生物学 第2版 — 第3章 生物学的高分子 —

Japanese translation of “Biology 2e”

Better Late Than Never
73 min readOct 3, 2019

OpenStax のサイトで公開されている教科書“ Biology 2e”の翻訳です。こちらのページから各章へ移動できます。

3 | 生物学的高分子

図3.1 | パン、フルーツ、チーズなどの食品は、生物学的高分子の豊富な供給源です。(credit: modification of work by Bengt Nyman)

この章の概要

3.1:生物学的高分子の合成
3.2:炭水化物
3.3:脂質
3.4:タンパク質
3.5:核酸

はじめに

食べ物は生きていくために必要な栄養素を体に与えます。これらの重要な栄養素の多くは、生命に必要な生物学的高分子、または巨大分子です。より小さなさまざまな有機分子(モノマー)の組み合わせによって、これらの高分子(ポリマー)が構築されます。生物には、どのような特定の生物学的高分子が必要なのでしょうか?これらの分子はどのように形成されるのでしょうか?それらはどのような機能を果たしますか?この章では、これらの質問を探求していきます。

3.1 | 生物学的高分子の合成

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•高分子の合成を理解する
•脱水反応(または縮合反応)および加水分解反応を説明する

いまあなたが学んだように、生物学的高分子は、より小さな有機分子から構築された生命に必要な巨大分子です。4つの主要な生物学的高分子の分類(炭水化物、脂質、タンパク質、および核酸)があります。それぞれは重要な細胞の成分であり、幅広い機能を果たします。これらの分子を合わせると、細胞の乾燥質量の大半を占めます(水が完全な質量の大部分を占めることを思い出してください)。生物学的高分子は有機物であり、それらは炭素を含みます。加えて、それらは、水素、酸素、窒素、および追加の微量元素を含むことがあります。

脱水合成

大部分の高分子は、モノマーと呼ばれる単一のサブユニットまたは基礎的要素から作られています。モノマーは、共有結合を用いて互いに結合し、ポリマーとして知られるより大きな分子を形成します。その際、モノマーは水分子を副生成物として放出します。このタイプの反応は脱水合成であり、これは「水を失うと同時にまとまる」ことを意味します。

図3.2 | この脱水合成反応では、2つのグルコース分子が結合して二糖マルトースを形成します。その過程で、それは水分子を形成します。

脱水合成反応(図3.2)では、1つのモノマーの水素がもう1つのモノマーの水酸基と結合して水分子を放出します。同時に、2つのモノマーは電子を共有し、共有結合を形成します。追加のモノマーが加わると、この繰り返しのモノマーの鎖はポリマーを形成します。異なるモノマーの種類によって、多くの構成で組み合わせることができ、多様な高分子のグループを生じさせます。1種類のモノマーであっても、いくつかの異なるポリマーを形成するためにさまざまな方法で組み合わせることができます。たとえば、グルコースのモノマーは、デンプン、グリコーゲンおよびセルロースの構成成分となります。

加水分解

ポリマーは加水分解によってモノマーへと分解します。結合に水分子を挿入するときに化学反応が起こります。この水分子を化合物の中へ入れて共有結合を切断することにより、これが達成されます(図3.3)。これらの反応の間に、ポリマーは2つの成分に分かれます:一方の部分は水素原子(H⁺)を獲得し、他方は分断された水分子からヒドロキシル分子(OH⁻)を得ます。

図3.3 | ここでの加水分解反応では、水分子を加えることによって二糖マルトースが分解されて、2つのグルコースのモノマーが形成されます。この反応は、図3.2の合成反応の逆であることに注意してください。

脱水反応および加水分解反応は、特定の酵素によって触媒作用を及ぼされる、すなわち「スピードアップ」されます。脱水反応は新しい結合の形成を含み、エネルギーを必要としますが、加水分解反応は結合を壊して、エネルギーを放出します。これらの反応はほとんどの高分子で同様ですが、それぞれのモノマーおよびポリマーの反応はその分類に特有のものです。たとえば、消化器系の触媒酵素は、私たちが摂取する食品を加水分解または分解してより小さな分子にします。これにより、私たちの体内の細胞が腸内で栄養素を容易に吸収することができるようになります。特定の酵素がそれぞれの高分子を分解します。たとえば、アミラーゼ、スクラーゼ、ラクターゼ、またはマルターゼは、炭水化物を分解します。ペプシンやペプチダーゼなどのプロテアーゼと呼ばれる酵素と塩酸がタンパク質を分解します。リパーゼは脂質を分解します。これらの分解された高分子は、細胞活動のためのエネルギーを提供します。

学習へのリンク

このサイト(http://openstaxcollege.org/l/hydrolysis)にアクセスして、脱水合成と加水分解の視覚的な表現をご覧ください。

3.2 | 炭水化物

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•動植物の細胞や細胞外物質における炭水化物の役割について議論する
•炭水化物の分類を説明する
•一般的な単糖類、二糖類、および多糖類を列挙する

ほとんどの人にとって炭水化物(高分子の1つのタイプ)はおなじみのものであり、これは特に、私たちが食べるものに当てはまります。一部の人たちは、体重を減らすために「ローカーボ(低炭水化物)」ダイエットに固執しています。これとは対照的に、アスリートは、重要な競技の前に「カーボロード(炭水化物を貯蔵)」して、高いレベルで競うのに十分なエネルギーを確保することがしばしばあります。炭水化物は、実際には、私たちの食生活の不可欠な部分です。穀類、果物、野菜はすべて、天然の炭水化物源です。それらは、特にグルコース(デンプンの成分であり、多くの主食の成分である単純な糖)を介して体にエネルギーを供給します。炭水化物はまた、人間、動物および植物において他の重要な機能を有します。

分子構造

化学量論式(CH₂O)ₙ(nは分子中の炭素の数)は、炭水化物を表します。言い換えれば、炭水化物の分子において、炭素と水素と酸素の比は1:2:1です。この式は、「炭水化物」という用語の由来も説明しています。構成要素は、炭素(「炭」)と、水(したがって「水化物」)の成分です。科学者は、炭水化物を3つの亜類型:単糖類、二糖類、および多糖類に分類しています。

単糖類

単糖類(モノサッカリド:モノ- = 「1つ」、サッカル- = 「甘い」)は単糖類であり、最も一般的なものはグルコースです。単糖類では、炭素の数は通常3~7個の範囲です。大部分の単糖類の名前は接尾辞オース(-ose)で終わります。もし糖がアルデヒド基(構造R-CHOを有する官能基)を有する場合、それはアルドースであり、もし糖がケトン基(構造RC(=O)R’を有する官能基)を有する場合、それはケトースです。糖の中の炭素の数に応じて、トリオース(3つの炭素)、ペントース(5つの炭素)、および/またはヘキソース(6つの炭素)となり得ます。図3.4に単糖類を示します。

図3.4 | 科学者は、カルボニル基の位置と骨格中の炭素の数に基づいて単糖類を分類します。アルドースは、炭素鎖の末端についたカルボニル基(緑色で示されています)を有し、ケトースは炭素鎖の中間についたカルボニル基を有します。トリオース、ペントース、およびヘキソースは、それぞれ、3つ、5つ、および6つの炭素骨格を有します。

グルコースの化学式はC₆H₁₂O₆です。人間では、グルコースは重要なエネルギー源です。細胞が呼吸する間、エネルギーはグルコースから放出され、そのエネルギーはアデノシン三リン酸(ATP)の産生に役立ちます。植物は、二酸化炭素と水を使用してグルコースを合成し、次にグルコースは植物に必要なエネルギーを提供します。人や植物を餌とする他の動物は、しばしば異化(細胞での大きな分子の破壊)されたデンプンとして過剰なグルコースを貯蔵します。

ガラクトース(ラクトース、あるいは乳糖の一部)およびフルクトース(果実の中のスクロース中に見出されます)は、別の一般的な単糖類です。グルコース、ガラクトースおよびフルクトースはすべて同じ化学式(C₆H₁₂O₆)を有しますが、それらは不斉炭素の周りで官能基の配置が異なるために、構造的および化学的に異なります(そして異性体です)。これらの単糖はすべて、複数の不斉炭素を有します(図3.5)。

ビジュアルコネクション

図3.5 | グルコース、ガラクトース、フルクトースはすべてヘキソースです。それらは構造異性体であり、それらは同じ化学式(C₆H₁₂O₆)であるが、異なる原子配列を有することを意味します。

これらはどのような種類の糖ですか?アルドース、あるいはケトース?

グルコース、ガラクトース、およびフルクトースは異性体の単糖(ヘキソース)です。これは、化学式は同じであるがわずかに異なる構造を有することを意味します。グルコースおよびガラクトースはアルドースであり、フルクトースはケトースです。

単糖類は、直鎖状または環状分子として存在することができます。水溶液中では、それらは通常は環状です(図3.6)。環状の形態のグルコースは、アノマー炭素(環形成プロセスにおいて非対称になる1番目の炭素)の周りでヒドロキシル基(OH)の2つの異なる配置を有することができます。ヒドロキシル基が糖の中の最初の炭素の下にある場合、それはアルファ(α)位にあり、それが平面よりも上にある場合にはベータ(β)位にあります。

図3.6 | 5個および6個の炭素を持つ単糖は、直鎖状と環状の間で平衡状態で存在します。環が形成されるとき、側鎖はα位またはβ位に固定された状態で閉じます。フルクトースとリボースもまた環を形成しますが、グルコースの六員環とは対照的に五員環を形成します。

二糖類

2つの単糖類が脱水反応(または縮合反応または脱水合成)されると、二糖類(ダイサッカリド:ダイ- = 「2つ」)が形成されます。このプロセスの間に、1つの単糖類のヒドロキシル基は、別の単糖類の水素と結合し、水分子を放出して、共有結合を形成します。共有結合は、炭水化物分子と別の分子との間に形成されます(この場合、2つの単糖の間)。科学者はこれをグリコシド結合と呼んでいます(図3.7)。グリコシド結合(またはグリコシド連結)は、アルファまたはベータ型となることができます。アルファ結合は第1のグルコースの炭素-1のOH基が環平面より下にあるときに形成され、炭素-1のOH基が環平面より上にあるときベータ結合が形成されます。

