仕事に「静かなる熱狂」を呼び起こす
フリーランス2年間の総括です。読んで欲しい。
フリーランスになって丸2年。「フリーランスを実験し、世に活かす」という実験テーマを掲げて活動してきました。書きたいことは山ほどあります。でも、この2年間で私が最も強く感じたことを書くなら
仕事は心底楽しむことができる
という発見に尽きます。
フリーランス関係なくなっちゃいました。でも、フリーランスになったおかげでこのことに気がつけました。
なので、相変わらずフリーランスという手段の有効性を強調しながらも、それ以外の働き方にも共通するこのテーマを語りたい。2年間の総括として。
仕事は「楽しめる」。ちなみに「楽しむべき」とは思っていません。
「消極的楽しさ」と「積極的楽しさ」
さて、ここで言う仕事の「楽しさ」は、余暇活動において感じられるものとは異なります。それはあくまで受動的なもの。活動が終われば消えてしまう。だから、際限なく別の楽しみを求めてしまい、キリがない。
一方で、わたしが仕事に感じる「楽しさ」は積極的に仕事を「楽しむ」姿勢から生まれます。「楽しい仕事」を探すのではなく、「仕事を楽しめる自分」になることが大切。
楽しむ姿勢を極限まで高めれば「熱狂」にいたることができます。誰よりもその仕事に集中し、あらゆる知識や経験が結びついていく。仕事そのものがご褒美となるような感覚。
趣味を仕事にした場合を除いて、仕事はもともと楽しいものではありません。仕事を変えることももちろんできますが、その前に仕事への向き合い方を変えることもできる。
仕事への向き合い方はあなた次第。制御が可能で、ときには前のめりに、ときには距離を取ることもできます。
出し入れできる二次的な感情という意味で、この仕事に対する熱狂を「静かなる熱狂」と呼びたいのです。
仕事への熱狂を自分の手で生み出せる。
この2年間でそういう経験をしてきました。
今の仕事も別に楽しくはなかった
わたしは現在、ディスカッションパートナーという仕事をしています。この2年間で35社のクライアントと契約し、週に1回2時間のセッションを開催。時間単価は一律2万円~6万円です。
フリーランスになりたてのころは時給3,500円程度でした。それを考えるとだいぶ時給は上がってきた感じがあります。
契約期間は短いときは1ヶ月、長いケースでは1年半以上継続のクライアントもいます。ディスカッションの内容は新規事業に始まり、組織の課題、コワーキングスペースのコンセプト、PMIのプロセス設計など様々です。
この仕事を始めたきっかけは、単純に求められたからです。
26歳のときに起業して会社経営をした「経験」や、毎日新しいプロダクトを使ったり企業のことを調べていた「知識」がそのような仕事に導いてくれました。
前職でキャリアカウンセリングを通じて様々な人の話を聞き、解決策を提示していたのも影響している気がします。
できること(Can)だし、やってほしいこと(Needs)でもあった。
でも、やりたいこと(Will)だったわけじゃない。
いわゆる「ライスワーク」です。食べていくための仕事。
それで良いとも思っていました。ちゃんとしたパフォーマンスを発揮して、成果を出せばそれでいいと思っていました。
もともと「貢献することが幸福」というタイプなので、自分が楽しむ必要はないと思っていたのです。
仕事はそういうものだと確信さえしていました。
でも、努力は熱狂には勝てない
誰が言ったか、何に書いてあったか。今となっては分かりません。でも、この言葉はいつの間にかわたしの脳にこびりついていました。
成果さえ出せばそれで問題ないはずでしたが、その成果をより向上させ、継続的に成果を出すには「努力」では足りない。「熱狂」することで最大限の貢献ができるというのです。
だとしたら、貢献を最大限にするためにも、自分が熱狂していたほうが良いのではないか。そういう考えが湧いてきたのです。
また、熱狂できない仕事も減っていくのだという直感もありました。
そこから少しずつ、自分の仕事に深く向き合うようになっていきました。その過程で様々な工夫をして、今ではディスカッションパートナーという「対話を通じた課題解決」に熱狂しています。
クライアントとのディスカッションも楽しく、有意義な時間になっている実感があります。この熱狂が伝わってか、仕事の継続率も高まり、クチコミによる紹介も増えてきました。
かと言って、周囲との関係性に影響が出るほど常に熱狂しているわけではありません。静かに熱狂しています。
静かなる熱狂を呼び起こす方法
いくつか、この静かなる熱狂にいたるわたしなりの工夫をお伝えします。
1.興味の引っかかりを見つける
どんな仕事にも、自分が興味を持って取り組めるポイントがあります。あるいは、なんでこうなるんだろう?という疑問を持つこともあるでしょう。そういった些細な興味や違和感に注目します。
ディスカッションがうまくいったときとそうでないときでは何が違うのか?原因があるとしたら相手なのか、わたしなのか、それとも両者にわかち持たれているのか。
議論に乗っかるクライアントと否定したがるクライアントの違いは何か?それぞれに適した問いかけや対応方法はなにか?
