生物学 第2版 — 第11章 減数分裂および有性生殖 —

Japanese translation of “Biology 2e”

Better Late Than Never
44 min readOct 7, 2019

OpenStax のサイトで公開されている教科書“ Biology 2e”の翻訳です。こちらのページから各章へ移動できます。

11 | 減数分裂および有性生殖

図11.1 | 私たち一人ひとりは、上に示した生物のように、受精卵(接合子)として生命を開始します。何兆回もの細胞分裂の後、私たちはそれぞれ複雑な多細胞生物へと成長します。(credit a: modification of work by Frank Wouters; credit b: modification of work by Ken Cole, USGS; credit c: modification of work by Martin Pettitt)

この章の概要

11.1:減数分裂のプロセス
11.2:有性生殖

はじめに

繁殖する能力はすべての生物の基本的な特徴です:カバはカバの子どもを産みます。ユッカの樹は、ユッカの樹の芽が出てくる種によって繁殖します。そして成熟したフラミンゴはフラミンゴのひなに孵化するような卵を産みます。しかしながら、上に示された生物とは異なり、子孫は彼らの両親に似ていることも似ていないこともあります。たとえば、(完全変態を伴う)蝶のような、ほとんどの昆虫の場合、幼虫の形態が成体の形態に似ることはめったにありません。

多くの単細胞生物および少数の多細胞生物は無性生殖を通じてそれら自身の遺伝的に同一なクローンを生み出すことができますが、多くの単細胞生物およびほとんどの多細胞生物は通常は別の方法、すなわち有性生殖を用いて繁殖します。この高度に進化した方法は、両親による2つの一倍体細胞の産生、および2つの一倍体細胞が融合して単一の遺伝的に再結合された二倍体細胞(遺伝的に独特な生物)を形成することを含みます。有性生殖周期の一部である一倍体細胞は、減数分裂と呼ばれる細胞分裂の一種によって産生されます。減数分裂と受精の両方を含む有性生殖は、子孫に対して変化をもたらし、それは有性生殖の進化的な成功を説明するかもしれません。多細胞および単細胞の両方を含む真核生物の大多数は、繁殖のために何らかの形態の減数分裂および受精を採用することができ、また、採用しなければなりません。

ほとんどの動植物では、何千回もの有糸分裂の細胞分裂を通して、二倍体細胞(無性生殖で生み出されたか有性生殖で生み出されたかどうかにかかわらず)が成体の生物へと成長します。

11.1 | 減数分裂のプロセス

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•減数分裂中の染色体の挙動、および第一減数分裂と第二減数分裂の違いを記述する
•減数分裂の間に起こる細胞の事象を記述する
•減数分裂と有糸分裂の違いを説明する
•一倍体配偶子間で遺伝的な変動を生じる減数分裂プロセス内のメカニズムを説明する

有性生殖には、配偶子と呼ばれる2つの特殊化された細胞の結合が必要とされます。この特殊化された細胞のそれぞれは、1組の染色体を含みます。配偶子が合体すると、それらは2組の染色体を含む接合子または受精卵を形成します。(注:1組の染色体を含む細胞は一倍体と呼ばれ、2組の染色体を含む細胞は二倍体と呼ばれます)。もし、なんらかの有性生殖している種で生殖周期が続くためには、二倍体細胞は一倍体配偶子を産生するために染色体の組の数をどうにかして減らさなければなりません。そうでなければ、染色体の組の数は将来の受精の回ごとに倍増してしまいます。したがって、有性生殖には、染色体の組の数を半分に減らすような核分裂が必要とされます。

ほとんどの動物や植物、そして多くの単細胞生物は二倍体であり、したがって2組の染色体を持っています。生物のそれぞれの体細胞(配偶子または生殖細胞を除く多細胞生物の全細胞)において、核は相同染色体と呼ばれるそれぞれの染色体の2つのコピーを含みます。相同染色体は、それらの長さに沿って同一の位置に同一の遺伝子を含む対合するペアです。二倍体生物は、それぞれの親からそれぞれの相同染色体の1つのコピーを受け継ぎます。

減数分裂は、二倍体細胞から一倍体細胞を形成する核分裂であり、そしてそれは有糸分裂と同じ細胞メカニズムの多くを使用します。しかしながら、あなたが学んできたように、有糸分裂は、その核が元の親核と遺伝的に同一であるような娘細胞を作り出します。有糸分裂では、親核と娘核の両方が同じ「倍数性レベル」(ほとんどの多細胞の動物の場合には二倍体)にあります。植物は有糸分裂を利用して胞子体として成長し、また、有糸分裂を利用して配偶体として卵子と精子を成長させて繁殖します。そのため、それらは一倍体細胞と二倍体細胞の両方(および他のすべての倍数体)に有糸分裂を使用します。減数分裂において、出発点となる核は常に二倍体であり、そして生じる娘核は一倍体です。この染色体数の減少を達成するために、減数分裂は1回の染色体複製とそれに続く2回の核分裂からなります。それぞれの分裂段階の間に起こる事象は有糸分裂の事象に類似しているので、同じ段階の名前が割り当てられています。しかしながら、分裂には2つの回があるので、主要なプロセスと段階は「I」または「II」と記号がつけられています。したがって、減数分裂Iは減数分裂の最初の回であり、前期I、前中期I、等々からなります。同様に、減数分裂II(その間に2回目の減数分裂が起こります)には、前期II、前中期II等々が含まれます。

減数分裂I

減数分裂の前には、有糸分裂に先立つ各期とほぼ同一であるG₁期、S期、およびG₂期からなる間期が先行します。G₁期(「第1ギャップ期」)は細胞成長に集中しています。S期 — 間期の第2期 — の間に、細胞は染色体のDNAをコピーまたは複製します。最後に、G₂期(「第2ギャップ期」)において、細胞は減数分裂のための最終的な準備をします。

S期におけるDNA複製の間に、それぞれの染色体は複製されて、2つの同一コピー、すなわち姉妹染色分体を生み出します。姉妹染色分体は、コヒーシンタンパク質によってセントロメアで一緒に保持されます。コヒーシンタンパク質は、後期IIまで染色分体を一緒に保持します。

