不都合な事実を言えば、鳥取県1個分どころではなく、東京都がまるまるロストしてるんです、っていう話
あまりに腹立たしい。この記事ですよ。
今更の話で、やっとこの内容。日本の状況は、もっと深刻なんですよ。何故か。
日本の人口動態の現状
以下の人口推移を見てください。総務省が出してる人口動態から誰でも作れます。
これを生産年齢人口、15歳以上65歳未満を軸として、それ未満、それ以上で分けたのが、冒頭のグラフです。
いまいちふーん、だと思いますが、このグラフからは、以下が読み取れます。
- 生産年齢人口は95年をピークに24年間で1300万人規模で減少。
- これは東京都の全年齢人口分、または九州まるっとの規模感。
生産年齢人口とはつまり、
- 義務教育が終わって社会に出始めたりバイトしたりして働いてるであろう15歳以上から、定年退職後に嘱託や顧問や個人事業でバリバリ働いてる人たちもいれば、仕事辞めてる人もいる。
- つまり稼ぎがある可能性が高く、また、消費し借金し経済を動かしてくれるはずの世代。
- 同時に、これまで日本を支えてきた人たちの高齢化後、つまり老後を支援する世代。
あたりの人口のことです。つまりこの世代は、GDPの三面等価の原則の観点からしても、仕事をした結果や消費した結果は、ダイレクトに国内経済の実態とリンクするわけで、改めてこの世代の実態をみるわけですが、もう散々な状態です。
- 24年間で1300万人規模で減少(再掲)
- (もっと絞ったとしても)働いて子供産んで借金もしてくれそうな 20~49歳に絞っても 95年比で 84.6% に減少、つまり約1000万人の減少。神奈川県まるっと規模。
いやね、外国人労働者だって増えたじゃん~っていう。
先に書いておきますが、外国人労働者は、ざっくり250万人ほど。
1300万人の働き手が減ってるのに、手当が250万人。
そりゃ、年配だって働き続けなきゃ成立しないんですよ。コンビニ店員が外国人になるんですよ。IT業界なら海外出身エンジニア、普通に働いてますよね。
それでも、1000万人を超える実働部隊が、既にいないんですよ。
米国との(雑な)比較
ちょと古い資料で恐縮なんですが、2015年時点での、米国との比較をした資料を掲載します。
日本は2016年に資料を書いた時点では、まだ多少だけマシだったんですが、それでもまぁ酷いもんです。
若い子が少ないっていうことを表現するために、生産年齢人口の減少に対する世代別の寄与率も記載してますが、何度見ても酷い。働き手の人口減少への寄与率で一番大きいのは、当然ながら若い子です。そしてこの先、2025年の崖でさらに落っこちます。
一方の米国。
似た時期での比較です。スナップショットな統計しか拾えなかったので歯抜けに見えますが、雰囲気はわかります。
米国では、この期間の生産年齢人口は 5,000万人増えてます。
あらいやだ奥さん、5,000万人ですってよ。
2010年時点での、東京神奈川大阪愛知埼玉千葉の合算の全人口が、その規模です。すごいですね。そりゃすごい。こちらは確か移民も含んでる?はず?なので、似た条件、2015年時点での減少程度と外国人労働者の規模で比較してみますと、
日本:約1000万の日本人の生産年齢人口の減少+90万人の外国人労働者なので、賞味、900万人規模の減少。
米国:(多分だけど)5,000万人の増加。
です。
あらやだーもうー、GAFA を目指したいそうです。
馬鹿にしてるんではなく、それを含めてGAFAの力だと解釈してくださいないやマジで。それだけの人口規模から生まれでてくるエンジニアの力量とは?その人口が最低でも消費してくれるだろう足場の上で、世界を目指すとはどういうことか、です。
既に、もう戻れないほどに、日本の人口動態は、ハチャメチャです。終わってます。ドラム缶みたいな人口ピラミッドでさえないんです。
働き手が少ないということは
若手の働き手がいない、ということはですね、
実働部隊がいない、という話なんですわ。
(あまりになんで文体荒れてきてますが、講演するときはいつもこんなノリでしたね。えぇ…)
ITの現場だと今でも、「お前が手を動かしてどうするんだよ、お前が人にやらせれば、お前の稼ぎは5倍にも10倍にもなるんだぞ」という、企業のブランドにおんぶにだっこした先輩が管理職風を吹かせることがありますが、現実を見たくないなら永遠に言ってろ、って感じです。
叩けば伸びるやつだけが生き残って、将来の出世の座を奪い合ってくれる時代なんて、いつの時代の話ですかね。都市伝説ですよねそれ。
手を動かすやつがいないんです。人口的に。わかりますか?物理的にいないんです。ならオフショアでよろしく!ってね、その結果が、自分たちでシステムが組めない現状に繋がっていったこの目の前の事実を、もうお忘れか。
そしてそしての PPAP、PHS に話は繋がっていくんです。
- 意味が無いことを延々と繰り返すことを強いられる現場
- 意味が無いこと、対策が取れないリスクを指摘して悦に浸る監査部門や監査企業
