【本の紹介】カイゼン・ジャーニー
一言で言うと「熱い開発の本」。個人的には、ここ数年で出版された開発方法論絡みの書籍では五本の指に入ると思う。
ベースとなっているのはアジャイルとスクラム。いかにもありそうな著者の実体験から構成された開発(チームビルディング)ストーリーとその中で発生する問題、それに対する解決トピックという形で各章が構成されており、読んでいるうちにぐいぐいと引き込まれていく。
ストーリーと開発トピックがセットになっている事で、どういった局面でどういう開発トピックを適用していくか、という部分が非常に分かりやすくなっていると思うし、何より退屈な(失礼)開発方法論・トピック一辺倒の本から学ぶより、はるかにとっかかりが良くなっている。
各章で紹介されているトピックの内容は最低限ではあるが、試してみるには十分な内容が記述されているし、現場でまずは適用してみる程度であれば、ストーリーでの保管も相まって十分な内容だと思う。
各開発トピックについてこれ以上の内容が知りたくなったのであれば関連する参考書籍(幸いなことに良書が翻訳本として存在している)を参照しにいけば良い。頭でっかちより、まずは実践だ。
まずは一度ストーリーベースで通読した後、ストーリー的に気になった章や試してみたいトピックの部分を改めて熟読してみる、という形で読むのが良いと思った。
こういった良書が、日本の開発者から上梓されたというのは大変喜ばしい。これだけの経験を惜しげもなく晒してくれた著者に敬意を表したい。
カイゼン・ジャーニー(翔泳社)