前期I

染色体が顕微鏡で明瞭に見えるようになる前の前期Iの最初の頃には、相同染色体はそれらの先端でタンパク質によって核膜に結合しています。核膜が分解し始めると、相同染色体と結合しているタンパク質がペアをより接近させます。ここで、有糸分裂では、相同染色体はペアにならないことを思い出してください。相同染色体間のタンパク質の格子であるシナプトネマ複合体は、最初に特定の位置に形成され、次いで染色体の全長を覆うように外側に広がります。相同染色体の密着したペアはシナプシスと呼ばれます。シナプシスにおいて、相同染色体の染色分体上の遺伝子は互いに正確に整列しています。シナプトネマ複合体は、相同性のある非姉妹染色分体間の染色体セグメントの交換、つまり交差と呼ばれるプロセスを補助します。交差は、交換後にキアズマとして視覚的に観察することができます(図11.2)。

人間では、XとYの性染色体が完全に相同ではない(すなわち、それらの遺伝子の大部分が異なる)にもかかわらず、XとYの染色体が前期Iの間に対合することを可能にする相同性の小さな領域があります。部分的なシナプトネマ複合体が、相同性のある領域間でのみ発達します。

図11.2 | 前期Iの最初の頃には、相同染色体が集まってシナプシスを形成します。染色体はしっかりと結合するとともに、シナプトネマ複合体と呼ばれるタンパク質格子とセントロメアにあるコヒーシンタンパク質とによって完全に整列しています。

シナプトネマ複合体に沿って間隔を置いて位置しているのは、組換え結節と呼ばれる大きなタンパク質集合体です。これらの集合体は後のキアズマの場所に印をつけ、そして非姉妹染色分体間の交差(または遺伝的組換え)の多段階プロセスを仲介します。組換え結節の近くで、各染色分体の二本鎖DNAが切断され、切断末端が修飾され、そして非姉妹染色分体間に新しい結合が作られます。前期Iが進行するにつれて、シナプトネマ複合体は分解し始め、そして染色体は凝縮し始めます。シナプトネマ複合体がなくなったとき、相同染色体は動原体およびキアズマで互いに結合したまま残ります。キアズマは後期Iまで残ります。キアズマの数は種と染色体の長さによって変わります。減数分裂I中の相同染色体の適切な分離のためには、染色体あたり少なくとも1つのキアズマが存在しなければなりませんが、25個ものキアズマが存在することもあります。交差の後、シナプトネマ複合体は分解し、相同対の間のコヒーシン結合は除去されます。前期Iの終わりに、ペアはキアズマでのみ結合されています(図11.3)。これらの対は四分染色体と呼ばれます。なぜなら、いまや、相同染色体のそれぞれのペアの4つの姉妹染色分体が目に見えるからです。

交差事象は、減数分裂によって作り出される核における遺伝的な変動の最初の原因です。相同な非姉妹染色分体間の単一の交差事象は、母親の染色体と父親の染色体との間の同等のDNAの相互的な交換をもたらします。組換え姉妹染色分体が配偶子細胞に移されると、それは一方の親からのいくらかのDNAと他方の親からのいくらかのDNAを運ぶことになります。組換え染色分体は、交差前には存在しなかった母親の遺伝子と父親の遺伝子の組み合わせを有します。交差事象は接合された染色体の長さに沿ったほとんどどこでも起こり得ます。したがって、減数分裂を行う異なる細胞は、母親および父親の遺伝子のさまざまな組み合わせで、さまざまな組換え染色分体を産生するでしょう。染色体の腕における複数の交差は同じ効果を持ち、DNAのセグメントを交換して遺伝的に組換えられた染色体を生み出します。

図11.3 | 相同染色体の非姉妹染色分体の間で交差が起こります。その結果、相同染色体の間で遺伝物質が交換されます。

前中期I

前中期Iにおける重要な事象は、セントロメアにおける動原体タンパク質への紡錘糸微小管の結合です。動原体タンパク質は、染色体のセントロメアを有糸分裂紡錘体の微小管に結合するような多タンパク質複合体です。微小管は微小管形成中心(MTOC)から成長します。動物細胞では、MTOCは細胞の反対側の極に位置する中心体です。それぞれの極からの微小管は細胞の中央に向かって移動し、2つの融合した相同染色体の動原体のうちの1つに結合します。相同対のそれぞれの構成物は、細胞の反対側の極から延びる微小管に結合しているので、次の段階で、微小管は相同対を引き離すことができます。動原体に結合した紡錘糸は動原体微小管と呼ばれます。前中期Iの終わりに、それぞれの四分染色体は、1つの相同染色体がそれぞれの極に面するように両極からの微小管に結合します。相同染色体は依然としてキアズマで一緒に保持されています。さらに、核膜は完全に分解しています。

中期I

中期Iの間、相同染色体は中期板において、動原体が反対側の極に面するように細胞のほぼ中心線で配置されます。相同対は、赤道で自身をランダムに方向づけます。たとえば、染色体1の2つの相同の構造物がaおよびbとラベル付けされている場合、染色体はa-bまたはb-aと並ぶでしょう。これは配偶子によって運ばれる遺伝子を決定する上で重要です。なぜなら、それぞれが2つの相同染色体のうちの1つだけを受け取るためです。(交差が行われた後、相同染色体は同一ではなくなるということを思い出してください。それらは自身の遺伝情報にわずかな違いを含み、各配偶子に独自の遺伝的構成を持たせます。)

中期板での組換え染色体の整列のランダム性は、非姉妹染色分体間の交差事象と相まって、子孫における遺伝的変動の多くの原因となっています。これをさらに明確にするために、有性生殖生物の相同染色体はもともとはそれぞれの親から1つずつ、2つの別々のセットとして受け継がれていることを思い出してください。人間を一例として使用すると、母親からもたらされた卵子には23の染色体の1組が存在します。父親は、その卵子を受精させる精子の中に23個の染色体からなるもう1つの組を提供します。多細胞生物の子孫のそれぞれの細胞は、元の2組の相同染色体のコピーを有します。減数分裂の前期Iにおいて、相同染色体は四分染色体を形成します。中期Iでは、これらの対は細胞の2つの極の間の中間点に並んで中期板を形成します。微小管線維が母親または父親から受け継がれた染色体のどちらに遭遇するかの確率は等しいため、中期板における四分染色体の配置はランダムとなります。したがって、母親から受け継がれたどの染色体も、どちらの極にも面する可能性があります。同様に、父親から受け継がれたどの染色体も、どちらの極にも面する可能性があります。各四分染色体の配向は、他の22個の四分染色体の配向からは独立しています。