図3.7 | グル​​コースモノマーとフルクトースモノマーが脱水反応で結合してグリコシド結合を形成するときにスクロースが形成されます。その過程で、水分子が失われます。慣例により、単糖中の炭素原子は、カルボニル基に最も近い末端の炭素から番号付けされます。スクロースにおいて、グリコシド結合は、グルコース中の炭素1とフルクトース中の炭素2との間に形成されます。

一般的な二糖類には、ラクトース、マルトース、およびスクロースが含まれます(図3.8)。ラクトースは、モノマーであるグルコースとガラクトースからなる二糖です。それは自然では牛乳の中にあります。マルトースまたは麦芽糖は、2つのグルコース分子間の脱水反応によって形成される二糖です。最も一般的な二糖類は、グルコースおよびフルクトースのモノマーからなるスクロース(砂糖)です。

図3.8 | 一般的な二糖類には、マルトース(穀物糖)、ラクトース(乳糖)、およびスクロース(砂糖)が含まれます。

多糖類

グリコシド結合によって連結された単糖の長鎖が、多糖(ポリサッカリド:ポリ- = 「多数」)です。鎖は分岐していても分岐していなくてもよく、異なる種類の単糖を含んでいてもかまいません。結合されたモノマーの数によっては、分子量は10万ダルトン以上になることもあります。デンプン、グリコーゲン、セルロースおよびキチンは、多糖類の主要な例です。

植物はデンプンを糖の形で貯蔵します。植物では、アミロースおよびアミロペクチン混合物(両方ともグルコースのポリマー)がこれらの糖からなります。植物はグルコースを合成することができ、すぐに必要なエネルギーを超えた余分なグルコースを、根や種子を含む植物のさまざまな部分にデンプンとして貯蔵します。種子中のデンプンは発芽時に胚のための栄養を提供し、人間や動物の食物源としての役割を果たすこともできます。酵素は人間が消費するデンプンを分解します。たとえば、唾液中に存在するアミラーゼは、このデンプンに触媒作用して、マルトースおよびグルコースなどのより小さな分子に分解します。そして細胞はそのグルコースを吸収することができます。

グルコースのデンプンは、α1–4またはα1–6グリコシド結合によって連結されたモノマーからなります。数字1–4および数字1–6は、つながって結合を形成する2つの残基の炭素番号を示します。図3.9に示すように、非分岐のグルコースモノマー鎖(α-1–4結合のみ)はデンプンを形成します。一方、アミロペクチンは分岐した多糖(分岐点におけるα1–6結合)です。

図3.9 | アミロースとアミロペクチンは、デンプンの2つの異なる形態です。非分岐のグルコースモノマー鎖は、α1–4グリコシド結合によってアミロースを構成します。分岐したグルコースモノマー鎖は、α1–4およびα1–6グリコシド結合によってアミロペクチンを構成します。サブユニットが結合する方法のために、グルコース鎖はらせん構造を有します。グリコーゲン(図示せず)はアミロペクチンと構造は類似していますが、より多く分岐しています。

グリコーゲンは、人間および他の脊椎動物におけるグルコースの貯蔵形態であり、グルコースのモノマーからなります。グリコーゲンは、動物にとってのデンプンの同等物であり、通常は肝臓および筋肉細胞に貯蔵されている多く分岐した分子です。血中グルコース値(血糖値)が低下するたびに、科学者がグリコーゲン分解と呼ぶプロセスでグリコーゲンが分解され、グルコースが放出されます。

セルロースは、最も豊富な天然の生体高分子です。セルロースは主に植物の細胞壁を構成します。これは、細胞の構造的な支持体を提供します。木材および紙は、事実上ほとんどセルロースです。セルロースは、β1–4グリコシド結合によってつながれたグルコースモノマーからなります(図3.10)。

図3.10 | セルロースでは、グルコースモノマーがβ-1–4グリコシド結合によって非分岐の鎖として連結されています。グルコースのサブユニットが結合される方法のために、全てのグルコースモノマーは、次のものに対して反転されるように結合されており、線状の繊維構造を生じます。

図3.10に示されるように、セルロース中のグルコースモノマーは1つおきに裏返しにされ、モノマーは伸ばされた長い鎖として密に詰め込まれます。これにより、セルロースは剛性と高い引っ張り強度をもたらします。これは植物細胞にとって非常に重要なものです。人間の消化酵素はβ1–4結合を分解することはできませんが、牛、コララ、バッファローなどの草食動物は、胃の中の特殊な微生物叢(フローラ)の助けを借りて、セルロースが豊富な植物材料を消化し、それらを食糧源として利用します。これらの動物の中では、ある種の細菌や原生生物が第一胃(草食動物の消化器系の一部)に存在し、それらがセルラーゼという酵素を分泌します。草を食べる動物の虫垂にも、セルロースを消化する細菌が含まれており、反芻動物の消化器系において重要な役割を果たしています。セルラーゼは、セルロースを分解して、動物がエネルギー源として使用するグルコースモノマーにすることができます。シロアリもまた、体内にセルラーゼを分泌する他の生物が存在するため、セルロースを分解することができます。

炭水化物はさまざまな動物でさまざまな機能を果たします。節足動物(昆虫、甲殻類、その他)には外骨格があり、その外骨格は内側の身体部分を保護しています(図3.11の蜂でそれが見られます)。この外骨格は、窒素を含有する多糖類である生物学的高分子のキチンでできています。これは、修飾された糖であるN-アセチル-β-d-グルコサミン単位(変形された糖)を繰り返して作られています。キチンは菌類の細胞壁の主要成分でもあります。菌類は動物でも植物でもなく、真核生物のドメインの中で独自の界を形成しています。

図3.11 | 昆虫には硬質の外骨格があり、それは多糖の一種であるキチンで作られています。(credit: Louise Docker)

キャリアへのつながり

登録栄養士

肥満は世界中で健康についての懸念事項であり、糖尿病や心疾患などの多くの疾患が肥満のためにますます広まってきています。これが、人々がアドバイスのために登録栄養士をますます求めている理由の1つです。登録栄養士は、さまざまな状況の個人のために栄養プログラムを計画するのを手伝います。彼らはしばしば医療施設の患者のために働き、病気を治療し、予防するための栄養計画を設計しています。たとえば栄養士は、糖尿病の患者に対して正しい種類と量の炭水化物を食べることによって血糖値を管理する方法を教えることがあります。また栄養士は、老人ホーム、学校、個人開業で働くこともあります。

登録栄養士になるためには、少なくとも食品学、栄養学、食品技術、または関連分野の学士号を取得する必要があります。さらに、登録栄養士は監督されたインターンシッププログラムを修了し、国家試験に合格する必要があります。栄養学分野でのキャリアを目指す人は、栄養、化学、生化学、生物学、微生物学、人間生理学のコースを受講します。栄養士は、食品(タンパク質、炭水化物、脂肪)の化学および生理学(生物学的機能)の専門家にならなければなりません。

炭水化物の便益

炭水化物はあなたにとって良いものですか?体重を減らすことを望む人々に対して、炭水化物が悪いものであり、それを避けるべきだと言う人もいます。いくつかの食事法では炭水化物の消費を完全に禁止し、低炭水化物の食事は人々の体重をより早く減らすのに役立つと主張しています。しかしながら、炭水化物は数千年もの間、人間の食生活の重要な部分を占めてきました。古代文明の人工物は、私たちの先祖の貯蔵場所に小麦、米、トウモロコシが存在していたことを示しています。

バランスの取れた食事の一環として、私たちは炭水化物をタンパク質、ビタミン、脂肪で補うべきです。カロリーの点でいえば、1グラムの炭水化物は4.3Kcalを提供します。比較のために、脂肪は9Kcal/gであり、より望ましくない比率です。炭水化物は可溶性および不溶性の要素を含みます。不溶性部分である食物繊維は、主にセルロースです。食物繊維には多くの用途があります。それはかさを増やすことによって規則的な腸運動を促進し、血中グルコースの消費率を調節します。繊維は体内から余分なコレステロールを取り除くのにも役立ちます。繊維は、小腸でコレステロールと組み合わされ、次いでコレステロールに結合し、コレステロール粒子が血流に入るのを防止します。コレステロールは、その後、糞便を介して体を出ます。繊維が豊富な食事はまた、結腸がんの発生を低減する保護的な役割を果たします。また、穀物や野菜を含む食事は、満腹感を与えます。エネルギーの直接の供給源として、細胞の呼吸過程でグルコースが分解され、細胞のエネルギー通貨であるATPが生成されます。炭水化物を摂取しなければ、私たちが利用することができる「即時のエネルギー」が低減してしまいます。食事から炭水化物を取り除くことは、体重を減らす最善の方法ではありません。全粒の穀物、果物、野菜、赤身の肉が豊富な低カロリーの食事、そしてたくさんの運動とたくさんの水分が、体重を減らすためのより賢明な方法です。

学習へのリンク

炭水化物に関するさらなる視点については、このインタラクティブなアニメーションを通じて「生体分子:炭水化物」を詳しく探求してください(http://openstaxcollege.org/l/carbohydrates)。

3.3 | 脂質

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•脂質の4つの主要なタイプを記述する
•エネルギー貯蔵における脂肪の役割を説明する
•飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を区別する
•リン脂質と細胞内でのそれらの役割について記述する
•ステロイドの基本的な構造といくつかのステロイドの機能を定義する
•コレステロールがどのようにして原形質膜の流動性を維持するのに役立つかを説明する

脂質には、大部分が無極性の性質を持つ多様な化合物群が含まれます。これは、脂質が主として無極性である炭素-炭素結合や炭素-水素結合を含む炭化水素であるためです。無極性分子は、疎水性(「水を恐れる」)すなわち水に不溶性です。脂質は細胞内で多くの異なる機能を果たします。細胞は、脂肪の形で長期間使用するためのエネルギーを貯蔵します。また脂質は、植物や動物を環境から分離してくれます(図3.12)。たとえば、脂質は、水をはじく疎水性でもって毛皮や羽毛の上に保護層を形成することにより、水鳥や水生哺乳動物の体を乾燥させたままにするのに役立ちます。脂質はまた、多くのホルモンの構成単位であり、すべての細胞膜の重要な構成要素です。脂質には、脂肪、油、ろう、リン脂質、およびステロイドが含まれます。

