YugabyteDB 2.17とYugabyteDB Managedの新機能:様々なアプリケーションに対応

Tomohiro Ichimura
The Distributed SQL Blog
15 min readDec 15, 2022

本記事は、The Distributed SQL Blog にて2022年12月8日に公開された”Presenting YugabyteDB 2.17 and YugabyteDB Managed Innovations: Ready for Any App”を翻訳および一部訳注を追加しております。最新情報は英語版の記事を参照してください。

注:YugabyteDBリリースのバージョン管理基準に従い、YugabyteDB 2.17はプレビューリリースとなります。本バージョンに含まれる新機能は、現在も継続して開発されており、皆様には開発およびテストプロジェクト向けにご利用いただけるリリースとなっております。

この地球上で最も優れた分散SQLデータベースを作ることが、Yugabyteにおける最重要事項です。このミッションをサポートするために、今回、YugabyteDB 2.17の提供開始と、YugabyteDB Managedの大幅な機能追加をはじめとする、新たな我々の製品イノベーションを発表しました。

今回のリリースはYugabyteDBの適用範囲を拡大します。よりビジネスクリティカルなワークロード向けに業界で最もすぐれたクラウドネイティブデータベースを活用することができます。

最新の機能拡張によって、クリティカルなデータを継続的な保護、グローバルを対象としたDBaaS提供によるTCOの削減、そして、新しい利便性の拡張による生産性の向上が実現されます。

分散SQLで未来を切り開く

ビジネスの成長には、正確なデータにより早く、より信頼性高くアクセスできることが必要です。この重要な要素により、お客様の高い期待に応え、開発者やIT運用者の生産性向上することができます。

YugabyteDB 2.17は将来が保証されたデータベースとして、これらの実現を容易とし、幅広いビジネスクリティカルなアプリケーションに対応することが可能です。YugabyteDB 2.17と拡張されたYugabyteDB Managedがもたらす効果は以下のポイントとなります。

  • ビジネスクリティカルなデータを確実に保護 xCluster レプリケーションの拡張により、5倍早いバックアップとリストア、新しいインクリメンタル・バックアップを実現
  • TCOを抑えつつ、クラウドへの取り組みを促進 よりシンプルな運用と高度な自動化をYugabyteDBのメジャーアップデートで実現
  • 拡張した利便性による生産性の向上 エコスステムパートナーシップの拡充、オブザバビリティの強化と業界をリードするPostgreSQLとの互換性

以下では、YugabyteDB 2.17およびYugabyteDB Managedが、皆様と皆様のビジネスの成功を支援する方法についていくつかご紹介いたします。今後数日間、Yugabyte Distributed SQLブログにて、これらの新リリースに関するより詳細な技術情報をご確認ください。

クリティカルなデータを確実に保護

新規、もしくは既存のコアトランザクションアプリケーションのモダナイズを目指す企業は、コストのかかるモノリシックなデータベースからの移行が必要とされております。しかしながら、データ保護や、事業継続性/災害復旧(BCDR)といったエンタープライズ要件への対応による障壁が、その道を阻むことがあります。

YugabyteDB 2.17はデータベース近代化における主要な障害を取り除きます。そして、レガシー及び多くの最新データベースでは見られない多くの利点を提供し、開発者の生産性をその中核とすることで、組織の強化に役立ちます。