この事象 — 中期板における相同染色体のランダムな(または独立した)組み合わせ — は、配偶子または胞子に変動を導入する2番目のメカニズムです。減数分裂を行う各細胞において、四分染色体の配置は異なります。バリエーションの数は、1組を構成する染色体の数によって異なります。中期板での配向には2つの可能性があります。したがって、可能な配列数は、二倍体細胞では2ⁿに等しくなります。ここで、nは一倍体セットあたりの染色体数です。人間は23対の染色体を持っています。その結果、中期板での染色体のランダムな整列から、800万以上(2²³)の遺伝的に異なる配偶子がもたらされる可能性があります。この数には、以前に非姉妹染色分体間の交差によって生じた変動性は含まれていません。これら2つのメカニズムを考慮すると、減数分裂から生じる2つの一倍体細胞が同じ遺伝子構成を持つことはほとんどあり得ません(図11.4)。

要約すると、減数分裂Iは2つの方法で遺伝的に多様な配偶子を作成します。第1に、前期Iの間に、染色体のそれぞれの相同対の非姉妹染色分体間の交差事象は、母親の遺伝子と父親の遺伝子の新しい組み合わせを有する組換え染色分体を生成します。第2に、中期板上での四分染色体のランダムな組み合わせは、配偶子に入り込むであろう母親と父親の染色体のユニークな組み合わせを生み出します。

図11.4 | 中期Iの間のランダムな独立組み合わせは、2つの染色体の組(n = 2)を持つ細胞を考えることによって示すことができます。この場合、中期Iの赤道面では2つの可能な配置があります。異なる配偶子の可能な合計数は2ⁿであり、ここでnはセット内の染色体の数に等しいです。この例では、配偶子には4つの可能な遺伝的組み合わせがあります。人間の細胞ではn = 23であり、父親の染色体と母親の染色体の可能な組み合わせは800万を超えます。

後期I

後期Iでは、微小管は連結した染色体を引き離します。姉妹染色分体はセントロメアで互いにしっかりと結合したままです。融合した動原体に結合した微小管が相同染色体を引き離すので、キアズマは後期Iで破壊されます(図11.5)。

終期Iと細胞質分裂

終期において、分離した染色体は反対側の極に到達します。残りの典型的な終期の事象は、種によっては起こることも起こらないこともあります。ある生物では、染色体は「脱凝縮」し、核膜が、終期Iの間に生成された分離した染色分体の組の周囲に形成されます。他の生物では、細胞質分裂 — 細胞質の内容物の2つの娘細胞への物理的な分離 — は、核の再形成なしに起こります。ほとんどすべての動物種およびいくつかの菌類では、細胞質分裂は、分裂溝(細胞質分裂をもたらすアクチン環の狭窄)によって細胞の内容物を分離します。植物においては、細胞質分裂中にゴルジ小胞が中期板で融合することによって細胞板が形成されます。この細胞板は、最終的には、2つの娘細胞を分離する細胞壁の形成につながります。

二倍体細胞の最初の減数分裂の結果が、2つの一倍体細胞です。この2つの細胞は、それぞれの極に相同染色体の各対のうちの1つのみがあるので、一倍体です。したがって、染色体の完全な組は1つだけ存在します。これが、この細胞が一倍体と見なされる理由です。たとえ各染色体がまだ2つの姉妹染色分体からなるとしても、そこには1つの染色体の組しかありません。姉妹染色分体は、(交差の間に起こった変化を除いて)2つの相同染色体のうちの1つの単なる複製であることを思い出してください。減数分裂IIでは、これら2つの姉妹染色分体が分離し、4つの一倍体娘細胞を作り出します。

学習へのリンク

「減数分裂:インタラクティブアニメーション」で減数分裂のプロセスを振り返り、染色体がどのように整列して移動するかを観察してください(http://openstaxcollege.org/l/animal_meiosis)。

減数分裂II

いくつかの種では、細胞は減数分裂IIに入る前に短い間期、または中間期に入ります。中間期にはS期がないため、染色体は複製されません。減数分裂Iで生み出された2つの細胞は、同期して減数分裂IIの事象を行います。減数分裂IIの間に、2つの娘細胞内の姉妹染色分体は分離し、4つの新しい一倍体配偶子を形成します。減数分裂IIのメカニズムは、各分裂細胞がそれぞれ2つの染色分体を有する1組の相同染色体のみを有することを除いて、有糸分裂と類似しています。したがって、それぞれの細胞は、有糸分裂を行う二倍体細胞と比べて、半分の数の分離するための姉妹染色分体を有します。染色体の内容に関しては、減数分裂IIの開始時の細胞は、有糸分裂を行う準備をしているG₂中の一倍体細胞に類似しています。

前期II

もし染色体が終期Iで脱凝縮した場合、それらは再び凝縮します。もし核膜が形成された場合、それらは小胞へと断片化します。中間期の間に複製されたMTOCは、互いに反対側の極に向かって移動し、新しい紡錘体が形成されます。

前中期II

核膜は完全に分解し、紡錘体は完全に形成されています。それぞれの姉妹染色分体は、反対側の極からの微小管に結合する個々の動原体を形成します。

中期II

姉妹染色分体は最大限に凝縮され、細胞の赤道に整列します。

後期II

姉妹染色分体は動原体の微小管によって引き離され、反対側の極に向かって移動します。非動原体の微小管は細胞を伸長させます。

図11.5 | 減数分裂Iと減数分裂IIでは、染色体の配置のプロセスが異なります。前中期Iでは、微小管が相同染色体の融合した動原体に結合し、相同染色体は中期Iの細胞の中心線(中期板)に配置されます。後期Iでは、相同染色体は分離します。前中期IIでは、微小管は姉妹染色分体の動原体に結合し、姉妹染色分体は中期IIの細胞の中心点に配置されます。後期IIでは、姉妹染色分体は分離します。

