【x-Music Lab 22秋】

Kotaro Yokokawa
x-Music Lab
Published in
Feb 4, 2023

環境情報学1年 横川晃太郎

はじめに

今期、私は「人類にとって真に根源的な音楽を発見したい」というゴールを見つけた。言い換えれば、未来のすべての人間にとっての民族音楽を創造しようという挑戦だ。x-Musicでの活動は例に漏れず、グルーヴという概念を多様な時間軸で捉えなおすことで、現象としての音や音楽の儀式性との関連を見出すことができた。

新規生ワークショップ

自分の中のXを知る Vol.1

音楽がグルーヴを生むのではなく、グルーヴが音楽を生むのではないかという仮説を立てた。自身の活動の一つであるビート制作の思考を応用し、「対極する二つの存在」「適度な複雑性」「繰り返し」などを念頭に絵画を制作。また、音楽に優れた民族が芸術にも優れている例を挙げ、信仰との関連性を予想した。

自分の中のXを知る Vol.2

生活や信仰とグルーヴが結びつく例として土器を挙げた。農耕が始まった弥生時代の土器との違いから、不安定な狩猟のサイクルが食を儀式化したことによって縄文土器の独特な造形が生まれたことを示唆。同時に、周期の中に休符が生まれることでグルーヴがより鮮明になると予想した。また、太鼓による雨乞いの儀式も例に交え、周期の知覚(過去の経験に基づく未来の予測)が他の人間の活動とも密接していることを示した。

最終作品

x-Musicメンバーの大石と共同で制作。二つの音をぶつけ合うことでうなりを発生させた。また、コーラスとブリッジを約0.005Hzの一つの波として捉え、緊張の高まりや解放を知覚可能なものに表出した。

“音楽とは、あらゆる周期のぶつかり合いである。音の波、身体の波、心の波があり、それらの波の周期がとある点で引き合い干渉することで音楽が生まれると考える。そして、グルーヴはこの周期(=波)の予測や回想によって発生するものであると予想する。よって、人間なしにグルーヴは存在しえない。私たちは、自らの身体をひとつの主体として波に投企し音楽の再定義を試みた。”

振り返って

今期の活動は自身のビートや絵画、乗り物(現在はバギー制作に取り組んでいる)といった多岐にわたる活動の核となる思考の探求でもあった。研究会を通じて自分の視点を深く追求できたことは非常に良かったと思う。しかし、自身の活動がどれも主に質感を取り扱うものであることから、何か記号を伴って形になることが少なく、研究会ではほとんど普段の作品を発表することができなかったことを反省している。したがって、どのようなフォーマットを通じて表出させるかはこれからも検討が必要だと考えている。紙や音だけではない世界で探求を続けたい。

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