ソフトウェアエンジニアの金融リテラシー
日本とアメリカの狭間で
日本の銀行口座
作るべき銀行口座
出国するその前に。次にあげる銀行口座を作っておきましょう。日本から住民票を抜いてしまうと、もう日本では銀行口座を作れません。必ず作っておきましょう。
- SMBC信託銀行
- ソニー銀行
SMBC信託銀行は、口座維持手数料がかかりますが、外貨を20万円相当以上をいれておく、などの方法で無料にすることが可能です。
なにゆえ、これらの銀行口座なのか。
なぜならば、SMBC信託銀行とソニー銀行だけなのです。非居住者でも、無料で、安全に、ネットバンキング可能なのは。
三井住友銀行と三菱UFJ銀行も、非居住者向けネットバンキングサービスがありますが、数百円の月額手数料がかかります。特に三井住友銀行は、非居住者は2FAが使用できないという致命的な欠陥がある上に(暗証カードなる電気の流れてない古代の遺物だけ)、ネットバンキングで変更できないので物理的な紙を送らなければならない(印鑑? 今何世紀?)、などなど様々な不満があり、月額数百円もの価値があるとは到底思えません。というか堪忍袋の緒が切れたので、実際全額引き上げて非居住者向けサービスを解約したところです。
日本から住民票を抜いても銀行に知らせない、という手を使っている人もいるようですが、こちらもオススメできません。
また、ご提出頂いた届出書に虚偽の記載がある場合は、実特法第13条第4項に基づき、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性がありますので、ご留意ください。
ちなみに、SMBC信託銀行とソニー銀行は非居住者が使える以外にも、いくつか利点があります。
外貨をそのまま扱える
アメリカからお金を送ったときに、米ドルのまま放置可能なので、送金時に為替相場を気にしなくても平気です。塩漬けにする場合でも、米ドルのまま定期を作ることができます。
被仕向送金手数料が無料
被仕向送金手数料てのは、外国送金を受け取ったときの手数料です。SMBC信託銀行とソニー銀行は、アメリカからお金を受け取っても、余計な手数料がかかりません。
ちなみに、ソニー銀行の非居住者向け口座は、外国からの送金は受けられますが、外国への送金ができません。どうしても銀行から外国へ送金しなければならない場合は、SMBC信託銀行を利用しましょう。
Visaデビット付きキャッシュカード
ソニー銀行のSony Bank WALLETは、日本のクレジットカードとして、VISAを受け付けるところならばどこでも使えるので、アメリカのクレジットカードが使えない日本の店舗やオンラインショッピングでのバックアップクレジットカードになります。
たとえば日本のAmazonでのショッピングですね、と言いたいところですが、アメリカの住所に配達する通常の買い物はもちろん、Kindle本の支払いまでアメリカのクレジットカードが使えるようになってしまいました。もはや日本のクレジットカードはあまり出番がありませんね。
でも日本に行ったときに、どこにでもあるセブンイレブンで、為替相場も手数料も気にせずに日本円を下ろせるわけで、やはりSony Bank WALLET必須と言わざるを得ません。現金大国対策。
非居住者の欠点
非居住者は日本の税法上のメリットを使えません。いかにSMBC信託銀行やソニー銀行であっても、非居住者は様々なサービスが使えません。
また、アメリカの場合、FBARのファイリングで頭を抱えることになるので、投資信託などはすべて解約/売却しておいた方が無難です。
アメリカの銀行口座
後述のBankamericard Cash RewardsでPlatinum Honors tierを使うにはBank of Americaの口座が必須ですが、そうでなければ別にどこでもいいと思います。
Chaseは口座をつくると$500もらえるキャンペーンやってたりします。
ネット銀行では普通口座金利が1.85%だったりします。緊急用の現金をおいておくのにうってつけですね。ちなみに三井住友銀行だと普通口座金利は0.001%。1.85% vs 0.001%。
外国送金
外国送金といえばTransferWiseでしょう!
と思考を短絡させてはいけません。いくら送るのか、通貨交換は必要なのか、完了まで何日待てるのか。
銀行[円] → FX[円to米ドル] → シティバンクゴールド[米ドル] → アメリカの銀行[米ドル]、という手数料無料時代がかつてはありましたが…
アメリカ 米ドル → 日本 米ドル
先ほど書いたように、SMBC信託銀行とソニー銀行で米ドルを受ければ、被仕向送金手数料は無料です。よって、送信側手数料とコルレス銀行の有無を調査すべきです。
日本米ドル → アメリカ 米ドル
SMBC信託銀行に米ドルをいれておけば、アメリカのATMで引き出し可能です。若干手数料がかかるはずですが。
アメリカ 米ドル → 日本 日本円
Charles SchwabまたはFidelityのデビットカードを日本のATMで使えば、米ドル口座から、為替およびATM手数料なしで、日本円の現金を引き出せるそうです。
通貨交換
使ったことはありませんが、Moneytisで最適なサービスが調べられるようです。
最適な方法?
アメリカでは、どうせ証券会社を使うことになるので、インタラクティブ・ブローカーズ証券のアカウントを作ってしまいましょう。
10万米ドルあれば月間口座維持手数料は無料です。余裕ですよね?