YugabyteDB 2.17では以下の主要なイノベーションが実現されております。

  • xCluster レプリケーションの拡張によるBCDRにおけるデータ保護
    ミッションクリティカルなデータはダウンタイムが許されず、かたや組織はクリティカルでないデータの遅延についてには寛容ではありません。この状況において、BCDRはこれまで以上に重要となってます。停電のおよそ1/5は深刻もしくは重大と分類されるもので、 経済的、風評的、およびその他の影響を大きく受けることを意味します。
    YugabyteDB xClusterの重要な目的は、差別化要素である非同期レプリケーションソリューションとして、スタンバイクラスタへのレプリケーションされたデータの整合性を確保することです。フェイルオーバーが発生し、スタンバイクラスタがアクティブになった場合、アプリケーションはスタンバイクラスタにある一貫したデータセットにアクセスできなければなりません。YugabyteDB 2.17は、各クラスタにおけるデータの一貫性と、データの変更がスタンバイ・クラスタに適用される順序を保証します。これらは、アクティブ・クラスタのフェイルオーバー時にデータの整合性を維持するための2つの重要な考慮事項です。
  • 5倍のスループットでバックアップとリストアを加速化
    グローバルで増え続ける大規模なデータに対して、DBAは設定された時間枠のなかで増大するバックアップに対応するための課題を軽減する必要があります。私たちは、YugabyteDBのバックアップとリストアのスループットを向上させ、リストア時間を短縮するための取り組みを継続的に行っています。バックアップはDBAにとって日常の一部ですが、リストアは真夜中のオンコールで行われることが多いのです。YugabyteDB 2.17では、各ノードがバックアップ・ターゲットに直接データを並列送信する新しいバックアップ・アーキテクチャを導入し、ボトルネックを排除して、デプロイメント・サイズに応じたバックアップのスケールを可能にします。リストアも同様に、開始ノードが他の参加ノードと並行してダンプファイルから読み込み、ノードをリストアします。この新しいスケーラブルなアーキテクチャにより、各ノードは以前のバージョンと比較して、バックアップとリストアの時間を最大5倍まで改善することができます。新機能は、設定を変更することなく導入・利用することができます。
  • インクリメンタルバックアップで重要なデータを20倍の頻度で保護
    インクリメンタル・バックアップは、バックアップ間のRPOを大幅に削減し、ネットワークコストとストレージコストを削減することができる差分機能を提供します。YugabyteDB 2.17は、毎回フルバックアップを作成するのではなく、前回のバックアップからのデータ差分(新規または変更点)のみを転送することにより、より効率的なバックアップおよび災害復旧ソリューションの実現を支援します。データベースは、2つのスナップショット間の変更点を調べ、変更されたデータのみを地域間でコピーするため、バックアップと災害復旧にかかる時間とコストを削減することができます。その結果、より頻繁にバックアップを作成することができ、ワークロードに応じてRPOを1日から1時間に短縮できる可能性があります。
  • YugabyteDB AnywhereにおけるPoint-in-time リカバリ (PITR) のサポート
    PITRでは、データを保持する期間を設定し、保持対象内の任意の時点(最大でマイクロ秒)にデータベースを復元します。これにより、誤ってテーブルを削除してしまった場合など、運用上またはソフトウェア上のエラーから簡単かつ迅速に復旧することができます。YugabyteDB 2.17では、YugabyteDB Anywhereが、使い慣れたユーザー・インターフェースによるPITRの容易な設定と管理をサポートするようになりました。

TCOを抑えてクラウドへの取り組みを実現

あらゆる企業が、運用を合理化し、全体のコストを削減する方法を検討しています。YugabyteDB Managedのアップデートにより、柔軟でフルマネージドなDBaaS(Database-as-a-Service)への移行を促進しながら、TCOを削減することができます。

YugabyteDB Managedは1年以上前に初めてリリースされ、現在では業界をリードする多数のお客様が実運用されています。最新のアップデートにより、お客様のワークロードを簡素化し、以下のような成果を実現することができます。

  • セルフサービスのGeoパーティショニングで動的なコンプライアンス要件に対応. YugabyteDB ManagedのGeo(ジオ)・パーティショニングは、お客様のグローバル・アプリケーションの高パフォーマンスとコンプライアンス対応を実現します。企業は、データが国内に留まるようにすることで、グローバル・アプリケーションのコンプライアンス対応(GDPRなど)を容易に満たすことができます。また、データをユーザーの近くに移動させることで、低レイテンシー、コスト削減、およびパフォーマンスの向上を実現できます。
  • リードレプリカからの低レイテンシー読み込みにより顧客体験を向上
    YugabyteDB Managedでリードレプリカをシームレスに作成し、読み込み処理をグローバルに拡張できるようになりました。データをシームレスに分散することで、顧客やエンドユーザーはより高速なデータアクセスと、より高い応答性をもったアプリケーションを利用することができます。これは、異なる地域間で読み取り負荷の高いトランザクション・アプリケーションに低レイテンシで読み込みを処理させたい場合に非常に重要です。さらに、書き込みレイテンシーを犠牲にすることなく、特定の地域で読み取り容量を独自に拡張することができます。
  • 拡張された Terraform プロバイダーにより、クラウドネイティブの Infrastructure-as-Code (IaC) をシームレスに提供. YugabyteDB Managed の新しい Terraform プロバイダーは Terraform レジストリで利用可能で、YugabyteDB Managed クラスタのデプロイメントを自動化することができます。拡張された Terraform プロバイダーは、初日のプロビジョニングから 2日目以降の運用まで、データベースインフラを簡単に進化させることができ、新しいクラスタの作成、効率的なクラスタ展開、クラスタのスケールアップ(またはダウン)、必要に応じてデータのバックアップやリストアを迅速に行うことができるようになりました。
  • YugabyteDB Managedの新しい無料トライアルで、全機能を備えた本番用クラスターを無料でテストできます。YugabyteDB ManagedのDedicated Tierにおいて、期間限定、全機能の無料トライアルを、クレジットカード不要でご利用いただけるようになりました。無料トライアルでは、製品評価用と本番環境用のプレミアム機能(完全専用マルチノードクラスターなど)へのアクセスが可能です。
  • スタートアップのためのQuantum Leap Programで飛躍的な成長を実現。 新しい YugabyteDB Managed Quantum Leap プログラム はクラウド・ネイティブ・アプリケーションに最適な分散型SQL DBaaSを導入し、ビジネスを加速させることができるプログラムです。このプログラムでは、YugabyteDB Managedデータベースを、ご希望のクラウドプロバイダー(AWSまたはGoogle Cloud)上で稼働させるための1万ドルのクレジットが提供されます。本プログラムは、クラウドネイティブアプリケーションを構築している企業で、本番環境用に最新のクラウドデータベースを評価されている方を対象としています。

