会社員が会社に属し続ける理由ってなんだろう?

Kenichi Suzuki / 鈴木 健一
writeandthink
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6 min readJan 18, 1970

今朝こんなツイートを見ました

昔から理想的な組織は、「1つの目的に向けて走るフリーランス集団」だと思っていて、漫画がいうならば麦わらの海賊団なわけで。少しニュアンスが違うけれど、知的労働者が集まっている集団が最強だと思っているわけで。

— そめひこ (@somehiko_molts) 2016年9月14日

「1つの目的に向けて走るフリーランスの集まり」が組織の理想形ということみたい。

このツイートからは「フリーランス的な行動力や思想を持ちつつも一つの目的達成のために動いている一つの会社」という意味なのか、個人事業主が集まって一つの目的に向けて協働している「フリーランスの集まり」なにかは判断することはできなかったけれど、良いきっかけをもらったので考えてみる。

全ての業種に言えるわけではない

これが成立できる職種には条件があると思ってます。 弁護士や税理士のような士業、コンサルタントやライターなどの専門的な技術をもったプロフェッショナルサービスを提供する人たちでしょうか。

反対に長い業務プロセスの中の一部分を担うような職種や、サービス提供者自身では仕事の獲得が難しい構造の職種では難しいと思ってます。

わたしはこうおもった

前者に関する仕事についてる自分としては、正直みんなそうなればいいと思ってます。 独立することで働く場所や使う時間も自分の責任のもとで決めることができるし、現状よりも少なくとも所得は上がります。 上手くいけば法人にもできます。規模拡大をする上で雇用を生み出すことができますし、一緒に働いてくれる人たちが独立して、自分と同じように自由に働いていけるようになるのを支援していくことで、自分と近しい目的を持った人が社会に価値を提供し続けていってくれることになります。

じゃあなんで私はまだ会社にいるんだろう

会社にいるメリットってなんだろう

思ったことを箇条書きしてみます

  • 共同で使える設備がある(オフィス、ネット、プリンタとか、会議室とか、カフェスペースとか)
  • 安定した給料が貰える
  • 社会保険が折半できる
  • 福利厚生やボーナスがある
  • 会社に属していることで信用力が担保される
  • (大企業であれば)家族に自慢できる?
  • (やろうと思えば)適度に手を抜くこともできる
  • やることを会社が決めてくれる
  • 色々な人と働ける
  • 大きなスケールで仕事ができる
  • バックオフィス等の業務は専任の方にやってもらえる

ある程度はあるみたいです。でもこのうち、

  • 共同で使える設備(シェアオフィスやコワーキング)
  • 適度に手を抜くこともできる(自分のさじ加減)
  • 色々な人と働ける(シェアオフィスやコワーキング、自分がチーム編成する)
  • 大きなスケールで仕事ができる(ハブとなる人に自分がなったりそういう人と一緒に仕事をしたり)
  • バックオフィス等の業務は専任の方にやってもらえる(バックオフィス専門のサービスを活用)

とかはフリーランスになっても同じことできますよね。

反対に会社に居続けることのデメリットってなんだろう

  • 時間と場所で拘束される
  • 給料を自分で決められない(増えても微増)
  • 外部の視点が得られにくく思考が固定化する
  • 会社の方針にある程度従わないといけない
  • 身につけたスキルが社内でしか通用しない場合もある
  • 社内の人間関係が大変になることもある

こういった点をデメリットとして抱えながら会社に居続ける必要ってあるんでしょうか?

そうなった時に「ミッション」「ビジョン」「経営理念」のようなものがあるから、という話が出てくるのですが、そめひこさんのツイートにあるように「同じ目的意識を持ったフリーランスが集まる」ことでも同じことって出来ると思いませんか?

ホラクラシーのような概念が広まって久しいですが、そもそも会社の階層構造に縛られるより、フリーランス同士で関係性を作るほうがフラットな関係性を築きやすいです。

自分の生き方を他人に決められてていいのかな

会社にしても個人にしても、「なぜそのサービスを提供しているのか?」「どうして働くのか?」のような問いがミッションを形作っています。 この問いに対する答えは、つきつめていくと最終的に「人を幸せにするため」「自分が幸せになるため」というような答えに行きつきます。

だとしたら、仕事を通じて最終的に「人を幸せにしたい」と考えている人自身が「幸せになる」ことって前提条件として必須なのではないでしょうか。

まず自分が自分で幸せであると思える働き方をする。 それが出来るようになってはじめて、自分が「役に立ちたい」と思える人や、「頼ってくれる」人のために、自分が培ってきた能力・時間を使って貢献していく。 その順番のほうが自然だと思うのです。

もちろん、そのための基礎となる経験は会社で積むことになります。

折角経験を積むなら、大きな企業と取引できたり、大きな予算を動かせるような機会がある会社のほうがいいかもしれません。外資系コンサルファームとかにいた人が独立して自分の会社を作っていくような流れはそれを体現しているものなのかもしれません。

逆に、小規模なサービスファームでそれが可能か?と言われると難しいのかなとも感じます。 でも、スケールが大きければよいってわけではなく、規模は大きくなくとも、身近にいて、頼ってくれるお客さんと一緒に、小さくてもゼロイチができるような経験っていうのは企業の知名度や動かせる予算などにも優るものがあると考えています。

だからまだわたしも会社にいます。 この会社でそういうことが出来るようになったら新しい会社や取り組みを始めるかもしれない。 そうなった時に残された会社はどうするんだろう。みんなそうやって辞めていったらどうなるんだろうか。 それは経営者が考える事だから関係ないのかもしれないけど、わたしがいつか同じような環境になったらどうするんだろうか。一緒にがんばってきたみんなが巣立ってしまって悲しくなったりしないのかな。

というような事を、書きながら考えています。

君たちはどう生きるか

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Kenichi Suzuki / 鈴木 健一
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デザイナーが直接社会に価値提供できる働き方の仕組みを作るデザイン会社Standard代表 http://www.standardinc.jp