生物学 第2版 — 第5章 原形質膜の構造と機能 —

Japanese translation of “Biology 2e”

Better Late Than Never
68 min readOct 4, 2019

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5 | 原形質膜の構造と機能

図5.1 | ただの混雑のように見えますが、グランドセントラル駅は高いレベルで組織立って機能しています。人々や物はある場所から別の場所に移動したり、交錯したり、特定の境界内に収容されたりしています。そして彼らは、より大きな活動の一部分として常に流れています。同様に、原形質膜の機能は細胞内の動きや境界の活動を越えるような動きを伴います。(credit: modification of work by Randy Le’Moine)

この章の概要

5.1:成分と構造
5.2:受動輸送
5.3:能動輸送
5.4:総体輸送

はじめに

原形質膜、つまり細胞膜は多くの機能を持っていますが、最も基本的なものは細胞の境界を定義し、そして細胞を機能的に保つことです。原形質膜は選択的に透過性です。これは、その膜がいくつかの物質を自由に細胞に出入りさせる一方で、他の物質は自由に動くことができず、特殊な構造を必要とし、時には交差のためのエネルギー投資さえも必要とさせることを可能にすることを意味します。

5.1 | 成分と構造

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•細胞膜の流動モザイクモデルを理解する
•膜内のリン脂質、タンパク質、炭水化物の機能を記述する
•膜の流動性について議論する

細胞の原形質膜は細胞を定義し、その境界を描き、そしてその環境との相互作用の性質を決定します(要約については表5.1を参照してください)。細胞はいくつかの物質を排除し、他の物質を取り込み、さらに他の物質を排出します。そして、それはすべて制御された量で行われます。原形質膜は、赤血球や白血球などの特定の細胞が細い毛細血管を通過するときにその形状を変化させることができるように、非常に柔軟でなければなりません。これらは原形質膜のかなり明白な機能です。さらに、原形質膜の表面は、細胞が互いに認識することを可能にするマーカーを保有しており、これは初期の発達の間の組織や器官の形成に不可欠であり、そして後には免疫反応の「自己」対「非自己」の区別において役割を果たします。

最も洗練された原形質膜の機能の中には、複雑で不可欠なタンパク質である受容体がシグナルを伝達する能力があります。これらのタンパク質は細胞外からの入力の受容体としても、細胞内プロセシングの活性化因子としても作用します。これらの膜受容体はホルモンおよび成長因子のようなエフェクターのための細胞外の付着部位を提供し、そしてそれらは、そのエフェクターが結合されると細胞内の反応カスケードを活性化します。時折、ウイルスが受容体を乗っ取って(HIV、ヒト免疫不全ウイルスなど)、細胞内に侵入し、時には受容体をコードする遺伝子が突然変異し、シグナル伝達プロセスが破壊されて破滅的な結果を招くことがあります。

流動モザイクモデル

科学者たちは1890年代に原形質膜を、そして1915年にその化学成分を同定しました。彼らが同定した主成分は脂質とタンパク質でした。1935年に、ヒュー・ダフソンとジェームス・ダニエリーが原形質膜の構造を提唱しました。これは、科学界の他の人々が広く受け入れた最初のモデルでした。それは初期の電子顕微鏡写真における原形質膜の「線路」の外観に基づいていました。ダフソンとダニエリーは、原形質膜の構造はサンドイッチに似ていると理論づけました。彼らはタンパク質をパンに、脂質を中身にたとえました。1950年代には、顕微鏡、特に透過型電子顕微鏡(TEM)の進歩により、研究者は原形質膜のコアが単層ではなく二層で構成されていることをつきとめました。1972年、S・J・シンガーとガース・L・ニコルソンは、顕微鏡観察を提供するとともに、原形質膜の機能をよりよく説明するような新しいモデルを提案しました。

その説明である流体モザイクモデルは時間の経過とともにいくらか変化しましたが、しかし、それはまだ、私たちが現在理解しているような原形質膜の構造と機能を最もよく説明しています。流体モザイクモデルは、原形質膜の構造を、リン脂質、コレステロール、タンパク質、炭水化物などの成分のモザイクとして表現し、それらの成分は膜に流動的な特徴を与えます。原形質膜の厚さは5~10nmの範囲です。比較のために、光学顕微鏡で見ることができる人間の赤血球は、幅約8μm、つまり原形質膜の約1000倍の幅です。この膜はどことなくサンドイッチのように見えます(図5.2)。

図5.2 | 原形質膜の流体モザイクモデルは、原形質膜をリン脂質、コレステロール、およびタンパク質の流体の組み合わせとして表しています。脂質(糖脂質)およびタンパク質(糖タンパク質)に付着した炭水化物は、膜の外側に面する表面から伸びています。

原形質膜の主成分は、脂質(リン脂質およびコレステロール)、タンパク質、およびいくつかの脂質やタンパク質に結合した炭水化物です。リン脂質は、グリセロール、2つの脂肪酸、および1つのリン酸結合頭部基からなる分子です。もう1つの脂質であり、4つの融合した炭素環からなるコレステロールは、膜のコアでリン脂質と並んで位置しています。原形質膜中のタンパク質、脂質、および炭水化物の割合は細胞の種類によって異なりますが、典型的な人間の細胞では、タンパク質は質量で組成の約50%を占め、脂質(すべてのタイプ)は約40%を占めます。そして、炭水化物が残りの10%を占めます。しかしながら、タンパク質と脂質の濃度は種々の細胞膜によって異なります。たとえば、末梢神経の軸索を覆う特殊化した細胞の膜の派生物であるミエリンは、わずか18%のタンパク質と76%の脂質を含んでいます。ミトコンドリアの内膜は、76%のタンパク質とわずか24%の脂質を含んでいます。人間の赤血球の原形質膜は30%が脂質です。炭水化物は、原形質膜の外面にのみ存在し、タンパク質に付​​着して糖タンパク質を形成するか、または脂質に付着して糖脂質を形成します。

リン脂質

膜の主たる素材は両親媒性のリン脂質分子からなります。これらの分子の親水性または「水を好む」領域(イラストレーターによるモデルの表現ではボールの集まりのように見えます)(図5.2)は、細胞の内側と外側の両方で水性の流体と接触しています。疎水性または水を嫌う分子は、無極性になる傾向があります。それらは化学反応において他の無極性分子と相互作用しますが、一般に極性分子とは相互作用しません。水中に位置するときには、疎水性の分子は球またはクラスターを形成する傾向があります。リン脂質の親水性領域は、細胞の外側と内側の両方で水や他の極性分子と水素結合を形成します。したがって、細胞の内側および外側に面する膜の表面は親水性です。対照的に、細胞膜の内部は疎水性であり、水と相互作用しません。それゆえ、リン脂質は、細胞内の液体を細胞外の液体から分離する優れた二層の細胞膜を形成します。

リン脂質分子(図5.3)は、炭素1と炭素2に結合した2つの脂肪酸分子と、3番目の炭素に結合したリン酸含有基を持つ3炭素グリセロール骨格からなります。この配置は、分子全体に対して、極性または負電荷を有する頭部領域(リン酸含有基)と、電荷を有さない尾部領域(2つの脂肪酸)とを与えます。頭部は水素結合を形成することができますが、尾部はできません。科学者は、正または負に帯電した領域と、帯電していない、または無極性の領域を持つ分子のことを、両親媒性または「二重親性」と呼びます。

図5.3 | 親水性の頭部と2つの疎水性の尾部がこのリン脂質分子を構成します。親水性頭部基は、グリセロール分子に結合したリン酸含有基からなります。それぞれが飽和または不飽和脂肪酸を含む疎水性尾部は、長い炭化水素鎖です。

この特性は原形質膜の構造に不可欠です。なぜなら、水中では、リン脂質は疎水性の尾部が互いに向き合い、親水性の頭が外側に向くようにして配置されるためです。このようにして、それらは脂質二重層を形成します。脂質二重層とは、一方の側の水や他の物質を他方の側の水や他の物質から分離するような二重の層になったリン脂質の障壁です。水溶液中で加熱されたリン脂質は、通常、自発的に小さな球または小滴(ミセルまたはリポソーム)を形成し、それらの親水性の頭部が外側を形成し、それらの疎水性の尾部が内側に向きます(図5.4)。

図5.4 | 水溶液中では、リン脂質は通常、極性の頭部が外側を向き、疎水性の尾部が内側を向くように配置されています。(credit: modification of work by Mariana Ruiz Villareal)

タンパク質

タンパク質は原形質膜の第2の主成分を構成します。内在性タンパク質、またはインテグリンは、その名前が示すように、膜構造に完全に組み込まれ、それらの疎水性の膜貫通領域はリン脂質二重層の疎水性領域と相互作用します(図5.2)。1回膜貫通型の内在性膜タンパク質は通常、20~25個のアミノ酸からなる疎水性の膜貫通セグメントを持っています。あるものは膜の一部のみにまたがっており(単一の層と関連しています)、他のものは一方の側から他方の側に伸びていて、どちらの側にも露出しています。最大12個の単一のタンパク質セグメントがいくつかの複雑なタンパク質を構成しており、それらは縦横に折り畳まれて膜に埋め込まれています(図5.5)。このタンパク質タイプは、親水性領域(1つまたは複数)、および1つまたは複数のやや疎水性の領域を有します。タンパク質領域のこの配置は、タンパク質をリン脂質のそばに配向させ、タンパク質の疎水性領域はリン脂質の尾部に隣接し、タンパク質の親水性領域は膜から突き出てサイトゾルまたは細胞外液と接触します。

