JaSST’23 Kyushu 実行委員会主催の「JaSST’23 Kyushu」に参加してきました | 1部: 基調講演

Watanabe Daisuke
WingArc1st Inc.
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9 min readNov 7, 2023

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去る2023年11月2日、JaSST’23 Kyushu 実行委員会及び特定非営利活動法人(NPO法人)ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER)主催の「JaSSTソフトウェアテストシンポジウム-JaSST’23 Kyushu」が開催されました。

本ブログは、福岡で現地参加してきたレポートになります。

そして、講演内容が濃すぎたおかげで、2部作になっています。

  • 1部: 基調講演
  • 2部: 招待講演

本ブログの範囲は、「1部: 基調講演」になります。

JaSST’23 Kyushuのテーマはテスト未経験やこれからテスト(QA)業界に入る方々、つまり初学者向けでした

JaSST’23 Kyushuのテーマは、「テストの初学者が、テストの基本的なことを得ること」でした。

その背景があるのか、学生も5名ほど参加されていました。

また、JaSST’23 Kyushu実行委員には、学生から続けている方もいます。

そして、今年からも1名学生が入ったそうです。

ですので、JaSST Kyushuは学生の育成も力を入れている印象でした。

参加した私が初学者(経験が浅い)かと言われると、SET(テスト自動化エンジニア)にジョブチェンジしてから2年目なので、問題ないんです。

基調講演: 「わからない?をわかる!に変えよう!- QAエンジニアが実践している基本的な考え方と方法」/ 福田 里奈 氏(メルカリ)

講演はワーク中心で進んでいきました

この画像は私が講演内容を1枚にまとめたものです

講演は上記の①~⑥の流れで進んでいきました。

  • ①: テストが上手いQAエンジニアを考えることで、自分が持っていないものが分かり、② からのワークで解決します
  • ②: 製品を<使う側>の気持ちを考えます
  • ③: 製品を<作る側>の気持ちを考えます
  • ④: 製品を作るときの課題は、仕様が複雑であると知ります
  • ⑤: 課題の解決策は<作る側>が持っています
  • ⑥: <作る側>で全員で会話すると、仕様が明確になります

ちなみに①の女の子は福田さんのつもりです。

自分の中の”テストが上手なQAエンジニア像”を考えることで、”足りない考え”や”やるべきこと”が分かります

①のワーク

【①のワーク】テストが上手いQAエンジニアを考えること自分が持っていないものが分かります

最初に、周りにいるすごいテストをする人ってどういう思考・行動をする人?を考えます。

実は、そのすごい人が実践していることは、今、自分に足りていないことです。

なので、自分の中の足りないことを知ったうえで、1つでも解消してほしい!ことが講演のゴールでした。

ちなみに、私のQAがすごい人は、他の人の想定外を想定できる人でした。

次に、そもそも、テストは何のためにやるのか?を考えます。

福田さんは、みんなの役に立ちたい!であり、そしてそれが一番得意とのことでした。

私の仕事への想いは、役に立ちたい!で一緒でした。

さらに、誰に対して役に立ちたいの?を絞るとチーム > お客さまです。

それはなぜかと言うと、喜ぶ顔が想像できるのが近い順なんだろうな〜、と思います。

仕事は、製品を使ってくれるお客さまのためでしょ!と言われそうですが、自分に嘘はつけないです。
お客さまの顔を想像するの難しい…

製品を使う側だけではなく、作る側も考えよう!なぜならQAは作る側の気持ちを知ることが重要だからです

次は、テストをする上での考えかたです。

製品をテストする時には、良く<使う側>(ユーザー目線)でテストすることが重要と言われます。

しかし、テストするときには、<作る側>の気持ちを知ることも重要です。

なぜなら、製品は作ってから使う人に届けますからね。

ここでは、<使う側>と<作る側>の気持ちを知るワークがあり、私は、対象の製品をJaSSTのホームページにしました。

ここに他のサイトを載せちゃうのはどうかな?と思ったのですが、私はJaSST Niigata実行委員だから良いよね。

②のワーク

【②のワーク】製品を<使う側>の気持ちを考えます

私は以下のようになりました。

<使う側>

  • Good: 新着情報がトップにあり、一番知りたい情報にアクセスしやすい
  • Bad: スポンサーになりたいけど、導線が分からない
③のワーク

【③のワーク】製品を<作る側>の気持ちを考えます

私は以下のようになりました。

<作る側>

  • QAエンジニア: リンク切れないかな?
  • デザイナー・CS: 使う側はどの情報から見るんだろうな?
  • エンジニア: 他の地域も同じような作りだし、使いまわせる所ないかな?
  • 社長・営業・広報・企画・運営: スポンサー付くのかな?売上しだいで来年も開催するか決めたいな?