図3.12 | このカワウソのような水生哺乳類の毛皮の疎水性脂質は、自然の環境からそれらを保護します。(credit: Ken Bosma)

脂肪と油

脂肪分子は、グリセロールと脂肪酸の2つの主成分で構成されています。グリセロールは、3個の炭素、5個の水素、および3個のヒドロキシル基(OH)を有する有機化合物(アルコール)です。脂肪酸は、カルボキシル基が結合している炭化水素の長鎖を有しており、そのために「脂肪酸」という名称が付けられています。脂肪酸の中の炭素の数は4~36個の範囲です。最も一般的なものは12~18個の炭素を含むものです。脂肪分子の中では、脂肪酸は、グリセロール分子の3個の炭素のそれぞれに酸素原子を介してエステル結合しています(図3.13)。

図3.13 | 脱水反応でグリセロールの骨格に3つの脂肪酸を結合させると、トリアシルグリセロールが形成されます。この過程で、3つの水分子が放出されます。

このエステル結合の形成中に、3つの水分子が放出されます。トリアシルグリセロール中の3つの脂肪酸は、同様のものであることも、異なるものであることもあります。また私たちは、その化学構造のために、脂肪のことをトリアシルグリセロールまたはトリグリセリドと呼びます。いくつかの脂肪酸は、その起源を特定する一般的な名称を有します。たとえば、パルミチン酸は飽和脂肪酸であり、ヤシの木(パームツリー)に由来します。アラキジン酸は、落花生またはピーナッツの学名であるアラキス・ヒポガエア(Arachis hypogaea)に由来します。

脂肪酸は、飽和であることも不飽和であることもあります。脂肪酸鎖において、もし炭化水素鎖中の隣り合う炭素間に一重結合のみが存在するならば、その脂肪酸は飽和しています。飽和脂肪酸は水素で飽和しています。すなわち、炭素骨格に結合する水素原子の数が最大化されています。ステアリン酸は飽和脂肪酸の一例です(図3.14)。

図3.14 | ステアリン酸は一般的な飽和脂肪酸です。

炭化水素鎖が二重結合を含む場合、脂肪酸は不飽和です。オレイン酸は不飽和脂肪酸の一例です(図3.15)。

図3.15 | オレイン酸は一般的な不飽和脂肪酸です。

ほとんどの不飽和脂肪は室温で液体です。私たちはこれらを油と呼んでいます。もし分子中に二重結合が1つ存在する場合、それは一価不飽和脂肪(たとえば、オリーブ油)であり、もし2つ以上の二重結合がある場合、それは多価不飽和脂肪(たとえば、キャノーラ油)です。

脂肪酸が二重結合を有さない場合、それは鎖の炭素原子にさらに水素を加えることができないため、飽和脂肪酸です。脂肪において、グリセロールに結合される脂肪酸は、類似のものでも異なるものでもよいです。単結合を有する長い直鎖脂肪酸は、一般に密に詰め込まれ、室温で固体です。ステアリン酸およびパルミチン酸(肉で一般的)を有する動物性脂肪および酪酸(バターで一般的)を有する脂肪は、飽和脂肪の例です。哺乳動物は、脂肪球が細胞の体積の大部分を占める特殊な細胞、つまり脂肪細胞に脂肪を貯蔵します。植物は、多くの種子に脂肪または油を貯蔵し、実生の発育中にそれらをエネルギー源として使用します。不飽和脂肪または油は、通常、植物起源のものであり、シス不飽和脂肪酸を含有します。シスおよびトランスは、二重結合の周りの分子の立体配置を示します。もし水素が同じ平面に存在する場合、それはシス脂肪です。もし水素原子が2つの異なる平面にある場合、それはトランス脂肪です。シス二重結合は、屈曲または「よじれ」を引き起こし、それによって脂肪酸が密に詰め込まれなくなり、室温で液体となります(図3.16)。オリーブ油、トウモロコシ油、キャノーラ油、およびタラ肝油が不飽和脂肪の例です。不飽和脂肪は、血中コレステロール値を低下させるのに役立ちます。一方で、飽和脂肪は動脈内でのプラークの形成に寄与します。

図3.16 | 飽和脂肪酸は、一重結合のみによって連結された炭化水素鎖を有します。不飽和脂肪酸は、1つかそれ以上の二重結合を有します。それぞれの二重結合は、シス型であることもトランス型であることもあります。シス配置では、両方の水素が炭化水素鎖の同じ側にあります。トランス配置では、水素は反対側にあります。シス二重結合は、鎖によじれを生じさせます。

トランス脂肪

食品業界では人工的に油を水素化してそれを半固体にして、多くの加工食品に望ましい硬さを持たせます。簡単に言えば、油を水素ガスで泡立てて凝固させます。この水素化プロセスの間、炭化水素鎖中のシス配座の二重結合は、トランス配座の二重結合に変換されることがあります。

マーガリン、いくつかのタイプのピーナッツバター、およびショートニングは、人工的に水素化されたトランス脂肪の例です。最近の研究では、人間の食事の中のトランス脂肪の増加が低密度リポタンパク質(LDL)、つまり「悪玉」コレステロールの値を高め、それが動脈のプラーク沈着を引き起こして、心臓病につながることが示されています。多くのファストフードのレストランでは最近、トランス脂肪を使用するの禁止しており、トランス脂肪含有量を表示するには食品ラベルが必要とされています。

オメガ脂肪酸

必須脂肪酸とは、人体が必要とするものの、人体では合成されない脂肪酸です。したがって、それらは食事を介して摂取することによって補充されなければなりません。オメガ-3脂肪酸(図3.17のようなもの)はこのカテゴリーに分類され、人間について知られている2つのうちの1つです(もう1つはオメガ-6脂肪酸です)。これらは多価不飽和脂肪酸であり、炭化水素鎖の末端から3番目の炭素が二重結合によって隣接する炭素に結合されるため、オメガ-3です。

図3.17 | α-リノレン酸は、オメガ-3脂肪酸の一例です。それは3つのシス二重結合を有し、結果として湾曲した形状を有します。明確にするために、この図では炭素を示していません。それぞれの一重結合の炭素には、それに付随する2つの水素があり、それもまたこの図には示されていません。

カルボキシル基から最も遠い炭素はオメガ(ω)炭素として番号付けされ、二重結合がその末端から3番目と4番目の炭素の間にある場合、それはオメガ-3脂肪酸です。体がそれらを作らないためにオメガ-3脂肪酸は栄養的に重要です。オメガ-3脂肪酸にはα-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)が含まれており、これらはすべて多価不飽和です。サケ、マス、マグロはオメガ-3脂肪酸の良い供給源です。研究によれば、オメガ-3脂肪酸は、心臓発作による急死のリスクを軽減し、血液中のトリグリセリドを低下させ、血圧を抑え、血液凝固を抑制することにより血栓を防ぎます。それらはまた、炎症を軽減し、動物のいくつかのがんのリスクを下げるのに役立ちます。

炭水化物と同様に、脂肪はかなりの悪評を受けています。揚げた食べ物や他の「脂肪の多い」食べ物を過剰に食べると、体重が増えることは事実です。しかしながら、脂肪には重要な機能があります。多くのビタミンは脂溶性であり、脂肪は脂肪酸、つまりエネルギー源の長期保存の形態として役立ちます。それらはまた、体のための保護を提供します。したがって、私たちは定期的に適度な量の「健康な」脂肪を消費するべきです。

ろう

ろうは、ある種の水鳥の羽といくつかの植物の葉の表面を覆っています。ろうの疎水性のために、それは表面に水が付着するのを防ぎます(図3.18)。長鎖アルコールへとエステル化された長鎖脂肪酸鎖がろうを構成します。

図3.18 | 脂質は、いくつかの葉の上のろう状の覆いを構成します。(credit: Roger Griffith)

リン脂質

リン脂質は、細胞の最外層を構成する原形質膜の主要な成分です。脂肪と同様に、それらはグリセロールまたはスフィンゴシン骨格に結合した脂肪酸鎖からなります。しかしながら、トリグリセリドのように3つの脂肪酸が結合するのではなく、そこにはジアシルグリセロールを形成する2つの脂肪酸と、グリセロール骨格の3番目の炭素を占める1つの修飾リン酸基があります(図3.19)。リン酸基のみがジアシルグリセロールに結合しただけでは、リン脂質としての資格を持ちません。それは、リン脂質の前駆体であるホスファチジン酸(ジアシルグリセロール3-リン酸)です。アルコールがリン酸基を修飾します。ホスファチジルコリンおよびホスファチジルセリンは、原形質膜中に存在する2つの重要なリン脂質です。

図3.19 | リン脂質は、グリセロール骨格に結合した2つの脂肪酸と1つの修飾リン酸基を持つ分子です。帯電した化学基または極性の化学基を加えることにより、リン酸基を修飾することができます。

リン脂質は両親媒性の分子であり、それは疎水性部分と親水性部分を有することを意味します。脂肪酸鎖は疎水性であり、水と相互作用することができません。一方で、リン酸含有基は親水性であり、水と相互作用します(図3.20)。

図3.20 | リン脂質二重層は、すべての細胞膜の主要な構成要素です。リン脂質の親水性頭部は水溶液に面しています。疎水性尾部は、二重層の中間に隔離されています。

頭部は親水性部分であり、尾部は疎水性脂肪酸を含みます。膜では、リン脂質の二重層はこの構造の土台を形成し、リン脂質の脂肪酸の尾部は水から離れて内部に面しています。一方、リン酸基は外側の水の側に面しています(図3.20)。

リン脂質は、原形質膜の動的な性質を担います。リン脂質を一滴だけ水中にたらすと、それは科学者がミセルと呼ぶ構造を自発的に形成し、そこでは親水性リン酸基の頭部が外側に向き、脂肪酸が構造の内部に面しています。

ステロイド

私たちがここまでに議論したリン脂質および脂肪とは異なり、ステロイドは縮合環構造を有します。ステロイドは他の脂質に似ていませんが、それらも疎水性で水に不溶であるため、科学者はそれらを他の脂質とグループ化しています。すべてのステロイドには4つの連結した炭素環があり、そのうちのいくつかはコレステロールのように短い尾を持っています(図3.21)。また、多くのステロイドは-OH官能基を有しており、それはステロイドをアルコール分類(ステロール)に入れます。