図5.5 | 内在性膜タンパク質は、膜を貫通する1つまたは複数のα-ヘリックスを持つ場合があり(例1および2)、あるいは膜を覆うβ-シートを持つ場合があります(例3)。(credit: “Foobar”/Wikimedia Commons)

表在性タンパク質は、膜の外表面および内表面上にあり、内在性タンパク質またはリン脂質のいずれかに付着しています。表在性タンパク質は、内在性タンパク質とともに、酵素として、細胞骨格の線維に対する構造的な付加物として、または細胞の認識部位の一部として機能することができます。科学者たちはこれらを「細胞特異的」タンパク質と呼ぶことがあります。体は自分自身のタンパク質を認識し、侵入してきた病原体に関連する外来のタンパク質を攻撃します。

炭水化物

炭水化物は、3番目の主要な原形質膜の成分です。それらは常に細胞の外表面にあり、タンパク質(糖タンパク質を形成する)または脂質(糖脂質を形成する)のいずれかに結合しています(図5.2)。これらの炭水化物鎖は2~60個の単糖のユニットで構成され、直鎖でも分岐鎖でもかまいません。炭水化物は、表在性タンパク質と共に、細胞が互いに認識できるようにする特殊な部位を細胞表面上に形成します。これらの部位は細胞認識を可能にする独特のパターンを持っています。それは、それぞれの人に特有の顔の特徴によって個人が彼または彼女を認識することが可能になる方法とほとんど同じです。この認識機能は、免疫系が体細胞(「自己」)と外来細胞または外来組織(「非自己」)とを区別することを可能にするので、細胞にとって非常に重要です。同様の糖タンパク質や糖脂質のタイプがウイルスの表面にもあり、頻繁に変化して、免疫細胞がそれらを認識し攻撃するのを妨げることがあります。

私たちは、細胞の外表面上のこれらの炭水化物(すなわち糖タンパク質と糖脂質の両方の炭水化物成分)をグリコカリックス(「シュガーコーティング・糖衣」を意味します)と総称します。グリコカリックスは親水性が高く、細胞の表面に大量の水を引き付けます。これは、細胞とその水の多い環境との相互作用や、細胞が水に溶解した物質を得る能力を助けます。私たちが上述したように、グリコカリックスは細胞同定、自己/非自己決定、および胚の発生にとっても重要であり、そして組織を形成するための細胞間接着において使用されます。

進化へのつながり

いかにしてウイルスは特定の器官に感染するか

細胞表面の糖タンパク質と糖脂質のパターンは、多くのウイルスに感染の機会を与えます。HIVや肝炎ウイルスは人体の特定の器官や細胞にのみ感染します。HIVは、Tヘルパー細胞と呼ばれるリンパ球の亜型、およびいくつかの単球や中枢神経系細胞の原形質膜を透過することができます。肝炎ウイルスは肝細胞を攻撃します。

これらのウイルスはそれらの細胞に侵入することができます。なぜならその細胞は、その表面に、特定のウイルスに特異的であり、ウイルスと適合する結合部位を持つからです(図5.6)。ウイルスの表面上の他の認識部位は人間の免疫系と相互作用して、体に抗体を産生させます。抗体は、侵入してきた病原体に関連する抗原またはタンパク質に応答して、あるいは臓器移植で生じる可能性があるような外来細胞に応答して作製されます。これらの同じ部位は、抗体が付着し、ウイルスの活性を破壊または阻害するための場所としても機能します。残念なことに、これらのHIV上の認識部位は突然変異のために急速な速度で変化し、ウイルスが進化し適応するにつれて、ウイルスに対する効果的なワクチンを作ることを非常に困難にします。HIVに感染した人は、これらの認識部位の違いによって区別されるウイルスの異なる個体群、または変種をすぐに生じさせるでしょう。表面マーカーのこの急速な変化によって、抗体が表面パターンの新しい変化を認識しなくなるため、ウイルスを攻撃する際の人間の免疫システムの有効性を減少させます。HIVの場合、ウイルスが免疫反応に関与する細胞に特異的に感染して破壊し、さらに宿主を無力化させるので、問題はさらに悪化します。

図5.6 | HIVはT細胞表面の糖タンパク質であるCD4受容体に結合します。(credit: modification of work by NIH, NIAID)

膜の流動性

膜のモザイク特性は、その性質を説明するのに役立ちます。内在性タンパク質および脂質は、分離しているもののゆるく付着した分子として膜の中に存在します。これらはモザイク画における別々になった色とりどりのタイルに似ています。そして、それらは浮いており、互いに関していくらか動きます。しかしながら、この膜は膨張したり収縮したりすることができる風船のようなものではなく、むしろそれはかなり硬く、貫通されたり、細胞が多すぎる水を取り込んだりすると破裂することがあります。しかしながら、そのモザイク性のために、非常に細い針であればそれを破裂させることなく原形質膜を容易に貫通することができ、そして針を引き抜くときには膜が流動して自己で密封します。

膜のモザイク特性は、その流動性のすべてではなく一部を説明しています。この流動特性を維持するのに役立つ他の2つの要因があります。1つの要因は、リン脂質自体の性質です。リン脂質尾部の脂肪酸は、その飽和した形態においては、結合水素原子で飽和しています。隣接する炭素原子間に二重結合はありません。これにより、尾部が比較的まっすぐになります。対照的に、不飽和脂肪酸は最大数の水素原子を含むことはなく、それらは隣接する炭素原子間にいくらかの二重結合を含みます。二重結合により、炭素のつながりに約30度の屈曲が生じます(図5.3)。

したがって、もし温度が下がって直線的に伸びた尾部を持つ飽和脂肪酸を圧縮すると、それらはお互いに押し合って、緻密でかなり硬い膜ができます。もし不飽和脂肪酸が圧縮されると、それらの尾部の「屈曲」が隣り合うリン脂質分子を遠ざけ、リン脂質分子間の空間をある程度維持します。この「ゆとり」は、リン脂質中に飽和脂肪酸の尾部を有する膜が「凍結」または固化するような温度でも、膜内の流動性を維持するのを助けます。膜の相対的な流動性は寒い環境では特に重要です。寒い環境では通常、飽和脂肪酸を主成分とする膜は圧縮されるため、流動性が低下し、破裂しやすくなります。多くの生物(魚類はその一例です)は、低温に反応してそれらの膜中の不飽和脂肪酸の割合を変えることによって、寒い環境に適応することができます。

学習へのリンク

膜の流動性とモザイク性質のアニメーションを見るためには、このサイト(http://openstaxcollege.org/l/biological_memb)にアクセスしてください。

動物は流動性を維持するのを助ける追加の膜の構成要素を持っています。膜中のリン脂質と並んでいるコレステロールは、膜に対する温度の効果を弱める傾向があります。したがって、この脂質は緩衝剤として機能し、より低い温度が流動性を妨げるのを防ぐとともに、温度が上昇して流動性が過度に上昇するのも防ぎます。したがって、コレステロールは、膜が適切に流動的であり、そしてその結果として機能的であるような温度範囲を両方向に広げます。コレステロールはまた、膜貫通タンパク質のクラスターを脂質ラフトに組織化するなどの他の機能も果たします。

表5.1

キャリアへのつながり

免疫学者

細胞の認識部位に影響を与える表在性タンパク質や炭水化物のバリエーションは、免疫学において主要な興味の対象となっています。研究者は、ワクチンの開発によって天然痘、ポリオ、ジフテリア、破傷風などの多くの感染症を克服することができました。

免疫学者は、ワクチンを研究開発し、アレルギーまたは他の免疫の問題を治療および研究する医師および科学者です。免疫学者の中には、自己免疫の問題(狼瘡などの人間の免疫系が自分の細胞または組織を攻撃する疾患)や、後天性(後天性免疫不全症候群、つまりAIDSなど)または遺伝性(重症複合免疫不全、つまりSCIDなど)の免疫不全を研究し治療する人もいます。免疫学者はまた、人々の体が移植された臓器を拒絶しないように免疫システムを抑制しなければならない臓器移植患者を治療するのを助けます。免疫学者の中には、自然免疫とそれに対する人間の環境の影響を理解するために働く人もいます。免疫系ががんなどの病気にどのように影響するかについての質問に取り組む人たちもいます。過去において、研究者たちはがんを予防する上で健康的な免疫系を持つことの重要性を理解していませんでした。

免疫学者として働くためには、博士号(PhD)または医学博士号(MD)を取得しなければなりません。さらに、免疫学者は認定プログラムで少なくとも2~3年間の訓練を受け、全米アレルギー免疫学会の試験に合格しなければなりません。免疫学者は、予防接種を超えた問題に関連しているため、人体の機能についての知識、および薬理学や医療技術(投薬、治療法、試験材料、外科手術など)に関する知識を持っていなければなりません。

5.2 | 受動輸送

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•受動輸送が発生する理由と方法を説明する
•浸透と拡散のプロセスを理解する
•等張性と、その受動輸送との関連性とを定義する

