生物学 第2版 — 第40章 循環器系 —

Japanese translation of “Biology 2e”

Better Late Than Never
54 min readOct 21, 2019

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40 | 循環器系

図40.1 | 高速道路システムが複雑なネットワークを介して人や物を輸送するのと同じように、循環器系は動物の体全体で栄養素、ガス、廃棄物を輸送します。(credit: modification of work by Andrey Belenko)

この章の概要

40.1:循環器系の概要
40.2:血液の成分
40.3:哺乳動物の心臓と血管
40.4:血流と血圧の調節

はじめに

ほとんどの動物は複雑な多細胞生物であり、体全体に栄養素を運び、廃棄物を除去するメカニズムを必要としています。循環器系は、動物の初期の進化における細胞を通じた単純な拡散から、人体のあらゆる部分に到達する複雑な血管ネットワークへと、時間をかけて進化してきました。この広範なネットワークは、細胞、組織、および器官に酸素と栄養素を供給し、呼吸の副生成物である二酸化炭素と廃棄物を除去します。

人間の循環器系の中核にあるのは心臓です。人間の心臓は、握りこぶしの大きさで、胸郭の下で保護されています。それは特殊で独特な心筋でできており、体全体に、そして心臓自体に血液を送り出します。心臓の収縮は、固有の電気インパルスによって引き起こされます。脳や内分泌ホルモンは、この電気インパルスを調節するのに役立ちます。心臓の基本的な解剖学的構造と機能を理解することは、身体の循環器系と呼吸器系を理解するために重要です。

ガス交換は循環器系の重要な機能の1つです。循環器系は、専門の呼吸器官がない生物では必要とされません。なぜなら、酸素と二酸化炭素はそれらの体組織と外部環境との間で直接拡散するからです。しかしながら、肺やえらを持っている生物では、酸素はこれらの専門化された呼吸器官から循環器系を経由して体組織へ輸送されなければなりません。したがって、循環器系は、動物の間に存在する体の大きさおよび体型の多様性に適応するために進化しなければなりませんでした。

40.1 | 循環器系の概要

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•開放循環器系と閉鎖循環器系を記述する
•間質液と血リンパを記述する
•脊椎動物の循環器系の構成と進化を比較対照する

いくつかの単純なタイプを除くすべての動物で、循環器系は体を通じて栄養素とガスを輸送するのに使用されます。ほんの数個の細胞層の厚さを持つ原始的な動物では、単純な拡散によっていくらかの水分、栄養素、廃棄物、ガス交換をすることができます。しかしながら、より大きくより複雑な生物の体の全体にアクセスする唯一の方法は、バルク流です。

循環器系の構成

循環器系は、実質的には円筒形の血管のネットワークです:つまり、ポンプ(心臓)から発出する動脈、静脈、毛細血管です。全ての脊椎動物といくつかの無脊椎動物において、これは閉ループ系であり、そこでは血液は体腔内において自由ではありません。閉鎖循環器系では、血液は血管内に閉じ込められており、心臓から全身の循環経路を周って一方向に循環して、再び心臓に戻ります(図40.2aを参照)。昆虫、甲殻類、およびほとんどの軟体動物を含む節足動物は、閉鎖系とは対照的に、図40.2bに示されるような開放循環器系を持っています。開放循環器系では、血液は血管に閉じ込められているのではなく、血体腔と呼ばれる空洞に送り込まれ、血リンパと呼ばれます。なぜなら、血液は間質液と混ざり合うからです。心臓が拍動して動物が動くと、血リンパは体腔内の器官の周りを循環し、それから小孔と呼ばれる開口部を介して心臓に再び入ります。この動きがガスと栄養素の交換を可能にします。開放循環器系は、実行または維持するために閉鎖系ほどのエネルギーは使用しません。しかしながら、高レベルの酸素を必要とする代謝的に活性な器官や組織へと移動させることができる血液の量との間にトレードオフがあります。実際、2フィート(70cm)以上の翼幅を持つ昆虫が現在は存在していない理由の1つは、おそらくそれらが1億5000万年前の鳥類の登場によって打ち負かされたためです。閉鎖循環器系を持っている鳥類はより俊敏に動くために、それらがより素早く食物を得て、そしておそらくは昆虫を餌食にすることを可能にしたと考えられています。