まずは自分の仕事に興味を持つことから。少し引いてみる客観的で冷静な姿勢が必要です。
2.少しずつ達成する
何事にも練習が必要です。練習を通じて上達していけば、より熱狂に近づくことができます。継続しなければ、それまでの練習は水泡に帰すことになります。
練習の継続には「少しずつ達成する」ことが重要です。大きな未来の目標を立てることよりも、小さな今日の目標を立てること。日々の達成が、練習を継続させてくれます。
今日はクライアントにこの質問をしてみよう。アイスブレイクにこんな雑談をしてみよう。あの本を読んでディスカッションに活かしてみよう。
日々の積み重ねが、熟達への道程です。仕事に熟達することは、片手間でできるようになることを意味しません。一定レベルまで自動的に成立させ、その先のさらに重要なことを意識的に行う余裕を与えてくれます。
3.社会とつなげる
自分のやっていることは、どんな意味があるのか。その意味を明確に意識することで、仕事への集中度は上がります。想像力を働かせて、自分の仕事の先にいる無数のステークホルダーをイメージします。
回り回って誰かの役に立っている。直接、間接を問わず、あなたの仕事が世の中を良い方向に動かすと実感できれば、仕事の意義はより大きなものになります。
このディスカッションはクライアントのためだけではない。このサービスが適切にリリースされれば、世の中はより良くなる。そのためにも、この事業の成功確率を少しでも上げたい。
そういった社会につながった感覚と、広い視野がもたらす全体観が仕事に熱狂をもたらします。
4.昨日の自分と比較する
世の中には集中力を削ぐ様々な情報にあふれています。同世代で活躍している起業家、本を出版した知り合い、テレビで見かける芸能人。
そういった他人と自分を比較すると、迷いが生じます。その迷いは仕事への集中力を落とし、日常でのアンテナ感度を鈍らせます。
比較するのは他人ではなく昨日の自分。できることが増えたことを喜び、前進する糧としましょう。もし成長が見えなければ、「小さな達成」を意識して自らを成長させる手助けをしましょう。
5.過去を手放す
これまでのやり方がうまくいかない場合もあるでしょう。特に慣れ親しんだやり方があれば、それを再現するのが何よりも確実だと思いたくなります。
しかし、新しいやり方も試してみることもできます。敢えて不慣れな環境や手段に身を晒すことで、新鮮な気持ちで仕事と向き合えるかもしれません。
いつもと違う空間でディスカッションしてみよう。問いかけの種類を変えてみよう。関係性を少しひねってみよう。
ちょっとした実験をスパイスに、仕事との関わり方を面白くすることができます。
こうした柔軟性は、熱狂の反対側にある「退屈」からわたし達を遠ざけてくれます。実験を通じた偶然の発見がその後の仕事のやり方を変えてくれることもあります。
熱狂のその先にある「お守り」的存在
仕事への静かなる熱狂は周囲に伝播します。その熱狂を繋げていくことで、場を生み出し、ポジティブな影響を与えられる存在になれたらいいなと考えています。
これはあまり論理的なアプローチではありません。属人的で再現性も保証もない。どことなく「お守り」に似ています。わたしはそんな存在になりたいのかも知れません。
理性的な説明はできないけど、なんとなくあの人がいると全体がうまくまとまっていく。ものごとが進んでいく。90歳くらいになってもそういう働き方ができていたらと思っています。
まだまだフリーランスで実験したいことがあります。このフリーランスへの「静かなる熱狂」についても、少しずつ伝播させていけたらと思います。
せっかくなので、そのために書いた1年前の記事も載せておきましょう。
今後ともよろしくお願いします。
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