IT技術者と英語
雇用機会と文化
友人が年始から、いかにもはてブユーザーが好きそうなテーマのエントリを書き、予想通り非常に盛り上がっているようです。自分も外資系の企業で働いていて、採用活動に携わることもあるので、先のエントリで書いてあることは同感する部分が多いです。
特に市場の広さに関しての部分は痛感する部分で、自分が採用活動に携わっている中でも「これだけ技術力があるのに英語の部分だけで採用に至らないのは本当にもったいない」と思う人が数多くいます。なにもこれは日本人に限った話ではなく、アジアで言えば韓国、台湾の方々もそうですし、ヨーロッパでもイタリア、東欧などの方でもそういう方がいます。
また逆に技術者に限らず、日本語が必須とされる役職で、英語が話せる日本人ではなく、日本語が話せる英語話者が採用されるケースも増えている気がします。
IT技術に限らず日本語だけで通用する領域というのは、各種の統計データ(人口増加予想、一人あたりGDP、GPI等々)を見ていてもこれからは減っていくんだろうなと考えると、起業するわけでもなくある程度の収入を確保しようと思ったら、自分の選択肢を広げないことには無理なわけで、その状況で「英語が使えるだけ」でその可能性が十分広がるというのは、非常に費用対効果の高い話だと言えます。
はてなブックマークを見ていると、「IT技術者」「英語」という2つのキーワードが入ったエントリは常に100以上のブックマークがつく人気エントリーになっています。また、英語の学習法についてのエントリも同様に多くのブックマークがついています。英語学習に関して関心はみな高いのに、就職の市場においてはあまり変化が見られないように感じるのが不思議でなりません。
一つ考えられる原因として、どの程度かはわかりませんが、日本の文化があるのかなと感じました。「日本人は英語の学習が苦手」「自分の評価を過大に見せることは悪」という価値観を意識下で共有しているのではないでしょうか。
まず「日本人は英語の学習が苦手」という点に関しては、ネイティブ並みに話そうと思ったら、苦労する部分は多いと思いますが、少なくともIT系の会社で業務をこなすレベルであれば、努力次第でなんとでもなると思います。もちろん努力は必要ですが、それも「血の滲むような」というレベルの話ではないと思いますし、少なくとも「英語のドキュメントが読める」というレベルであれば中学の教科書をちゃんとやり直せばできます。断言できます。
また「自分の評価を過大に見せることは悪」という価値観は、そこまで極端ではないにしても、多くの日本人が謙遜を美得するところから、自己評価を低めに行うために、外資系の企業で日本オフィスの人間がなかなか評価されないという事実があるようです。(現職の人事から聞いた話。1次ソースはここでは指しません。)
先ほどの就職市場の話で言えば、英語が使えるようになって、海外の人間と同じ土俵に立った時に、控えめというのは損になることが多いように思います。自分が出来ることを「出来る」というのは、まったく間違ってませんし、採用側は面談でそれを見極めれば良いだけの話だと思います。
私は前職も外資系だったので、現職と前職で定期的な自己評価をする必要があるわけですが、その時に人事から「あなたの評価が高まることによって、上司の評価が高まり、その結果としてチーム全体の評価が高まり、状況が改善されます。なのでチームの為に、正しく評価すべきところは評価してください。」というアドバイスをもらいました。これは確かで、チームの評価が高まると自分の仕事がやりやすくなり、同じ給与の仕事をするにしてもストレスから解放されるわけです。採用に関しても同様で、採用された人間が優秀であればそれはチームの評価になり、結果として採用された人間と採用した人間双方の生活レベルの向上につながります。
長々と書いてきましたが、英語は1年なら1年と期限を決めて一生懸命勉強して、読み書きができるようになったなら、もっと稼げるところに自分を売らないともったいない、という話でした。