図40.2 | (a)閉鎖循環器系では、心臓は体の間質液とは隔てられた血管を通して血液を送り出します。ほとんどの脊椎動物といくつかの無脊椎動物(この環形動物のミミズのような)は、閉鎖循環器系を持っています。(b)開放循環器系では、血リンパと呼ばれる体液が血管を通って送り込まれ、体腔の中に排出されます。血リンパは小孔と呼ばれる開口部を通って血管に戻ります。このミツバチやほとんどの軟体動物のような節足動物は、開放循環器系を持っています。

動物における循環器系のバリエーション

循環器系は無脊椎動物における単純な系から脊椎動物におけるより複雑な系までさまざまです。図40.3aに示されるように、海綿(海綿動物門)や輪形動物(輪形動物門)などの最も単純な動物は、拡散によって水分、栄養素、廃棄物、溶解ガスを適切に交換できるため、循環器系は必要ありません。クラゲ(刺胞動物門)やクシクラゲ(有櫛動物門)のように、より複雑ではあるもののその体制にはまだ細胞の2つの層しか持たない生物も、その表皮を介して、そして内部では胃水管区画を介して拡散を利用します。図40.3bに示されるように、それらの内部組織と外部組織の両方が水性環境に浸され、両側での拡散によって液体を交換します。液体の交換はクラゲの体の脈動によって助けられています。

図40.3 | (a)海綿のような単一の細胞層、または(b)クラゲのようなほんの数個の細胞層からなる単純な動物は、循環器系を持ちません。その代わりに、ガス、栄養素、および廃棄物は拡散によって交換されます。

より複雑な生物の場合、拡散はガス、栄養素、そして廃棄物を体内で効果的に循環させるのに効率的ではありません。したがって、より複雑な循環器系が進化しました。ほとんどの節足動物および多くの軟体動物は開放循環器系を持っています。開放系では、細長く、拍動する心臓が体に血リンパを押し出し、筋肉の収縮が体液の移動を助けます。ロブスターを含むより大型でより複雑な甲殻類は、その体へと血液を押し出すための動脈様血管を発達させ、そしてイカのような最も活発な軟体動物は閉鎖循環器系を進化させてきたため、獲物を捕獲するために急速に動くことができます。閉鎖循環器系は脊椎動物の特徴です。しかしながら、進化中の適応とそれに伴う解剖学的構造の違いのために、異なる脊椎動物グループ間では心臓の構造と血液の循環に大きな違いがあります。図40.4は、いくつかの脊椎動物、すなわち魚類、両生類、爬虫類、および哺乳類の基本的な循環器系を示しています。

図40.4 | (a)魚類は最も単純な脊椎動物の循環器系を持っています。血液は2区画の心臓から一方向にえらを通り、体の他の部分へと流れます。(b)両生類には2つの循環経路があります。1つは肺と皮膚を通して血液を酸素化するためのもの、もう1つは体の他の部分に酸素を運ぶためのものです。血液は、2つの心房と1つの心室を持つ3区画の心臓から送り出されます。(c)爬虫類にも2つの循環経路があります。しかしながら、血液は肺を通してしか酸素化されません。心臓は3つの区画で構成されていますが、心室は部分的に分離されているため、クロコダイルや鳥類を除いて酸素化された血液と脱酸素化された血液の混合が起こります。(d)哺乳類と鳥類は、酸素化された血液と脱酸素化された血液を完全に分離するような4つの区画を持つ最も効率的な心臓を持っています。それは、体へは酸素化された血液のみを、肺には脱酸素化された血液のみを送り出します。

図40.4aに示されるように、魚類は血流のための単一の循環と、単一の心房および単一の心室のみを有する2区画の心臓とを有します。心房は体から戻ってきた血液を集め、心室はその血液をえらに送り出し、そこでガス交換が行われて血液は再酸素化されます。これはえら循環と呼ばれます。それから血液は体の他の部分を通って心房に戻ります。これは体循環と呼ばれます。この一方向の血流は、魚の体循環を周るように酸素化された血液から脱酸素化された血液への勾配を生じさせます。その結果、体の一部の器官や組織に到達することのできる酸素量が制限され、魚の全体的な代謝能力が低下します。

