社員にとって上場は何がよいのか

Hideaki Ishikura
Work,Live,Thinking
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5 min readJun 13, 2016

先日LINEが東証とNYで7月に上場することが決まり大きな話題になってますね。1つの会社が上場すると時価総額や株式の持ち分や経営者のことなどが話題にはなりますが、そこで働く社員にとって何が変わるのか、などはあまり語られないなと思うので、「働く社員にとって上場は何がいいのか」を考えてみたいと思います。

かつて私も在籍していた企業が上場を経験したことがあり、その経験や知人からの情報を中心に記載しますので、会社によって違うこともあるかと思いますがあしからず。。

まずは金銭的メリットについて

上場した会社で働く社員としてわかりやすいのは「ストックオプションによる金銭的メリット」ですね。

ストックオプションとは?というのは検索すればたくさん出てきますので調べていただくとして、

「上場してストックオプションで億万長者だぜー」と思ってる方もいらっしゃるかと思いますが、実際にはどのくらいの相場になるのでしょうか。

ストックオプションというのは、ある時点での株価で株を購入できる権利、なので当然「買うときの株価」と「持ち分比率」によって変わります。

買うときの株価は会社によりけり。上場した時には時価総額が100億だった企業が権利を行使する時には時価総額が1000億になっていたら、もちろんかなり金銭的メリットが大きくなる可能性があります。

問題はその時の持ち分比率ですね。LINEの出澤社長で0.05%という少なさが話題になってますが、上場時に社員が各自持っている比率もそこまで多くないことが一般的です。

既存株主との関係などもありますが、多くても1%持っている人は少ないかと。だいたい0.1%とかそれ以下の場合がほとんどでしょう。

具体的に計算してみると

ストックオプションには行使の条件が付いてることがほとんどです。ストックオプションの付与から2年で50%、3年で100%分を行使できる、などが多いようです。

持ち分比率が0.1%で時価総額100億で上場、2年後と3年後の時価総額が200億円になってた場合、行使時の購入価格にもよりますが、3年間で約1000万円を手にすることになります。

これだけ見ると大きな金額ですが、そもそもベンチャーで働き上場するまで何年間か年収も高くない状態でいることも多く、中長期的に見るとほんとうに金銭的メリットが十二分にあるかというと、、、という感じかと思います。

もちろん上場後に業績が伸び、時価総額が10倍とかになっていたら金額はもっと大きくなりますが。

ちなみに上場したら給与が上がるかというと、意外とそれも一気に2倍とかになることはなかなかないです。というのも上場したら常に売上や利益の成長が求められるため、急激な成長をしない限りはどうしても成長を給与へ還元する率は大きく変えにくいことも多いからです。もちろん成長にそって給与レンジはあがるが、急激に上がるわけではないというのが一般的かと思います。

他のメリットは何なのか?

まずメリットとしてあるのが「上場を経験したことで個人のキャリアの幅が広がること」です。

例えば、転職市場において「ベンチャーで責任者やってました」というのと「ベンチャーで責任者として上場経験しました」というのでは圧倒的に後者の人の方が市場価値が高くなることが多く、まず会ってみたい、となることも増えます。

さらに、

実務として上場前のカオスな状態から上場準備の段階で整備し、上場後にもスピード感を持って事業を成長させた経験は、かなり武器になります。

特にこれから上場を目指そうという企業にとって未知のことを経験した人はとても貴重な存在です。

同じ業務をやるにしても規模や会社のステージによってやり方は変わりますが、どんな規模や状況でも柔軟に対応でき成果を残せる、というのはなかなか難しいこと。

しかし、上場前後はビックリするくらい会社の仕事のやり方は関わる人数が変わってきます。しかも短期間で一気に変化します。仕事のやり方の変化が最も激しい上場前後を経験することで自らの経験値をぐっと上げてくれますし、実際に変化に強くなっていることも多いはず。

この「状況ややり方の変化」に関わらず、淡々と成果を出すための仕事の仕方が身につく、それを当たり前のように感じられるということが、上場時に働いてる社員の最大のメリットなのではないかと思います。

多くの人や企業が上場前後のダイナミズムを感じ、本質的な成長を少しずつでも次の世代に伝えていけるようなエコシステムがもっともっと広がるといいなぁ。

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Hideaki Ishikura
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「働き方」が関心テーマ。誰かの働き方にちょっと役に立てるような事業を考えています。平日の夜と週末は、娘とうさぎのチャーリーと戯れるのが好き