190613_2年4組

Mao Kusaka
給食をたべる
Published in
5 min readJun 17, 2019
今日のメニューコンコンずし、牛乳、煮豆、プルーン

今日は終日4組との指名が入っていたので、急いで廊下を歩いていると、3組の前で「日下先生!」と呼び止められる。振り返ると3組の担任の先生で、4組に行く前に少し3組を見て欲しいとのことだった。先生の間で話がついているとのことだったのでそちらに向かって見る。

3組の授業を終えてから、4組に向かうと例によって肝っ玉母ちゃん先生が月くんを叱っているところだった。黒板をみると、算数の授業が終わったところらしい。そんな中、先生は「ちょうど良かった!日下先生、月のところを見てあげてください!ほんとにあいつ、何もわかってないのよ!」と大きい声で指名する。いつものことなので、わかりました、と言って月くんのもとに向かうと、月くんは目にいっぱい涙を溜めて必死に問題に向かっているところだった。少し教科書を覗いて見ると、既に採点済みで全ての問題に「バツ」が付いていた。

そんな彼の教科書を見ながら、席替えをしたときにコナンくんが「月くんの席だけ固定なんだよね~」と言っていたのを思い出す。月くんは私が指名されやすい対象の子どもで、つまり先生が「勉強に遅れがちである」と判断した子どもだ。だからこそ、先生が席を目の届きやすい前方の席にしているに違いない、と考える。そんな月くんだが、一緒に問題を解くと案外「何もわかっていない」のではないことがわかることが何度かあった。実際授業中に意識が集中できていないだけで、デタラメを書いているのかもしれない。

その横で「月、早く終わらして行こう~」と言いながらクルクル踊るのは海くんである。そういえば、以前月くんが、「海くんとはおうちが一番近くて幼馴染なんだよね」と言いながら、ニコニコしていたな。そんな彼に励まされながら、涙を拭いて歯を食いしばりながら月くんは問題を解く。

4時間目は屋外で体育の時間だった。そしてちょっとした事件が起こった。今日もまた先生は、10分ほど遅れていた。体操は、私と子どもたちのみで始める。なんとなく(体育の時に限ってだが)先生がいなくても、私がいればそれで授業が始まる、と言った風潮になっているのは気のせいだろうか。

体操を終えて、今日の本腰である鉄棒の授業が始まり、大中小様々な高さの鉄棒にそれぞれ子どもたちが散り、逆上がりや前回りを練習して行く。私は、逆上がりできない子のサポートをとして鉄棒に捕まる彼らを回して行く、といったサポートをしていた。その作業も最初は怪我させてしまったらどうしよう、と腰が引けていたのだが、慣れ始めた頃、遠くで「先生!れんたが落ちた!」と言う声が聞こえた。遠くの一番高い鉄棒の方をみると、血だらけのれんたくんがうずくまっていた。高い鉄棒は、私も先生も監督しておらず、走ってそちらに駆けつける。「どうしましょうか」と私が尋ねると、母ちゃん先生の顔は真っ青だった。初めて彼女が同様している様子を垣間見る。

そんなこんなで給食の時間は大幅に遅れた。先生がなかなか戻ってこないので、とりあえず給食係の子どもたちに給食服を着せる。それが自分が指示できる最低限度のことのような気がして、子どもたちが給食を取りに行こうとせがんでも、待機しておくようにと言うしかなかった。暫くして、先生が戻ってきて慌ただしく給食室に子どもたちを連れて行く。

実は、れんたくんの隣の席の子は一週間欠席しているようで、本来4人班のはずなのに2人しかいない。大抵は、欠席している子に座るのだが、私は今日はれんたくんの席に座ることになった。

普段は開始15分後にもぐもぐタイムのはずなのだが、開始時間が遅れていたため、既にもぐもぐタイムまで10分を切っていた。そんなことを話しながら彼らに「もぐもぐタイム、好き?」と尋ねてみる。最初にフィールドに入ったときから自分自身は違和感に感じたこの時間だが、彼らは一体どう思っているのだろう。驚くべきことにレイちゃんももう1人の男の子も「まぁ好き」と答える。「なんで?」と聞くと、「ゆっくり食べられるしね~」とゆるい答えが帰ってきた。確かに、は授業を任されれば任されるほど、疲労は積み重なる。しかし、5分ではあるが、この限られた静かな時間に心が落ち着けられている気がしていた。だからこそ、子どもたちにとっても先生にとっても「休憩」として、この時間は必要なのかもしれないな、と彼らの言葉を考えていた。

今日は私の苦手なものが多くて大変だった。本当は残してしまいたい気持ちと、食べなくてはいけないという葛藤と戦っていた。久しぶりに進んで苦手なものを食べた(ほぼ飲み込んだ)気がする

そういえば今日は、食べ続けていると先生が急に「はい、日下先生に注目!」と私を指差した。「みんな日下先生の食べ方を見習うこと!ちゃんと食器持ち上げているでしょ!」と皆にお達しする。なんだか恥ずかしくて顔をあげられなかった。影みたいな存在でいい、と思っていたのに、こうやって前へ前へ出されてしまうのは、少し不本意なので毎回母ちゃん先生の無茶振りにはうろたえる。

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