両生類、爬虫類、鳥類、および哺乳類では、血流は2つの循環へと導かれます:1つは肺を通って心臓に戻るもので、肺循環と呼ばれます。もう1つは、体の他の部分および脳を含むその器官を通るものです(体循環)。両生類では、ガス交換は肺循環中に皮膚を通しても起こり、これは肺・皮膚循環と呼ばれます。

図40.4bに示されるように、両生類は、魚類における2区画の心臓とは異なり、2つの心房と1つの心室を持つ3区画の心臓を有しています。2つの心房(上心腔)は2つの異なる循環(肺と体)から血液を受け取り、その後、心臓の心室(下心腔)で血液がいくらか混ざり合って酸素化の効率が低下します。この配置の利点は、血管内の高い圧力が血液を肺と体に押し出すことです。体循環器系をまわる酸素を多く含む血液と肺・皮膚循環に向ける脱酸素化された血液とを分ける心室内の突起によって、混合は軽減されます。このため、両生類はしばしば二重循環を持つと言われます。

図40.4cに示されているように、ほとんどの爬虫類もまた、血液を肺循環および体循環に導く両生類の心臓に似た3区画の心臓を持っています。心室は部分的な中隔によってより効果的に分割され、それによって酸素化された血液と脱酸素化された血液の混合が少なくなります。いくつかの爬虫類(アリゲーターやクロコダイル)は、4つの区画を持つ心臓が現れる最も原始的な動物です。クロコダイルは、長い時間潜水している間に(たとえば、この動物が獲物を待っている間や、獲物が腐るのを待ちながら水中にいる間に)、心臓が肺から胃や他の器官に向かって血液を短絡するという独特な循環メカニズムを持っています。1つの適応としては、心臓の同じ部分を出る2つの主要な動脈があります:1つは肺に血液を与え、もう1つは胃と体の他の部分への代替経路を提供します。他の2つの適応としては、血液が心臓の一方の側から他方の側へ動くことを可能にするパニッツァ孔と呼ばれる2つの心室の間の心臓の穴と、肺への血流を遅くする特殊な結合組織があります。これらの適応は一緒になって、クロコダイルとアリゲーターを地球上で最も進化的に成功した動物グループの1つにしました。

哺乳類と鳥類では、心臓はやはり2つの心房と2つの心室の4つの区画に分けられます(図40.4dを参照)。酸素化された血液は脱酸素化された血液から分離され、それは二重循環の効率を改善するとともに、おそらく哺乳類および鳥類の温血的な生活様式に必要とされるものです。鳥類と哺乳類の4区画の心臓は3区画の心臓とは独立して進化しました。同一または類似の生物学的形質の独立した進化は、収斂進化と呼ばれます。

40.2 | 血液の成分

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•血液の基本成分を列挙する
•赤血球と白血球を比較する
•血漿と血清を記述する

ヘモグロビンは、人間、脊椎動物、そして多くの無脊椎動物の循環器系全体に酸素、そしてより少ない程度ではあるものの二酸化炭素を分配することを担っています。しかし、血液はタンパク質以上のものです。血液とは、実際には血管を通って移動する液体を記述するために使用される用語であり、血漿(水分、タンパク質、塩分、脂質、グルコースを含む液体部分)と細胞(赤血球と白血球)および血小板と呼ばれる細胞断片を含みます。血漿は、実際には血液の主要成分であり、水分、タンパク質、電解質、脂質、およびグルコースが含まれています。細胞はガス(赤血球)および免疫反応(白血球)を運ぶことを担っています。血小板は血液凝固の原因となります。細胞を包む間質液は血液とは分離していますが、血リンパ内ではそれらは結合しています。人間では、細胞成分が血液の約45%を占め、液体の血漿が55%を占めます。血液は、人の細胞外液の20%であり、体重の8%です。

体内における血液の役割

図40.5に示される人間の血液のように、血液は体の系や恒常性の調節にとって重要です。血液はpH、温度、浸透圧を安定させることによって、そして過剰な熱を排出することによって恒常性を維持するのを助けます。血液は、栄養素とホルモンを分配することによって、そして廃棄物を取り除くことによって成長を支えます。血液は、失血を防ぐために凝固因子および血小板を輸送し、感染部位に疾患治療因子または白血球を輸送することによって保護的な役割を果たします。

図40.5 | 人間の血液の細胞と細胞成分が示されています。赤血球は細胞に酸素を運搬し、二酸化炭素を除去します。好中球、単球、リンパ球、好酸球、および好塩基球を含む白血球は、免疫反応に関与しています。血小板は、損傷後の失血を防ぐ血液凝固を形成します。