- 業務プロセスを簡略化せず、単なる自動化で業務知識を隠蔽してしまったにも関わらず、AIやRPAをやった気になって評価をあげる社員とそれを評価する経営、そしてそれを応援して広告塔になってもらってる雑誌などのメディア
いい加減、マトモな政策の検討と、民間への指導をしてくださいな
って言っても無理なので、皆自衛に走ってるんですが、そうこう言ってもしょうがない。言っても変わりませんが、言わなきゃ変わらない。
- AIとかブロックチェーンが未来を作る
→ 言いたいことはわかるけど、それで勝つには人口動態的には手遅れで、全てが海外。全てがグローバル。そもそもで技術の中身の解釈が雑すぎるので、問題外。寝ぼけておっさんに媚びを売ってるんじゃぁないよ。実装しろ実装。生活を経済を支えるコードをかけ。 - 美しい日本を守る
→ どこの国でも、守られた自然や歴史や、高度に発展した都市は美しいんです。そしてそんなことは目指すキャッチフレーズでもない。文化的な人としての最低ラインの行動様式であって、それにいちいち名前をつけてる場合じゃない。だいたい、ロストした文明の痕跡だって、美しいでしょうが。 - 女性の活躍が日本を支える
→ なら何故にこの国は子供を生みにくいんだって話。育てづらいんだって話。不妊治療には金かかるし、職場の理解を指導するのも後手。民間に頑張れって、だから民間側の働き手が少ないんだから、無理だっつーの。アホなのか? - GAFAを日本からも生みだそう
→ 例えば Google とAWS (そしてマイクロソフト)が提供するクラウドの実装・運営の技術水準を知れば、そんな寝ぼけたこと、今後一切言えなくなります。彼らが商売としてグローバルに世界に抜け出してるのは、兎にも角にも、ソフトウェアとハードウェアのミクスチャした、コンピューター関連の情報技術を中心に据えての、徹底的な限界費用の低減による圧倒的な生産性をテコにした、各国市場の(今の時点では適切なルールに基づいた)既存市場の蹂躙であり、経済戦争のまさにそれ、です。竹槍+インパール作戦で勝てるかっていう話です。
企業向け税制でも情報技術向けに改良したほうが楽なことも多々あります。軽減税率なんて無駄の極みでしょ。10万円の償却資産ラインを馬鹿正直に運営するから大企業のPCはクソになるんですよ。
こんなこと言い出したらきりがない。
WELQ 問題のような、インターネット上での環境問題として扱わないと改善はしないだろう類の、「ネットを通じた外部不経済化が前提の利益創出」ってなゴミビジネスを全てゼロにしろ、とは言わないですよ。
(あえて)仮想通貨(と書きますが、それは暗号資産として表現される前の時代を表現したいからで、その仮想通貨)だって、腐るほどの悪意が世界の資産を蹂躙してることを知った上でも、存在意義は、多少はあるんですよ。
でも、それは、伸びる足場を作る態勢があるからこその余裕が、自浄作用も同時に作り出すことが、それなりに期待が出来るから、私は2048歩も譲って、あえてつついて言わないだけであって、無策で放置して、なんか民間でそれなりに頑張って伸びるだろうし問題になるまで放置でいいだろ、っていうのとは違いますよね。
民間の競争力を期待して、中小企業をバンバン潰したところで、競争力がある事業主体・経済主体が国内から出てきて地域を潤すなんてこと、もうないんですよ。
だって選択肢、無くないですか?高度高齢化は以前から何度も何度も言われている。選択肢として残ってるの、海外資本に、日本の消費市場、労働力市場を使ってもらうぐらいしか手が無くないですか?そしてそれは、人口動態的に見えることでもあって、わかってるんだから、どうせならもっと早くから、コンピューターと言語(英語・中国語)と会計とディスカッションの技法について学校で学ぶ機会を与えるべきだったんですよ。30年前に、です。
だから、そういう抜本的な変革を必要としてる時代なんですよ。
日本がどこかの国の属州となり(名実ともになってるとか言いなさんな、まだ経済的にも壁はあるのですよ)急速な同一化を図る、っていうプランから、世界をリードする経済戦争の舞台としての無法地帯化、果ては誤認した歴史を重んじた結果レガシーだらけになった世界遺産として登録してもらうまでを、我々は考えなきゃならん時代になってしまってる。
ホントかいな。シンドいな。やだなもう。
国レベルでの緩やかな貧困化に身を委ねても、あと20年ぐらいは、電車は動くだろうし(ホントか)、飯は食えるだろうし、そのほうが笑って日々が過ごせるかもしれません。
でも、笑って日々を過ごすためには、安全保障の前提は必要で、それは国家間だけでなく、道行く自動車の安全な運行といたところまで、全てがそれぞれに日々改善されていくから、成立する類のものです。でも、それらの担保、実現には、やはり民間での競争だけは限界があるんですよ。
だから、あの記事が腹立たしい
既存の、ある意味で政権に批判的であるとされるメディアでさえ、鳥取県の規模で足踏みしている。
違うんですって。東京が無くなってるんですよ。既に。