製品を作る役割によって気にするところは異なります

こうみると、QAエンジニアはちゃんと動くのか?(機能性)のところを気にしています。

しかし、他の役割は、別のところを気にしていますね。

このワークは、Six Thinking Hatsに似ているなぁと思いました。

また、経営層は製品を数字で見たい!とのお話がありました。

確かに、経営層はそもそも、その製品は成長させるのか?撤退させるのか?のシビアな判断をします。

シビアな判断には気持ちとかではなく、定量(数字)の事実が必要なんだと思います。

未成年ってどうやってテストするの?そもそもなんで未成年で料金違うの?

④のワーク

【④のワーク】製品を作るときの課題は、仕様が複雑であると知ります

ここからは、テストの技術的な話になります。

ワークでは、未成年かどうか?で料金が違う製品を例にしていました。

未成年かどうか?は、製品を<使う側>の年齢に左右されます。

そうすると、途端にテストは難しくなります。

なぜなら、常に変動する値を条件にしているからです。
(このブログを読んでいる方も、今、年齢を重ねて変動しています。)

私は、以下のようになりました。

  • 誕生日とはどこまで厳密な条件にするのか?(誕生月?日?分?ミリ秒?)
  • 未成年と判断するタイミングはいつなのか?(製品を申し込む時?製品を使う時?)
  • 年齢を未成年とする国の法律は?(日本?海外?)

もう、大変ですね。

なので、条件をきちんと定義できる人が貴重な存在になります。

それが、テストが上手いQAエンジニアです。

もちろん、製品を作るうえでは、仕様書に書いてあるべきです。

ですが、そのようなことは幻想です。

では、どうするのか?

それは、<作る側>のみんなと会話になります。

<作る側>とみんな会話することを、コラボレーションベースのテストアプローチと呼びます

⑤のセクション

【⑤のセクション】課題の解決策は<作る側>が持っています

ここからはワークではなくセクションになります。

④のワークで、仕様が複雑で分からない!仕様書がない!という課題があることがわかりました。

そして、③のワークで、製品を<作る側>を気持ちを知るワークをしました。

それでは、製品を<作る側>の人たちと会話して一緒に理解して作れば良いじゃない! が課題の解決策になります。

これが、シフトレフトコラボレーションベースのアプローチになります。

ちなみに私は、JSTQBにこの用語が追加されたことをここで初めて知りました…。
勉強していないことがバレてしまいました。

私は、製品を<作る側>で会話することが、シフトレフトで最初に取るべきアプローチと考えています。

集まって、机囲んで話すだけなので、ハードルは高くないからです。(three amigo の考えに近いです。)

ただし、会話にも準備が必要です。

「この仕様わかりません、教えてください。」
これでは、会話にはなりません。

「この機能なのですが、こういう仕様だと思うのですが、認識間違ってますかね?」
このような、仮説を持った会話が必要です。

仮説を持つためには、製品を<作る側>を気持ちを知る必要があり、③のワークを最初にしたのかな〜?と思ってます。

製品を<作る側>で会話する時には、ユーザーストーリーや受け入れ基準で話すと認識が合いやすいです

⑥のセクション

【⑥のセクション】<作る側>で全員で会話すると、仕様が明確になります

ユーザーストーリーや受け入れ基準の書きかたは、講演資料を見ていただいた方が詳しいので省きます。

受け入れ基準を明確にするとQAエンジニアには大きな利点があります。

それは、テストをすることを製品<作る側>の人たち(ステークホルダー)と合意が取れることです。

合意があるだけで、実際のテストフェーズの安心感が違います。

以上が私の基調講演のふりかえりでした

本当は、「テスト技法」や「テストの7原則」のお話などありました。

しかし、1投稿には収まらない文章量になったので、省きました。

それぐらい内容が濃すぎました。

他の人のテストへの想いを聞くと、共通点があると嬉しいですし、逆に、そのテスト観点を深掘りするのか!どうしてだろう?を考えるのも、楽しかったです。

次は、「2部: 招待講演」です!(執筆中)

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