フィルムカメラのシャッター速度を検証する簡易的方法

フィルム代、高いですが…

OKUMURA Takahiro
ワークショップ2B学修記
4 min readNov 4, 2017

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私はバルナックライカとかペンタコンシックスとか、古いフィルムカメラを好んで使っている。シャッター速度はあまり信頼できたものではない。だって古いのだから。1/1000の高速シャッターが標示通りの機能を維持しているのか大変怪しい(低速もしかり)。

ワークショップ2Bメンバーと話していた時に、ポジフィルムを使ったシャッター速度の検証方法を教わった。

  1. フィルムカメラにリバーサルフィルムを詰める
  2. 感度分の16を用いて晴天の空を撮る
  3. 絞りを1段解放し、シャッター速度を1段速めて同じ空を撮る(例: 16→11, 1/100 → 1/200)
  4. 3の手順を繰り返す

絞りとシャッター速度を1段ずつズラしても、それぞれが正確に機能するなら同じ出来上がりになるはず。ポジはネガよりも露出が厳しいため、シャッター速度が標示通りでない場合はコマに差が出るだろう。

感度分の16の応用編…というわけでもないが、絞りとシャッター速度の関係性、そして空の適正露出への理解から生まれる技という感じだ。

検証: ペンタコンシックス

ペンタコンシックスにビオメターを取り付けて検証した。フィルムに Velvia 50 を使い、まずf16, 1/30sを起点とした7パターンで空を撮影した。

  • f22, 1/15s
  • f16, 1/30s
  • f11, 1/60s
  • f8, 1/125s
  • f5.6, 1/250s
  • f4, 1/500s
  • f2.8, 1/1000s

また、ペンタコンシックスは頑張れば13〜14枚くらい撮れてしまうバグみたいな仕様があるので、それを活かして f16, 1/15s を起点とした6パターンも撮影した(1/8s の低速シャッターの確認もしたかった)。

  • f22, 1/8s
  • f16, 1/15s
  • f11, 1/30s
  • f8, 1/60s
  • f5.6, 1/125s
  • f4, 1/250s

結果

上記の条件で撮影したポジフィルムを現像してもらったところ、以下のような結果になった。前回購入したトレース台の上においてある。

絞りとシャッター速度を1段ずつズラしながら同じ空を撮影したポジフィルム

顕著なのは f2.8, 1/1000s や f22, 1/8s あたりだろうか。シャッター速度が標示よりも遅いのだろう、光が足りず他のコマより暗くなっている。

また、1/250s も 1/125s と比べて空の色が濃く、倍速の関係が崩れてしまっているようにも見える。1/500s も少し暗い気がする。

1/15s 〜 1/125s あたりの低速組は比較的安定している?のかな。うーむ、あまり見分けはつかないのでそれなりなのだろう。

実際やってみると顕著に差が出るところと微々たる差しか見られないところがあった。1/1000s や 1/8s のような高速・低速シャッターはあまり標示を信頼しないほうがいいことまではわかったが、その他はネガフィルムならそこまで気にせずとも良いだろう。

なお、この検証は曇りがちな秋の空で実施したが、雲に隠れるたびに空の明るさが変化してしまうので、真夏の空か冬の薄曇りあたりでやるのが良いのではないだろうか。

かつてはブラウン管モニタを使って同様の測定が出来たらしいが、さすがに旧式テレビを探して買うコストを考えれば、リバーサルフィルムの数コマ分の方がお手頃だ(そう思いたい)。

あと裏話として、実は先のポジフィルムの前に f16, 1/60s のパターンで撮影を敢行したのだが、光量が不足して真っ暗な写真になってしまった。その反省を活かして1段遅くしている(それでも若干暗いのだが)。ポジフィルムの露出は難しい。

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