原形質膜は、特定の物質が細胞に出入りすることを可能にし、いくつかの有害な物質が入ってきたり、いくつかの重要な物質が出て行ってしまったりするのを防がなければなりません。言い換えれば、原形質膜は選択的に透過性があるもの、つまり、それはいくつかの物質を通過させるが他は通過させないものです。もし原形質膜がこの選択性を失うならば、細胞はもはやそれ自身を維持することができず、そして細胞は破壊されるでしょう。細胞によっては大量の特定の物質を必要とします。そのような細胞は、細胞外液からこれらの物質を得る方法を持たなければなりません。特定の物質が行ったり来たりしているときには、これは受動的に起こるかもしれません。あるいは、細胞は輸送を容易にする特別なメカニズムを持つかもしれません。いくつかの物質は細胞にとって非常に重要であるので、細胞はそれらの物質を得るためにアデノシン三リン酸(ATP)を加水分解してそのエネルギーのいくらかを消費します。赤血球はまさにそれをするために自身のエネルギーのいくらかを使います。大部分の細胞は、細胞の内側と外側との間でのナトリウムおよびカリウムイオンの不均衡を維持するためや、タンパク質合成のために、細胞のエネルギーの大部分を費やします。

膜輸送の最も直接的な形態は、受動輸送です。受動輸送は自然に起こる現象であり、この運動を達成するために細胞がそのエネルギーのいくらかを用いることを必要としません。受動輸送では、物質はより高濃度の領域からより低濃度の領域へと移動します。単一の物質の濃度に範囲がある物理的空間は濃度勾配を有しています。

選択的透過性

原形質膜は非対称的です:膜の内部はその外部と同一ではありません。リン脂質の配列と膜を形成する2つの層の間のタンパク質との間にはかなりの違いがあります。膜の内側では、いくつかのタンパク質が膜を細胞骨格の線維に固定するのに役立ちます。膜の外側には細胞外基質の要素を結合する表在性タンパク質があります。脂質またはタンパク質に結合した炭水化物もまた、原形質膜の外表面にあります。これらの炭水化物複合体は、細胞が細胞外液中の必要な物質と結合するのを助けます。これは、原形質膜の選択性をかなり高めます(図5.7)。

図5.7 | 原形質膜の外表面は、その内表面と同一ではありません。

原形質膜は両親媒性であることを思い出してください:それらは親水性の領域と疎水性の領域を持っています。この特性は、膜を通していくつかの物質を動かすのを助けますが、他の物質の動きは妨げます。低分子量の無極性で脂溶性の物質は、膜の疎水性脂質コアを容易に通過することができます。脂溶性ビタミンA、D、E、Kなどの物質は、消化管や他の組織の原形質膜を容易に通過します。脂溶性の薬やホルモンもまた、細胞へ容易に侵入し、体内の組織や器官へと容易に運ばれます。酸素分子および二酸化炭素分子は電荷を持たず、単純な拡散によって膜を通過します。

極性物質は膜に対して問題を提起します。いくつかの極性分子は細胞の外側と容易に結合しますが、それらは原形質膜の脂質コアを容易に通過することができません。さらに、小さなイオンは膜のモザイク内の空間に容易に滑り込むことができるはずですが、それらのイオンが持つ電荷はイオンがそうすることを妨げます。ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物などのイオンには、原形質膜を透過するための特別な手段がなければなりません。単糖およびアミノ酸もまた、原形質膜を横切ってそれら自身を輸送するためにさまざまな膜貫通タンパク質(チャネル)の助けを必要とします。

拡散

拡散は受動的な輸送プロセスです。ある単一の物質は、濃度が空間にわたって等しくなるまで、高濃度領域から低濃度領域へと移動します。あなたは物質の空気中への拡散のことをよく知っています。たとえば、だれかが人でいっぱいの部屋でアンモニアのボトルを開いたところを考えてみましょう。アンモニアガスはボトル内で最高の濃度です。また、部屋の端でその濃度は最も低くなります。アンモニアガスはボトルから拡散、つまり遠くに広がっていき、次第にアンモニアが広がるにつれて、どんどん多くの人々が臭いを感じるようになります。物質は拡散によって細胞のサイトゾル内を移動し、特定の物質は拡散によって原形質膜を通過します(図5.8)。拡散はエネルギーを消費しません。逆に、濃度勾配はポテンシャルエネルギーの一形態であり、それは勾配がなくなるにつれて散逸します。

図5.8 | 透過膜を通過する拡散は、物質を高濃度領域(この場合は細胞外液)からその濃度勾配を下るように(細胞質内へと)移動させます。(credit: modification of work by Mariana Ruiz Villareal)

細胞外液など、媒質中のそれぞれの物質は、他の物質の濃度勾配とは無関係に、それ自身の濃度勾配を持っています。さらに、それぞれの物質はその勾配に従って拡散します。ある系の中では、媒質中のさまざまな物質の拡散速度が異なります。

拡散に影響を与える要因

分子は、それらの質量、それらの環境、およびそれらが有する熱エネルギーの量に基づく速度で、ランダムな方法で絶えず動きます。そしてその速度は、温度の関数となります。この動きは、それらが局在しているあらゆる媒質を通しての分子拡散を説明します。ある物質は、それが全体に均等に分布するまで、その物質が利用可能な空間へと移動していきます。物質が空間を通って完全に拡散してその濃度勾配を取り除いた後でも、分子はまだ空間内を動き回りますが、ある領域から別の領域への分子の数の正味の移動はありません。私たちは、物質の正味の移動を伴わない濃度勾配の欠如のことを、動的平衡と呼びます。物質の濃度勾配があると拡散は進行しますが、拡散速度にはいくつかの要因が影響します。

•濃度勾配の度合:濃度の差が大きいほど、拡散は速くなります。物質の分布が平衡に近づくほど、拡散速度はゆっくりになります。

•拡散する分子の質量:重い分子ほど動きが遅くなります。したがって、それらはよりゆっくりと拡散します。より軽い分子にはその逆が当てはまります。

•温度:温度が高いとエネルギーが上がり、したがって分子の動きが早くなり、拡散速度が上がります。より低い温度は分子のエネルギーを減少させ、従って拡散速度を減少させます。

•溶媒密度:溶媒の密度が増加すると、拡散速度は低下します。分子はより密度の高い媒質を通過するのが困難になるため、速度が低下します。もし媒質の密度が低いならば、拡散は増加します。細胞は細胞質内で物質を移動させるために主に拡散を使用するので、細胞質の密度が増加すると物質の移動が阻害されます。これの例は脱水を経験している人です。体の細胞が水分を失うと、細胞質内での拡散速度が低下し、細胞の機能が低下します。ニューロンはこの効果に非常に敏感です。脱水はしばしば細胞内の拡散速度の低下のために意識不明およびおそらく昏睡状態をもたらします。

•溶解度:私たちが前述したように、無極性または脂溶性の物質は極性物質よりも原形質膜を通過しやすく、拡散速度が速くなります。

•表面積と原形質膜の厚さ:表面積を大きくすると拡散速度が速くなります。一方、より厚い膜は拡散速度を減らします。

•移動距離:物質が移動しなければならない距離が長いほど、拡散速度は遅くなります。これは細胞のサイズに上限を設けます。大きな球形の細胞は、栄養素や廃棄物がそれぞれ細胞の中心に到達したりそこから出たりすることができないために死滅するでしょう。したがって、細胞は、多くの原核生物の場合のようにサイズが小さいか、または多くの単細胞真核生物の場合のように平らにされていなければなりません。

濾過のプロセスは、拡散の変形です。濾過では、物質はその濃度勾配に従って膜を通って移動します。時には圧力が拡散速度を高め、物質をより急速に濾過させます。これは腎臓で起こり、そこでは血圧が大量の水とそれに付随する溶解物質、すなわち溶質を血液から腎尿細管に押し出します。この場合における拡散速度はほぼ完全に圧力に依存します。高血圧の影響の1つは尿の中にタンパク質が出現することです。そして、それは異常に高い血圧が「絞りだした」ものです。

促進輸送

促進輸送または促進拡散においては、物質は膜タンパク質の助けを借りて原形質膜を横切って拡散します。これらの物質が細胞エネルギーを消費することなく細胞内へと拡散するような濃度勾配が存在します。しかしながら、これらの物質は細胞膜の疎水性部分によってはじかれる極性分子イオンです。促進輸送タンパク質は、膜の反発力からこれらの物質を保護し、それらが細胞内に拡散することを可能にします。

輸送される物質は、最初に原形質膜の外表面上のタンパク質または糖タンパク質受容体に付着します。これにより、細胞が必要とする物質を細胞外液から引きはがすことが可能になります。それから物質は、それらの通過を促進する特定の内在性タンパク質へと受け渡されます。これらの内在性タンパク質のいくつかは、リン脂質二重層を通る細孔またはチャネルを形成するβ-プリーツシートの集合体です。他のものは物質と結合し、膜を通しての拡散を助ける担体タンパク質です。

チャネル

促進輸送に関与する内在性タンパク質は輸送タンパク質であり、それらは物質のためのチャネルまたは担体のいずれかとして機能します。両方の場合において、それらは膜貫通タンパク質です。チャネルは輸送される物質に固有のものです。チャネルタンパク質は、細胞内液および細胞外液にさらされる親水性ドメインを有します。さらに、それらは、そのコアを通る親水性チャネルを有し、それは膜層を貫通する水和した開口部を提供します(図5.9)。チャネルを通過することにより、極性化合物は、そうでなければ細胞へのそれらの進入を遅くするかまたは妨げるであろう原形質膜の無極性の中央部の層を回避することが可能になります。アクアポリンは、水が膜を非常に速い速度で通過することを可能にするチャネルタンパク質です。

図5.9 | 促進輸送は物質をその濃度勾配に沿って移動させます。物質は、チャネルタンパク質の助けを借りて原形質膜を通過することができます。(credit: modification of work by Mariana Ruiz Villareal)

