物を物らしく撮ることができれば、人は人らしく、風景は風景らしく撮れるようになる。今回の WS2B はそんな言葉から始まった。
物が持つ “らしさ” を出すために、まず、「面」と「輪郭」の重要さを教わった。光源から発せられる光の面を、対象物のいちばん大事な面に合わせる。そして、光源の反対側からレフ板を使って輪郭を写り込ませる。
次の写真は pixabay から探してきたやや極端な例である。窓からの光に照らされた面はハッキリしているが、それ以外の輪郭が曖昧で、情報不足な箇所がある(ただし、それが必ず悪いわけではない)。
上記の状態から対象の輪郭を映し出すためには、光源の反対側からも光が必要になる。その時に活用するのがレフ板である。
白や黒のレフ板を使うときに、「光を当てる/影を作る」のではなく「白/黒を写し込む」という表現を使われていたのが印象的だった。光源とは別方向からレフ板の色を写し込み、物の輪郭を作っていく。
また、メインとなる光源は一つに絞る。レフ板を通して得る光はあくまで輪郭を出すためで、いちばん大事な面は一箇所にする。
さて、ここまでで光源からの光の「面」で対象物の「面」を照らし、レフ板の色を別方向から写し込んで「輪郭」を作り込んだ。
次は、撮影時のピント合わせだ。
もちろんピントはいちばん大事な面に向けるのだが、位置はどうすべきか。対象物がカメラや人の顔のように凹凸を持つ場合、絞りとピントの合わせ方によっては一部がぼけてしまう。
考え方はシンプルだった。「ハイライト」と呼ばれる、最も明るく、最も目立つ部分に合わせると良いと伺った。写真になった時に、いちばん最初に見られるであろう場所にピントを合わせる。
だが、これが思いの外むずかしい。
自分の思う「いちばん最初」と周囲のそれとが一致するかどうかは分からない。また、対象物を撮影した角度によっては、ひとは自分が思っているところと違う箇所を見るかもしれない。
対象物を狙い通りに配置し、ピントを合わせ、思い通りに視線を誘導する技量は、闇雲に撮影するだけでは鍛えるのがむずかしいだろうなと思った。
光をコントロールし、ハイライトにピントを合わせるところまでたどり着いた。
次は、より物を物 “らしく” 主張させていく。背景を思い通りに作り、物の輪郭を強調していく工程が残っている。
物の輪郭を浮かび上がらせるコツとして、(手で持ち上げたり高さのある下敷きで底上げしたりして)背景から離したり、(たとえば革製品に対して革の質感を持つ背景を選んで)質感を揃えたり、対象物と同系色の背景にしたりすることを聞いた。
なぜ背景に同系色を使うと良いのかについて、ロン・ヴァン・ドンゲン『EFFUSUS』を引用しながら講義をうけた。『EFFUSUS』は植物のポートレート写真集で、背景の色に花と同系色が用いられているところに特徴がある。以下のサムネイルや、リンク先のサンプル画像が分かりやすい。
対象物と同系色の背景を用いると、立体感や輪郭が強調される。対象物と背景のギャップが少ないほど、対象物に視線が向かい、物の “らしさ” を認識できるような感じがした。
今回は記事を書くのにすごく時間がかかった。書き直す度、自分が理解に至っていないことが分かり、調べなおしてはまた書き直していた。レフ板の使い方や光の当て方が分かっていないのもあるが、面と輪郭を出すこと、ハイライトを決めることについて自分の言葉で表現できてない感じがモヤモヤしている。
まだなんとなく自分のなかに落とし込まれない部分を感じながら、次回のプリントで手がかりをつかめるようにしたい。