gram・ティラミスヒーロー問題に見る知的財産保護の重要性

yukimatJP
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4 min readJan 22, 2019

僕が以前食べた gram のパンケーキはもしかしたら偽物だったかもしれない…(いつ食べたか忘れたけど)。

今、ティラミスヒーローというティラミス専門店の商標をめぐって大きな騒動が起きている。その中心にいるのが Cafe gram を経営していることで有名な 株式会社gram である。

詳細が合っているかは要確認であるが、下記サイトを見る限り、もともと Tiramisu Hero(本家)という店がシンガポールにあり、日本に上陸を果たしたが、すでに gram にこの商標を取られており、日本での販売ができないという状態が発生している。しかも驚いたことに gramティラミスヒーロー(偽物)を名乗ってティラミスを売っているというのだ。

こっちが本物⬇

こっちが偽物⬇

ティラミスヒーローの “お知らせ” によって明らかになった問題とは別の問題

この件が大騒ぎになっている理由がもう一つある。それが、

そもそも、この gram 自体が偽物

ということである。まさに、「何を言っているかわからないと思うが、俺も分かっていない」っていう状態だが、そういうことなのだ。

つまり、今回の問題と同じ方法で、gram(本家)の商標を gram(偽物:本記事の主役)が先に登録し、gram(本家)に成りすまして gram(偽物)が営業をしているということ。すげーことするな…。

まとめると、 ティラミスヒーロー(偽物)= gram(偽物)ということらしい。もうワケワカランなこりゃ。

先願主義の難しいところ

知的財産権は「先願主義」が基本である。先に申請したものが権利を得るという大前提を持って知財の権利を守っている。

gram(本家)は、自身の商標をとっていなかったがために gram(偽物)に商標を「先願」されてしまった。これは gram(本家)が日本から元々ある企業だった場合は 100% 彼らの落ち度である。

注意: gram(本家)も海外から来てたのであれば、下記と同じ。

一方で、ティラミスヒーローに関しては、そう簡単に片付けられる問題ではない。なぜなら、彼らは元々シンガポールの企業であるからだ。今回のケースがどういう時系列かは不明であるが、例えば、ティラミスヒーロー(本家)が日本に来る前の段階(=来るかどうかも検討していない段階)で、パクリ商標を申請されたら、ティラミスヒーロー(本家)に勝ち目がそもそも無いということである。これを防ぐには、ティラミスヒーロー(本家)がシンガポールに出店した段階で、全世界の商標をとるしかない。しかし、インターネットで世界中がつながった現代 においてそんなこと可能なのだろうか。しかも、偽物サイドからすれば日本で商標を取るだけで良いのでコストは (出店予定国数) 分の1 である。商標の申請費用なんて高々数万〜数十万しかからないので、国外の目ぼしい商標をとにかく申請しまくる、なんてプレイイングも余裕でできてしまうのではないだろうか。

僕はあまり商標について詳しくないので、なにか回避策があれば後学のために教えてほしい。

ティラミスヒーロー(偽物)の対応は以下の通り。
「使用権を譲渡」って…お前は一体誰やねん。

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奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 ユビキタスコンピューティングシステム研究室(NAIST-UBI) 助教 / 吹奏楽団 インプリメーレ / Code for Ikoma / Code for Youth