[データドリブンアート2023秋]機械心臓と脳波の関係を、ヴィジュアルと音で表現

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私は機械心臓と健常者の心臓、機械心臓の脳波と、健常者の脳波、を対比するヴィジュアライゼーションを行った。

私は「先天性心内膜症欠損」という、心臓の病気を持って生まれてきた。3回に渡る胸の大きな開口手術を経て、18歳の時に、機械心臓を移植することになった。私の心臓は心臓の「僧帽弁」と呼ばれる部分が、チタンで出来ており、心臓が鼓動するたびに「カチッカチッ」という、チタンの弁が擦り打つかる、時計のような独特な音が聴こえる。

最初、このデータドリヴンアートの授業の概要を聞いた時、機械心臓の脳波は、健常者と違うのだろうか、という疑問を持ち、それを周りにいたエンジニアに聞いてみた。エンジニアのチームも興味を持ってくれ、この作品を作ることができた。

自分のやった仕事は主に、機械心臓の提供、チームギルド、全体マネジメント。私のチームは完全分業方式を取り、自分の得意分野だけ、その人にやってもらい、自分の業務以外のことを押し付けたり、頼んだりしない。各自が自分のミッションを理解し、集中してもらうことで、作品のクオリティを上げることに注力した。

私はアイデア出しや、全体をマネジメントしたり、面白いことや、新しいことに挑戦することが好きだ。しかし、最新のアプリや、プログラムは苦手だ。そこはエンジニアに補ってもらうことにした。

私は作品を作る時、コンセプトは持たない主義だが、今回は初対面のチームで制作するため、しっかりとコンセプトを提示した。先に述べた機械心臓、健常心臓の脳波の違い、さらに、日本には現在300万人の心臓病患者、心臓病予備軍、先天性心疾患の新生児が年間12000人、それに伴う外科手術症例が9000件、毎年発生している。日本には100人に1人が心臓病というデータがある。これを読んでいるあなたも、心臓病のリスクがある。もしも自分が心臓病になる。もしも自分が結婚をして、子供が産まれてきた時、重度の心臓病疾患だった場合、あなたはどうしますか。インターネットで情報を検索しますか。残念ながら、インターネットがこれだけ発達している世界でも、心臓病のデータは希薄です。

私は自分が機械心臓を移植する時に「どんな音なのだろう?」、両親が私を産んだ時「この子はどんな病気なのだろう?」と、ずっと誰もが戸惑っている。そしてインターネットで正しく心臓病を理解することは限りなく難しい。

この作品をYouTubeで観て、心臓病に少しでも興味を持って欲しい。そしてもっと情報が増えて、亡くなる心臓病患者や、新生児が減って欲しいという、興味・理解への「きっかけ」になってほしいと願った。自分はこの授業が終わっても、心臓病を啓発することを仕事にしたいと思う。

#Data-driven Art 2023

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