終期IIと細胞質分裂

染色体は反対側の極に到着し、そして脱凝縮を開始します。核膜が染色体の周囲に形成されます。最も一般的な場合のように、もし親細胞が二倍体であった場合、細胞質分裂は今度は2つの細胞を4つの独特な一倍体細胞へと分離します。生み出された細胞は、父親および母親のホモログのランダムな組み合わせのため、および交差中に起こる母親および父親の染色体のセグメントの(それらの遺伝子のセットの)組換えのために、遺伝的に独特なものとなります。減数分裂の全過程は図11.6に概説されています。

図11.6 | 二倍体数4(2n = 4)の動物細胞は、減数分裂の段階を経て進行し、4つの一倍体娘細胞を形成します。

減数分裂と有糸分裂の比較

有糸分裂および減数分裂は両方とも真核細胞における核の分裂の形態です。それらはいくつかの類似点を共有していますが、非常に異なる結果へとつながる多くの重要で明確な違いも示しています(図11.7)。有糸分裂は単一の核の分裂であり、それは通常2つの新しい細胞に分割される2つの核をもたらします。有糸分裂の結果として生じる核は、元の核と遺伝的に同一です。それらは同数の染色体の組を有します:一倍体細胞の場合には1組、二倍体細胞の場合には2組です。これとは対照的に、減数分裂は2回の核の分裂からなり、結果として4つの核が生じ、それらは通常4つの新しい遺伝的に異なる細胞に分割されます。減数分裂中に生成される4つの核は遺伝的に同一ではなく、それらは1つの染色体の組のみを含みます。これは二倍体である元の細胞の染色体の組の数の半分です。

有糸分裂と減数分裂の間の主な違いは減数分裂Iで起こります。これは有糸分裂とは非常に異なる核の分裂です。減数分裂Iでは、相同染色体対は物理的に出会い、そしてシナプトネマ複合体によって一緒に結合されます。これに続いて、染色体はキアズマを発達させ、非姉妹染色分体間の交差を行います。最後に、反対側の紡錘体極からの動原体線維がホモログの各動原体に結合して四分染色体を形成し、染色体は四分染色体として中期板に沿って並びます。これらの事象はすべて減数分裂Iの間でのみ起こります。

キアズマが消散し、ホモログが一方の極または他方の極に移動して四分染色体が分解されると、倍数性のレベル(将来のそれぞれの核における染色体の組の数)は2から1に減少します。このような理由から、減数分裂Iは減少的な分裂と呼ばれています。有糸分裂中にはそのような倍数性レベルの減少はありません。

減数分裂IIは、有糸分裂に似ています。この場合、複製された染色体(それらの1組のみ)が、反対側の極からの動原体線維に結合した分割動原体を有する中期板上に並びます。有糸分裂の後期のように、後期IIの間には、動原体が分裂し、一方の姉妹染色分体(いまや染色体と呼ばれます)が一方の極に引っ張られるとともに、もう一方の姉妹染色分体が他方の極に引っ張られます。もし、交差があるという事実がなかったならば、それぞれの個々の減数分裂IIの分裂の2つの生成物は(有糸分裂のように)同一となるでしょう。しかし、染色体ごとに少なくとも1つの交差が常にあるため、それらは異なります。減数分裂IIは減少的な分裂ではありません。なぜなら、結果として生じる細胞中のゲノムのコピーはより少ないものですが、減数分裂Iの終わりに1つの染色体の組があるのと同様に、そこにはまだ1つの染色体の組があるからです。

図11.7 | 減数分裂と有糸分裂は、どちらも1サイクルのDNA複製が先行します。しかしながら、減数分裂は2回の核の分裂を含みます。減数分裂から生じる4つの娘細胞は一倍体であり遺伝的に異なります。有糸分裂から生じる娘細胞は二倍体であり、親細胞と同一です。

進化へのつながり

減数分裂の進化の謎

生物のいくつかの特徴は非常に広くいきわたり、根本的なものであるため、それらが他の単純な形質と同様に進化したものであるのを思い出すのが困難なことがあります。減数分裂は途方もなく複雑な一連の細胞事象であるので、生物学者はそれがどのように進化したのかについての仮説を検証するのに苦労しています。減数分裂は有性生殖およびその長所と短所に密接に絡み合っていますが、減数分裂の進化の問題と性別の進化の問題とを分けることは重要です。なぜなら、初期の減数分裂は、現在とは異なる理由で有利であったかもしれないからです。既存の枠組みにとらわれないように考えることと、初期における減数分裂の利益が何だったのかを想像することは、それがどのように進化したのかを明らかにするための1つのアプローチです。

減数分裂と有糸分裂は明らかな細胞プロセスを共有しており、減数分裂が有糸分裂から進化したことは理解できます。難しいのは、減数分裂Iと有糸分裂には明らかな違いがあることです。アダム・ウィルキンスとロビン・ホリディ[1]は、有糸分裂から減数分裂への進化のために起こる必要があった独特の事象をまとめました。その段階とは、相同染色体のペアリングおよびシナプシス形成、交差交換、後期の間に結合したままの姉妹染色分体、および間期におけるDNA複製の抑制です。彼らは、最初の段階が最も困難で最も重要であり、それがどのように進化したのかを理解することは進化の過程をより明確にするだろうと主張しています。彼らはシナプシスの進化に光を当てるかもしれない遺伝子実験を示唆しています。

進行中の減数分裂の進化を理解するための他のアプローチがあります。単細胞の原生生物にはさまざまな形態の減数分裂が存在します。その中には、より単純な、あるいはより「原始的な」形態の減数分裂のように見えるものもあります。さまざまな原生生物の減数分裂を比較することは、減数分裂の進化に光を当てるかもしれません。マリリー・ラメシュとその同僚ら[2]は、減数分裂がいつどこで進行したのかを理解するために、原生生物における減数分裂に関与する遺伝子を比較しました。研究はまだ進行中ですが、原生生物における減数分裂への最近の研究では、減数分裂のいくつかの側面が他のものより後に進化したかもしれないことが示唆されています。この種の遺伝的比較は、減数分裂のどの側面が最も古いのか、そしてそれらが初期の細胞からどのような細胞プロセスを借用したのかを私たちに教えてくれます。

[1] Adam S. Wilkins and Robin Holliday, “The Evolution of Meiosis from Mitosis,” Genetics 181 (2009): 3–12.
[2] Marilee A. Ramesh, Shehre-Banoo Malik and John M. Logsdon, Jr, “A Phylogenetic Inventory of Meiotic Genes: Evidence for Sex in Giardia and an Early Eukaryotic Origin of Meiosis,” Current Biology 15 (2005):185–91.

