ZBC#105 [個にして全 、全にして個] 学習する組織
本日は、2018年8月25日に開催されたZenport Book Club#105から学習する組織をご紹介します。
複雑性が増す現代において、組織として成長し続けるには、私達はどのように行動すればいいのか?
この問に対し本書の著者ピーター・センゲ氏は、個別の事象を線の一部としてではなく、環(システム)の一部として捉える必要性を説きます。
すなわち個は全体に働きかけ、全体は個に影響を与えると。
その内容は刊行から30年近くたった今でも色褪せません。
彼が説いたシステム思考、それに基づく学習する組織のあるべき姿とはどのようなものなのでしょうか?
要旨を見ていきましょう。
Summary
- 世界が相互のつながりをより深めビジネスがより複雑で動的になっていく現代、組織が生き残るためは組織内のあらゆるレベルで人々が学習する必要がある。
- 学習する組織を形作るのは5つのDisciplineである。すなわち、システム思考、自己マスタリー、メンタルモデル、共有ビジョン、チーム学習の5つである。その中でもシステム思考は学習する組織の要となるものである。
- システム思考とは、個人の行動や事象をシステムの一部として捉える概念である。この思考をもつことで私達は、自身の行動を一方向的なものではなく、ループする全体の中の一つの自称として捉えることができる。
- このシステム思考をベースに、私達はその他4つのDisciplineを構築する必要がある。メンタルモデルとは組織が共に持つべき思考の型を指し、共有ビジョンとは組織が共に目指すべき方向性を指す。
また、自己マスタリーとは個人のたゆまず学習する姿勢を指し、チーム学習とは個の学習を掛け合わせ、組織として学びあう姿勢を指す。
Discussion
- 私はシステム思考というものを捉える際に、自分の体が拡張したようなイメージを持つ。相互の信頼と共通ビジョンを通じて、身体の挙動を自分の体を超えて拡張するようなイメージだ。ともするとビジネスとは、概念や共通認識を通じて、互いの体を融合し拡張していくプロセスなのだなと感じる。
- システム思考を扱う上での本質は、枠をどのように設定するかだろう。言ってみればこの世界は皆同じシステム(系)の中に存在している。その中でどの範囲までを己の関するシステムとして捉えるかによって行動は変わってくる。これは人工知能で言うところのフレーム問題に通じる。そう考えると、人も人工知能も同じだ。言うなれば、どこまでが己の世界を定めることで、その存在は規定される。
- システム思考は、己と向かいあう超一流のアスリートの姿にも垣間見られる。例えば野球のイチロー選手は、バットも自身の一部として神経を走らせているらしいが、これもシステム思考と同様の文脈で理解できる。また将棋の羽生さんの説く三手の読みと大局観もシステム思考に通じる。己の行動を一方向の線として捉えず、双方向の事象と捉えること、またそれを高次の概念から支配する様は、まさに対局という場をシステムとして捉える行為だろう。
Conclusion
本日は学習し続ける組織のあり方をシステム思考を含む5つのDisciplineから説いた「学習する組織」をご紹介しました。
次回はZBC#106から「NETFLIXの最強人事戦略」をご紹介します。
Related books
Contact
Zenportでは、ただ生きるでなく、ただ稼ぐでなく、自らの人生や仕事を通して、人類の大きな物語に何かしらの価値を残したい方を募集しています。ご興味のある方はWantedly、または以下の連絡先よりお気軽にご連絡ください。