チャネルタンパク質は常に開いているか、またはチャネルの開口部を制御するような「ゲート」がつけられています。特定のイオンがチャネルタンパク質に結合すると、それが開口を制御することがあり、または他の機構もしくは物質が関与することもあります。いくつかの組織では、ナトリウムと塩化物イオンは開いたチャネルを自由に通過します。一方、他の組織では通過を可能にするためにゲートが開かなければなりません。これの例は腎臓で起こります。そこでは腎尿細管の異なった部分に両方のチャネルの形態があります。神経細胞や筋肉細胞など、電気インパルスの伝達に関与する細胞は、その膜内にナトリウム、カリウム、カルシウムのためのゲートがつけられたチャネルを有しています。これらのチャネルを開閉すると、膜を挟んだ両側のこれらのイオンの相対濃度が変化し、その結果、膜に沿った電気的な伝達(神経細胞の場合)や筋肉収縮(筋肉細胞の場合)が促進されます。

担体タンパク質

原形質膜に埋め込まれた別の種類のタンパク質は担体タンパク質です。この適切に命名されたタンパク質は物質と結合し、そしてそれ自身の形状の変化を引き起こし、結合した分子を細胞の外側からその内側へと移動させます(図5.10)。勾配に応じて、物質は反対方向に移動することがあります。担体タンパク質は典型的には単一の物質に特異的です。この選択性は、原形質膜の全体的な選択性に付け加えられます。科学者たちは形状の変化の正確なメカニズムをよく理解していません。タンパク質は水素結合が影響を受けると形を変えることができますが、それはこのメカニズムを完全に説明するものではないかもしれません。それぞれの担体タンパク質は1つの物質に特異的であり、そしてどんな膜の中でも有限の数のこれらのタンパク質があります。これは、細胞が適切に機能するのに十分な物質を輸送する際に問題を引き起こすことがあります。全てのタンパク質がそれらのリガンドと結合していると、それらは飽和し、輸送速度は最大になります。この時点で濃度勾配を増加させても輸送速度は増加しません。

図5.10 | いくつかの物質は担体タンパク質の助けを借りて原形質膜を横切ってそれらの濃度勾配を下るように移動することができます。担体タンパク質は、それらが膜を横切って分子を動かす際に形状を変えます。(credit: modification of work by Mariana Ruiz Villareal)

このプロセスの例は腎臓で起こります。一部では、腎臓は、体が必要とするグルコース、水、塩、イオン、およびアミノ酸を濾過します。グルコースを含むこの濾液は、腎臓の他の部分に再吸収されます。グルコース用の担体タンパク質は限られた数しかないので、もしタンパク質が処理できるよりも多くのグルコースが存在すると、過剰分は輸送されず、体は尿を通してこれを排泄します。糖尿病患者では、「尿の中にグルコースがあふれる」という用語が使用されています。体内で原形質膜を通してグルコースや他のヘキソース糖を輸送する際には、別のグループの担体タンパク質、つまりグルコース輸送タンパク質(GLUT)が関係します。

チャネルタンパク質と担体タンパク質は異なる速度で物質を輸送します。チャネルタンパク質は、担体タンパク質よりもはるかに速く輸送します。チャネルタンパク質は、1秒間に数千万個の分子という速度で拡散を促進します。一方、担体タンパク質は、1秒間に1000個から100万個の分子という速度で作用します。

浸透

浸透は、膜を横切る水の濃度勾配にしたがって半透膜を通る水の移動です。水の濃度勾配は、溶質の濃度に反比例します。拡散は膜を横切るように、または細胞内で物質を輸送しますが、浸透は膜を横切って水だけを輸送し、そして膜が水中の溶質の拡散を制限します。驚くことではありませんが、水の移動を促進するアクアポリンは浸透において大きな役割を果たし、それは赤血球および腎尿細管の膜において最も顕著です。

メカニズム

浸透は拡散の特殊なケースです。水は、他の物質と同様に高濃度の領域から低濃度の領域へと移動します。明らかな問題は、そもそも何が水を動かすのかということです。両側または両半分を分離するような半透膜を備えたビーカーを想像してください(図5.11)。膜の両側で水位は同じですが、膜を通過することができない溶解された物質、すなわち溶質の濃度が異なります(膜を通過することができるならば、溶質は膜を通過して両側の濃度のバランスをとるでしょう)。もし膜の両側の溶液の体積が同じで、溶質の濃度が異なる場合には、膜の両側には異なる量の水、つまり溶媒があります。

図5.11 | 浸透では、水は常に高濃度の水の領域から低濃度の水の領域へと移動します。この図では、溶質は選択的な透過膜を通過できませんが、水は通過できます。

これを説明するために、2つの水でいっぱいになったコップを想像してください。1つ目のコップには、その中に小さじ1杯の砂糖が入っています。一方、2番目のコップには、コップ4分の1杯分の砂糖が含まれています。両方のコップの溶液の合計の体積が同じであれば、どちらのコップにより多くの水が入っているでしょうか?2つ目のコップの砂糖の量が多く、1つ目のコップの小さじ1杯の砂糖よりもはるかに多くの空間を占有するため、1つ目のコップにはより多くの水が含まれています。

ビーカーの例に戻ると、膜の両側に溶質の混合物があることを思い出してください。拡散の原理は、分子が動き回り、もし可能であるならば媒質全体に均等に広がるであろうということです。しかしながら、膜を通り抜けることができる材料だけが膜を通って拡散するでしょう。この例では、溶質は膜を通って拡散できませんが、水は拡散できます。この系では水は濃度勾配を有します。したがって、水はその濃度勾配を下るように拡散し、水の濃度が低い側へと膜を横切ります。膜を通るこの水の拡散 — 浸透 — は、水の濃度勾配がゼロになるまで、または水の静水圧が浸透圧と釣り合うまで続きます。浸透は生物系において絶えず進行しています。

等張性

等張性とは、細胞外溶液が浸透に影響を与えることによって細胞の体積をどのように変化させることができるかを表しています。溶液の等張性は、しばしば溶液のオスモル濃度と直接相関します。オスモル濃度は、溶液の合計の溶質濃度を表します。オスモル濃度が低い溶液は、溶質粒子の数に比べてより多くの数の水分子を有します。高いオスモル濃度を有する溶液は、溶質粒子に対してより少ない水分子を有します。溶質に対して透過性はないが水に対して透過性がある膜が2つの異なるオスモル濃度を分離している状況では、水は、膜のオスモル濃度が低い(そして水が多い)側から、オスモル濃度が高い(そして水の少ない)側へと移動します。もしあなたが、溶質は膜を横切って動くことができず、したがって系内で動くことができる唯一の成分(水)がそれ自体の濃度勾配に沿って動くということを覚えているならば、この効果は理にかなっています。生物系に関連する重要な違いは、オスモル濃度が溶液中の粒子(分子かもしれません)の数を測定するということです。したがって、細胞で濁っている溶液と透明な溶液とを比べた場合でも、第2の溶液に含まれる溶解した分子が第1の溶液にある細胞よりも多い場合、細胞で濁っている溶液は、透明な溶液よりもオスモル濃度が低い可能性があります。

低張溶液

科学者は、細胞のオスモル濃度と細胞を含む細胞外液のオスモル濃度とを関連付けるために、低張(ハイポトニック)、等張(アイソトニック)、および高張(ハイパートニック)という3つの用語を使用します。低張状態では、細胞外液は細胞内の液体よりもオスモル濃度が低く、水が細胞に入ります。(生物系では、基準点は常に細胞質であるため、接頭辞のハイポ(hypo-)は細胞外液が細胞質よりも溶質濃度が低い、またはオスモル濃度が低いことを意味します。)それはまた、細胞外液が細胞よりも溶液中の水分濃度が高いことを意味します。この状況では、水はその濃度勾配に従って細胞に入ります。

高張溶液

高張溶液に関しては、接頭辞のハイパー(hyper-)は細胞外液が細胞の細胞質より高いオスモル濃度を有することを指します。したがって、その液体は細胞よりも少ない水分を含みます。細胞は比較的高い水分濃度を有するため、水は細胞から出ます。

等張溶液

等張溶液では、細胞外液は細胞と同じオスモル濃度を有します。細胞のオスモル濃度が細胞外液のオスモル濃度と一致する場合には、細胞の内外への水の正味の移動はありませんが、水は依然として内外に移動しています。高張溶液、等張溶液、低張溶液中の血球と植物細胞は特徴的な外観を呈します(図5.12)。

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図5.12 | 浸透圧は、高張溶液、等張溶液、低張溶液の中の赤血球の形状を変化させます。(credit: Mariana Ruiz Villareal)

ある医師が、等張食塩水だと考えているものを患者に注射しました。患者は死亡し、検視解剖により多くの赤血球が破壊されたことが明らかになりました。あなたは医師が注射した溶液が本当に等張溶液だったと思いますか?