学習へのリンク

「どのようにして細胞は分裂するのか」(http://openstaxcollege.org/l/how_cells_dvide)で、インタラクティブアニメーションの段階をクリックして進むことにより、細胞分裂の減数分裂のプロセスと有糸分裂のプロセスとを比較してください。

11.2 | 有性生殖

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•減数分裂と有性生殖は高度に進化した形質であることを説明する
•子孫の多様性を有性生殖の潜在的な進化的利点として特定する
•有性生殖をする多細胞生物の3つの異なる生活環の種類を記述する

有性生殖は、真核細胞の出現後における、おそらく初期の進化的な革新でした。ほとんどの真核生物は有性的に生殖することができ、そして多くの動物においてそれが唯一の生殖様式であるため、それは非常に成功したように思われます。それでも、科学者たちはまた、有性生殖に対するいくつかの実際に不利な点を認識しています。表面的には、親の遺伝的クローンである子孫を作ることはより良いシステムのように見えます。もし親の生物が生息地をうまく占めている場合、同じ形質を持つ子孫も同様に成功するはずです。状況が望ましいときにはいつでも無性的な出芽、分裂、または無性的に卵を産むことによって子孫を産みだすことができる生物には、明らかな利益もあります。これらの生殖方法では異性の別の生物を必要としません。実際に、孤立した生活様式を送っている生物の中には、無性生殖能力を保持しているものがあります。さらに、無性的な個体群では、すべての個体が生殖することができます。有性的な個体群では、雄は自分自身では子を産みださないので、仮定の話としては無性的な集団は2倍の速さで成長することができます。

しかしながら、無性生殖にだけ依存する多細胞生物は非常にまれです。なぜ減数分裂および有性生殖戦略はそれほど一般的なのでしょうか?それは20世紀後半に始まった多くの研究の焦点となってきたにもかかわらず、生物学における重要な(そしてまだ未解決の)質問です。いくつかの考えられる説明があります、そのうちの1つは有性生殖が子孫の間に作り出す変動が個体群の生存と繁殖にとって非常に重要であるということです。したがって、有性生殖する個体群は平均して、他の点では同様な無性生殖をする個体群よりも多くの子孫を残すでしょう。無性的な生物における変動の唯一の原因は突然変異です。生殖細胞系の形成中に起こる突然変異もまた、有性生殖する生物における変動の究極的な原因です。しかしながら、無性生殖中の突然変異とは対照的に、有性生殖中の突然変異は、異なる親が固有のゲノムを組み合わせるとともに、前期Iでの交差および中期Iでのランダムな組み合わせによって遺伝子が異なる組み合わせで混ぜ合わせられるときに、1つの世代から次の世代で連続的に入れ替えられます。

進化へのつながり

赤の女王仮説

遺伝的変動は有性生殖の結果ですが、一見安定した環境条件下であったとしても、なぜ継続的な変動が必要なのでしょうか?1973年にリー・ヴァン・ヴェーレンによって最初に提案された赤の女王仮説を見てみましょう。[3]この概念は、ルイス・キャロルの著書「鏡の国のアリス」の赤の女王の競争を参考にして命名されました。

すべての種は他の生物と共進化(共に進化)します。たとえば、捕食者はその獲物とともに進化し、寄生虫はその宿主とともに進化します。有利な変動によって得られる小さな利点はそれぞれ、ある種に対して、密接な競争相手、捕食者、寄生虫、さらには獲物よりも大きな繁殖における優位さを与えます。しかしながら、ある個体群における任意の所与の遺伝子型または表現型の生き残りは、所与の種の中の他の遺伝子型または表現型の生殖的な適性に依存します。共進化する種が自身のための資源の割り当てを維持することを可能にする唯一の方法はまた、その適応度(種内の他のものと比較してより多くの繁殖を実行可能な子孫を産みだすメンバーの能力)を継続的に改善することでもあります。1つの種が有利になるにつれて、これは他の種における選択を増加させます。それらもまた有利な点を発達させなければならず、さもなければそれらは打ち負かされてしまうでしょう。有性生殖での子孫の間の遺伝的変動はすべての種に対して急速に改善するためのメカニズムを提供するため、単一の種が極端に先行することはありません。ついていけない種は絶滅します。赤の女王のキャッチフレーズは、「同じ場所にとどまるためには、あなたは走り続けなければならない」というものでした。これは、競合する種の間の共進化の適切な説明です。

[3] Leigh Van Valen, “A New Evolutionary Law,” Evolutionary Theory 1 (1973): 1–30

有性生殖生物の生活環

受精と減数分裂は、有性的な生活環で交互に起こります。これら2つの事象の間に起こることは、生物の「生殖戦略」に依存します。減数分裂のプロセスは染色体数を半分に減らします。受精(2つの一倍体配偶子の接合)は、二倍体の状態を回復します。いくつかの生物は、最も明白な多細胞二倍体の段階を有しており、一倍体の生殖細胞のみを作り出します。人間を含む動物は、このようなタイプの生活環を持っています。菌類などの他の生物は、最も明白な多細胞一倍体の段階を有しています。植物といくつかの藻類は世代交代があり、そこではそれらはグループによって異なる程度の明らかさである多細胞二倍体と一倍体の生命の段階を持っています。

ほぼすべての動物が、二倍体が優勢な生活環戦略を採用しています。その戦略では、生物によって産みだされる唯一の一倍体細胞は配偶子です。胚発生の初期に、生殖細胞と呼ばれる特殊化された二倍体細胞が生殖腺(精巣や卵巣など)内で作り出されます。生殖細胞は、生殖細胞系を永続させるための有糸分裂および一倍体配偶子を作り出すための減数分裂が可能です。ひとたび一倍体配偶子が形成されると、それらは再び分裂する能力を失います。多細胞一倍体の生命の段階はありません。受精は、通常は異なる個体からの2つの配偶子の融合によって起こり、二倍体状態を回復します(図11.8)。

