「退職マネジメント」の記事がバズったので、振り返りとさらにもう一歩考えた

Hideaki Ishikura
Work,Live,Thinking
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9 min readMay 12, 2016

先日、
Mediumで「辞める時に会社のほんとうの姿が見えるよね、という話」という記事を書いたのですが、5月8日から5日弱でかなり多くの反響をいただいて戸惑っております笑

たくさんの方に読んでいただき共感いただけるのは嬉しい限りですが、
せっかくなので「振り返り」とさらにもう一歩考えてみることにしました。

「振り返り」大事ですしね!

実際どのくらいの反響があったのか

Mediumの「Status」で確認してみると、こんな感じ。

5月8日から始まって、この記事を書いている5月12日までで96,000PV!
102Recommendsをいただいています。びっくり!
はあちゅうさんやイケハヤさんのような有名ブロガーの方であれば、「96,000PV?へー」くらいかもしれませんが、私のようなふつうの34歳のおじさんからすると困惑するほどのPV。

どんなところから来ているのか「Referrers」から見てみると、以下。

Facebookで60%、Twitterで15%、NewsPicksとメール経由とはてブで15%強と、このへんで90%以上を占めていますね。

私自身でFacebookに投稿していないのですが、どなたか友人がたくさんいたり著名な方がシェアいただいたところから広がっていったのかもしれません。(Facebook追えないのでわかりませんが…)

TwitterでもたくさんRTや拡散いただきました。
twimpで調べてみると、RTやシェアで538!UUで486!

NewsPicksだと220Pickもいただいていました。

自分でびっくりするくらい多くの方に読んでいただいたのですが、なぜそこまで読んでいただいたのかを考えていこうと思います。

なぜこんなに拡散されたのか?

仮説でしかないのですが、

・退職時に嫌な対応されたり、そういう話を聞いたことある人が多い
・退職マネジメントについて言及している人は少ない
・GW最終日というタイミングがよかった

の3点が要因ではないかと思っています。

退職時に嫌な対応されたり、そういう話を聞いたことある人が多い

TwitterやNewsPicksのコメントでも具体的に言及されている方も多かったですが、退職を申し出た際に「えっ?」という対応された経験があったり、自分は経験していなくても友人や知人、同僚などから聞いたことがある人は想定より多そうですね。

ざっと数えただけでも、
自分も同じような経験したことある、もしくは聞いたことある的なコメントが100以上ありました。。

実際に記事を書く前に「退職 対応 ひどい」と検索してみると、結構びっくりするような対応された、という記事がたくさん出てきます。。。

退職マネジメントについて言及している人が少ない

HR関連でいうと、
採用やチームマネジメント、会社として組織をどう強くするか、理念を浸透させるには、のような記事は多いですが、
「退職マネジメント」や「退職した人との関係性」などについて書いてあったり、イベントや講演で話を聞く機会はほとんどなかったのではないかと思います。

上記のように退職時の対応がひどかった、という記事はあってもそれが会社にどう影響するか、採用との関連性まで書いている記事はなかったので。

GW最終日というタイミングがよかった

タイミングは非常に大きいのではと思ってます。
この記事を書いたのは4月24日なのですが、実際に一気に拡散され始めたのは5月8日から。

もちろん影響力のある方にシェアしてもらったこともあると思うのですが、GW最終日で、次の日から仕事というタイミングで少しずつ仕事につながるような記事を読んだり、考えたりと頭を切り替えていそうな人が多そうな時だったのも大きな要因だったかな、と。

これがGW前日とかだったらここまで拡散しなかった、と思ってます。
みんな、おやすみモードですし、そんな時にビジネス系の記事読まないですよね笑

以上の仮説の筋がいいのかどうかはまだ1記事のみなのでわかりませんが、
どういう記事がみなさんに支持いただけるのかはこれからも仮説検証していこうかなと考えています。

