小坂さんインタビュー

191107 / Thu / 12:30–13:00 / 晴れ / ドトール読売ランド駅前店

小坂さんもはじめましての方である。おばちゃんの女性友達と会うのは初めてだったので、どんな人だろうとすごく興味があった。元々インタビューをお願いする予定ではなかったが、おばちゃんから会わせたい人がいるとのことで、急遽インタビューをすることになった。普段は習字の先生をされているそうでお忙しいところだが、お時間を見つけて小坂さんの方から足を運んでくださった。

いつも通り研究の概要から説明した。その途中で小坂さんが話を始めた。「話を聞いてもらいたいのよ。お年寄りなんかなおさらで、やっぱり誰かしらに話を聞いてもらいたい、そういうものを活かせる場なんですよね。きっとね、あなたと感じていることは同じだと思うわ。みんな同じこと思うんだけどね、やっぱり彼女は持ってるわ、あのー、引き出す力ね。ただこっちが喋って、返事をくれるんじゃなくて、相手のことを『この人どんな人かな』って読み取れるものがあって、余計なことは喋らずに、喋りたいことだけを喋らして、だから昔なんかは1時間くらいいると『嫌んなっちゃったわ』っていう人もいるしね。だからそういう中でも何本かフィルム出してくれるお客さんだからね、相手はお客さんじゃない?だからそんな悪い態度は取れないし、自分はホントに疲れちゃったんだけどやらなくちゃいけない、しんどいわっていうね。あるのにそれを隠して、やるっていうところが私、彼女からいろんなとこ教わっているのね。どんなことかっていうと、常識的なことだね。同い年なんです、彼女と。なんだけど、なんていうかな、うーん、礼に尽くして礼に終わる(おそらく言いたかったのは「礼に始まり礼に終わる」)ってあるわね、そういうものを私は教わって、彼女はどなたかに何かをしていただいたらそれに対してお礼って言うと変だけど、その心を返す。それはもしかしたらモノかもしれないし、モノと一緒に心を返すっていうそういうものが彼女の中にはあるんですよ。そういうことも感じているわよね笑」「そうですね笑」「ホント私なんかが話すようなことないわよ笑」「いやいや笑」「だから、わたくし(プライベート)のことも多少関わりがあるから、言えないことももちろんあるけど、でもそういうのも全部ひっくるめての増井敦子さんだから。だから私は大好きなんだけどね。あのー、ウチの母も96まで生きたんですけど、彼女も知ってくれてるし、彼女に『最後の友だちでいてね』なんて言い残して亡くなったような母だったんだけど、私はその言葉を大事にして、普段やっぱりそれはどこか繋がってるなっていうのはあるから、やっぱりそういうもんだと思う。人とのつながりを大事にする人だなと。一番そこだね。ファミリーカメラじゃなくて、『サロンドカメラ』『サロンドファミリー』じゃダメ?笑。別名ね。お店の広さもあれくらいちょうどいいしね。あれで広かったらね、もっと相手しなくちゃいけないしね。一対一でできるからいいんじゃないかなっていうのはあるしね。やっぱりその人も自分の気持ちを出せるしね。写真を持ってくる人っていうのは、やっぱり自分が撮ったものを見せたいのよね。だから必ずね、見せてそうすると彼女が『いいですね〜』とかね『行ったことあるんですよ〜』とかね、そういうこと言って相手を喜ばせるというそのテクニック、それが自然にできるのね」「そうですよね〜」「だから私、お客さん来てる時に、奥座らせてもらって、お客さんとの接し方なんかを眺めてるとね、いつもそうなんですよ、私なんかいつも『ちょっと見せて』って言っても(お客さんが)出て行っちゃうこともあるのね。でも彼女が言うと見せてくれるし、彼女の知り合いにそういう人がいて見せて『いいですね〜』って言うとなんか嬉しくてっていうものがあったり、ですね」