図3.21 | 4つの縮合炭化水素環が、コレステロールやコルチゾールなどのステロイドを構成します。

コレステロールは最も一般的なステロイドです。肝臓はコレステロールを合成し、それは生殖腺および内分泌腺が分泌するテストステロンやエストラジオールなどの多くのステロイドホルモンの前駆体となります。それはビタミンDの前駆体でもあります。コレステロールはまた、脂肪の乳化およびその後の細胞による吸収を助ける胆汁酸塩の前駆体でもあります。普通の人はしばしばコレステロールについて否定的に話しますが、それは体の適切な機能のために必要なものです。ステロール(動物細胞中ではコレステロール、植物中ではフィトステロール)は、細胞の原形質膜の成分であり、リン脂質二重層内に見出されます。

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脂質に関するさらなる視点については、インタラクティブアニメーション「生体分子:脂質」(http://openstaxcollege.org/l/lipids)を参照してください。

3.4 | タンパク質

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•タンパク質が細胞や組織の中で果たす機能について記述する
•アミノ酸とタンパク質の間の関係について議論する
•タンパク質組織の4つのレベルを説明する
•タンパク質の形状と機能がどのように関連しているかを記述する

タンパク質は生物系において最も豊富な有機分子の1つであり、すべての高分子の中で最も多様な機能を持っています。タンパク質は、構造的にも、調節的にも、収縮的にも、保護的にもなることがあります。それらは、輸送、貯蔵、または膜組織に役立つことがあります。あるいはそれは毒素であることも酵素であることもあります。生物系の各細胞は、それぞれ独自の機能を持つ何千ものタンパク質を含むことがあります。それらの構造は、その機能と同様に非常に変化に富むものです。しかしながら、それらはすべて、直鎖状に配列されたアミノ酸ポリマーです。

タンパク質の種類と機能

生きている細胞が生産する酵素は、生化学反応(消化のような)における触媒であり、通常は複合タンパク質または共役タンパク質です。それぞれの酵素は基質(酵素に結合する反応物)に特有であり、その基質に作用します。この酵素は、分解、転位、または合成反応を助けることができます。私たちは、それらの基質を分解する酵素を異化酵素と呼びます。それらの基質からより複雑な分子を構築するものは同化酵素であり、反応速度に影響を及ぼす酵素は触媒酵素です。すべての酵素は反応速度を増加させるものであり、したがって有機触媒であることに注意してください。酵素の例は、デンプンの成分である基質のアミロースを加水分解する唾液アミラーゼです。

ホルモンとは、成長、発達、代謝、および生殖を含む特定の生理学的プロセスを制御または調節するように作用する、内分泌細胞によって分泌される化学的シグナリング分子であり、通常は小さなタンパク質またはステロイドです。たとえば、インスリンは血中グルコース値を調節するのに役立つタンパク質ホルモンです。表3.1にタンパク質の主要な種類と機能を示します。

表3.1

タンパク質はさまざまな形状および分子量を有します。いくつかのタンパク質は球形です。一方、他のものは線維性です。たとえば、ヘモグロビンは球状タンパク質ですが、私たちの皮膚に存在するコラーゲンは線維性タンパク質です。タンパク質の形状はその機能にとって重要であり、多くの異なる種類の化学結合がこの形状を維持します。温度、pH、化学物質への曝露の変化は、タンパク質の形状に永続的な変化をもたらし、機能の喪失、つまり変性を引き起こすことがあります。同じ20種類のアミノ酸の異なる配列がすべてのタンパク質を構成します。2つのめずらしい新しいアミノ酸が最近発見されました(セレノシステインとピロリジン)。さらなる新たな発見によって、このリストが追加されることがあるかもしれません。

アミノ酸

アミノ酸はタンパク質を構成するモノマーです。それぞれのアミノ酸は同じ基本構造を有します。それは、アミノ基(NH₂)、カルボキシル基(COOH)および水素原子に結合した中心炭素原子(アルファ(α)炭素)からなります。また、すべてのアミノ酸は、中心原子に結合した別の原子または原子のグループを有しており、これはR基として知られています(図3.22)。

図3.22 | アミノ酸は、アミノ基、カルボキシル基、水素原子、側鎖(R基)が結合した中央の不斉炭素を有します。

これらの酸は、その基本構造にアミノ基とカルボキシル酸基の両方を含むため、科学者は「アミノ酸」という名前を使用します。先に述べたように、タンパク質には20の共通アミノ酸が存在します。これらのうちの9つは、人間にとっての必須アミノ酸です。なぜなら、人間の体はそれらを生産することができず、私たちは食生活からそれらを得るためです。それぞれのアミノ酸は、R基(または側鎖)が異なります(図3.23)。

ビジュアルコネクション

図3.23 | タンパク質に共通して見出される20個の共通アミノ酸があり、それぞれがその化学的性質を決定する異なるR基(変異基)を有しています。

可溶性タンパク質の表面に見出されると予想されるアミノ酸のカテゴリーはどれですか?そして可溶性タンパク質の内部で見出されることが予想されるアミノ酸のカテゴリーはどれですか?脂質二重層に埋め込まれたタンパク質では、どのようなアミノ酸の分布が見出されることが予想されますか?

側鎖の化学的性質が、アミノ酸の性質(すなわち、酸性であるか、塩基性であるか、極性であるか無極性であるか)を決定します。たとえば、アミノ酸のグリシンは、R基として水素原子を有します。バリン、メチオニン、およびアラニンなどのアミノ酸は、性質上、無極性または疎水性ですが、セリン、スレオニン、およびシステインなどのアミノ酸は極性であり、親水性の側鎖を有します。リシンおよびアルギニンの側鎖は正に帯電しているため、これらのアミノ酸も塩基性アミノ酸です。プロリンは、アミノ基に結合したR基を有し、環のような構造を形成します。プロリンは、そのアミノ基が側鎖から分離していないので、アミノ酸の標準構造に対する例外です(図3.23)。

1つの大文字または3文字の略語でアミノ酸を表します。たとえば、大文字のVまたは3文字の記号valはバリンを表します。いくつかの脂肪酸が食生活にとって不可欠であるように、いくつかのアミノ酸も必要とされます。人間におけるこれらの必須アミノ酸には、イソロイシン、ロイシン、およびシステインが含まれます。必須アミノ酸とは、体内でタンパク質を作るのに必要なものであるが、体が産生しないものを指します。どのアミノ酸が必須であるかは、生物によって異なります。

アミノ酸の配列と数は、タンパク質の形状、サイズ、および機能を最終的に決定します。脱水反応が形成する共有結合またはペプチド結合がそれぞれのアミノ酸を結合します。1つのアミノ酸のカルボキシル基と次にくるアミノ酸のアミノ基が結合して、水分子を放出します。得られる結合がペプチド結合です(図3.24)。

図3.24 | ペプチド結合の形成は脱水合成反応です。1つのアミノ酸のカルボキシル基は、次にくるアミノ酸のアミノ基に結合しています。この過程で、それは水分子を放出します。

そのような結合が形成する生成物はペプチドです。より多くのアミノ酸がこの成長する鎖に結合すると、得られる鎖はポリペプチドです。それぞれのポリペプチドは一方の末端に遊離アミノ基を有します。これは、N末端またはアミノ末端です。もう一方の端部は、遊離カルボキシル基を有し、これはC末端またはカルボキシル末端です。ポリペプチドおよびタンパク質という用語は相互に交換可能なように使用されることもありますが、ポリペプチドは技術的にはアミノ酸のポリマーであり、一方でタンパク質という用語は、1つのポリペプチド、または一緒に結合され、しばしば非ペプチドの補欠分子族を有し、異なる形状を有し、独特の機能を有する複数のポリペプチドに使用されます。タンパク質合成(翻訳)の後、ほとんどのタンパク質が修飾されます。これらは、翻訳後修飾として知られています。それらは、切断、リン酸化、または他の化学基の追加が必要な場合があります。これらの修飾の後にのみ、タンパク質は完全に機能します。

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このインタラクティブなチュートリアルのタンパク質合成の手順をクリックしてください(http://openstaxcollege.org/l/protein_synth)。

進化へのつながり

シトクロムcの進化的意義

シトクロムcは、電子伝達鎖(細胞呼吸の一部)の重要な構成要素であり、通常は細胞小器官のミトコンドリアの中に位置します。このタンパク質は、ヘム補欠分子族を有し、このヘムの中心イオンは、電子伝達中に交互に還元・酸化します。細胞エネルギーを産生する上でのこの必須タンパク質の役割は重要であるため、何百万年もほとんど変化していません。タンパク質シークエンシング(配列決定)は、異なる種の間でシトクロムcアミノ酸配列の相同性がかなりあることを示しています。言い換えれば、私たちは、さまざまな種の間のDNA配列またはタンパク質配列の類似性または相違を測定することによって、進化的な親類関係を評価することができます。

科学者たちは、人間のシトクロムcが104個のアミノ酸を含むと断定しています。科学者が今までに配列決定したさまざまな生物に由来する各シトクロムc分子について、それらのアミノ酸のうちの37個がすべてのシトクロムcのサンプル中の同じ位置に現れています。これは、共通の祖先がいたかもしれないことを示しています。人間とチンパンジーのタンパク質配列を比較したところ、科学者は配列の相違を見いだしませんでした。研究者が人間とアカゲザルの配列を比較すると、1つのアミノ酸に1つの違いがありました。別の比較においては、人間と酵母の配列決定は、44番目の位置に相違を示しています。

タンパク質構造

私たちが先に議論したように、タンパク質の形状はその機能にとって重要です。たとえば、ある酵素は、活性部位で特定の基質に結合することができます。局所的な変化または全体的なタンパク質構造の変化のためにこの活性部位が変わった場合、その酵素は基質に結合できなくなるかもしれません。タンパク質がどのように最終的な形状または立体配座を得るかを理解するためには、私たちはタンパク質構造の4つのレベル、すなわち一次構造、二次構造、三次構造、四次構造を理解する必要があります。