軽い振り返りの次に、
上記のような現象を踏まえて人事や経営者、管理職の方が今後どう考えていくべきか、何を取り組んでいかないといかないのかを考えてみます。

人事・経営者は何を考え、対応していくべきなのか

これだけ多くの方に共感いただけたということを踏まえ、人事や経営者はどういうことを取り組まないといけないのか。
もちろん、退職時に誠実に対応すること、は前提です。

表面上の対応だけ誠実でも、退職しようとしている人には本心が見えてしまうでしょうし、それだけだと本質的な対策にならず、結果は変わらなそうです。

私が本質的に考えないといけないと思うのは、以下の2点ではないか、と。

・貢献感を感じてもらう仕組み
・社員(個人)と会社の関係性の再定義

1つ目の「貢献感を感じてもらう仕組み」から。

なぜ退職時(別れ際)の対応がイマイチだとその会社のことがイマイチに思えて、対応がいいと良い会社だな、と感じるのかをずっと考えてみたのですが、

退職時って
「それまで自分がその会社に貢献してきたと思っていること」を
「会社が評価してくれていたのかがわかる最後にして最大のタイミング」
なのだと思います。

「貢献が評価されていた」と感じるか、逆に感じないか、を面談などの対応を通じて退職者は判断している、と。

とすると、
「いろいろあったけど貢献したことをしっかり評価してくれていたなー」と感じるのか、
「貢献したと思うけど、最後までそれは評価されていないんだな…」と感じるのか、で退職マネジメントの効果は大きく変わるのだと思います。

人事や経営者としては、
退職時に「いろいろあったけど、貢献したことをしっかり評価してくれていたなー」と思ってもらえる状態をどう作るのか、を考えるのが大事。
とはいえ、「貢献を評価されている」と感じたことのない社員の方に
退職時にいきなり「これまでの貢献を評価されたと感じてもらう」というのは難しい。

だとしたら、
社員が、常日頃「貢献感を適切に感じられる」仕組みがあるかどうか、を考えていくべきなのではと思います。
そもそもそれができたら退職自体が減りそうですが。

程度の差こそあれ、
どんな人でも所属している会社や組織、チーム、お客様に対して仕事を通じて貢献したい、役に立とうと思っているでしょうし。

社員に対して、

・日頃のコミュニケーションを通して「貢献」を認めているか
・それにより社員は「貢献を評価されている」と感じられるか

この2点が当たり前にできている会社であれば、
退職時に特別な対応せずとも、「貢献を認めてくれた会社」となれるのではないかと思います。

逆に、日頃そういったことをケアしていない会社だと、
どんなに退職時に頑張ってもなかなか「貢献を認めてくれた会社」となるのは難しいそうだな、と思います。

もう1つ。社員(個人)と会社の関係性の再定義について

いままで採用や組織を考える際に

・今いる社員だけ
・採用選考の合格者だけ
に対して、何を提供してパフォーマンスを出してもらうか、を考えていればよかったかもしれませんが、これからは「社員」以外の周囲との関係性をどう築いていくのか、を企業として考えないといけないフェーズになってきていると感じています。

具体的には

・入社は実現しなかったが、本当は採用したかった人
・活躍していたが独立するために退職した元社員
・カルチャーフィットしない等の理由で採用選考は合格しなかったが、特定のスキルは持っている人
・懇意にしていた取引先の元担当者
・システム開発をお願いしている会社の代表

などなど、
「社員」以外の周囲の人とどういう関係を築くのか、どのくらいのゆるさで繋がるべきなのか、を考えていかないといけないですね。

タイミングによっては「社員」としての関わりがベストだけれど、
ある時は「外部で一部の業務だけお願いする」、
また別の時には「月に1回ご飯食べながら情報交換するだけ」、

などのように

タイミングや相手に応じて柔軟にかつ個別に関係性を再定義していくことが求められるようになっていくのかな、と。

「社員として働く、それ以外は全て部外者」

のような0か1かの関係ではなく、0.7とか0.3とかでの繋がり方をデザインしていく。またそれを短い期間で変化させていくことを前提で「会社/組織」を設計していく時代になっていくのだろうと思います。

採用の場面でも「社員として入社してもらう」以外の選択肢も用意できますし、事業目的を達成するために必要なリソースの確保の難易度も一気に下がってきそうです。

上記のような関係性になると、

「退職=関係性の終わり、もしくは部外者になる」ではなく、
「退職=社員ではないけど新しい関係性、繋がりのスタート」になるはずで、そう考えると、そもそも退職が双方にとって悲しいものではなく、1つの選択として考えられるようになりそうですね。

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Hideaki Ishikura
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「働き方」が関心テーマ。誰かの働き方にちょっと役に立てるような事業を考えています。平日の夜と週末は、娘とうさぎのチャーリーと戯れるのが好き