赤血球

赤血球(エリスロサイト:エリスロ- = 「赤色」、 -サイト = 「細胞」)は、体内を循環して細胞に酸素を供給する特殊な細胞です。それらは骨髄の幹細胞から形成されます。哺乳動物では、赤血球は成熟時に核やミトコンドリアを含まない小さな両凹形の細胞で、大きさはわずか7~8μmです。鳥類や非飛行型の爬虫類では、核は依然として赤血球内に維持されています。

図40.6aに示されるように、血液の赤い色は鉄を含有するタンパク質のヘモグロビンに由来します。このタンパク質の主な仕事は酸素を運搬することですが、それはまた二酸化炭素も運搬します。ヘモグロビンは、1細胞あたり約2億5000万分子のヘモグロビンという割合で赤血球の中に詰め込まれています。それぞれのヘモグロビン分子は4つの酸素分子に結合するため、それぞれの赤血球は10億の酸素分子を運びます。人体の5リットルの血液には約25兆個の赤血球があります。体内では任意の瞬間に最高25×10²¹個の酸素分子を運ぶことができます。哺乳動物では、赤血球中の細胞小器官の欠如によって、ヘモグロビン分子のためのより多くの余地が残されるとともに、ミトコンドリアの欠如はまた、代謝呼吸のための酸素の使用を防ぎます。無核赤血球を持つのは哺乳類だけで、一部の哺乳類(たとえばラクダ)は有核赤血球を持っています。有核赤血球の利点は、これらの細胞が有糸分裂することができることです。無核赤血球は、嫌気的に(酸素なしで)代謝し、原始的な代謝経路を利用してATPを生成し、酸素輸送の効率を高めます。

すべての生物が酸素輸送の方法としてヘモグロビンを使うわけではありません。血液ではなく血リンパを利用する無脊椎動物は、酸素に結合させるために異なる色素を使用します。これらの色素は酸素に対して銅または鉄を使用します。無脊椎動物は他のさまざまな呼吸色素を持っています。図40.6bに示されるような、青緑色の銅を含有するタンパク質のヘモシアニンは、軟体動物、甲殻類、およびいくつかの節足動物に見られます。緑色の鉄分を含有する色素であるクロロクルオリンは、多毛類のチューブワームの4つの科で見られます。赤色の鉄分を含有するタンパク質であるヘムエリスリンは、いくつかの多毛類の蠕虫と環形動物で見られ、図40.6cに示されています。その名前にもかかわらず、ヘムエリスリンはヘム基を含まず、その酸素運搬能はヘモグロビンと比較して乏しいです。

図40.6 | ほとんどの脊椎動物では、(a)ヘモグロビンが体に酸素を運び、二酸化炭素を除去します。ヘモグロビンは、4つのタンパク質サブユニット(2つのアルファ鎖と2つのベータ鎖)および結合した鉄を持つヘム基から構成されています。鉄は酸素と可逆的に会合し、その際にFe²⁺からFe³⁺に酸化されます。ほとんどの軟体動物や一部の節足動物では、(b)ヘモシアニンが酸素を運搬します。ヘモグロビンとは異なり、ヘモシアニンは血球の中では運ばれず、血リンパの中に浮遊しています。鉄の代わりに銅が酸素と結合し、血リンパに青緑色を与えます。ミミズのような環形動物や他の無脊椎動物では、(c)ヘムエリスリンが酸素を運びます。ヘモグロビンと同様に、ヘムエリスリンは血球内で運ばれるとともにそれに付随した鉄を持っていますが、その名前にもかかわらず、ヘムエリスリンはヘム基を含んでいません。

赤血球の小さいサイズと大きい表面積は、原形質膜を横切る酸素および二酸化炭素の急速な拡散を可能にします。肺では、二酸化炭素が放出され、酸素が血液に取り込まれます。組織では、酸素が血液から放出され、二酸化炭素が肺への輸送のために捕らえられます。ヘモグロビンは亜酸化窒素(NO)とも結合することが研究によりわかっています。NOは血管および毛細血管を弛緩させる血管拡張剤であり、ガス交換および細い血管を通る赤血球の通過を助けます。狭心症や心臓発作の治療薬であるニトログリセリンは、NOに変換されて、血管を弛緩させ体内の酸素の流れを高めるのを助けます。