ただしIB証券、日本側の入出金口座が国内非居住者口座なので、おそらく外国送金扱いになります。つまり、ソニー銀行の非居住者向け口座からIB証券への入金はできないはずです。またSMBC信託銀行は円建て外国送金ができないため、米ドル建て外国送金を使うしかないはずです。日本円 → 米ドルに関しては、非居住者の場合、IB証券の利点である通貨交換の旨味が得られない可能性が高いです。金額にもよりますが、Moneytisの出番ですね。
ちなみに、三井住友銀行の非居住者向け口座からのIB証券への入金は、国内非居住者口座に対する円建て送金手数料 800円に加えて、ガイタメチャージなる手数料が2500円かかるので、合計3300円です。
逆に、米ドル → 日本円の場合、IB証券内で通貨交換して出金すれば、SMBC信託銀行もソニー銀行も、ともに円建て被仕向送金として無料で受け取れるはずです。
アメリカのクレジットカード
ベストではないがベターな選択例
Amazon Store Card
Amazon Prime払ってるなら必須。キャッシュバック 5%。ただしリアル店舗のAmazon BooksとWhole Foodsで使えないで注意。
Chase Sapphire Reserve + Freedom + Freedom Unlimited
ポイントはCSRに集約して旅行に使えば、1.5倍。もしくはホテルやエアラインのパートナーに転送して使えばより多く。たとえばHyattのとあるCategory 6のFree Nightなら2.21倍相当。
CSRのforeign transaction feeは0%なので、日本に旅行した時や日本のAmazonでのメインカードになれます。
CSR、旅行とレストラン、実質4.5%キャッシュバック。(Apple Pay経由のSUICAチャージも旅行カテゴリなので実質4.5%という情報も)
Freedom、たとえば2018Q4は、Costco 5%キャッシュバック。実質7.5%ということ。
Unlimited、すべて実質2.25%キャッシュバック。
年会費を相殺できるかどうか不安な場合、あなたの生活には余裕が足りてません。休暇を使って旅行しましょう。
Bankamericard Cash Rewards
Bank of America + Merrill Edgeに10万米ドルいれてPlatinum Honorsを獲得すれば、キャッシュバック gas 5.25%、Costco 3.5%。
アメリカのクレジットスコア
クレジットカードやローンを申請する際に影響するのが、クレジットスコア。クレジットカードのサイトや、様々なサイトで、わりとリアルタイムに確認できますが、Credit Karmaは、頭一つ抜き出た感じです。
所有してる車の情報が自動的に追加されるのに驚いたり、無料でTax Returnできたりします。
年金
日本の国民年金
払う義務はありませんし、資産運用としては微妙ですが、まぁIRAでBond買っとく気持ちで任意加入してもいいと思います。年齢行ってる場合はマイナスにはならないでしょうし。というか、年間たかだか1,700ドルです。考えずに突っ込んでも問題ないでしょう。
任意加入する場合は、国民年金+付加保険料で2年前納しましょう。
なお国民年金は、ソニー銀行からは口座振替できませんし、おそらくSMBC信託銀行からもできません。海外発行のクレジットカードが使えるとも思えないので、Sony Bank WALLETを使わざるを得ないでしょう。WALLETだと、最低でも0.5%キャッシュバックなので、378,580円×99.5%=376,688円となり、口座振替の377,350円より662円お得です。
ねんきんネットの登録をお忘れなく。
Social Security
シリコンバレーのソフトウェアエンジニアであれば、Max outしてるSocial Securityですが(2018年は7,960.80ドル)、もらう側になると、アメリカに来た年齢によっては、日本の年金との兼ね合いで、Social Securityは相当減額されます。もういっそのこと、Social Securityはもらえないものとして老後に備えましょう。
それでも、my Social Securityの登録はお忘れなく。
401(k) + IRA
シリコンバレーのソフトウェアエンジニアにおける基本戦略。Priority順。
- Pre-Tax 401(k)をmax out (2018年は$18,500)
- After-Tax 401(k)をmax out → Roth 401(k)にConversion (会社によるが$25,000、いわゆるMega-backdoor)
- Traditional IRAをmax out → Roth IRAにConversion (2018年は$5,500、いわゆるBackdoor)
- 配偶者分Traditional IRAをmax out → Roth IRAにConversion (Jointの場合)
現在の方が、老後より収入が高い = Roth 401(k)よりも、Pre-Tax 401(k)を使うことで所得税を減額する。
Pre-Tax or Roth 401(k)をmax outする = Company matchにより運用資金をタダで増強できる。
The company match is literally free money.
浪費しない限り現金は余るわけなので、余剰金をAfter-Tax 401(k)に入れたのち、将来税金を払わなくていいように、Roth 401(k)にConversionしてから運用する。
Traditional IRAは、収入が高いため所得税を減額する効果はないが、Taxable accountで運用していたら払っていたはずの税金を払わなくていいように、Roth IRAにConversionしてから運用する。
2018年の年間最大contributionは$63,750 (Company match 50%+配偶者IRAを想定、将来の所得税対象は$27,750、非課税が$36,000)。
資産運用
401(k)とIRAにcontributionしたお金をどう運用するか。それ以外の余剰資金をtaxableでどう運用するか。もらったRSUはそのまま保持するのがいいのか、それとも売ればいいのか。家は買う? それとも借りる?
資産の90%はS&P500、残り10%は政府短期国債に投資せよ
と、かのWarren Buffettは言ったとか言わないとか。
それはそれとして、とりあえず、Personal Capitalや証券口座のサイトで全資産を視覚化するのをオススメします。Personal Capitalのアカウントを作る場合は、こちらからどうぞ。$20のAmazonギフトカードがもれなくもらえます :)
資産運用に正解はないと思いますが、最低限学ぶべき知識はこんなところでしょうか?
- Tax Return
- Income tax vs Long-term capital gain
- Tax loss harvesting
- Exit Tax
Tax Returnの学習教材として、Credit KarmaのTax Return機能はなかなか優れていると思うのですがいかがでしょうか。
あとがき
追加すべき事柄があったら、こっそり教えてくださいませ