[x-Music Lab 23秋]

小向諒
x-Music Lab
Published in
Jan 26, 2024

23秋学期を通して学んだこと・作品への考察:

今季の研究会では、グループワークにおいて、Re:Imagineという作品の制作に関わった。私は主に象の鼻の歴史の調査や、当日の演者としての役割などを担った。当初、作品においては、演者と鑑賞者の間でのメタバースを通した、インタラクションがいかにして可能になるかという点で大きな懸念があった。また、当日ではWebカメラを使用せず、実際に鑑賞者を目視しながら、鑑賞者の動作や反応に合わせて、Spatial上でのアバターによるアクションと音声入力を行うことになった。結果として、事前に懸念していたよりも、インタラクションは上手くいき、年齢を問わず鑑賞者による様々なフィードバックを得ることが出来たと思う。その中で私は主に、どのようにアクションを変えることで、よりインタラクティブな反応を引き出す事が出来るかを考え、変化をつけて工夫しながらパフォーマンスを行うことを意識した。ランダムに動作を行うだけでは、鑑賞者はバーチャル空間の映像をインタラクティブな対象としてではなく、画面に映るただの映像として認識してしまう。鑑賞者はなんとなく画面に対してアクションをしてみても、アバターの動きに意味や法則が見出せなければ、すぐに興味を失ってしまうように感じた。そこで、鑑賞者に画面内のアバターがインタラクティブな対象であることを認識してもらうために、アバターのアクションが現実の自身の動作と何らかの関連性を見出せるようにする必要があった。そのため、まずはアバターを鑑賞者の動きを模倣させるような形でアクションを起こすことを意識した。その上で鑑賞者がアバターと同じ行動をできた時には、グッドサインや、拍手などのアクションでその模倣が適切なものであることを示した。その結果として、鑑賞者は積極的に画面に対してアクションを行うようになり、”手を振る・話かける・ジャンプする”など色々な積極的な行動の変化が見られた。また、アバターが単に模倣だけを行うわけではないことを示すために、画面間の移動を誘導したり、声で挨拶(インタラクションの開始・終了の合図)を行うなど、単純な鑑賞者の動作に反応する自動化されたシステムではないことを明示する試みを行なった。これにより、とりわけ小さい子供などにおいては、鬼ごっこのような状況を生むことにつながった。メタバースを介して、このようなインタラクション・コミュニケーションが生まれたことは、この作品をなくしては生じ得なかった体験であると感じた。

まとめ:

今学期はこれまでとは異なり、グループごとでの作品の制作が研究会の主体となった。その中で、自分自身が今まで関わりを持っていなかった分野について造詣を深めたり、コミュニケーションを取る中で色々な作品の可能性を感じることができた点がとても興味深かった。技術的な観点においては理解が及ばない部分も多くあったため、今後は様々な作品に触れ、作品を実現するための技術的な知識面も深め、積極的に取り入れられるようにしたいと思う。

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慶應義塾大学 藤井進也研究室 x-Music Lab. 本研究会では、まだ確固たる名称のない未知なる次の音楽(= x music)を制作することに取り組みます。

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