学習へのリンク

溶液中における拡散プロセスを説明するビデオについては、このサイト(http://openstaxcollege.org/l/dispersion)を参照してください。

生物系の等張性

低張環境では、水が細胞に入り、細胞は膨張します。等張条件では、相対的な溶質と溶媒の濃度は膜の両方の側で等しくなります。正味の水の動きはありません。したがって、細胞のサイズは変わりません。高張溶液では、水が細胞を出て細胞が収縮します。もし低張状態または高張状態のどちらかが過剰になると、細胞の機能が損なわれ、細胞が破壊される可能性があります。

赤血球は、原形質膜の膨張能力を超えて膨潤すると破裂または溶解します。膜はそれを構成する分子間に離散的な空間を持つモザイクに似ていることを思い出してください。もし細胞が膨張し、脂質とタンパク質の間のスペースが大きくなりすぎると、細胞はバラバラになります。

対照的に、過剰な量の水分が赤血球を離れると、この細胞は収縮するか、または丸い鋸の歯状になります。これは、細胞内に残された溶質を濃縮し、サイトゾルをより濃くし、そして細胞内での拡散を妨害するという効果を有します。細胞が機能する能力は損なわれ、細胞の死にもつながる可能性があります。

さまざまな生物が浸透の影響を制御する方法を持っています。私たちはそのメカニズムのことを浸透圧調節と呼びます。植物、菌類、細菌、および原生生物などのいくつかの生物は、原形質膜を囲み、低張溶液中での細胞溶解を防ぐ細胞壁を有します。原形質膜は細胞壁の限界までしか拡大できないため、細胞は溶解しません。植物の細胞質は、細胞の環境に対して常にわずかに高張性であり、もし水が利用可能であれば、水は常に細胞内に入ります。この水の流入によって膨圧が発生し、それが植物の細胞壁を硬くします(図5.13)。非木本性の植物では、膨圧が植物を支えます。逆に、もしあなたが植物に水をやらないと、細胞外液が高張性になり、細胞から水が出ます。この状態では、細胞壁が柔軟ではないため、細胞は収縮しません。しかしながら、細胞膜は細胞壁から剥がれ、細胞質を収縮させます。私たちはこれを原形質分離と呼びます。この状態では植物は膨圧を失い、しおれます(図5.14)。

図5.13 | 植物細胞内の膨圧は、それが浸されている溶液の等張性に依存します。(credit: modification of work by Mariana Ruiz Villareal)
図5.14 | 十分な水がないため、左側の植物は膨圧を失い、目に見えてしおれています。植物に水をやる(右)と、膨圧が回復します。(credit: Victor M. Vicente Selvas)

等張性はすべての生物にとっての関心事です。たとえば、細胞壁を持たない原生生物であるゾウリムシとアメーバは、収縮性の液胞を持っています。この小胞は細胞から余分な水分を集めて送り出し、細胞が周囲の環境から水分を取り込む際に細胞が溶解するのを防ぎます(図5.15)。

図5.15 | 480倍の倍率で明視野光学顕微鏡を使用して視覚化されたゾウリムシの収縮性液胞は、低張性の媒質の中でこの生物が破裂するのを防ぐために、この生物の体から水を連続的に送り出しています。(credit: modification of work by NIH; scale-bar data from Matt Russell)

多くの海洋無脊椎動物は、その環境に合わせた内部塩分レベルを持っているため、それらが住んでいる水と等張になっています。しかしながら魚類は、浸透圧の恒常性を維持するためにその代謝エネルギーのおよそ5%を費やさなければなりません。淡水魚は、その細胞に対して低張性の環境に住んでいます。これらの魚類はえらを通して積極的に塩分を取り入れて、余分な水分を取り除くために希薄な尿を排泄します。海水魚は、その細胞に対して高張性であるという逆の環境に住んでおり、そしてそれらはえらを通して塩を分泌しそして高濃度の尿を排泄します。

脊椎動物では、腎臓が体内の水分量を調節します。浸透圧受容器は、血中の溶質濃度を監視する脳内の特殊な細胞です。もし溶質レベルが一定の範囲を超えて増加すると、ホルモンが放出され、腎臓からの水分の喪失が遅くなり、血液がより安全なレベルへと希釈されます。動物はまた、肝臓が産生するアルブミンをその血液中に高濃度で有します。このタンパク質は原形質膜を容易に通過するには大きすぎるものであり、組織にかかる浸透圧を制御する際における主要な因子です。

5.3 | 能動輸送

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•電気化学的勾配がどのようにしてイオンに影響を与えるかを理解する
•一次性能動輸送と二次性能動輸送を区別する

能動輸送の機構は、通常アデノシン三リン酸(ATP)の形態で細胞のエネルギーを必要とします。もしある物質がその濃度勾配に反して細胞内に移動しなければならない場合、すなわち、もし細胞内でのその物質の濃度が細胞外液中のその濃度より高い場合(およびその逆)には、細胞は物質を移動するためにエネルギーを使用しなければなりません。いくつかの能動輸送機構は、イオンのような小分子量の物質を膜を通して移動させます。他の機構ははるかに大きい分子を輸送します。

電気化学的勾配

私たちはここまで単純な濃度勾配 — 空間または膜を横切る物質の濃度差 — について論じてきましたが、生物系では、勾配はもっと複雑なものです。イオンが細胞を出入りして移動するため、また細胞には、膜を横切って移動せずほとんどが負に帯電しているタンパク質が含まれるため、そこには原形質膜を横切るような電気的な勾配、つまり電荷の差もあります。生物の細胞の内部は、それらが浸されている細胞外液に対して電気的に陰性であり、同時に、細胞は細胞外液よりも高濃度のカリウム(K⁺)および低濃度のナトリウム(Na⁺)を有します。したがって、生物の細胞では、Na⁺の濃度勾配はそれを細胞内に追いやる傾向があり、その電気的勾配(陽イオン)もまたそれを負に帯電した内部へむけて内側に追いやります。しかしながら、カリウムのような他の元素にとっては状況はより複雑です。陽イオンであるK⁺の電気勾配もまたそれを​​細胞内へと追いやりますが、K⁺の濃度勾配は細胞外にK⁺を追い出します(図5.16)。私たちは、イオンに影響を与えるような濃度勾配と電荷とを組み合わせたものを、その電気化学的勾配と呼びます。

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図5.16 | 電気化学的勾配は、濃度勾配と電気的勾配の複合効果から生じます。Aと表示された構造はタンパク質を表します。(credit: “Synaptitude”/Wikimedia Commons)

カリウム溶液を人の血液に注入するのは致命的です。これが死刑と安楽死の対象者が死ぬ方法です。カリウム溶液の注射が致命的なのはなぜだと思いますか?

勾配に逆らって移動する

濃度勾配または電気化学的勾配に逆らって物質を移動させるには、細胞はエネルギーを使用しなければなりません。このエネルギーは細胞の代謝によって作り出されるATPから来ます。能動輸送の機構、あるいはポンプは、電気化学的勾配に逆らって作用します。小さな物質は常に原形質膜を通過しています。能動輸送は、これらの受動的な動きにもかかわらず、生物の細胞が必要とするイオンおよび他の物質の濃度を維持します。細胞はこれらのプロセスを維持するためにその代謝エネルギー供給の多くを費やすかもしれません。(赤血球はその代謝エネルギーの大部分を使用して、細胞が必要とするナトリウムとカリウムの内外レベルの不均衡を維持します。)能動輸送の機構はエネルギーを細胞の代謝に依存しているため、それらはATPの供給を阻害する多くの代謝毒に影響されやすくなります。

小分子量の物質および小さな分子を輸送するための2つの機構が存在します。一次性能動輸送は膜を横切ってイオンを移動させ、その膜を横切る電荷の差を生じさせます。これはATPに直接依存します。二次性能動輸送はATPを直接必要としません。代わりに、それは一次性能動輸送によって確立された電気化学的勾配による材料の移動です。

能動輸送用の担体タンパク質

能動輸送のために重要な膜の適応は、移動を容易にするための特定の担体タンパク質またはポンプの存在です。3つのタンパク質のタイプまたは輸送体があります(図5.17)。単輸送体は1つの特定のイオンまたは分子を運びます。共輸送体は、2つの異なるイオンまたは分子を、両方とも同じ方向に運びます。また、対向輸送体は2つの異なるイオンまたは分子を異なる方向に運びます。これらの輸送体はすべて、グルコースのような小さくて帯電していない有機分子も輸送することができます。これらの3種類の担体タンパク質は拡散も促進していますが、その過程ではATPは機能する必要はありません。能動輸送のためのポンプのいくつかの例は、ナトリウムイオンとカリウムイオンを運搬するNa⁺-K⁺ATPアーゼ、および水素イオンとカリウムイオンを運搬するH⁺-K⁺ATPアーゼです。どちらも対向輸送の担体タンパク質です。他の2つの担体タンパク質はCa²⁺ATPアーゼおよびH⁺ATPアーゼであり、これらはそれぞれカルシウムイオンのみ、および水素イオンのみを運搬します。どちらもポンプです。

図5.17 | 単輸送体は1つの分子またはイオンを運びます。共輸送体は2つの異なる分子またはイオンを両方とも同じ方向に運びます。また、対向輸送体は2つの異なる分子またはイオンを異なる方向に運びます。(credit: modification of work by “Lupask”/Wikimedia Commons)

一次性能動輸送

ナトリウムおよびカリウムの能動輸送とともに機能する一次性能動輸送は、二次性能動輸送を生じさせます。この第2の輸送方法は、一次性の輸送と同様にエネルギーの使用に依存しているため、やはり能動的なものです(図5.18)。

図5.18 | 一次性能動輸送は膜を横切ってイオンを移動させ、電気化学的勾配を生じさせます(起電性輸送)。(credit: modification of work by Mariana Ruiz Villareal)

