Management3.0 Japan Conference参加レポート #m30Jp20

Yasuko NAITO
WingArc1st Inc.
Published in
13 min readSep 18, 2020
この夏、娘(3歳)はかき氷のシロップを混ぜると何色になるか?という実験にご執心 Photo by Adam Winger on Unsplash

アジャイル・リーダーシップ、変革する組織のためのマネジメント手法であるManagement3.0のオンラインカンファレンスに参加しました。

参加したセッション

今回は事例を中心に以下のセッションを聴講しました。

  • A-1. 実践導入と見えてきた課題
  • A-2. Management 3.0の光と影 ~Light side / Dark side of the Management 3.0~
  • A-3. 組織の変化に必要なことは投資ではないだろうか?
  • A-4. アカツキにおけるチーム経営の取り組み
  • A-5. リモートと感謝とキズナ
  • A-6. Navigating The New Ways Of Working
  • A-7. Managing for Happiness

なお、セッションの紹介ごとに登壇資料を掲載していますが、一部登壇資料が見つけられていません。見つけ次第更新します。

§ A-1. 実践導入と見えてきた課題

株式会社マリエッタの本田さんによるManagemet3.0導入の失敗事例とその後のお話でした。

2019年にManagement3.0を導入した際は、会社文化になじまず失敗に終わったが、その1年後に社員教育の場で再チャレンジされ、目的に合わせて以下のプラクティスを実施したことで成功し、継続の兆しも見えているそうです。

  • ムービングモチベーターズ
  • セレブレーショングリッド
  • コンプレキシティ・シンキング

ウイングアークでもムービングモチベーターズはチームビルディングで、セレブレーショングリッドは新人研修のふりかえりで実施し手応えを感じています。

コンプレキシティ・シンキングは本田さんのところでは炎上案件や問題発生時に適用しているとのことでしたが、このプラクティスは初めて聞いたのでこの後調べてみようと思います。

§ A-2. Management3.0の光と影 ~Light side / Dark side of the Management 3.0~

株式会社クオリティアの吉川さんによる、Managemet3.0を1年半実践してわかった光(良かったこと)と影(見えてきた課題)のお話でした。

Management3.0導入の背景

  • チーム内のコミュニケーション不足
  • 部署間のコミュニケーション不足
  • エンゲージメントの低下(QAという仕事の性質上ついつい後ろ向きになってしまう)
  • もっと楽しく仕事をしたい

  • 離職のキッカケになる
  • Management2.0おじさんの抵抗(でも話してみたら楽しそうじゃん!となったそう)
  • 窓際族(M族)のあぶり出しツールとして優秀

  • M族候補救出(している最中)
  • ライトウェイトなのですぐに導入できる

吉川さんのチームの課題は私たちにもある課題でもっと聞いてみたいですし、今後の展開も気になるところです。

ライトウェイトっていうのは実感していますし、機を逃さずできるということは大切だと思います。

また、COVID-19でテレワークになり、一度も出社したことのない新入社員とパーソナル・マップ、ハピネスドアを実施されたことにも触れられていて、こちらも私たちの新人研修の参考になりそうです。

§ A-3. 組織の変化に必要なことは投資ではないだろうか?

「組織の近視眼化」…これは目の前の課題、タスクの達成に集中しすぎて先を見ていない状態を示しており、これが進むと心と時間の余裕がなくなり、新しいことを学ぶことができず成長曲線は止まり、パフォーマンスも上がらなります。

そうならないために、三浦さんのチームでは「能力の獲得を業務にする」ことにしたそうです。コンピテンシーマトリクスを作り、毎朝30分コンピテンシー獲得のための時間を作っているそうです。「コンピテンシー獲得をメインミッションにする」とおっしゃっていましたがここまで言えるとカッコいいですね。

私自身も「近視眼化」になってしまい、焦燥感だけが募って悪循環に陥るときがあります。忙しいときこそ立ち止まって考える事、話し合うことが大切だと再認識しましたし、特にコンピテンシーマトリクスは実践してみたいと思います。

§ A-4. アカツキにおけるチーム経営の取り組み

今年3月にCEOが交代され、Disneyの経営体制をヒントにExecutive Leadership Team(ELT)形成してでてきた課題をどのように解決したかという内容でした。

私たちの日々の業務でも意思決定や会議はあるので、ここででてくる課題は経営層に限った話ではなくとても参考になりました。

アカツキさんではリーダーたちがこれらを実践しているということは社員にもこのマインドが広がり文化となっているのだとおもいます。

スポンサーセッションでアカツキの「カルチャーブック」について触れられていったのですが、私自身がウイングアークでVision、Core Valueを浸透させる活動に参加しているので興味があり調べたところ公開されていました。

§ A-5. リモートと感謝とキズナ

心理的安全性高く、信頼しあえる関係をキズナと表現されており、Kudo Cardsでふりかえりの場で「感謝」を伝え、キズナを深めている事例でした。

リモートだからこそキズナを深める枠組みが必要だとおっしゃっていましたが、まさに私たちも同じ課題に直面しています。リモート以前から一緒に働いている仲間とはある程度信頼関係が構築されていますが、リモートになって新たなメンバーがJOINしてきたとき、どうやって信頼関係を構築するかということを全社で模索している最中です。感謝を伝えるというのはカンタンなようでできていないなと再認識したので、まずは身の回りでやってみようと思います。

