遠くの未来を考えるときは非日常に身を置いてみよう
これはウイングアーク1st Agile and DevOps Transformation Stories のAdvent Calendar 2023、2023年12月14日の投稿です。
【きっかけ】「キャリアについて全社で話してほしい」と依頼があり、その時の考えを残したかった
今回のブログを書くきっかけです。
ウイングアークでは毎週にテーマを設定して、この人だと話せそうかな?と依頼をして全社に向けて話す場があります。
その依頼が私にもあり、テーマは「キャリア」でした。
「キャリア」をテーマに選んだ背景を聞くと、ウイングアークでは次の課題があるとのことです。
<<1on1で話すことが業務関連が多く、キャリアについて話さない>>
なので、キャリアについて話せるような支援をしたいとのことでした。
確かに、「このタスク(業務)について次に1on1あるので、相談してみます」という言葉をよく聞きます。
私の実体験とも一致しますし、今後も同じような課題に対面しそうなので、その時に考えたことを残したいと思います。
【前提】考えるときにキャリアについて会話する1on1に焦点を当てた
キャリアの課題だと範囲が広いです。
改めてですが、前提としてキャリアについて会話する1on1に焦点を当てています。
【課題の限定と分離】1on1の課題が発生する状況を限定して、課題を分離する
まずは、1on1の課題が発生する状況を限定して分離します。
限定
- 開発職群(QA含む)
分離
- メンターの課題(1on1をする側)
- メンバーの課題(1on1をされる側)
1. メンターの課題(1on1をする側)
分離した1. メンターの課題(1on1をする側)の原因について考えてみます。
【原因】メンターがプロジェクトマネージャーであり、プロジェクトの成功の弊害となる業務課題はすぐに解決したい
1on1のメンターは、プロジェクトマネージャーであることが多いです。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトを成功させることが業務の責務です。
成功とは、例えば「リリースまでの業務タスクをスケジュール通りに遂行する」です。
そのため、成功の弊害となる業務課題は、すぐに解決したいです。
なので、課題が発生したときの”傍”に1on1があれば、それが課題解決の手段として選択されます。
その結果、1on1が業務関連になってしまいます。
【対策】プロジェクトの成功からプロジェクトを支援するチームメンバーの成功に変えて、それは会社の期待に応えられることである
業務関連が目的の1on1は悪くありません。
ただし、常の目的にしてしまうと、プロジェクトの周期ごとに目的が変化してしまいます。
その変化の周期はキャリアの会話には、短すぎるかもしれません。
なので、変化の周期が長いものにします。
それは、プロジェクトではなく、プロジェクトを動かすチームメンバーの成功を1on1の目的にします。
チームメンバーの成功…書いておいてなんですが、難しい言葉です。
チームやメンバーの背景から考えないといけないからです。
ただ、ここは仮定しないと考えが進まないので、メンバーが会社の期待に応えられることとします。
【具体例】会社の期待を目標にして、そこまでのキャリアロードマップを示す
メンバーに対しての会社の期待とは行動指針(ウイングアークの例)に示されています。
ただ、行動指針だと抽象的で、想像しにくいと思います。
なので、行動指針を「旅の目的地」に変換してみます。
「旅路」には目的地が書いてある「地図」が必要です。
そして、その「地図」には、目的地までの「道のり」が複数存在します。
メンバーの旅路(キャリア)には、
- 現在地
- 道のり
- 目的地
を辿れるような地図が必要で、それがキャリアロードマップです。
キャリアロードマップをメンターとメンバーで、1on1の時に一緒に見ながら話すと以下のような話ができます。
- 「今は私は、地図のこの道を歩いている。」
- 「ちょっと、今はこの道を進むのは険しい。」
- 「一旦、目的地を変えたい。」
現在地と目的地を俯瞰して見つつ、指差し確認をしながら進められるので、話しやすいのではないでしょうか。
また、私の所属しているチームのキャリアロードマップは、QMファンネルを使ってQAキャリアイメージを描いてみる を参考にしてみてください。
2. メンバーの課題(1on1をされる側)
次は、分離した2. メンバーの課題(1on1をされる側)の原因について考えてみます。
【課題を更新】キャリアロードマップはあるが、1on1で話すことが業務関連が多くキャリアについて話さない
分離した1. メンターの課題(1on1をする側)の課題は解決したので、課題を次に更新します。
<<キャリアロードマップはあるが、1on1で話すことが業務関連が多く、キャリアについて話さない>>
【原因】目の前の業務に追われて、業務課題が発生したらまずは、プロジェクトマネージャーのメンターと解決したい
メンバーは、日々の中で、目の前の業務に追われています。
自分の担当している業務に課題が発生したら、プロジェクトマネージャーのメンターと会話をして、解決をしたいです。
その解決をする目的の場として、1on1が使われます。
メンターの課題の原因と一緒ですね。
お互いの目的が一緒であれば、1on1が業務課題の解決の場になるのは納得です。
【対策】業務に追われることが日常であれば、非日常に身を置けば、日常業務から離れてキャリアと向き合える
改めて、私たちは日々の中で、目の前の業務に追われています。
つまり、「今」に精一杯です。
これが日常になっています。
逆に、キャリアは「遠くの未来」です。
なので、「今」と「遠くの未来」では時間のギャップがありすぎて、日常の中でキャリアを考えるのは難しいです。
では、どうすれば良いでしょうか?
