Day 0

Michino Hirukawa
パリのすみっこから
3 min readFeb 20, 2019

2月は足早に過ぎてゆく。私は大学のフランス語研究室のプログラムの一環で、個人研究としてパリでフィールドワークをすることになった。春休みの期間内であればじぶんで期間を設定し、フランス語圏内での調査を実施できる。もちろん、じぶんで計画書を書き、じぶんで現地で活動することになる。

私は大学に通いはじめて、3年目。所属する学部は自由なカリキュラムを推進し、学内外で自由にじぶんの活動ができる。「今までの大学生活で何をがんばりましたか?」と聞かれると、入学当初からのフランス語学習、社会学・コミュニケーション学を専門とする研究室、茶道会でのサークル活動、学芸員課程履修と答えるだろう。これほどの活動に身をさいていると、じぶんが何を目指したいかを常に確認しなければならない。

では、フランスのパリでいったい何をするのか?じつはいま、「ジャポニスム2018パリ:響きあう魂」という日本の文化芸術の祭典がパリのいたるところで開催されている。企画、展示、公演、映画、講演会とさまざまだ。つまり日本文化が日本の土地を離れ、フランスという異なる文化圏で表現される。このとき、日本の文化芸術がどのように翻訳され、ないしは語り直されているかを知りたい。そんなテーマを設定した。

ジャポニスムのロゴ

このイベントはふとインターネットで見つけた。日本とフランスの物理的な距離は関係なく、SNSから垣間見れる様子が私の興味を駆り立てた。パリでじぶんが実際に何を見て、そして何を体験するのか。文化芸術の名を掲げたイベントから、日本とフランスという異文化コミュニケーションについて考えたい。

フィールドワークをするとき、調査者の感性が試される。おとずれた現場で、何を抽出し、何を描きだすのか。そこではじぶんの表現方法が求められ、じぶんの主張になっていく。今回の調査を助けてくれるものとして、以下のものを揃えた。デジタルカメラ、色鉛筆、鉛筆、練り消し、スケッチブック、iPhone、イヤホン。デジタルからアナログにいたるツールによって、パリというまちをふちどる。

ツール一式

春休みの調査研究を目指し、11月から準備をはじめた。運営側に取材交渉をメールで何件か送ったり、教授に研究の相談をしたり。フランスに精通する先輩やパリに行った友人に現地の話を聞くこともあった。こうして諸々の方針が決まりはじめると、じぶんが想定していなかった人たちを紹介してもらうこともある。有力な情報をもらったり、助けてくれそうな人に出会ったり。またかつての先生で現在パリに在住する人との再会も実現できそうだ。個人研究としながらも、先生や家族や友人という、たくさんの人たちからの応援を感じる数ヶ月となった。

現地でのスケジュールは曖昧な部分もあり、多少の不安も残る。けれども、挑戦できる気持ちが一番だ。そもそも、現場では何が起こるかわからない。未知なる世界と出会いに胸を踊らせる。あれだこれだと言いながらのパッキングも、スーツケース1つに納まった。さあ、出発だ。

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