ファミリーカメラのおばちゃん(3)

キムラマサヤ
にじだより
Published in
4 min readJul 31, 2019

前回からの続き

目次

  • おばちゃんの態度の変化
  • 意見・より良い表現は何か
  • 難しさと研究方法の変化
  • これから

おばちゃんの態度の変化

前回から2ヶ月が経ち、フィールドワークの回数も増えたため、おばちゃんもあまり気にしなくなっている様子だ。以前は、「木村くんの卒論がこんなとこでいいのかしら」「どういう風になるんだろうね」などと言っていたが、最近はそういった言葉を聞くことがない。私がファミリーカメラに訪れている間のみ設置させていただいているGoProも、当初とは異なりそれに対する怪訝な感じがないように見える。もちろん今だに調査されていること・撮影されていることに対する慣れなさ、居心地の悪さのようなものはあるに違いない。それに関しては素直に配慮し、最終的に不義理にならないようにお返しをしたい。

意見・より良い表現は何か

前回の投稿では、問題意識がよりクリアになり、「まちの話し相手」という“意見”を持てるようになったことを伝えた。前回の時点では納得できる“意見”であったが、いまいち自分の中で最後まで「これでいける」 と思えるほどには今回までの間でならなかった。前回から先生とも相談をし、最終的にここを言い得ることができるようになるという方針に変更した。自らが納得できる表現を獲得して、卒業を迎えたい。

難しさと研究方法の変化

ここまでフィールドワークを続けて、わかったことが2つある。1つはファミリーカメラの外にも目を向け、まちでのおばちゃんの振る舞いを観察してみると、おばちゃんらしさが見えてきたこと。2つ目はおばちゃん自身のことについて、おばちゃんが語ってくれないということだ。

1つ目に関しては、柿生というまち全体を見るきっかけにもなった。例えば、ファミリーカメラの隣にあるファミリーマートでのエピソード。ファミリーマートと聞くと、どこにでもある大手チェーンのコンビニで、人付き合い・お店付き合いなどないように思ってしまう。しかしおばちゃんの場合はそうではない。イベント毎におばちゃんはお店に貢献している。例えば、恵方巻き、ケーキ、うなぎなど。その分、おばちゃんが困った時は彼らに頼ったりすることもある。膝が悪いため商品を持ってきてもらうとか、英語しかできないお客さんが来て意思疎通がうまく取れない時に彼らに通訳を頼むとか。お店にはおばちゃんのことを気にかけている人が多い。そしておばちゃんに相談する人も多い。持ちつ持たれつだとよく思う。しかもこれがファミリーマートだけに限っている話ではないのが、おばちゃんらしい。柿生の多くのお店や、まちの人との間でこういったエピソードがある。それをもっと集めたいのだ。

2つ目に関して言うと、これが最近のもっぱらの難しさである。前回の投稿でも書いたが、私がおばちゃんの話し相手になっている時もある。そのおかげで、おばちゃんの周りでどういった出来事が起きているのか、どのようなお客さん(業務外のことを求めにやってくるので、お客さんなのか判然としないが)が来て、何をしていくのかという話を聞く機会には恵まれている。その一方で、おばちゃん自身のことに関してはなかなか聞くことができていない。直接質問してみても教えてくれなかったり、はぐらかされたり、ぼかされたり。そもそもおばちゃんという人に強い興味を抱いていたことや伝記ができたら面白いと思っていたこともあり、少し壁を感じている。

上記の2点があったため、私はインタビューをすることに決めた。対象となるのは、普段ファミリーカメラによく訪れている方、またおばちゃんと付き合いの長いまちの人だ。今のところ約10名を想定している。夏休みを使って、会い切ろうと考えている。一問一答形式にはせず、自由な流れで、おばちゃんについて話ができたらと思っている。ただし、どの人に対しても必ず一つは同じ質問をしようと考えている。それはベタな感じも否めないが、

あなたにとっておばちゃんとは。

である。
時間はその人と場合によるが、1時間は最低でもお話を伺いたい。そしてその様子は可能な限り映像で記録する。

テストインタビューをしてみて。持ちつ持たれつ。

これから

この投稿をした8月1日はすでに夏休みに入っている。学生最後の夏休みは2ヶ月弱、できるだけ有意義なものにしたい。ファミリーカメラでのフィールドワークはこれまで通り続ける。そしてインタビューもやりきる。Mediumの整理も宿題の一つだ。まだまだ、これから。

次号に続く…

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