「うんうんうん。すごいわかる。一年くらいファミリーカメラで現場を見てるというか、やってるのですーごいわかりますね」「きっとね、彼女を見る目っていうのは皆さん同じだと思う。ずっとみんな好きなんだと思う。『あなたは苦労がなくていいわね』ってよく言われるのよって(おばちゃんは)言うのね。言ってる」「はいはいはい」「『こんなに苦労している人間なんていないのよ』なんて(おばちゃんは)言ってるんだけどね笑。それはね、見せるか見せないかの問題だからね、違いっていうのはおっきいよねって。女ぽくないところがいいのよまた!」「出た笑。あの、今紹介してもらってるじゃないですか、こういう風に。ほとんど男性で、女性がなかなか出てこない」「そうなのよ。この歳になると、男も女もなくなっちゃうのよね。で、あんまり女っぽい人好きじゃないしね、あの人。私もね。昔から子どもが同級生だったから、昔の担任の先生とそれこそ30年来の付き合いで、その先生も柿生小学校から教頭なったり校長なったり、その方とも君付けでね、とっても素晴らしい先生でね、笑いもある方でね」「その方もお話を伺いたかったんですけどね〜」「きっとね、してくださいますよ。本当にいい先生。冗談だけどね、小坂くんを取りっこしてるんだよって、先生を間にしてね、取りっこ取りっこって言ってね。ずっとあの、一年に一回くらいかな、お会いして、彼女が飲まないからこっちで飲んだりしてるけど、いいひととき過ごしてます。その先生きっと紹介してくれるんじゃないかな」それからしばらく僕の就職や卒論の話などをした。その後小坂さんが話を戻した。「ホント、(私のインタビュー内容は)念押すようなことばっかだったなぁ」「あそこに、お店に、どっちかというと、お店を利用するっていうよりかはプライベートの方でお付き合いがあるっていう感じですよね」「むかーしはね、よく出してたんだけど、カメラを撮らなくなっちゃったから笑。本当にあのー、出すフィルム全部あそこでしたから。鶴川(柿生の隣)なんだけど。でもずいぶん遠くの方からもあれ(フィルム)を出しに来られる方もいらっしゃるみたいだから、やっぱり事務的なものより、人のつながりがね、どんなに大事かっていうのを、一番大事なことを大切にしているお店じゃないかなって思うね。それがわざとじゃなく、自然にできてるから余計に人が集まるんじゃないかなと思いますね」「いまだに人が来てて、フィルムがなんでこんなに売れてるんだろうって。なんであそこのお店はずっと続いてるんだろうかって。素朴な疑問はあったんですけど、まあそういうところもあるんですよね」「やっぱりそれはつながりというか温もりを大切にするお店だからできる。でもそういうのがますますなくなってるからね」「そうですね〜。今本当ないですよね。あのお店もホントレアというか」「ね〜!だからあそこがビルになっちゃったりしたら大変なことだから。逆に昔のまんまのところがあった方がいいんじゃないかな〜って。道路だけ広がればね」「笑。狭いですからね」少し間が開く。「ちなみになんて呼ばれてます?おばちゃんのことは」「私は呼び捨てにできない。『増井さん』って笑。怖いとかそういうのじゃなくてね」「同じ歳なのに増井さんなんですね」「うん、結構お友達なんかで『増井、増井』って言う人いるんだけどね。私は、増井さんだけじゃなくて、呼び捨てにできない、そういうタイプだから、別に遠慮してるとかそういうんじゃない」間が開く。「なんか宿題で書いてくることはありますか」「いやー、もともと一問一答形式じゃなくて、おばちゃんについてお話する、おしゃべりするっていうのが、これの醍醐味というか、にしているので」「気持ちいいでしょ。気持ちがふっとしてくるでしょ。年代関係なくそういうのができるっていうのがすごいですよ」「あれ、すごいですよね。ファミリーマートの学生さんとかもよく来てるんですけど」「頭が軽いのよ。年相応じゃなくね」「うん」「私も学童の指導員なんかやったりしてたもんだから、子どもとのつながりがすごく長いんですよ。だからそういうところで結構、軽さ部分を参考にしてるかもしれない。1時に帰るんでしょ?」「そうですね、大丈夫です」言いたかったことがあったように小坂さんが口を開いた。「ずーっと前からね、『イケメンだから、イケメンだから』って、『一度紹介したい』って、もう大変だったんだから」「そうだったんだ笑。じゃあ存在だけは知ってたんですね」「はい、なかなかもったいなくて紹介できなかったんだって笑」もしかしたらおばちゃんは僕に小坂さんを紹介したかったのではなく、小坂さんに僕を紹介したかったのかもしれない。

終わったあと、少しだけおばちゃんと小坂さんと僕でおしゃべりをした。小坂さんもおばちゃんと同様にイケメン好きだった。何枚かケータイで撮影された…笑。あと、話があっちこっち行くのも似ていた。

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