一次構造

ポリペプチド鎖におけるアミノ酸の固有の配列が、その一次構造です。たとえば、膵臓ホルモンのインスリンは、2つのポリペプチド鎖AおよびBを有し、それらはジスルフィド結合によって一緒に連結されています。A鎖のN末端アミノ酸はグリシンです。一方、C末端アミノ酸はアスパラギンです(図3.25)。A鎖およびB鎖のアミノ酸配列は、インスリンに特有のものです。

図3.25 | ウシ血清のインスリンは、A鎖(アミノ酸21個の長さ)およびB鎖(アミノ酸30個の長さ)という2つのペプチド鎖からなるタンパク質ホルモンです。それぞれの鎖では、アミノ酸の並んだ順に沿ったアミノ酸の名前を表す3文字の略語が一次構造を表しています。アミノ酸のシステイン(cys)は、側鎖としてスルフヒドリル基(SH)を有します。2つのスルフヒドリル基は、酸素の存在下で反応してジスルフィド結合(S-S)を形成することができます。2つのジスルフィド結合がA鎖とB鎖を一緒に連結し、3つめがA鎖を正しい形状に折り畳むのを助けます。すべてのジスルフィド結合は同じ長さであることに注意してください。しかし、私たちは分かりやすくするためにそれらを異なるサイズで描いています。

タンパク質をコードする遺伝子が最終的にすべてのタンパク質の固有な配列を決定します。遺伝子のコード領域のヌクレオチド配列の変化は、成長中のポリペプチド鎖に異なるアミノ酸を付加し、タンパク質構造および機能の変化を引き起こす可能性があります。鎌状赤血球貧血では、ヘモグロビンβ鎖(その一部は図3.26に示されています)は1つのアミノ酸置換を持ち、タンパク質の構造と機能の変化を引き起こしています。具体的には、β鎖のバリンがグルタミン酸を置換します。最も注目すべき考慮事項は、ヘモグロビン分子がそれぞれ約150個のアミノ酸からなる2つのα鎖および2つのβ鎖からなることです。したがって、この分子は約600個のアミノ酸を有します。正常ヘモグロビン分子と鎌状赤血球分子(これは平均余命を劇的に減らします)との構造的差異は、600個のうちの1つのアミノ酸です。さらに注目すべきことは、3つのヌクレオチドがそれぞれこの600個のアミノ酸をコードしており、単一の塩基変化(点突然変異)、つまり1800の塩基中の1つがこの突然変異を引き起こします。

図3.26 | ヘモグロビンのベータ鎖は147残基の長さですが、単一のアミノ酸置換が鎌状赤血球貧血につながります。正常ヘモグロビンでは、7番目の位置のアミノ酸はグルタミン酸です。鎌状赤血球ヘモグロビンでは、バリンがグルタミン酸に取って代わります。

この鎖の中の1つのアミノ酸の変化のために、ヘモグロビン分子は長い繊維を形成し、これが両凹形または円板状の赤血球を歪ませ、それらを三日月型または「鎌状」の形状にします。この鎌状の形態が血管を詰まらせます(図3.27)。これは、この病気に冒されている人々にとって、息切れ、めまい、頭痛、および腹痛などの無数の深刻な健康問題につながります。

図3.27 | 明視野顕微鏡を用いて535倍に拡大して視覚化したこの血液塗抹標本において、鎌状赤血球は三日月形であり、正常細胞は円板状です。(credit: modification of work by Ed Uthman; scale-bar data from Matt Russell)

二次構造

いくつかの領域におけるポリペプチドの局所的な折り畳みは、タンパク質の二次構造を生じさせます。最も一般的なものはα-ヘリックス構造とβ-プリーツシート構造です(図3.28)。どちらの構造も、水素結合によって形状が保持されます。水素結合は、1つのアミノ酸のカルボニル基の酸素原子と、鎖に沿って4つのアミノ酸の分だけ離れた別のアミノ酸との間に形成されます。

図3.28 | α-ヘリックスおよびβ-プリーツシートはタンパク質の二次構造であり、ペプチド骨格のカルボニル基とアミノ基との間の水素結合によって形成されます。特定のアミノ酸はα-ヘリックスを形成する傾向を有しますが、他のアミノ酸はβ-プリーツシートを形成する傾向を有します。

α-ヘリックスにあるすべてのらせん状の一回転は、3.6個のアミノ酸残基を有します。ポリペプチドのR基(変異基)はα-ヘリックス鎖から突出しています。β-プリーツシートでは、ポリペプチド鎖の骨格上の原子間の水素結合が「プリーツ(ひだ)」を形成します。R基は炭素に結合し、プリーツの折り目の上下に伸びています。プリーツ部分は、互いに平行または逆平行に配列され、アミノ基にある部分的に正の窒素原子とペプチド骨格のカルボニル基にある部分的に負の酸素原子との間で水素結合が形成されます。α-ヘリックス構造およびβ-プリーツシート構造は、ほとんどの球状および線維状タンパク質に存在し、それらは重要な構造的役割を果たします。

三次構造

ポリペプチドに特有な三次元的構造が、その三次構造となります(図3.29)。この構造は、部分的には、ポリペプチド鎖上で作用する化学的相互作用によるものです。主として、R基間の相互作用がタンパク質の複雑で立体的な三次構造を作り出します。関与するアミノ酸中のR基の性質は、標準的な二次構造について記述した水素結合の形成を妨げる可能性があります。たとえば、同じ電荷を有するR基は互いに反発し、異なる電荷を有する基は互いに引き合わされます(イオン結合)。タンパク質の折り畳みが起こると、無極性アミノ酸の疎水性R基がタンパク質の内部に存在します。一方、親水性R基は外側にあります。科学者は前者の相互作用のタイプも疎水性相互作用と呼んでいます。システイン側鎖間の相互作用は、酸素の存在下でジスルフィド結合を形成し、これはタンパク質の折り畳み中に形成される唯一の共有結合です。

図3.29 | さまざまな化学的相互作用が、タンパク質の三次構造を決定します。これらには、疎水性相互作用、イオン結合、水素結合、およびジスルフィド結合が含まれます。

これらの相互作用は弱いものも強いものもすべて、タンパク質の最終的な三次元的形状を決定します。タンパク質がその三次元的形状を失うと、それはもはや機能しないかもしれません。

四次構造

性質上、いくつかのタンパク質はいくつかのポリペプチドまたはサブユニットから形成され、これらのサブユニットの相互作用が四次構造を形成します。サブユニット間の弱い相互作用は全体の構造を安定化させるのに役立ちます。たとえば、インスリン(球状タンパク質)は、水素とジスルフィド結合との組合せを有し、これがインスリンを主にボールの形状に凝集します。インスリンは単一のポリペプチドとして出発し、残りの鎖を一緒に保持するジスルフィド結合を形成した後の翻訳後修飾によっていくつかの内部配列を失います。しかしながら、シルク(線維状タンパク質)は、異なる鎖間の水素結合の結果であるようなβ-プリーツシート構造を有します。

図3.30は、4つのレベルのタンパク質構造(一次、二次、三次、および四次)を示します。

図3.30 | これらの図でタンパク質構造の4つのレベルを観察してください。(credit: modification of work by National Human Genome Research Institute)

変性およびタンパク質折り畳み

それぞれのタンパク質は、独自の配列と形状を持っており、化学的相互作用がそれらを結び付けます。タンパク質が温度、pH、または化学物質への曝露による変化を受けた場合、タンパク質構造は変化し、一次構造の配列はそのままにその形状を失うことがあります。科学者はこれを変性と呼びます。変性はしばしば可逆的です。なぜなら、ポリペプチドの一次構造はそのプロセスにおいて保存されており、もし変性剤が除去された場合、タンパク質がその機能を回復することを可能にします。変性は不可逆的であることもあり、機能の喪失へとつながります。不可逆的なタンパク質変性の一例は、卵を焼くことです。液状の卵白中のタンパク質であるアルブミンは、熱いフライパンに入れたときに変性します。すべてのタンパク質が高温で変性するわけではありません。たとえば、温泉の中で生き残る細菌は、沸騰に近い温度で機能するタンパク質を有します。胃も非常に酸性であり、pHが低く、消化プロセスの一部としてタンパク質を変性させます。しかしながら、胃の消化酵素はこれらの条件下でその活性を保持しています。

タンパク質の折り畳みは、その機能にとって非常に重要です。科学者たちはもともと、タンパク質自体が折り畳みの過程を担っていると考えていました。折り畳みプロセスのあいだ標的タンパク質に付随するタンパク質のヘルパー(シャペロン、またはシャペロニン)によって、折り畳みプロセスにおいてタンパク質がしばしば助けを受けていることが研究者によって発見されたのはつい最近のことです。それらのヘルパーは、完全なタンパク質構造からなるポリペプチドの凝集を防止することによって作用し、標的タンパク質が折り畳まれるとタンパク質から解離します。

学習へのリンク

タンパク質に関するさらなる視点については、「生体分子:タンパク質」という題名のこのアニメーションをご覧ください(http://openstaxcollege.org/l/proteins)。

3.5 | 核酸

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•核酸の構造を説明し、2種類の核酸を定義する
•DNAの構造と役割を説明する
•RNAの構造と役割を説明する

核酸は、生命の連続性にとって最も重要な高分子です。それらは細胞の遺伝的な設計図を帯びており、それが機能するための指示を運びます。

DNAおよびRNA

核酸の2つの主なタイプは、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)です。DNAは、単細胞細菌から多細胞哺乳類までの全ての生物の中にある遺伝物質です。それは真核生物の核内と、細胞小器官、葉緑体、およびミトコンドリア内とに存在します。原核生物では、DNAは膜状エンベロープに封入されていません。

細胞の全ての遺伝的内容はそのゲノムであり、ゲノムの研究がゲノミクスです。真核細胞の中では、DNAはヒストンタンパク質とともに複合体を形成して、真核生物の染色体の物質であるクロマチンを形成します。原核細胞ではこれは起こりません。染色体には数万の遺伝子が含まれていることがあります。多くの遺伝子には、タンパク質産物を作るための情報が含まれています。他の遺伝子はRNA産物をコードしています。DNAは、遺伝子を「オン」または「オフ」にすることによって、すべての細胞活動を制御します。