図11.8 | 動物において、有性生殖する成体は、二倍体生殖細胞から一倍体配偶子を形成します。配偶子の融合は、受精卵細胞、または接合子を生じさせます。接合子は、多細胞の子孫を産みだすために複数回の有糸分裂を行うでしょう。生殖細胞は接合子の発達の初期に発生します。

ほとんどの菌類および藻類は、生物の「体」(生活環の生態学的に重要な部分)が一倍体であるような生活環のタイプを採用しています。優勢な多細胞期の組織を構成する一倍体細胞は、有糸分裂によって形成されます。有性生殖の間に、(+)および(-)接合型と呼ばれる2つの個体からの特殊化した一倍体細胞が結合して二倍体接合子を形成します。接合子は直ちに減数分裂を行い胞子と呼ばれる4つの一倍体細胞を形成します。これらの胞子は「親」のように一倍体ですが、2つの親からの新しい遺伝的組み合わせが含まれています。胞子はさまざまな期間の間、休眠状態を保つことができます。最終的に、条件が望ましいものであるとき、胞子は何回もの有糸分裂を通して多細胞一倍体構造を形成します(図11.9)。

ビジュアルコネクション

図11.9 | パンの黒かび(Rhizopus nigricans)などの菌類は、有糸分裂によって特殊化された一倍体細胞を産みだす一倍体多細胞の段階を有します。この一倍体細胞は、融合して二倍体接合子を形成します。接合子は減数分裂を経て一倍体胞子を生成します。それぞれの胞子は有糸分裂により多細胞一倍体生物を生じます。上記では、異なる交配菌糸型(+および-と表記)が核の融合を通じて接合胞子を形成するために結合します。(credit “zygomycota” micrograph: modification of work by “Fanaberka”/Wikimedia Commons)

もし菌類がマイナス接合型を作り出すことができなくなるような突然変異が起こったとして、それはまだ繁殖することができるでしょうか?

いくつかの藻類とすべての植物によって採用されている3番目の生活環のタイプは、一倍体優勢と二倍体優勢の両極端のブレンドです。世代交代を伴う種は、それらの生活環の一部として一倍体および二倍体多細胞生物の両方を有します。一倍体多細胞の植物は、特殊化された細胞から配偶子を作り出すため、配偶体と呼ばれます。この場合、減数分裂は配偶子の産生に直接関与しません。なぜなら、配偶子を産生する生物はすでに一倍体だからです。配偶子間の受精によって、二倍体接合子が形成されます。接合子は、何回もの有糸分裂を経て、胞子体と呼ばれる二倍体多細胞の植物を生じます。胞子体の特殊化した細胞は減数分裂を経て一倍体胞子を生成します。胞子はその後、配偶体に発達します(図11.10)。

図11.10 | 植物は多細胞一倍体の生物と多細胞二倍体の生物の間で交代する生活環を持っています。シダのようないくつかの植物では、一倍体と二倍体の植物段階は両方とも自由生活性です。二倍体植物は、減数分裂によって一倍体胞子を生成するので、胞子体と呼ばれます。胞子は、多細胞一倍体の植物に成長します。それらは配偶子を産生するので配偶体と呼ばれます。2つの個体の配偶子は融合して二倍体接合子を形成し、胞子体になるでしょう。(credit “fern”: modification of work by Cory Zanker; credit “sporangia”: modification of work by “Obsidian Soul”/Wikimedia Commons; credit “gametophyte and sporophyte”: modification of work by “Vlmastra”/Wikimedia Commons)

すべての植物は世代交代の何らかのバージョンを利用しますが、胞子体と配偶体の相対的な大きさとそれらの間の関係は大きく異なります。コケのような植物では、配偶体の生物は自由生活性の植物であり、胞子体は配偶体に物理的に依存しています。シダのような他の植物では、配偶体と胞子体の両方の植物が自由生活性です。しかしながら、胞子体のほうがはるかに大きいです。モクレンの木やヒナギクなどの種子植物では、配偶体はほんの数個の細胞から構成されており、雌性配偶体の場合は胞子体の中に完全に保持されています。

有性生殖は多細胞生物において多くの形態をとります。地球上のほとんどすべての多細胞生物が有性生殖を利用しているという事実は、(他の可能な利益もあるかもしれませんが、)独特の遺伝子の組み合わせで子孫を産みだすことの利益の強力な証拠となっています。

重要用語

世代交代:二倍体と一倍体の段階が交互になる生活環のタイプ

キアズマ:遺伝物質が交換された後で、交差の点に形成される構造

コヒーシン:減数分裂の後期IIまで姉妹染色分体をそれらのセントロメアで一緒に密封するような複合体を形成するタンパク質

交差:その生物の両親からの遺伝子を組み込んだ染色体をもたらす、非姉妹染色分体間の遺伝物質の交換

受精:2つの個体の生物からの2つの一倍体細胞の結合

配偶体:配偶子を産生する多細胞一倍体の生活環の段階

生殖細胞:卵子や精子といった配偶子を産生する特殊な細胞系

中間期(または、間期II):減数分裂Iと減数分裂IIの間の短い休みの期間

生活環:生物の発達と子孫を産みだすような細胞の産生についての一連の事象

減数分裂:4つの一倍体細胞をもたらす核の分裂プロセス

減数分裂I:減数分裂による細胞分裂における最初の周回。倍数性レベルが二倍体から一倍体に減少するため、減少的な分裂と呼ばれる

減数分裂II:減数分裂による細胞分裂において、減数分裂I後の第2の周回。姉妹染色分体は個々の染色体に分けられ、その結果、4つの独特な一倍体細胞が得られる

組換え結節:シナプトネマ複合体上に形成されるタンパク質集合体。シナプトネマ複合体は、交差事象の点に印をつけ、非姉妹染色分体間の遺伝子組換えの多段階プロセスを仲介する

減少的な分裂:それぞれが親核の半分の数の染色体の組を有する娘核を生成する核の分裂。減数分裂Iは減少的な分裂である

体細胞:配偶子または生殖細胞を除く多細胞生物のすべての細胞

胞子:一倍体多細胞の生物を産生することができる、または他の胞子と融合して二倍体細胞を形成することができる一倍体細胞

胞子体:減数分裂によって一倍体胞子を産生する多細胞二倍体の生活環の段階

シナプシス:前期Iの間における、相同染色体間の密接な関連の形成

シナプトネマ複合体:前期Iの間に相同染色体間に形成されるタンパク質格子で、交差を補助する

四分染色体:前期Iの間にキアズマによって一緒に結合された2つの重複した相同染色体(4つの染色分体)