動物細胞における最も重要なポンプの1つは、ナトリウム-カリウムポンプ(Na⁺-K⁺ATPアーゼ)であり、これは生物の細胞における電気化学的勾配(および正しい濃度のNa⁺とK⁺)を維持します。ナトリウム-カリウムポンプは、移動する2つのK⁺イオンに対して3つのNa⁺という比率で、K⁺を細胞内に移動させると同時にNa⁺を細胞外に移動させます。Na⁺-K⁺ATPアーゼは、2つの形式で存在します。それは、細胞の内側または外側への向き、およびナトリウムイオンまたはカリウムイオンに対する親和性に基づいています。このプロセスは、次の6つのステップで構成されています。

1.酵素が細胞の内部に向いており、担体はナトリウムイオンに対して高い親和性を有します。3つのイオンがタンパク質に結合します。
2.タンパク質担体はATPを加水分解し、低エネルギーのリン酸基がそれに結合します。
3.その結果、担体は形状を変化させ、それ自身を膜の外側に向けます。タンパク質のナトリウムに対する親和性が低下し、3つのナトリウムイオンが担体から離れます。
4.形状変化は、カリウムイオンに対する担体の親和性を増大させ、そして2つのカリウムイオンがタンパク質に付​​着します。その後、低エネルギーのリン酸基が担体から脱離します。
5.リン酸基が除去され、カリウムイオンが付着した状態で、担体タンパク質は自身を細胞の内側に再配置します。
6.担体タンパク質は、その新しい立体配置では、カリウムに対する親和性が低下し、2つのイオンが細胞質に移動します。このタンパク質は今度はナトリウムイオンとの親和性が高くなり、プロセスがもう一度始まります。

このプロセスの結果として、いくつかのことが起こります。この時点で、ナトリウムイオンは細胞の外側のほうが内側よりも多く、カリウムイオンは内側のほうが外側よりも多くなっています。外に出る3つのナトリウムイオンごとに、2つのカリウムイオンが入ります。これにより、内部は外部に対してわずかに負に帯電します。この電荷の違いは、二次性のプロセスに必要な条件を作り出す上で重要です。したがって、ナトリウム-カリウムポンプは、膜を横切る電気的不均衡を生じさせ、膜電位に寄与するような、起電性ポンプ(電荷の不均衡を生じさせるポンプ)となります。

学習へのリンク

ナトリウム-カリウムATPアーゼにおける能動輸送シミュレーションを理解するためにこのビデオ(https://openstax.org/l/Na_K_ATPase)を見てください。

二次性能動輸送(共同輸送)

二次性能動輸送は、ナトリウムイオン、およびおそらく他の化合物を細胞内に運搬します。ナトリウムイオン濃度が一次性能動輸送プロセスのために原形質膜の外側に蓄積するにつれて、これは電気化学的勾配を生じさせます。もしチャネルタンパク質が存在し、それが開いている場合、ナトリウムイオンは膜を通過します。この動きは、それ自身を輸送タンパク質に付​​着させることができる他の物質を、膜を通して輸送します(図5.19)。グルコースだけでなく、多くのアミノ酸がこの方法で細胞に入ります。この二次性のプロセスはまた、ATPを産生するために植物細胞および動物細胞のミトコンドリアに高エネルギー水素イオンを貯蔵します。イオンがチャネルタンパク質のATPシンターゼを通じて急増するにつれて、貯蔵された水素イオンに蓄積したポテンシャルエネルギーが運動エネルギーに変換され、次いでそのエネルギーがADPをATPに変換します。

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図5.19 | 一次性能動輸送が作り出す電気化学的勾配は、他の物質をそれらの濃度勾配に逆らって移動させることができます、科学者はこのプロセスを共同輸送または二次性能動輸送と呼びます。(credit: modification of work by Mariana Ruiz Villareal)

もし細胞の外側のpHが低下したならば、あなたは細胞内に輸送されるアミノ酸の量は増加すると予想しますか?それとも減少すると予想しますか?

5.4 | 総体輸送

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•食作用、飲作用、および受容体媒介エンドサイトーシスを含むエンドサイトーシスを記述する
•エキソサイトーシスの過程を理解する

細胞は、小さなイオンや分子を膜を通して移動させることに加えて、大きな分子や粒子を取り除いたり取り込んだりする必要があります(例として表5.2を参照)。いくつかの細胞は、単細胞の微生物全体を飲み込むことさえ可能です。あなたは、細胞が大きな粒子を取り込んだり放出したりするときには、細胞はエネルギーを必要とすると正しく仮説を立てたかもしれません。しかしながら、大きな粒子は、細胞が供給するエネルギーを用いても、膜を通過することができません。

エンドサイトーシス

エンドサイトーシスは、大きな分子、細胞の一部、さらには細胞全体といった粒子を細胞内に移動させる能動輸送の一種です。エンドサイトーシスにはさまざまなバリエーションがありますが、すべて共通の特徴を共有しています。細胞の原形質膜が陥入し、目標となる粒子の周囲にポケットを形成します。このポケットがちぎれて、その結果、原形質膜によって形成される、粒子を含んだ小胞が新たに細胞の中に生じます。

食作用

食作用(「細胞を食べる」状態)は、細胞が他の細胞または比較的大きな粒子などの大きな粒子を取り込むプロセスです。たとえば、微生物が人体に侵入すると、白血球の一種である好中球がこのプロセスによって侵入者を除去します。好中球は微生物を囲んで飲み込み、その後破壊します(図5.20)。

図5.20 | 食作用では、細胞膜が粒子を取り囲み、それを飲み込みます。(credit: modification of work by Mariana Ruiz Villareal)

食作用に備えて、原形質膜の内向き表面の一部がタンパク質のクラスリンで被覆され、これが膜のこの部分を安定化させます。膜の被覆された部分は細胞の本体から伸びて粒子を囲み、最終的にはそれを包み込みます。粒子を含む小胞が細胞内に封入されると、クラスリンは膜から離れ、小胞はリソソームと融合して新たに形成された区画(エンドソーム)の中で物質を分解します。小胞の内容物の分解から入手可能な栄養素が抽出されると、新しく形成されたエンドソームは原形質膜と融合し、その内容物を細胞外液に放出します。エンドソーム膜はふたたび原形質膜の一部となります。

飲作用

エンドサイトーシスの1つのバリエーションが飲作用です。これは文字通りには「細胞を飲む」という意味であり、1929年にウォーレン・ルイスによって発見されました。このアメリカの発生学者・細胞生物学者は、細胞が意図的に細胞外液を取り込むと彼が仮定した過程を説明しました。実際には、これは細胞が必要とする水を含む分子を細胞外液から取り込むプロセスです。飲作用は食作用よりもはるかに小さい小胞をもたらし、この小胞はリソソームと融合する必要はありません(図5.21)。

図5.21 | 飲作用では、細胞膜が陥入し、少量の液体を取り囲み、ちぎれます。(credit: modification of work by Mariana Ruiz Villareal)

飲作用の変形はポトサイトーシスです。このプロセスは、原形質膜の細胞質側に被覆タンパク質のカベオリンを使用し、これはクラスリンと同様の機能を果たします。液胞を形成する原形質膜の空洞は、カベオリンに加えて膜受容体および脂質ラフトを有します。カベオラの中に形成される液胞または小胞は、飲作用におけるものよりも小さいです。ポトサイトーシスは小分子を細胞内に運び込み、細胞を通してそれらを輸送し、反対側に放出します。このプロセスを私たちはトランスサイトーシスと呼びます。

受容体媒介エンドサイトーシス

標的を持つエンドサイトーシスのバリエーションでは、特定の物質に対して特異的な結合親和性を有するような、原形質膜中の受容体タンパク質を使用します(図5.22)。

図5.22 | 受容体媒介エンドサイトーシスでは、細胞による物質の取り込みは、細胞膜の外表面にある受容体に結合する単一の種類の物質を標的にします。(credit: modification of work by Mariana Ruiz Villareal)

受容体媒介エンドサイトーシスにおいては、食作用における場合と同じように、クラスリンが原形質膜の細胞質側に付着します。もしある化合物の取り込みが受容体媒介エンドサイトーシスに依存しているものの、そのプロセスがきちんと機能しない場合、その物質は組織液または血液から除去されません。その代わりに、その物質はそれらの液体にとどまり、濃度が上がるでしょう。受容体媒介エンドサイトーシスの失敗はいくつかの人間の疾患を引き起こします。たとえば、受容体媒介エンドサイトーシスは、低密度リポタンパク質またはLDL(または「悪玉」コレステロール)を血液から除去します。人間の遺伝病である家族性高コレステロール血症では、LDL受容体は正常に機能しないか完全に失われています。この症状を持つ人々は、細胞がLDL粒子を取り除くことができないため、血液中に致命的なレベルのコレステロールを持っています。

受容体媒介エンドサイトーシスは、通常は細胞外液中に存在する特定の物質を細胞内に持ち込むように設計されていますが、他の物質が同じ部位から細胞内に入り込む可能性があります。インフルエンザウイルス、ジフテリア、およびコレラ毒素はすべて、正常な受容体結合部位と交差反応し、細胞内に侵入する部位を有します。

学習へのリンク

ここで実際の受容体媒介エンドサイトーシスを見て、焦点を絞ったアニメーションについては別の部分(http://openstaxcollege.org/l/endocytosis)をクリックしてください。

エキソサイトーシス

物質を細胞内に移動させるのとは逆のプロセスが、エキソサイトーシスのプロセスです。エキソサイトーシスは、その目的が細胞から細胞外液へと物質を放出することであるという点で、私たちが上記で論じたプロセスの反対のものです。廃棄物は膜に包まれて原形質膜の内側と融合します。この融合により、細胞の外側にある膜状の包みが開き、廃棄物が細胞外の空間に放出されます(図5.23)。エキソサイトーシスを介して分子を放出する細胞の他の例には、細胞外基質のタンパク質分泌およびシナプス小胞によるシナプス間隙への神経伝達物質の分泌が含まれます。