他のタイプの核酸であるRNAは、大部分がタンパク質合成に関与しています。DNA分子は決して核から離れることはなく、その代わりに細胞の残りの部分とコミュニケーションを取るために媒介物を用います。この媒介物がメッセンジャーRNA(mRNA)です。rRNA、tRNA、およびマイクロRNAのような他のタイプのRNAは、タンパク質合成およびその調節に関与します。

DNAとRNAは、科学者がヌクレオチドと呼ぶモノマーで構成されています。ヌクレオチドは互いに結合してポリヌクレオチド、つまりDNAかRNAを形成します。3つの成分が、各ヌクレオチドを構成します:窒素含有塩基、ペントース(5個の炭素)糖、およびリン酸基です(図3.31)。ヌクレオチド中のそれぞれの窒素含有塩基は糖分子に結合しており、それが1つかそれ以上のリン酸基に結合しています。

図3.31 | 3つの成分が、ヌクレオチドを構成します:窒素含有塩基、ペントース糖、および1つかそれ以上のリン酸基。ペントース中の炭素残基は1'から5'の番号が付けられています(プライム記号(')は、これらの残基を塩基のものから区別します。塩基の中のものは、プライム記号を使用せずに番号が付けられます)。塩基はリボースの1’位に結合し、リン酸基は5'位に結合します。ポリヌクレオチドが形成されるとき、次に来るヌクレオチドの5'位のリン酸基は、伸長する鎖の末端の3'位のヒドロキシル基に結合します。2つのタイプのペントース、つまりデオキシリボース(DNA中に見られます)およびリボース(RNA中に見られます)が、ヌクレオチドの中にあります。デオキシリボースは、構造がリボースと類似していますが、2'位にOHの代わりにHを有します。塩基はプリンとピリミジンの2つのカテゴリーに分けることができます。プリンは二重環構造を有し、ピリミジンは1つの環を有します。

ヌクレオチドの重要な成分である窒素含有塩基は有機分子であり、炭素と窒素を含んでいるためにその名前が付けられています。それらは塩基です。なぜならそれらは、余分な水素と結合し、その環境中の水素イオン濃度を減少させ、環境をより塩基的なものとする可能性のあるアミノ基を含有するためです。DNAの各ヌクレオチドは、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、およびチミン(T)の4つの可能な窒素含有塩基のうちの1つを含みます。

科学者はアデニンとグアニンをプリンとして分類します。プリンの一次構造は2つの炭素-窒素環です。科学者はシトシン、チミン、およびウラシルをピリミジンとして分類します。ピリミジンは一次構造として単一の炭素-窒素環を有します(図3.31)。これらの基本的な炭素-窒素環のそれぞれは、そこに結合された異なる官能基を有します。分子生物学の略語では、私たちはそれらの記号A、T、G、C、およびUによって窒素含有塩基を知ることができます。DNAはA、T、GおよびCを含みます。一方で、RNAはA、U、G、およびCを含みます。

DNA中のペントース糖はデオキシリボースであり、RNAでは糖はリボースです(図3.31)。2つの糖の違いは、リボースの2番目の炭素にはヒドロキシル基が存在しており、デオキシリボースの2番目の炭素には水素が存在していることです。糖分子の炭素原子は、1'、2'、3'、4'、および5'(1'は「1プライム」と読みます)と番号が付けられています。リン酸残基は、1つの糖の5'炭素のヒドロキシル基および次のヌクレオチドの糖の3'炭素のヒドロキシル基に結合しており、これにより5'-3'ホスホジエステル結合が形成されます。高分子中のモノマーを連結する他の結合のような単純な脱水反応は、ホスホジエステル結合を形成しません。その形成は、2つのリン酸基を除去することを含みます。ポリヌクレオチドは、このようなホスホジエステル結合を何千も有することがあります。

DNA二重らせん構造

DNAは二重らせん構造をしています(図3.32)。糖とリン酸はらせんの外側にあり、DNAの骨格を形成しています。窒素含有塩基は、一対の階段の踏み段のように、内部に積み重ねられています。水素結合は、対を互いに結合させます。二重らせんの中の全ての塩基対は、次の塩基対から0.34nmだけ離れています。らせんの2つのストランドは反対方向に伸びます。つまり、一方のストランドの5'炭素の末端は、対応するストランドの3'炭素の末端へと向き合うだろうということを意味します。(科学者はこれを逆平行配向と呼び、これはDNA複製や多くの核酸の相互作用にとって重要です。)

図3.32 | 天然DNAは逆平行二重らせんです。リン酸骨格(曲線で示されています)は外側にあり、塩基は内側にあります。一方のストランドからの各塩基は、水素結合を介して、反対のストランドからの塩基と相互作用します。(credit: Jerome Walker/Dennis Myts)

特定の種類の塩基対のみが許容されます。たとえば、特定のプリンは特定のピリミジンのみと組み合わさることができます。これは、図3.33に示すように、AがTと対になり、GがCと対になることを意味します。これが塩基の相補性のルールです。言い換えれば、DNAストランドは互いに相補的です。一方のストランドの配列がAATTGGCCである場合、相補ストランドは配列TTAACCGGを有するでしょう。DNA複製の際には、それぞれのストランドはそれ自身をコピーし、1つの親DNAストランドと新たに合成されたストランドを含む娘DNA二重らせんを生み出します。

ビジュアルコネクション

図3.33 | 二本ストランドのDNA分子では、2つのストランドは互いに逆平行に伸びており、その結果、一方のストランドは5'から3'へと、他方は3'から5'へと伸びます。リン酸骨格は外側に位置し、塩基は中央に位置します。アデニンはチミンと水素結合(あるいは塩基対)を形成し、グアニン塩基はシトシンと対になります。

突然変異が起こり、アデニンがシトシンに置き換わりました。あなたは、これがDNA構造にどのような影響を与えると思いますか?

RNA

リボ核酸、すなわちRNAは、DNAの指示によるタンパク質合成のプロセスに主として関与しています。RNAは通常一本のストランドであり、ホスホジエステル結合によって連結されたリボヌクレオチドからなります。RNA鎖中のリボヌクレオチドは、リボース(ペントース糖)、4つの窒素含有塩基(A、U、G、およびC)の1つ、およびリン酸基を含みます。

メッセンジャーRNA(mRNA)、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、マイクロRNA(miRNA)の4つの主要なタイプのRNAがあります。最初のmRNAは、細胞内のすべての細胞活動を制御するようなDNAからのメッセージを運びます。もし細胞が特定のタンパク質の合成を必要とする場合、この産物のための遺伝子が「オン」になり、メッセンジャーRNAが核内で合成します。RNA塩基配列は、それのコピー元であるDNAのコード配列に相補的です。しかしながら、RNAでは、塩基Tは存在せず、その代わりにUが存在します。もしDNAストランドが配列AATTGCGCを有する場合、相補的なRNAの配列はUUAACGCGです。細胞質において、mRNAはリボソームおよび他の細胞機構と相互作用します(図3.34)。

図3.34 | リボソームには、大きなサブユニットと小さなサブユニットの2つの部分があります。mRNAは、2つのサブユニットの間に位置します。tRNA分子は、mRNA上のコドンを認識し、相補的な塩基対形成によってそれに結合し、伸びていくペプチド鎖に正しいアミノ酸を付加します。

mRNAは、コドンとして知られる3つの塩基のセットで読み取られます。それぞれのコドンは単一のアミノ酸をコードします。このようにして、mRNAが読み取られ、タンパク質産物が作製されます。リボソームRNA(rRNA)は、mRNAが結合するリボソームの主成分です。rRNAは、mRNAとリボソームの適切な整列を確実にします。リボソームのrRNAは、酵素活性(ペプチジルトランスフェラーゼ)も有し、2つの整列したアミノ酸間のペプチド結合形成を触媒します。トランスファーRNA(tRNA)は、4種類のRNAの中で最小のもので、通常70~90ヌクレオチド長です。これは、正しいアミノ酸をタンパク質合成部位に運びます。正しいアミノ酸がポリペプチド鎖に挿入されることを可能にするのは、tRNAとmRNAの間の塩基対です。マイクロRNAは最小のRNA分子であり、その役割は特定のmRNAメッセージの発現を妨害することによって遺伝子発現を調節することを含みます。表3.2は、DNAおよびRNAの特徴をまとめたものです。

表3.2

RNAが一本のストランドであっても、ほとんどのRNAのタイプは相補配列間に広範な分子内塩基対を呈し、その機能に不可欠な予測可能な三次元構造を生成します。

あなたが学んだように、生物の情報フローはDNAからRNA、そしてタンパク質へと向かって起こります。DNAは科学者が転写と呼ぶプロセスの中でmRNAの構造を決定し、RNAは科学者が翻訳と呼ぶプロセスの中でタンパク質の構造を決定します。これは生命のセントラルドグマであり、すべての生物にとって当てはまります。ただし、ウイルス感染に関連してこのルールの例外が発生します。

学習へのリンク

DNAについてもっと学ぶためには、ハワード・ヒューズ医学研究所の生物インタラクティブアニメーションでDNAのトピックについて参照してください(http://openstaxcollege.org/l/DNA)。

重要用語

α-ヘリックス構造:構造を安定化させる水素結合を有するらせん形状にポリペプチドを折り畳むことによって形成される二次タンパク質構造のタイプ

アミノ酸:タンパク質のモノマー。アミノ基、カルボキシル基、水素およびR基(または側鎖)が結合した中心の炭素またはアルファ炭素を有する。R基は、20の一般的なアミノ酸すべてにおいて異なる