開発と運用者の生産性を加速

私たちは、多くの方が、リソースが非常に限られている、もしくは時間が不足しているチームの中で活動をしていると理解しています。開発者であっても、運用者であっても、私たちは全体的な生産性を向上させることに重点を置いています。
YugabyteDB 2.17は、次のような方法で全体的な生産性を向上させることができます。

  • KMSサポートにGoogleとAzureを追加 — 選択肢の拡大によるセキュリティの合理化
    セキュリティに関しては、自分が知っている、そしてすでに企業で承認されているツールやプロセスを使用したいと思うものです。YugabyteDB 2.17では、鍵管理システム(KMS)の選択肢が広がり、Google Cloud KMSおよびAzure Key Vaultサービスの両方をサポートすることで、時間を節約することが可能になりました。これらのオプションは、すでにサポートされているHashiCorp VaultおよびAWS KMSと組み合わせることで、集中鍵管理のための最も一般的なKMSオプションを提供します。
  • オブザーバビリティの向上による管理・計画の簡素化
    YugabyteDB 2.17は、データベース環境の監視、管理、およびトラブルシューティングに必要な時間を短縮するために、オブザーバビリティ(観測可能性)に重点を置いています。YugabyteDB 2.17は、ノード内およびクラスタ全体の異常値リソースを識別するTop-K / Bottom-Kメトリクスを含む、一連の新しいメトリクスをYugabyteDB Anywhereに提供します。さらに、max_connectionsの制限に達したことによる接続拒否、新規接続開始数、および異常な理由によるクエリの終了を追跡する新しい関数などのメトリクスが利用可能です。
  • スケジュールされた完全コンパクションによるメンテナンスタスクの自動化(ベータ提供)
    読み取りパフォーマンスを最適化することは、応答性の高いアプリケーションを提供し、顧客に最適なエクスペリエンスを提供するための鍵です。現在YugabyteDBでは、自動コンパクションが定期的に実行されていますが、手動または外部スクリプトでフルコンパクションを実行しない限り、大きなSSTファイルは除外されています。これらのプロセスの自動化は、CPUとディスクに負荷がかかるため、通常は避けられます。しかし、書き込みや削除が多いワークロード(TTLがあるものなど)では、大きなファイルを圧縮せずに放置すると、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。YugabyteDB 2.17のベータ版として提供されるこの機能は、完全な圧縮を定期的にスケジュールすることができるため、この問題に自動的に対処することができるようになりました。日数単位でテーブルの完全圧縮を行う頻度を選択します(デフォルトは30日ごと)。タブレットのフルコンパクションは、TServerのクラッシュ、リモートブートストラップ、スプリットなどに対して耐性があります。
  • YSQL用Node.jsスマートドライバでロードバランシングを簡素化.
    分散型データベースで最適なパフォーマンスを維持するための鍵は、ノード間の接続と負荷を管理することです。YugabyteDBでは、クラスタ認識スマートドライバを使用して、クラスタのノード間でアプリケーショントラフィック(つまり、データベースへの接続)のバランスを簡素化し、強力なパフォーマンスとフォールトトレランスを実現することができます。これにより、単一のノードに過剰な負荷(CPUおよびメモリ)がかかることを回避し、ホットノードを排除することができます。YugabyteDB 2.17では、PostgreSQL node-postgresドライバをベースに構築されたYSQL用分散Node.jsドライバに接続負荷分散機能を追加した、拡張YugabyteDB node-postgresスマートドライバをリリースしています。

さあはじめましょう!さらによく知るには

YugabyteDBの最新バージョンであるYugabyteDB 2.17では、エンタープライズグレードの新機能を提供するとともに、フルマネージドサービスであるYugabyteDB ManagedのTCOを引き続き削減しています。

YugabyteDBの詳細やYugabyteDBのご試用は以下をご参照ください。

  • YugabyteDB 2.17のダウンロードはこちら。インストールは数分で終了です。
  • もしスタートアップの会社にお勤めてであれば、 YugabyteDB Managed Quantum Leap プログラムにご参加いただき、YugabyteDB Managedデータベースを本番利用いただくにあたって、10,000 米ドルのクレジットを提供いたします。
  • YugabyteDB Managedのフル機能を体験されましたか?お客様専用のプロダクション向けの環境を 30日フリーのトライアル でクレジットカードなしでご利用頂けます。
  • YugabyteDB Slack コミュニティに参加しませんか?我々エンジニアチームとのコミュニケーションをお待ちしております!(訳注: 日本語チャネルは#yb-japan-usersです!)

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