チェス・IBM・人工知能 — 「DEEP THINKING」を読んでなぜソフトウェア開発に興味を持ったのかを思い出した
Deep Thinking — Where Machine Intelligence Ends and Human Creativity Beginsという本を読みました。この本の著者のカスパロフという方は、チェスの元世界チャンピオンで有名ですが、1997年に私の古巣でもあるIBMのDeep Blueというシステムに負けたことでも有名です(余談ですが現在はクレムリンを批判する勢力として活動している政治家だったりします。命知らず。あ、丁度本日はロシアの大統領選挙ですね。)。
この人がアルファ碁などがでたこのタイミングで本を書いたというのがものすごく面白いですし、日本語版の解説が小学生の時から好きな羽生善治ともなると、読まないわけにはいかないのです。
読んでいてふと思い出したのですが、私がこのカスパロフとDeep Blueの話を初めて知ったのは高校生の頃でした。授業かテストか忘れましたが、英語の長文読解の問題でカスパロフとDeep Blueの記事が使われていて、問題とかそっちのけで妙に集中して読んだ覚えがあります。チェスや将棋には小中学校のときに若干ハマっていたのと、映画マイノリティ・リポートを友人と見に行って、”人工知能”というものに漠然と興味を持ちはじめてもいたので、2つの分野が混ざり合っておもしろかったのだと思います。
当然この時は英文読解の問題で読んだIBMに就職するとは思ってもいませんでしたし、おそらく無知すぎて「パソコン作ってる会社」位に思っていました。
大学に入学した頃には、ITとは全く違う方向に色々と興味を持ったりもしていたですが、研究室を選ぶ頃には不思議と興味が”人工知能”寄りに戻っていました。結果的に、縁もあってそういった分野を扱っている研究室を選びましたし、大学院にも進みました。
小学校のときに家にあったチェスや将棋を何気なく友人と試しにやってみたこと、高校のときに友人と映画を観に行ったこと、そういった無知な状態だけどなんとなくノリで行動した結果が、案外その後の方向性を決めるものなんだな、と。
この本を読んでいると、カスパロフ自身がアルゴリズムをそれなりに理解して対戦していたようにみえるのですが、カスパロフの師匠が工学系の人でコンピュータチェスの専門家だったというのを知って納得しました。
また、 コンピュータvs人間の象徴的な人物が、技術の進歩に対して大枠でポジティブな姿勢であるというのも、意味が大きいことだと思いました。
新しい技術がどのような変化をもたらすかははっきりわからないが、私はそれと共に成長している若い世代を信頼している。
あなたが見てみたい未来を創造することに積極的にかかわるきっかけにしてもらいたい
我々の業界は、今後ももっとありとあらゆる分野を巻き込んで面白くなっていくんだろうな、とつくづく思いました。
おわり