β-プリーツシート:水素結合がポリペプチド鎖の骨格上の原子間に「プリーツ」を形成するタンパク質の二次構造

生物学的高分子:より小さな有機分子から構築された生命に必要な巨大分子

炭水化物:炭素と水素と酸素の比が1:2:1である生物学的高分子。炭水化物は、細胞内のエネルギー源および構造的支持体として作用し、節足動物の細胞外骨格を形成する

セルロース:植物の細胞壁を構成する多糖類。細胞を構造的に支持する

シャペロン(または、シャペロニン):折り畳みの過程で新たに生まれるタンパク質を助けるタンパク質

キチン:甲殻類および昆虫を含むすべての節足動物の外側の骨格を形成する炭水化物のタイプ。菌類の細胞壁も形成する

脱水合成(または縮合):モノマー分子を連結し、形成された結合ごとに水分子を放出する反応

変性:温度、pH、または化学的な暴露による変化の結果としてのタンパク質の形状の喪失

デオキシリボ核酸(DNA):細胞の遺伝情報を保持する二重らせん分子

二糖:2つの糖のモノマーがグリコシド結合によって結合されたもの

酵素:生化学反応における触媒であり、通常は複合タンパク質または共役タンパク質

グリコーゲン:動物の貯蔵用の炭水化物

グリコシド結合:水分子を排除することを伴う2つの単糖間の脱水反応により形成される結合

ホルモン:特定の生理学的プロセスを制御または調節するように作用する、内分泌細胞によって分泌される化学的シグナリング分子であり、通常はタンパク質またはステロイド

加水分解:水を利用して大きな分子をより小さな分子に分解する反応

脂質:無極性で水に不溶性の高分子

メッセンジャーRNA(mRNA):タンパク質合成中にDNAからリボソームへ情報を運ぶRNA

モノマー:ポリマーという、より大きな分子の最小単位

単糖:炭水化物の単体またはモノマー

核酸:細胞の遺伝的な設計図を帯びており、それが機能するための指示を運ぶ生物学的高分子

ヌクレオチド:核酸のモノマー。ペントース糖、1つかそれ以上のリン酸基、および窒素含有塩基を含む

オメガ脂肪:体が必要とする多価不飽和脂肪のタイプ。炭素オメガの番号づけは、メチル末端あるいはカルボキシ末端から最も遠い末端から開始する

ペプチド結合:脱水反応により2つのアミノ酸の間に形成される結合

ホスホジエステル:隣接するヌクレオチドの2つのペントース糖を連結するリン酸基によってポリヌクレオチド鎖を一緒に保持する共有化学結合の結びつき

リン脂質:膜の主成分。グリセロール骨格に結合した2つの脂肪酸および1つのリン酸含有基からなる

ポリマー:共有結合が結合するモノマー残基の鎖。重合は、縮合によってモノマーからポリマーを形成するプロセスである

ポリヌクレオチド:ヌクレオチドの長鎖

ポリペプチド:ペプチド結合がつなぐアミノ酸の長鎖

多糖類:単糖類の長鎖。分枝状のことも非分枝状のこともある

一次構造:タンパク質の中のアミノ酸の線状配列

タンパク質:1つかそれ以上のアミノ酸鎖からなる生物学的高分子

プリン:DNAおよびRNA中の窒素含有塩基のタイプ。アデニンおよびグアニンはプリンである

ピリミジン:DNAおよびRNA中の窒素含有塩基のタイプ。シトシン、チミンおよびウラシルはピリミジンである

四次構造:タンパク質の中における別個のポリペプチドサブユニットの会合

リボ核酸(RNA):1本のストランドで、しばしば内部で塩基が対になった分子であり、タンパク質合成に関与する

リボソームRNA(rRNA):タンパク質合成中にmRNAとリボソームの適切な整列を確実にし、ペプチド結合の形成を触媒するRNA

飽和脂肪酸:炭素鎖中に単一の共有結合を有する長鎖炭化水素。炭素骨格に結合する水素原子の数が最大になる

二次構造:あるアミノ酸残基の酸素原子と別のアミノ酸残基の窒素原子に結合した水素との間の分子内水素結合によってタンパク質が形成する規則的な構造

デンプン:植物の貯蔵用の炭水化物

ステロイド:平面構造を形成する4つの縮合炭化水素環からなる脂質のタイプ

三次構造:二次構造要素間の相互作用を含むタンパク質の三次元立体構造。アミノ酸側鎖間の相互作用から形成される

トランス脂肪:油を水素化することによって人工的に形成された脂肪であり、天然に存在する脂質とは異なる二重結合の配置をもたらす

転写:メッセンジャーRNAがDNAのテンプレート上に形成される過程

トランスファーRNA(tRNA):活性化されたアミノ酸をリボソーム上のタンパク質合成部位に運ぶRNA

翻訳:RNAがタンパク質の形成を指示する過程

トリアシルグリセロール(または、トリグリセリド):脂肪分子。グリセロール分子に結合した3つの脂肪酸からなる

不飽和脂肪酸:炭化水素鎖に1つかそれ以上の二重結合を有する長鎖炭化水素

ろう:長鎖アルコールへとエステル化された長鎖脂肪酸からなる脂質。ある種の羽毛、水生哺乳類の毛皮、および葉の保護コーティングとして機能する

この章のまとめ

3.1 | 生物学的高分子の合成

タンパク質、炭水化物、核酸、および脂質は、生物学的高分子の4つの主な分類です。生物学的高分子とは、より小さな有機分子から構築された生命に必要な巨大分子です。高分子は、科学者がモノマーと呼ぶ1つの単位で構成されます。モノマーは、共有結合によって結合されてより大きなポリマーを形成します。ポリマーはその部分の合計以上のものです。それは、新しい特性を獲得し、その成分によって形成されるよりもはるかに低い浸透圧をもたらします。これは、細胞の浸透圧状態を維持する上で重要な利点です。モノマーは、水分子の放出を伴って別のモノマーと結合し、共有結合の形成をもたらします。科学者はこれらを脱水反応または縮合反応と呼んでいます。ポリマーがより小さな単位(モノマー)に分解するときには、これらの反応によって分解された結合ごとに水分子が使用されます。そのような反応は加水分解反応です。脱水反応および加水分解反応はすべての高分子で同様のものですが、それぞれのモノマーおよびポリマー反応はその分類に特異的です。脱水反応は、通常、新しい結合形成のためのエネルギーの投下を必要としますが、加水分解反応は、通常、結合を切断することによってエネルギーを放出します。

3.2 | 炭水化物

炭水化物は、細胞にとって不可欠なエネルギー源であり、植物細胞、菌類、そしてロブスター、カニ、エビ、昆虫、およびクモを含む節足動物のすべてに構造的な支持を提供する高分子のグループです。科学者は、分子内のモノマーの数に応じて、単糖類、二糖類、および多糖類として炭水化物を分類します。単糖類は、脱水反応の結果として形成されるグリコシド結合によって連結され、形成された各結合について1つの水分子を取り除いて二糖類および多糖類を形成します。グルコース、ガラクトースおよびフルクトースは一般的な単糖類です。一方、一般的な二糖類には、ラクトース、マルトースおよびスクロースが含まれます。多糖類の例であるデンプンおよびグリコーゲンは、それぞれ、植物および動物におけるグルコースの貯蔵形態です。長い多糖鎖は、分枝していることも非分枝であることもあります。セルロースは、非分枝の多糖類の一例です。一方で、デンプンの構成成分であるアミロペクチンは非常に分枝した分子です。グルコースの貯蔵は、グリコーゲンのデンプンのようなポリマーの形態で行われ、代謝にとってわずかに使用しにくくなっています。しかしながら、これにより、細胞から漏出するのを防いだり、浸透圧が高くなって細胞が過剰な水分を取り込むのを防いだりすることができます。

3.3 | 脂質

脂質は、その性質上、無極性で疎水性である高分子の分類です。主要なタイプには、脂肪、油、ろう、リン脂質、およびステロイドが含まれます。脂肪はエネルギーの貯蔵された形態であり、トリアシルグリセロールまたはトリグリセリドとしても知られています。脂肪は、グリセロールまたはスフィンゴシンのいずれかと、脂肪酸とからなります。脂肪酸は、炭化水素鎖中の二重結合の存在または欠如に応じて、不飽和であることも飽和であることもあります。もし一重結合のみが存在する場合、それらは飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸は、炭化水素鎖中に1つかそれ以上の二重結合を有しているでしょう。リン脂質は膜の土台を構成します。それらは、2つの脂肪酸鎖および1つのリン酸含有基が結合したグリセロールまたはスフィンゴシン骨格を有します。ステロイドは脂質の別の分類です。それらの基本構造は4つの縮合炭素環を有します。コレステロールはステロイドの一種であり、原形質膜の重要な構成要素です。そこではコレステロールは膜の流動性を維持するのに役立ちます。それはまた、テストステロンのようなステロイドホルモンの前駆体でもあります。

3.4 | タンパク質

タンパク質は、細胞にとって多様な機能を果たす高分子の分類です。それらは、酵素、担体、またはホルモンとして働くことによって代謝を助けたり、構造的な支持を提供したりします。タンパク質の基礎的要素(モノマー)はアミノ酸です。それぞれのアミノ酸は、アミノ基、カルボキシル基、水素原子、およびR基または側鎖に結合する中心炭素を有します。20個の一般に存在するアミノ酸があり、それぞれはR基が異なります。ペプチド結合は、各アミノ酸をその隣接するアミノ酸に連結します。長いアミノ酸鎖がポリペプチドです。

タンパク質は、一次、二次、三次、四次(任意)の4つのレベルで組織されます。一次構造はアミノ酸の固有の配列です。α-ヘリックスおよびβ-プリーツシートのような構造を形成するためのポリペプチドの局所的な折り畳みが、二次構造を構成します。全体の三次元的な構造が三次構造です。2つかそれ以上のポリペプチドが結合して完全なタンパク質構造を形成する場合、その構成はタンパク質の四次構造です。タンパク質の形状と機能は密接に結びついています。温度やpHの変化によって生じる形状の変化は、タンパク質の変性および機能の喪失につながる可能性があります。

3.5 | 核酸

核酸は、細胞分裂およびタンパク質合成などの細胞の活動を指示する、ヌクレオチドからなる分子です。ペントース糖、窒素含有塩基、およびリン酸基がそれぞれのヌクレオチドを構成します。核酸にはDNAとRNAの2種類があります。DNAは細胞の遺伝的な設計図を持ち、それを親から子孫に(染色体の形で)渡します。DNAは、2つのストランドが反対方向に伸び、水素結合によって連結され、お互いに相補的であるような、二重らせん構造を有します。RNAは、ペントース糖(リボース)、窒素含有塩基、およびリン酸基によって構成されるヌクレオチドの連結からなる1本のストランドのポリマーです。RNAは、タンパク質合成およびその調節に関与します。メッセンジャーRNA(mRNA)はDNAからコピーし、核から細胞質へと自身を移動させ、タンパク質を構築するための情報を含みます。リボソームRNA(rRNA)は、タンパク質合成部位のリボソームの一部です。一方、トランスファーRNA(tRNA)は、アミノ酸をタンパク質合成部位に運びます。マイクロRNAは、タンパク質合成のためにmRNAを使用して調節を行います。

ビジュアルコネクション問題

1.図3.5 | これらはどのような種類の糖ですか?アルドース、あるいはケトース?

