[x-Music Lab 21春] 演劇と日常からの音楽の模索

hoshinory
x-Music Lab
Published in
Jul 23, 2021

環境情報学部3年 星野良太朗

2021年春学期、x-Music labの門を叩き、私は新規生としてこのラボに参加した。

新規生として、今学期はいくつかの活動に参加させていただいた。その活動と、今学期活動しての学びを以下に記す。

新規生ワークショップ

学期が始まってすぐ、既存生や講師陣の指導のもと、新規生対象のワークショップに参加させていただいた。全4回のワークショップでは、以下のことを行った。

#1. キャンパス内から選ばれた7つの場所それぞれで1分間目を閉じ音を聞き、参加者と聞こえた音や情動を共有する。共有後、また音を聞く

#2. ギリギリ音楽だと思える音を探し、自分の中での音楽の定義を示す

#3. 前回立てた定義から、その定義に当てはまる、既に作られた作品を探す

#4. 自分がやったことのない演奏をやってみる

作るだけでなく、音を聴くところから始まるのが面白かった。参加した結果、自分は他の参加者よりも「音楽」の範囲が広いこと、日常の音、特に排気音や機械の動作音など、ノイジーともとれる音に関心があることがわかった。

#4で行った演奏は次のようなものである。

この「楽器」は、街の中で印象に残る音が奏でられそうなものを見つけるべく街を観察していた時に見つけたものだ。人間は、日々音を取捨選択して聞いているが、環境音は捨てる方の音としてフィルタリングされてしまう。それを不快でなく突破する街の音を探していた。結果、ファニーの方の面白さを持ったが、電話は自宅内外に偏在するものであるため、「街の音」性には欠けてしまう。また、かなり意図が強く、突破するかギリギリのラインはまだ触れていないように思うなど、課題もあった。

分散型演劇プロジェクト

研究会の先輩である松橋百葉さんから、分散型演劇を題材にした展示に誘っていただいた。分散型演劇とは、メディアを使用し、演者や観客が空間や時間を分散した状態で成立する演劇を行うことをさす。具体例でいえば、Covid-19感染拡大下で行われた、ビデオ通話システムなどを用いて行うオンライン演劇などが挙げられる。私も高校からずっと演劇およびそれに関係した表現をしてきたかつ、参加していた公演が中止になるなど、Covid-19下の影響をうけてきたので、それを発展させる演劇の展示に携われることはとても嬉しかった。

演劇をモチーフに展示する、というだけで少し考えなければならないが、音楽を探求すること、新しい演劇であること、などの条件を踏まえて作品を構成した。

現在の構成としては、足元を映したディスプレイデバイスを動かして、ここの分散された空間から、展示空間に行列を再構成するというものだ。再構成することで新たな状況を作り出すことで、分散型演劇の特徴を出しつつ、それぞれの足元が生物的に歩行することで、それぞれの歩行音でのインタラクションを狙う作品だ。

作品のイメージ
デバイスのイメージ

現在私は足元の映像を作成していて、現在は歩行/停止を断続的に繰り返しながら足音を鳴らす状況を考案、撮影している。その映像を同時に流したのが以下だ。

歩行のランダム性とその重ね合わせは作れたが、これを全体として見せるべく連動させる仕組みを考案中である。

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以上のような活動をしてきた。まだここまでの活動は入り口にすぎず、自分にとっての表現したい狭間の音にはまだたどり着けていない。ただ、今学期の活動を通して、自分にとって音楽の定義が作られ始めてきた。それは、聞く/作るに関わらず、そこに現れた音を楽しむ行為だ。楽しむことを忘れずに、これからの活動を続けていきたい。

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