日常では難しいのであれば、非日常に身を置けば良いのです。
【具体例】極限まで日常と反対の環境を準備してそこでキャリアと向き合う
非日常に身を置くのは難しくありません。
自分のできる範囲で、極限まで日常と反対の環境を準備すれば良いのです。
例えば、日常と(⇄)非日常を対比させると、以下の環境になります。
- 日常 ⇄ 非日常
↓
デジタル ⇄ アナログ
↓
スマホ・PC ⇄ ノートとペン - 日常 ⇄ 非日常
↓
リモートワーク ⇄ リモートワーク以外
↓
自宅 ⇄ カフェ
次に、上記を達成するには、以下を持ってカフェに行きます。
- ノート
- ペン
- 1,000円
そして、コーヒーを1杯頼んで、2時間ひたすらノートにキャリアについて書き殴ります。
エクスプレッシブ・ライティング(筆記開示)というやり方で、自分の感じている悩みや不安を紙に書き出すこと。毎日続けると、少しずつストレスから解放されるという効果が期待されております。
これをすると、普段使っていない脳の部分を使うので、脳に汗をかいて疲れます。
疲れますが運動と一緒で、汗をかいたあとの爽快感は、何にも変え難いです。
そして、頑張ったあとには、ご褒美をあげます。
コーヒー代の残りで、カフェでデザートを自分に買ってあげます。
すると、この先にご褒美があると理解できて、人は集中できます。
ゲーミフィケーションというやり方で、ゲーム的な仕組みや目標設定をデジタルな体験に取り入れる手法であり、ゲームとは異なるものです。例えば、同じモンスターを倒し続けるのは苦痛ですが、その先でレアなアイテムが手に入るかも?と理解すると楽しくなります。
【流用】1on1も非日常な環境にすれば業務相談をしなくなる
【きっかけ】でのもともとの課題は次でした。
<<キャリアロードマップはあるが、1on1で話すことが業務関連が多く、キャリアについて話さない>>
この課題についても非日常の環境におけば、日常な業務関連の話から離れることができます。
例えば、以下のような環境にすることです。
- 日常の業務がリモートワークであれば、非日常のオフィスで1on1をする
- 日常の1on1が何も口にしないのであれば、非日常のお菓子を食べながら1on1をする
私は、極限まで非日常を突き詰めた結果、可愛らしいカフェでパンケーキを食べながらメンターと1on1をしました。
そうすると、パンケーキを食べながらマジメな話できないです。
キャリアがマジメではないの?かと思いますが、キャリアは肩の力を抜いて話すぐらいでちょうど良いです。
まだまだ遠い未来ですし、こんなことやりたいなぁ…で十分です。
【まとめ】キャリアに限らず自分のことは答えは自分の中にしかない
キャリアに限ったことではないですが、自分のことの答えは、自分の中にしかありません。
自分以外であるパソコン(インターネット)や他の人(メンター)の中にはありません。
パソコンや他の人に答えを求めているのが「今」で「日常」であれば、
「遠くの未来」を考えるときは「非日常」に身を置いてみてください。