赤血球の特徴は、その糖脂質と糖タンパク質のコーティングです。これらは炭水化物分子が接続している脂質とタンパク質です。人間において、赤血球上の表面糖タンパク質および糖脂質は個体間で異なり、A、B、およびOなどの異なる血液型を作り出します。赤血球は120日の平均寿命を有し、その時点でそれらは肝臓と脾臓において食作用性マクロファージ(白血球の一種です)によって分解され、リサイクルされます。

白血球

白血球(ルーコサイト:ルーコ- = 「白色」)は、血液中の細胞の体積の約1%を占めています。白血球の役割は赤血球の役割とは大きく異なります:それらは主に、侵入してきた細菌、ウイルス、その他の外来生物などの病原体を特定し、標的にするための免疫反応に関与しています。白血球は継続的に形成されます。数時間か数日しか生きないものもあれば、数年間生きるものもいます。

白血球の形態は赤血球とは大きく異なります。それらは核を有しており、そしてヘモグロビンを含みません。異なる種類の白血球は、組織学的染色後の顕微鏡的外観によって識別され、そしてそれぞれが異なる特殊化された機能を有します。図40.7に示される2つの主なグループは、好中球、好酸球、および好塩基球を含む顆粒球と、単球およびリンパ球を含む無顆粒球です。

図40.7 | (a)好中球、好酸球および好塩基球を含む顆粒球は、葉状の核および細胞質内の顆粒状封入体を特徴としています。顆粒球は通常、傷害や感染の際の第一対応者です。(b)無顆粒球はリンパ球および単球を含みます。B細胞およびT細胞を含むリンパ球は、適応免疫反応を担っています。単球はマクロファージと樹状細胞に分化し、これらは感染や傷害に反応します。

顆粒球はその細胞質に顆粒を含んでいます。無顆粒球は、その細胞質中に顆粒がないためにそのように命名されています。白血球の中にはマクロファージになるものがあります。マクロファージは同じ部位に留まるか、血流を通って移動して、異物や傷害を受けた細胞からの化学シグナルに引き​​寄せられて感染や炎症の部位に集まります。リンパ球は免疫系の一次細胞であり、B細胞、T細胞、およびナチュラルキラー細胞を含みます。B細胞は細菌を破壊し、それらの毒素を不活性化します。それらはまた抗体を産生します。T細胞はウイルス、菌類、いくつかの細菌、移植された細胞、そしてがん細胞を攻撃します。T細胞は、ウイルスを殺す毒素を放出することによってウイルスを攻撃します。ナチュラルキラー細胞は、さまざまな感染性微生物と特定の腫瘍細胞を攻撃します。

HIVが重大な管理上の課題を提起する1つの理由は、ウイルスが受容体を介して侵入することによってT細胞を直接標的とするからです。ひとたび細胞内に入ると、HIVはT細胞自身の遺伝子機構を使って増殖します。HIVウイルスが複製した後、それは感染したT細胞からマクロファージに直接移ります。HIVの存在は、完全な病気の症状が発現するまで長期間にわたって認識されないままになることがあります。

血小板および凝固因子

傷を癒し、過剰な失血を防ぐためには、血液は凝固しなければなりません。血小板と呼ばれる小さな細胞の断片が創傷部位に引き寄せられ、多くの突起を伸ばすとともにその内容物を放出することによってそこに付着します。これらの内容物は他の血小板を活性化し、そして他の凝固因子とも相互作用します。それらの凝固因子は血清中に存在する水溶性タンパク質であるフィブリノゲンをフィブリン(非水溶性タンパク質)に変換し、血液を凝固させます。凝固因子の多くは作用するためにビタミンKを必要とし、ビタミンK欠乏症は血液凝固の問題を引き起こすことがあります。図40.8bに示されているように、多くの血小板は創傷部位に集まって一緒にくっついて血小板血栓(フィブリン塊とも呼ばれます)を形成します。この血栓または塊は数日間持続し、失血を防ぎます。血小板は、図40.8aに示されているように、巨核球と呼ばれる大きな細胞の崩壊によって形成されます。それぞれの巨核球から2000~3000個の血小板が形成され、血液1立方ミリメートルあたりに15万~40万個の血小板が存在します。それぞれの血小板は円盤形で、直径2~4μmです。それらは多くの小さな小胞を含みますが、核を含みません。