この章のまとめ

11.1 | 減数分裂のプロセス

有性生殖は、生物が受精中に融合して子孫を産みだすことができるような細胞を産生することを必要とします。ほとんどの動物では、卵子と精子の融合によって二倍体接合子が生じるように、減数分裂を用いて二倍体の親細胞から一倍体の卵子と精子を作り出します。有糸分裂と同様に、DNA複製は減数分裂の前の細胞周期のS期の間に起こるので、それぞれの染色体は一対の姉妹染色分体になります。減数分裂においては、2回の核の分裂があり、4つの核、そして通常は4つの娘細胞を生じ、それぞれが親細胞の半分の数の染色体を有します。最初の分裂はホモログを分離し、そして2番目の分裂は — 有糸分裂のように — 染色分体を個々の染色体へと分離します。減数分裂は、前期Iでの交差中、および中期Iでの四分染色体のランダムな配置中に娘核に変動を生じさせます。減数分裂により産生される細胞は遺伝的に独特です。

減数分裂と有糸分裂は同様のプロセスを共有しますが、異なる結果をもたらします。有糸分裂は、遺伝的に同一な娘核を生成する単一の核の分裂です(すなわち、それぞれの娘核は元の細胞と同じ数の染色体の組を有します)。対照的に、減数分裂は、(親細胞の中の2組の染色体の代わりに)ただ1つの染色体の組を有する4つの遺伝的に異なる娘核を最終的に生成するような、2回の核の分裂を含みます。2つの核の分裂プロセスの間の主な違いは、減数分裂の最初の分裂の間に起こります:相同染色体対、交差、および相同非姉妹染色分体のセグメントの交換です。相同染色体は減数分裂Iの間に異なる核に分離し、最初の分裂において倍数性レベルの減少を引き起こします。減数分裂の2回目の分裂は、娘細胞が前期Iにおける交差および染色体組換えのために同一のゲノムを含んでいないことを除いて、有糸分裂に類似しています。

11.2 | 有性生殖

ほとんどすべての真核生物は有性生殖を行います。減数分裂によって生殖細胞に導入された変動は、有性生殖を進化的に成功させてきた重要な利点を提供します。減数分裂と受精は、有性生物の生活環で交互に起こります。減数分裂のプロセスは、配偶子と呼ばれる独特の生殖細胞を作り出します。そして、それは親細胞の半分の数の染色体を持っています。2つの一倍体配偶子が融合するとき、新しい接合子の中で二倍体状態を回復させます。したがって、ほとんどの有性生殖をする生物は一倍体段階と二倍体段階の間が交互に起こります。しかしながら、生殖細胞が産生される方法や減数分裂から受精までの時期は大きく異なります。

ビジュアルコネクション問題

1.図11.9 | もし菌類がマイナス接合型を作り出すことができなくなるような突然変異が起こったとして、それはまだ繁殖することができるでしょうか?

レビュー問題

2.減数分裂は通常________娘細胞を産生します。
a.2つの一倍体
b.2つの二倍体
c.4つの一倍体
d.4つの二倍体

3.四分染色体を形成する上で最も重要な構造とは何ですか?
a.セントロメア
b.シナプトネマ複合体
c.キアズマ
d.動原体

4.減数分裂のどの段階で、姉妹染色分体は互いに分離されますか?
a.前期I
b.前期II
c.後期I
d.後期II

5.中期Iでは、相同染色体はどの構造でのみつながっていますか?
a.キアズマ
b.組換え結節
c.微小管
d.動原体

6.次のうち、交差に関して正しくないものはどれですか?
a.紡錘体微小管がシナプトネマ複合体を横切るDNAの移動を導く。
b.非姉妹染色分体が遺伝物質を交換する。
c.キアズマが形成される。
d.組換え結節が交差の点に印をつける。

7.減数分裂の中間期では、減数分裂の間期のどの段階が欠落していますか?
a.G₀期
b.G₁期
c.S期
d.G₂期

8.有糸分裂に似ている減数分裂の部分は、________です。
a.減数分裂I
b.後期I
c.減数分裂II
d.中間期

9.もしある典型的な生物の筋肉細胞が32の染色体を持っているとしたら、その同じ生物の配偶子にはいくつの染色体があるでしょうか?
a.8
b.16
c.32
d.64

10.減数分裂の前期IIにおける2つの娘細胞の遺伝的な内容を最もよく記述しているのはどれですか?
a.それぞれの遺伝子の1つのコピーを持つ一倍体
b.それぞれの遺伝子の2つのコピーを持つ一倍体
c.それぞれの遺伝子の2つのコピーを持つ二倍体
d.それぞれの遺伝子の4つのコピーを持つ二倍体

11.メンデルの遺伝的形質の研究で使用された植物のエンドウマメは、体細胞に14の染色体を持つ二倍体でした。交差の事象が発生しないと仮定して、1つのエンドウマメの植物がいくつの独特な配偶子を生み出すことができますか?
a.28
b.128
c.196
d.16384

12.動物細胞の減数分裂時では、終期Iと終期IIはどのように異なりますか?
a.細胞は、終期Iの終わりには二倍体のままであるが、終期IIの終わりには一倍体である。
b.娘細胞は、終期Iの間に分裂するための細胞板を形成するが、終期IIの間に細胞質分裂によって分裂する。
c.細胞は、終期Iの後に間期に入るが、終期IIの後には入らない。
d.染色体は、終期Iの終わりに凝縮されたままであることができるが、終期IIの後に脱凝縮することができる。

13.無性生殖を上回る有性生殖の進化的な利点とは何でしょうか?
a.有性生殖はより少ないステップを含む。
b.所与の環境で資源を使い果たす可能性が低い。
c.有性生殖は子孫に多様性をもたらす。
d.有性生殖はより費用対効果が高い。

14.一倍体多細胞および二倍体多細胞の段階の両方を持つ生活環はどれですか?
a.無性生殖生物の生活環
b.ほとんどの動物の生活環
c.ほとんどの菌類の生活環
d.世代交代