図5.23 | エキソサイトーシスでは、物質を含む小胞が原形質膜と融合します。その後、内容物は細胞の外側に放出されます。(credit: modification of work by Mariana Ruiz Villareal)
表5.2

重要用語

能動輸送:エネルギーを必要とする物質の輸送方法

両親媒性:親水性および疎水性環境の両方と相互作用することができる、極性または帯電領域および無極性または非帯電領域を有する分子

対向輸送体:2つのイオンまたは小分子を異なる方向に運ぶ輸送体

アクアポリン:非常に高い割合で水が膜を通過するようにさせるチャネルタンパク質

担体タンパク質:自身の形状を変えることによって原形質膜を横切って物質を移動させる膜タンパク質

カベオリン:原形質膜の細胞質側を覆い、ポトサイトーシスによる液体取り込みプロセスに関与するタンパク質

チャネルタンパク質:物質がその中空コアを通過することによって細胞膜を横切ることを可能にする膜タンパク質

クラスリン:細胞膜の内側を向いている表面を覆い、食作用のための被覆された陥没のような特殊な構造の形成を助けるタンパク質

濃度勾配:低濃度の領域に隣接する高濃度の領域

拡散:濃度勾配による低分子量物質の受動輸送プロセス

電気化学的勾配:勾配を生み出す電気力と化学力の組み合わせ

起電性ポンプ:電荷の不均衡を生み出すポンプ

エンドサイトーシス:液体や粒子を含む物質を細胞内に移動させる能動輸送の一種

エキソサイトーシス:細胞からかたまりの物質を外に移動させるプロセス

促進輸送:内在性膜タンパク質を用いて物質が(高濃度から低濃度へと)濃度勾配を下るプロセス

流体モザイクモデル:原形質膜の構造を、リン脂質、コレステロール、タンパク質、糖タンパク質、および糖脂質(それぞれタンパク質または脂質に結合した糖鎖)を含む成分のモザイクとして記述したものであり、流動的な性質(流動性)をもたらす

糖脂質:炭水化物と脂質の組み合わせ

糖タンパク質:炭水化物とタンパク質の組み合わせ

親水性:水と結合する能力を有する分子。「水を愛する」

疎水性:水と結合する能力を持たない分子。「水を嫌う」

高張性:細胞外液が細胞内の液体よりもオスモル濃度が高く、細胞外に水分が移動する状況

低張性:細胞外液が細胞内の液体よりもオスモル濃度が低く、水分が細胞内に移動する状況

内在性タンパク質:膜脂質の炭化水素鎖と広範囲に相互作用し、しばしば膜を横切っているような膜構造に組み込まれたタンパク質

等張性:細胞外液が細胞内の液体と同じオスモル濃度を持ち、細胞内外への正味での水の移動がない状況

オスモル濃度:特定の量の溶液に溶解した物質の総量

浸透:半透膜を横切る水の濃度勾配に従った膜を通る水の輸送。半透膜を通過できない溶質の存在から生じる

受動輸送:膜を通した、エネルギーを必要としない物質の輸送方法

表在性タンパク質:原形質膜の外側または内側の表面のいずれかにあるタンパク質

飲作用:細胞が必要とする高分子を細胞外液から取り入れるエンドサイトーシスの1つのバリエーション

原形質分離:植物細胞が高張溶液中にあるときに、細胞膜が細胞壁から分離し、細胞膜が収縮すること

ポトサイトーシス:原形質膜の細胞質側に異なる被覆タンパク質(カベオリン)を使用する飲作用のバリエーション

一次性能動輸送:膜を横切ってイオンまたは小分子を動かし、その膜を横切って電荷に差を生じさせることができる能動輸送

ポンプ:電気化学的勾配に対して作用する能動輸送の機構

受容体媒介エンドサイトーシス:原形質膜において特定の分子または粒子のための特異的な結合タンパク質を使用することと、クラスリン被覆小胞になるクラスリンで被覆された陥没とを含むエンドサイトーシスのバリエーション

二次性能動輸送:一次性能動輸送による電気化学的勾配に起因する物質の移動

選択的透過性:一部の物質を透過させる膜の特性

溶質:液体に溶解して溶液を形成する物質

共輸送体:2つの異なるイオンまたは小分子を両方とも同じ方向に運ぶ輸送体

等張性:溶液中の溶質の量

輸送タンパク質:膜を通過する物質と結合することによって、その通過を促進する膜タンパク質

輸送体:移動を促進する特定の担体タンパク質またはポンプ

単輸送体:1つの特定のイオンまたは分子を運ぶ輸送体

この章のまとめ

5.1 | 成分と構造

現代の科学者は、原形質膜のことを流体モザイクモデルとして言及しています。互いに接触している疎水性の脂肪酸の尾部を有するリン脂質二重層が原形質膜を構成しています。膜の表面上にはタンパク質が散りばめられており、その一部は膜の厚さに及んでいます。これらのタンパク質のいくつかは、細胞内または細胞外へ物質を輸送するのに役立ちます。炭水化物は、膜の外側に面する表面上のいくつかのタンパク質および脂質に付着して、細胞を他の細胞と識別するように機能する複合体を形成します。膜の流動性は、温度、脂肪酸の尾部の配置(いくつかは二重結合によって折れ曲がっています)、膜に埋め込まれたコレステロールの存在、およびタンパク質やタンパク質と炭水化物の組み合わせ(これらは特定の場所にしっかりと固定されてはいません)のモザイク性のためです。原形質膜は細胞を囲み、その境界を規定します。それらは静的ではなく、動的で常に変化しています。

5.2 | 受動輸送

受動輸送の形態、すなわち拡散および浸透は、小分子量の物質を膜を横切って移動させます。物質は高濃度領域から低濃度領域へと拡散し、このプロセスは物質が系内に均等に分布するまで続きます。複数の物質を含む溶液では、それぞれの種類の分子が、他の物質の拡散とは無関係に、それぞれの濃度勾配に従って拡散します。濃度勾配、拡散する粒子のサイズ、系の温度など、さまざまな要因が拡散速度に影響を与える可能性があります。

生物系では、原形質膜が細胞内外に拡散する物質を媒介します。いくつかの物質は膜を通って容易に拡散しますが、他のものは妨げられ、チャネルタンパク質や輸送体などの特殊なタンパク質によってしか通過することができません。生命体の化学は水溶液中で起こるので、それらの溶液の濃度のバランスをとることは継続的な問題です。生物系では、輸送を促進する膜タンパク質がなければ、一部の物質の拡散は遅くなるか困難になります。

5.3 | 能動輸送

イオンに影響を与える複合的な勾配には、その濃度勾配と電気勾配が含まれます。たとえば、陽イオンは、その濃度勾配を下るように新しい領域に拡散するかもしれませんが、もしそれが正味で正の電荷の領域に拡散する場合、その電気勾配は陽イオンの拡散を妨げます。水溶液中のイオンを扱うときは、濃度勾配のみではなく、電気化学的勾配と濃度勾配の組み合わせを考慮する必要があります。生きている細胞は、細胞外空間に存在するよりも高い濃度で細胞内に存在する特定の物質を必要とします。物質を電気化学的勾配を上るように移動させるには、細胞からのエネルギーが必要です。能動輸送は、この輸送に力を与えるためにATPに蓄えられたエネルギーを使用します。小さな分子サイズの物質の能動輸送は、その物質を移動させるために細胞膜内の内在性タンパク質を使用します。これらのタンパク質はポンプに似ています。一次性能動輸送を実行するいくつかのポンプは、それらの作用を推進するためにATPと直接結合します。共同輸送(または二次性能動輸送)では、一次性輸送からのエネルギーが別の物質を細胞内に移動させ、その濃度勾配を上るようにすることができます。

5.4 | 総体輸送

能動輸送の方法は、輸送に力を与えるためにATPを直接使用することを必要とします。科学者が食作用と呼ぶプロセスにおいては、他の細胞は大きな粒子、たとえば高分子、細胞の部分、または細胞の全体を飲み込むことができます。食作用では、膜の一部が陥入して粒子の周囲に流れ、最終的にはちぎれて粒子を完全に原形質膜の包みで囲まれた状態にします。細胞は小胞の内容物を分解し、その粒子は食物として使用されるか、別の場所へ送り出されます。飲作用は小規模な同様のプロセスです。原形質膜は陥入してちぎれ、細胞の外側からの液体を含む小さな包みを生成します。飲作用は、細胞が必要とする物質を細胞外液から取り込みます。細胞は、同様ですが逆の方法で廃棄物を排出します。細胞は、膜状の液胞を原形質膜へ向けて押し出し、液胞が膜と融合してそれ自身を膜構造に組み込み、その内容物を外部に放出することを可能にします。

ビジュアルコネクション問題

1.図5.12 | ある医師が、等張食塩水だと考えているものを患者に注射しました。患者は死亡し、検視解剖により多くの赤血球が破壊されたことが明らかになりました。あなたは医師が注射した溶液が本当に等張溶液だったと思いますか?

2.図5.16 | カリウム溶液を人の血液に注入するのは致命的です。これが死刑と安楽死の対象者が死ぬ方法です。カリウム溶液の注射が致命的なのはなぜだと思いますか?

3.図5.19 | もし細胞の外側のpHが低下したならば、あなたは細胞内に輸送されるアミノ酸の量は増加すると予想しますか?それとも減少すると予想しますか?