§ A-6. Navigating The New Ways Of Working

「リモートワーク — チームが結束する次世代メソッド」の著者である Lesette Sutherlandさんのkeynoteです。

リモートワークに正しいやり方はないので自分たちに何があっているか、実験をすることが大切だという内容でした。印象に残ったところをご紹介します。

ワーキングアグリーメント

リモートだとチームの合意がより大切になる。「完了の定義」をして、期待される振る舞いを明確にする。

リモートに合わせた働き方にシフトする

リモートにはリモートにあったやり方がある。オフィスでのやり方をそのまま持ち込んでもうまくいかない。そのままやった結果一日中Zoomで会議になったりする。

褒め方、信頼関係の構築の仕方、時間の使い方なども変わってくる。1人でじっくり考える時間を持つのが大切。

ある会社では1年のうち3ヶ月は好きな場所で仕事をすることを推奨しているが、ネットワーク速度が20Mbps以上あることがルールとなっている。ネットワーク速度20Mbps未満だと休暇になる。

リモートでの工夫

リモートでもメンバーとの距離を近くする様々な方法、工夫ができる。

一番簡単で効果があるのは、カメラをオンにすること。

他にも、グループチャット、バーチャルコワーキング(共同作業)、バーチャルオフィス、バーチャルリアリティ、ホログラム、カメラロボット、Meeting Owlと様々なアプリやツールがある。ただ、これらもよいWiFi環境がないと使えない。

KPI

リモートワークがうまくいっているかどうかのKPIは難しいが、従業員がどれだけハッピーかは指標になる。

チームによって成功の定義がちがうのでフィードバックループを入れることでうまくいっているかどうかがわかり、自分たちにあった指標もみえてくる。

私たちも最初はオフィスと同じようにしていて、一日中会議…となっていました。いまは会議の効率化を目指したり、コラボレーションツールやリモートでチームでうまく仕事をすすめる方法を色々実験して、よかったものはみんなに広げて…としている最中で、実験は必要だしやってることは間違ってないなと自信になりました。

リセットさんは、チームのワーキングアグリーメントのテンプレートをFreeで公開されています。テンプレートは英語ですが、以下の著書の中では日本語にて公開されています。

§ A-7. Managing for Happiness

Managemet3.0の考案者である Jurgen Appeloさんによるkeynote です。実験とハピネス(幸せ)とセレブレーショングリッドについて印象にのこったところをピックアップします。

実験

マネージャーだったころ、ヨーガンさん自身もどうやってメンバーとうまく働いたらいいかよくわからなかった。だから実験をした。社員を自宅に招いてみんなで料理をして食事をしたり、会社のカフェスペースにベルをおいてなにか良いことがあったらベルを鳴らし、みんなで祝う。そういった実験からなにかを学んだし、実験そのものが人をハッピーにする。新しい体験、実験は楽しいしワクワクする。この経験がManagement3.0につながっている。

Managemet3.0のプラクティスは楽しくゲーム感覚で実験できる。

  • パーソナルマップ
  • デリゲーションポーカー
  • ムービングモチベーター
  • KUDO Cards

ハピネス(幸せ)

幸せについての考え方は色々ある。

  • 幸せは成功の前兆
  • 幸せな人達はより成功しやすい
  • 従業員満足が高い業績につながる
  • 業績がよいチームが人を幸せにする

どれにせよ、幸せと成功は関係性があって良い循環を生む。幸せな人はよりよい仕事をしてよりよい成果を生む

人を幸せにする 12の要素をカードにしている。壁に張っておこう。

セレブレーショングリッド

https://management30.com/practice/celebration-grids/

成功だけを祝っていると人は成功できるとわかっているプラクティスだけをやるようになり実験がなくなる。だから成功したときと、なにか学びを得たときに祝う。失敗を祝うのではなく、失敗から得た学びを祝う。

成功も失敗も概ね予測可能だが、実験だけは成功するか失敗するかわからない。この何が起こるかわからないといところに一番の学びがある。

ヨーガンさんのkeynoteでは、Managemet3.0の考え方やプラクティスについての解説も多く、初めて学ぶ内容も多かったので次回これらのプラクティスを実施するときにはより楽しく学びながら実施できそうです。そして、ここでもたくさんの「実験」というキーワードが出てきて、実験の大切さを再認識しました。

ウイングアークでもManagement3.0のプラクティスを用いたワークショップを実施したり(たかはしひろゆきがManagement3.0のライセンスファシリテーター)、私自身はステファンさん(@SNusperling)のワークショップに参加させていただいたりとManagement3.0に触れる機会はありましたが、今回たくさんの事例と素晴らしいkeynoteに触れ、もっともっと実験してManagement3.0を学びたいと思いました。

今日から楽しんで実験しようと思います。

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