15.ほとんどの菌類に最もよく見られる形態の倍数性は何ですか?
a.二倍体
b.一倍体
c.世代交代
d.無性

16.減数分裂によって一倍体細胞を生じさせるような二倍体多細胞の生活環の段階は、________と呼ばれます。
a.胞子体
b.配偶体
c.胞子
d.配偶子

17.ヒドラとクラゲは両方とも、とある淡水湖に住んでいますが、その湖は上流に建設された化学プラントからの流出物によってゆっくりと酸性化されています。どの個体群が環境の変化にうまく対処できると予測されますか?
a.クラゲ
b.ヒドラ
c.両方の個体群は等しく対処することができる。
d.両方の個体群とも死ぬ。

18.多くの農家は、何世代もの人工的な選択と近親交配に関連した植物の遺伝的多様性の減少について心配しています。なぜ食用の作物のランダムな有性生殖を制限することが懸念されるのでしょうか?
a.無性生殖中の突然変異は植物の適応度を低下させる。
b.消費者は同一に見える商品を信頼しない。
c.植物の個体群の大部分が同じ病気にかかりやすい。
d.胞子は農業環境では成長できない。

クリティカルシンキング問題

19.四分染色体の形成をもたらすプロセスを記述してください。

20.中期Iにおける相同染色体のランダムな配置が、減数分裂によって産生される配偶子の変動にどのように寄与しているかを説明してください。

21.前中期Iの姉妹染色分体に見られる融合した動原体の機能は何ですか?

22.減数分裂の段階と有糸分裂の段階との比較において、どの段階が減数分裂に特有であり、どの段階が減数分裂および有糸分裂の両方において同じ事象を有しますか?

23.組換え結節の形成を妨げる突然変異を持つ個体は、なぜその種の他のメンバーよりも適応度が低いと考えられるのでしょうか?

24.交差は前期IIの間に起こりますか?進化論的観点からは、なぜこれが有利なのでしょうか?

25.同じ親を持つ子孫に変動をもたらす3つの過程を列挙して簡単に記述してください。

26.動物と植物はどちらも二倍体細胞と一倍体細胞を有します。動物の生活環は植物が呈する世代交代とどう違うのでしょうか?

27.有性生殖が、ある個体群にとっては有益であるが、ある個体の子孫にとっては有害で​​あり得る理由を説明してください。

28.二倍体優勢な生活環を持つ生物と世代交代の生活環を持つ生物との間では、配偶子の産生における減数分裂の役割はどう違うのでしょうか?

29.一倍体優勢な生活環を持つ生物は、配偶子を作るための減数分裂過程を使わずに、どのようにして子孫の遺伝的な多様化を確実に続けるのでしょうか?

解答のヒント

第11章

1 図11.9 はい、それは無性生殖をすることができるでしょう。2 C 4 D 6 C 8 C 10 B 12 D 14 D 16 A 18 C 19 減数分裂の間期の間、それぞれの染色体は複製されます。合成中に形成される姉妹染色分体は、コヒーシンタンパク質によってセントロメア領域で一緒に保持されています。すべての染色体はそれらの先端によって核膜に結合しています。細胞が前期Iに入ると、核膜は断片化し始め、そして相同染色体を保持するタンパク質が互いに位置します。4つの姉妹染色分体は長さ方向に整列し、シナプトネマ複合体と呼ばれるタンパク質格子がそれらを結合するためにそれらの間に形成されます。シナプトネマ複合体は、染色体の長さに沿ってキアズマとして観察されるような、非姉妹染色分体間の交差を促進します。前期Iが進行するにつれて、シナプトネマ複合体は分解し、姉妹染色分体は、キアズマによって付着している場所を除いて、遊離状態になります。この段階では、4つの染色分体がそれぞれの相同ペアリングに見ることができ、四分染色体と呼ばれます。21 中期Iでは、相同染色体は中期板に並びます。後期Iでは、相同染色体は引き離されて反対側の極に移動します。姉妹染色分体は減数分裂IIまで分離されません。減数分裂I中に形成される融合した動原体は、四分染色体に結合するそれぞれの紡錘体微小管が両方の姉妹染色分体に結合するのを確実にします。23 もし個体が組換え結節を作ることができなければ、個体の染色体は減数分裂中に交差することができません。すべての娘細胞が完全な母親または父親の染色分体を受け取るため、これは、個体の配偶子の遺伝的多様性を、独立組み合わせの間に起こるものに限定します。多様な子孫を生み出すことができない個体は、多様な子孫を生み出す個体よりも適応度が低いと見なされます。25 a.交差は、前期Iにおいて非姉妹相同染色体の間で生じます。DNAのセグメントは、母親に由来する染色体と父親に由来する染色体との間で交換され、新しい遺伝子の組み合わせが形成されます。b.中期Iの間のランダムな配置は、母親と父親の染色体が混在する配偶子を生じます。c.任意の2つの配偶子が融合することができるという点で、受精はランダムです。27 有性生殖は個体群内の遺伝的変動を増加させます。なぜなら、新しい個体は2人の親からの遺伝物質をランダムに組み合わせることによって作られるからです。適応した個体だけが性的成熟に達して繁殖するので、個体群全体ではその環境での適応度が増進される傾向にあります。しかしながら、子孫のゲノムを作成するときのランダムな組み合わせは、実際にはその親よりも環境に適応していない生物を産みだす可能性が常にあります。29 二倍体優勢な生物は、二倍体接合子を作ることによって、有性生殖を行います。配偶子を作る細胞は一倍体細胞に由来していますが、接合子を生成する+と-の接合型はランダムに組み合わされています。接合子はまた、一倍体段階に戻るために減数分裂を行うので、複数の段階が一倍体優勢な生物に対して遺伝的多様性を加えます。

この訳文は元の本のCreative Commons BY 4.0ライセンスに従って同ライセンスにて公開します。 問題がありましたら、可能な限り早く対応いたしますので、ご連絡ください。また、誤訳・不適切な表現等ありましたらご指摘ください。この本は、https://openstax.org/details/books/biology-2e で無料でダウンロードできます。

--

--

Better Late Than Never

オープン教育リソース(OER : Open Educational Resources)の教科書と、その他の教育資料の翻訳を公開しています。