこんな感じです。

「障害対応中で今遅れてます。見積もりが甘かったです。関係者の人この後集まってください」

「ユーザーサポートが来て対応しています。対応中のタスクが××日遅れる予定ですが、スプリント内に完了予定です。」

「タスク今着手しましたー。××までに完了予定です。」

スプリントゴールを意識する

ちょっと大げさに感じますが、 まだチームで「うまい報告」が出来ていないのであれば、つぎの3つの質問に答える形式を身につけると良いと言われています。

What did I do yesterday that helped the Development Team meet the Sprint Goal?What will I do today to help the Development Team meet the Sprint Goal?Do I see any impediment that hinders me or the Development Team from meeting the Sprint Goal?

開発チームがスプリントゴールを達成するために、私が昨日やったことは何か?
開発チームがスプリントゴールを達成するために、私が今日やることは何か?
私や開発チームがスプリントゴールを達成する上で、障害となる物を目撃したか?

つまり単に作業進捗を報告するのではなく、常にスプリントゴールを達成することを常に意識しながら報告をすることで、個人単位ではなくスプリントゴールを共有するチームとしての報告になります。

そうするとチーム全員が状況の把握をすることが出来て、問題があった時はチーム全員でリプランすることが可能になるわけです。

問題解決の場ではない

Note that as developers voice impediments, there is a natural tendency to delve into them and explore possible solutions.

開発者が障害を発言すると、それらを掘り下げて考えられる解決策を探るという自然な傾向があることに注意してください。

だそうです。

確かに進捗報告をしだすと障害内容の説明になるパターンは結構あります。そして気持ちはわかります。ハマってますからね。

ただ、他のメンバーの時間を奪ってしまうことになるので、そういう時は朝会の後に関係者で集まるのが良いです。私の現場ではそれを「2次会」と称した形で行っています。

チームの士気を強化

The ritual of Daily Scrums helps a sense of team identity emerge from a group of people. It brings them together to refocus on their shared purpose and common identity.

Daily Scrumの儀式は、人々のグループからチームのアイデンティティの感覚を引き出すのに役立ちます。共通の目的と共通のアイデンティティに再び焦点を当てるために、彼らを結び付けます。

なんだかんだでこれです!

やはり最終的にはチームがスプリントゴールという共通する目的を持つことで、毎日報告し合い、問題があればリプランしてチームで解決するのが重要ですよね。

感想

先週(リリース間際の時期)こんな話がありました。

QAが実施するあるテストタイプにスケジュールを合わせると、それまでに用意する必要のあるものが揃えられないので、そのテストタイプをリリース後に実施してほしい。

と…

話を聞くと用意するものに「出来るもの」と「出来ないもの」があり、全部をやろうとするとスケジュール的に無理ということでした。

おそらくこれは朝会で解決できる問題だと思います。

用意するものに「出来るもの」と「出来ないもの」を朝会で報告すれば、ゴールとなるテストタイプ実施に対して、リプランすることが出来ます。

落としどころは「出来るもの」はテスト実施して、「出来ないもの」はリスク管理です。

チームの共通のゴールに対してみんなで考えてリプランすれば解決の糸口は見えます。またそれを達成することによってチームの士気が上がると信じています!

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Jumpei Ito
WingArc1st Inc.

WingArc1st Inc. — Software Quality Assurance Manager