[x-Music Lab 21春] 人間と生物の音楽コミュニケーション 前編
慶應義塾大学 環境情報学部 3年 榊原礼彩
魚類運動の可聴化による水中生物の鑑賞方法の提示
今期は本研究会において、⿂類運動の可聴化による⽔中⽣物の鑑賞⽅法の提⽰についての作品制作を行った。前学期にも水槽の可聴化に取り組んできたが、今期は魚の聴覚や人間とのインタラクション部分を強化した作品を作っている。
水族館、家庭内の水槽で水中生物を鑑賞する方法は視覚に限定されていることが多く、聴覚から水槽情報が入ってくることは少ない。これは水槽が密閉されている、水中生物は鳴き声を発するものが少ないことからきている。また、水槽を介する場合、魚の動き、形状以外の特徴を知ることが難しい。本研究では魚の特徴の一つである、聴覚能力の高さを用いたインタラクションを作品に組み込むことで、新しい鑑賞体験の提示を目指す。
魚の聴覚能力を応用した例として、音響漁法が挙げられる。音響漁法はターゲットとなる魚が誘引される音を出すことによって漁業を効率的に行う試みである。今回この音響漁法を応用し、どのような音が金魚を誘引するのかを実験し検証を行った。
① どの音色、周波数帯に一番誘引されやすいのか
純音、sine波、ノコギリ波、ホワイトノイズで比較した。結果はノコギリ波の反応が最もよかった。
周波数は250hz以下の低周波数に対して反応がよかった。
② 持続音かパルス音か
持続音に対する反応がよく、パルス音に対しては反応がなかった。
③LFOの掛け方で反応が変わるか
Rateのかけ方が大きいほど、反応も大きかった。
④ 餌を与えてからの時間経過と音への反応
65hzで餌を与えてからの時間経過の変化によって反応が変わるか実験。結果としては餌を食べてから1時間以内の方が反応が鈍かった。今回は夜の18:00から19:30の間で行った。昼間にやった場合に同じ結果が得られれば時間帯に関係なく餌を食べてから音を鳴らしても反応が小さいことになる。
⑤エフェクトをかけることによる魚の音への変化
左図のようなエフェクトの組み合わせでどの音に反応があるか実験を行ったが、あまり反応が得られなかった。