レビュー問題

4.原形質膜の成分のうち、その表面上に見られる、または膜の構造中に埋め込まれている、のいずれか一方であるものはどれですか?
a.タンパク質
b.コレステロール
c.炭水化物
d.リン脂質

5.リン脂質のどの特性が膜の流動性に寄与しますか?
a.その頭部
b.コレステロール
c.飽和脂肪酸の尾部
d.脂肪酸の尾部の二重結合

6.細胞膜の外側に付着している炭水化物の主な機能は何ですか?
a.細胞の識別
b.膜の柔軟性
c.膜を強化する
d.膜を通るチャネル

7.ある科学者が地中海沿岸の動物とモハーベ砂漠の動物の原形質膜の組成を比較しています。どの仮説が正しい可能性が最も高いと考えられますか?
a.地中海沿岸の動物に由来する細胞は、より流動的な原形質膜を有するだろう。
b.モハーベ砂漠の動物に由来する細胞は、原形質膜中のコレステロール濃度がより高いだろう。
c.細胞の原形質膜は区別できないだろう。
d.地中海沿岸の動物に由来する細胞はより高い糖タンパク質含有量を有​​するのに対して、モハーベ砂漠の動物に由来する細胞はより高いリポタンパク質含有量を有​​するだろう。

8.水は浸透を通じて_________移動します。
a.細胞質全体へ
b.他の溶質の濃度が高い領域から低い領域へ
c.水の濃度が高い領域から低い領域へ
d.水の濃度が低い領域から高い領域へ

9.拡散における運動を推進する主な力は__________です。
a.温度
b.粒子サイズ
c.濃度勾配
d.膜の表面積

10.淡水に生息する生物はどんな問題に直面していますか?
a.それらの体はあまりにも多くの水を摂取する傾向がある。
b.それらは等張性を制御する方法がない。
c.そこに住む動物にとって問題となるのは塩水だけである。
d.それらの体はその環境へとあまりにも多くの水分を失いがちである。

11.どのような状況であれば、受動輸送は細胞への侵入に輸送タンパク質を使用しないでしょうか?
a.高張環境に流れ込む水
b.血液から吸収されるグルコース
c.電位を生み出すために神経細胞に流れ込むイオン
d.酸素欠乏後の酸素の細胞内への移動

12.能動輸送は、__________ために継続的に機能しなければなりません。
a.原形質膜が磨耗する
b.すべての膜が両親媒性であるわけではない
c.促進輸送が能動輸送を妨害する
d.拡散が絶えず反対方向に溶質を動かしている

13.ナトリウム-カリウムポンプはどのようにして細胞の内部を負に帯電させますか?
a.アニオンを追い出すことによって
b.アニオンを引き込むことによって
c.取り込まれるよりも多くのカチオンを追い出すことによって
d.同数のカチオンを取り込んだり追い出したりすることによって

14.電気勾配と濃度勾配の組み合わせは何と呼ばれますか?
a.電位勾配
b.電気勾配
c.濃度ポテンシャル
d.電気化学勾配

15.エキソサイトーシス後に小胞の膜に何が起きますか?
a.それは細胞を離れる。
b.それは細胞によって分解される。
c.それは融合して原形質膜の一部となる。
d.それは別のエキソサイトーシス事象において再度使用される。

16.細胞全体を細胞内に運ぶことができる輸送機構はどれですか?
a.飲作用
b.食作用
c.促進輸送
d.一次性能動輸送

17.受容体媒介エンドサイトーシスは、食作用とはどの重要な点で異なりますか?
a.それは少量の液体しか輸送しない。
b.それは膜がちぎれることを含まない。
c.それは特別に標的化された物質だけを引き込む。
d.それは物質を細胞内に引き込み、食作用は物質を除去する。

18.多くのウイルスは受容体媒介エンドサイトーシスを介して宿主細胞に侵入します。この侵入戦略の利点は何ですか?
a.ウイルスが細胞の細胞質に直接入り込む。
b.ウイルスが白血球による認識から保護される。
c.ウイルスがその標的のタイプの宿主細胞にのみ入り込む。
d.ウイルスがそのゲノムを細胞の核に直接注入することができる。

19.次の細胞小器官のうち、どれがその機能を完了するためにエキソサイトーシスに依存していますか?
a.ゴルジ装置
b.液胞
c.ミトコンドリア
d.小胞体

20.細胞がエキソサイトーシスを行うことができるが、最小限のエンドサイトーシスしか行うことができないところを想像してください。細胞には何が起こるでしょうか?
a.細胞はその細胞内タンパク質をすべて分泌するだろう。
b.原形質膜は時間とともにサイズが大きくなるだろう。
c.細胞はその原形質膜における内在性受容体タンパク質の発現を停止するであろう。
d.細胞は溶解するだろう。

クリティカルシンキング問題

21.細胞膜がその性質において流動的であることがなぜ有利なのでしょうか?

22.リン脂質はなぜ自発的に自身を膜のようなものにするのでしょうか?

23.細胞はどのようにして細胞外の周辺タンパク質のことを、細胞内にシグナルを伝達するための受容体として使用できるのでしょうか?

24.次のものが拡散速度に影響を与える理由を議論してください:分子サイズ、温度、溶液の密度、および移動しなければならない距離。

25.なぜ水は膜を通って移動するのですか?

26.医療で投与される通常の静脈注射用の液剤である生理食塩水および乳酸加リンゲル液は、どちらも等張性です。なぜこれが重要なのでしょうか?

27.温度を下げることが細胞の原形質膜を横切る分子の拡散速度に影響を与えるであろう2つの方法を記述してください。

28.ある細胞が、そのカリウムチャネルにおいて、イオンが細胞を離れるのを妨げるような突然変異を発生させました。もしその細胞のアクアポリンがまだ活性であるならば、細胞には何が起こるでしょうか?細胞の等張性とオスモル濃度のことを必ず記述してください。

29.細胞は能動輸送のプロセスのためのエネルギーをどこで得ますか?

30.ナトリウム-カリウムポンプは細胞内部の正味の負電荷にどのように寄与しますか?

31.消化された食物からのグルコースは能動輸送によって腸の上皮細胞に入ります。ほとんどの体細胞が促進された拡散を使用するときに、腸細胞はなぜ能動輸送を使用するのでしょうか?

32.ナトリウム/カルシウム交換体(NCX)はナトリウムを心筋細胞に入れるように輸送し、カルシウムを心筋細胞から出すように輸送します。この輸送体が二次性能動輸送として分類される理由を記述してください。

33.細胞内外への物質の輸送のために、原形質膜の中に異なる種類のタンパク質が存在することが重要なのはなぜですか?

34.イオンのサイズが小さいにもかかわらず、イオンが原形質膜を通過するのが難しいのはなぜですか?

解答のヒント

第5章

1 図5.12 いいえ、それは低張性であったに違いありません。なぜなら、低張溶液は細胞に水を浸入させ、それによって細胞を破裂させるためです。3 図5.19 pHが下がるということは、正に帯電したH⁺イオンが増え、膜を横切る電気勾配が増えることを意味します。細胞内へのアミノ酸の輸送は増加します。4 A 6 A 8 C 10 A 12 D 14 D 16 B 18 C 20 B 21 細胞膜の流動特性は、膜が硬い場合よりも細胞に対する大きな柔軟性を可能にします。それはまた、ある種の膜輸送に必要とされる膜成分の運動を可能にします。23 表在性タンパク質は細胞外空間の他の分子に結合することができます。しかしながら、それらは膜貫通ドメイン(原形質膜を通過して細胞の内側に至る領域)を有していないので、細胞の内側に直接シグナルを伝達することができません。それらは細胞内にシグナルを送るために内在性膜タンパク質とつながらなければなりません。25 膜を横切るような溶質と溶媒の濃度勾配があるため、浸透時に水は膜を通過します。溶質は膜の両側の濃度のバランスをとるためには実質上動くことができないので、水がこのバランスを達成するために動きます。27 温度を下げると、系内の運動エネルギーが減少します。より低い温度は分子内のより少ないエネルギーを意味するので、それらはより遅い速度で動くでしょう。温度を下げると、原形質膜内の分子の運動エネルギーも減少し、それらが一緒に圧縮されます。これは原形質膜の密度を増加させ、それは細胞への拡散を遅くします。29 細胞は自身の代謝によって生成されたATPからエネルギーを得て、ポンプの活動などの能動輸送プロセスに力を与えます。31 腸管上皮細胞は能動輸送を利用して、消化した食物から血流へとグルコースを移動させる細胞としての特定の役割を果たします。腸細胞は、変動するグルコースレベルの環境にさらされています。食事の直後には、腸管腔のグルコースは高くなり、拡散によって腸細胞に蓄積するでしょう。しかしながら、腸管腔が空のときには、グルコースレベルは腸細胞のほうがより高くなります。もしグルコースが促進拡散によって移動した場合、これはグルコースを腸細胞から腸内に逆流させるでしょう。能動輸送タンパク質は、グルコースが腸細胞に移動し、そして腸に戻ることはできないようにすることを確実にします。それはまた、たとえ高レベルのグルコースがすでに腸細胞に存在していたとしても、グルコース輸送が起こり続けることを確実にします。これは体が食物から得ることができるエネルギーの量を最大にします。33 それらのタンパク質はどの化合物が輸送されるかを細胞が選択することを可能にし、細胞の必要性を満たしそして他に何も持ち込まないようにします。

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