2.図3.23 | 可溶性タンパク質の表面に見出されると予想されるアミノ酸のカテゴリーはどれですか?そして可溶性タンパク質の内部で見出されることが予想されるアミノ酸のカテゴリーはどれですか?脂質二重層に埋め込まれたタンパク質では、どのようなアミノ酸の分布が見出されることが予想されますか?

3.図3.33 | 突然変異が起こり、アデニンがシトシンに置き換わりました。あなたは、これがDNA構造にどのような影響を与えると思いますか?

レビュー問題

4.脱水合成は________の形成につながります。
a.モノマー
b.ポリマー
c.水およびポリマー
d.上記のどれでもない

5.ポリマーの分解中に、次の反応のどれが起こるでしょうか?
a.加水分解
b.脱水
c.縮合
d.共有結合

6.以下の化学反応は、エタン酸エチルのエステル(C₄H₈O₂)を生成します:
C₂H₆O + CH₃COOH
どのような反応が起こってエタン酸エチルが生成されるのですか?
a.縮合
b.加水分解
c.燃焼
d.酸-塩基反応

7.単糖の例は________です。
a.フルクトース
b.グルコース
c.ガラクトース
d.上記のすべて

8.セルロースおよびデンプンは、________の例です。
a.単糖類
b.二糖類
c.脂質
d.多糖類

9.植物細胞壁には、以下のもののうちどれが豊富に含まれていますか?
a.デンプン
b.セルロース
c.グリコーゲン
d.ラクトース

10.ラクトースは、グルコースと________との間に________結合を形成することによって形成される二糖です。
a.ラクトース/グリコシド
b.ガラクトース/グリコシド
c.スクロース/水素
d.フルクトース水素

11.次のうち、炭水化物の細胞外基質の役割ではないものはどれですか?
a.昆虫の内部器官を外傷から保護する
b.植物に水が与えられた後に植物細胞が溶解するのを防ぐ
c.菌類の胞子の形状を維持する
d.筋肉運動のためのエネルギーを提供する

12.飽和脂肪は________を除いた下記の全ての特徴を有します:
a.それらは室温で固体である
b.それらは炭素鎖内に一重結合を有する
c.それらは通常は動物源から得られる
d.それらは水に容易に溶解する傾向がある

13.リン脂質は________の重要な成分です。
a.細胞の原形質膜
b.ステロイドの環構造
c.葉の上のろう状の覆い
d.炭化水素鎖中の二重結合

14.コレステロールは、原形質膜の不可欠な部分です。その構造に基づくと、それは膜のどこに見つけられるでしょうか?
a.細胞外の表面上
b.リン脂質の頭部によって埋められている
c.尾部の二重層の内部
d.細胞内表面に結合している

15.タンパク質を構成するモノマーは________と呼ばれます。
a.ヌクレオチド
b.二糖類
c.アミノ酸
d.シャペロン

16.α-ヘリックスおよびβ-プリーツシートは、どのタンパク質構造の一部ですか?
a.一次
b.二次
c.三次
d.四次

17.狂牛病は、1つの誤って折り畳まれたタンパク質が、そのタンパク質の他の全てのコピーを誤って折り畳ませることになる感染症です。これは____構造に影響を及ぼす病気の例です。
a.一次
b.二次
c.三次
d.四次

18.DNAのヌクレオチドには________を含むことがあります。
a.リボース、ウラシル、およびリン酸基
b.デオキシリボース、ウラシル、およびリン酸基
c.デオキシリボース、チミン、およびリン酸基
d.リボース、チミン、およびリン酸基

19.核酸の基礎的要素は________です。
a.糖
b.窒素含有塩基
c.ペプチド
d.ヌクレオチド

20.DNAの二重らせん構造はどのようにしてゲノムをエンコードする役割を支えるのでしょうか?
a.糖-リン酸骨格が、DNA複製のためのテンプレートを提供する。
b.テンプレートストランドと対になったtRNAが、ゲノムによってコードされたタンパク質を生成する。
c.相補的な塩基対が非常に安定した構造を生成する。
d.相補的な塩基対により、DNAの両方のストランドを容易に編集することができる。

クリティカルシンキング問題

21.なぜ生物学的高分子は有機物とみなされるのですか?

22.脱水合成と加水分解において電子が果たす役割は何ですか?

23.アミノ酸は下に見られる一般的な構造を有します。ここでRは炭素を基にした異なる側鎖を表します。アミノ酸の構造がどのように長いペプチド鎖に結合してタンパク質を形成することができるかを説明してください。

24.グリコーゲンとデンプンの間の類似点と相違点を記述してください。

25.人間がセルロースを含む食品を消化できないのはなぜですか?

26.化学式C₃H₆O₃を有する単糖類のケトース形態およびアルドース形態を描いてください。人の体内ではどのようにして単糖の構造がある形態から別の形態に変化するのでしょうか?

27.植物および/または動物の中で脂質が果たす少なくとも3つの機能を説明してください。

28.なぜ一部のレストランでトランス脂肪が禁止されたのですか?それらはどのように作成されますか?

29.グリコーゲンよりも脂肪酸のほうが大量の化学エネルギーを貯蔵するのに優れているのはなぜですか?

30.体内でのコルチゾールの役割の一部は、原形質膜を通過して細胞内のシグナリングを開始することを含みます。コルチゾールと原形質膜の構造がこれを可能にする方法を記述してください。

31.もしポリペプチド鎖の中で1つだけでもアミノ酸が別のアミノ酸へと置換されると何が起きるかを説明してください。具体的な例を提供してください。

32.4つのタンパク質構造の違いを記述してください。

33.アクアポリンは、原形質膜に埋め込まれたタンパク質です。原形質膜は、水分子が細胞外基質と細胞内空間との間を移動することを可能にします。その機能と位置に基づいて、このタンパク質の形状とそのアミノ酸の化学的特性の重要な特徴を記述してください。

34.RNAとDNAの構造上の違いは何ですか?

35.どのような4種類のRNAがあり、それらはどのように機能しますか?

解答のヒント

第3章

1 図3.5 グルコースとガラクトースはアルドースです。フルクトースはケトースです。3 図3.33 アデニンはシトシンより大きく、反対側のストランド上のグアニンと正しく塩基対を形成することができません。これは、DNAを隆起させます。DNA修復酵素は、この隆起を認識し、誤ったヌクレオチドを置換します。4 C 6 A 8 D 10 B 12 D 14 C 16 B 18 C 20 C 21 生物学的高分子は炭素を含んでいるため有機分子です。23 アミノ酸は縮合反応によって長鎖へと連結することができます。アミノ酸の窒素原子に結合した水素原子の1つは、別のアミノ酸の末端炭素に結合した-OH基と反応します。分子の両端が縮合反応に関与することができるため、両方の方向でペプチド結合を作り、長いアミノ酸鎖を作り出すことができます。25 セルロース中のβ1–4グリコシド結合は、人間​​の消化酵素によって分解することができません。牛、コアラ、バッファローなどの草食動物は、消化器系、特に第一胃内の細菌や原生生物が酵素のセルラーゼを分泌するため、セルロースを豊富に含む草を消化し、食物源として使用することができます。セルラーゼはセルロースをグルコースモノマーに分解することができ、これは動物によるエネルギー源として使用することができます。27 脂肪は動物がエネルギーを蓄える有益な方法です。脂肪は保護を提供することもできます。ろうは植物の葉や哺乳動物の毛皮が濡れるのを防ぐことができます。リン脂質およびステロイドは動物細胞膜ならびに植物、菌類および細菌膜の重要な成分です。29 脂肪は炭水化物より高いエネルギー密度を有します(平均でそれぞれ9kcal/グラム対4.3kcal/グラム)。したがって、1グラムあたりでは、炭水化物に貯蔵できるエネルギーよりも多くのエネルギーを脂肪に貯蔵することができます。さらに、脂肪は水をベースとする原形質膜との相互作用を最小限にするために球状小球に小分けされる一方で、グリコーゲンは貯蔵のために圧縮することができない分枝した大きな炭水化物です。31 遺伝子配列の変化は、ポリペプチド鎖に対して正常なアミノ酸の代わりに異なるアミノ酸が付加されることにつながります。これは、タンパク質の構造および機能の変化を引き起こします。たとえば、鎌状赤血球貧血では、ヘモグロビンのβ鎖が1つのアミノ酸置換を有します。つまり、6番目のアミノ酸のグルタミン酸がバリンに置換されます。この変化のために、ヘモグロビン分子は凝集体を形成し、円盤状の赤血球は三日月形状をとり、重大な健康上の問題を引き起こします。33 水はそれ自体では原形質膜を横切ることができないので、タンパク質は、細胞に水が入るのを可能にするチャネルを原形質膜内に形成しなければなりません。アクアポリンは原形質膜に埋め込まれ、細胞内および細胞外の両方の空間につながるので、それは原形質膜のように両親媒性でなければなりません。このタンパク質の上部および下部は、水性環境と相互作用するために帯電または極性のアミノ酸(親水性)を含まなければなりません。外側の膜貫通領域は、リン脂質尾部と相互作用することができる無極性アミノ酸(疎水性)を含まなければなりません。しかしながら、このチャネルの内部は、移動する水分子と相互作用するため、親水性アミノ酸を含まなければなりません。35 4種類のRNAは、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、マイクロRNAです。メッセンジャーRNAは、すべての細胞活動を制御する情報をDNAから運びます。mRNAはタンパク質とrRNAで構成されたリボソームに結合し、tRNAは正しいアミノ酸をタンパク質合成の部位に伝達します。マイクロRNAは翻訳のためのmRNAの利用可能性を調節します。

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