図40.8 | (a)血小板は巨核球と呼ばれる大きな細胞から形成されます。巨核球は、血小板となる何千もの断片に分裂します。(b)血小板は血液の凝固に必要とされます。血小板は、フィブリノゲンのような他の凝固因子と共に創傷部位に集まり、失血を防ぎ創傷を治癒させるフィブリン塊を形成します。

血漿と血清

血液の液体成分は血漿と呼ばれ、それは血液を高速回転(3000rpm以上)で回転または遠心分離することによって分離されます。血球と血小板は遠心力によって試料管の底へと分離されます。上層の液体層である血漿は、90%の水と、体のpH、浸透圧負荷を維持し、体を保護するために必要なさまざまな物質で構成されています。血漿は凝固因子および抗体も含みます。

凝固因子を含まない血液の血漿成分は血清と呼ばれます。血清は間質液に似ており、血清の中では、筋肉や神経が正常に機能するために電解質として作用する重要なイオンの正しい組成が不可欠です。血清中の他の成分には、血液に粘性を与えながらpHと浸透圧平衡を維持するのを助けるタンパク質が含まれます。血清には抗体(ウイルスや細菌に対する防御に重要な特殊なタンパク質)も含まれています。栄養素、ホルモン、代謝性廃棄物、さらには薬物、ウイルス、細菌などの外部物質を含むさまざまな他の物質とともに、コレステロールを含む脂質も血清の中で輸送されます。

ヒト血清アルブミンは、人間の血漿中で最も豊富なタンパク質であり、肝臓で合成されます。血清タンパク質の約半分を構成するアルブミンは、ホルモンや脂肪酸を輸送し、pHを緩衝し、浸透圧を維持します。イムノグロビンは粘膜内層で産生されるタンパク質抗体であり、抗体媒介免疫において重要な役割を果たします。

進化へのつながり

赤血球表面のタンパク質に関連する血液型

赤血球は、糖脂質と糖タンパク質からなる抗原でコーティングされています。これらの分子の組成は遺伝学によって決定され、それらは時間とともに進化してきました。人間において、さまざまな表面抗原は、各赤血球上に100を超える異なる抗原を伴う24の異なる血液グループに分類されます。最もよく知られている2つの血液型は、図40.9に示されるABOとRhシステムです。ABO血液型における表面抗原は、抗原Aと抗原Bと呼ばれる糖脂質です。血液型Aの人は抗原Aを持ち、血液型Bの人は抗原Bを持ち、血液型ABの人は両方の抗原を持ち、血液型Oの人はどちらの抗原も持ちません。凝集原と呼ばれる抗体が血漿中に見られ、A抗原またはB抗原と反応します(もしその2つが混合された場合には)。A型とB型の血液を組み合わせると、血漿中の抗体が反対の抗原と結合するため、血液の凝集が起こります。これは腎臓内で凝固する塊を生じさせ、腎不全を引き起こします。O型血液にはA抗原もB抗原もないため、O型血液はすべての血液型に投与できます。O型陰性血液は万能供血者です。AB型陽性血液は、A抗原とB抗原の両方を持つため、万能受血者です。ABO血液型は1900年と1901年にウィーン大学のカール・ラントシュタイナーによって発見されました。

Rh血液型はアカゲザルで最初に発見されました。ほとんどの人は血中にRh抗原(Rh+)を持っており、抗Rh抗体を持っていません。Rh抗原を持たずRh-である少数の人々は、Rh+血液にさらされると抗Rh抗体を生じさせることがあります。これは輸血の後やRh–の女性がRh+の赤ちゃんを妊娠した後に起こります。最初の曝露は通常は反応を引き起こしません。しかしながら、2回目の曝露では、赤血球の凝集と崩壊を引き起こす反応を生み出すのに十分な抗体が血液中に蓄積しています。注射によってこの反応を防ぐことができます。

図40.9 | 人間の赤血球は、その表面にA型またはB型の糖タンパク質を持つ、両方の糖タンパク質を合わせて持つ(AB)、またはどちらもない(O)のいずれかです。糖タンパク質は抗原として機能し、なじみのない抗原を含む輸血を受けた人に免疫反応を誘発することがあります。A抗原またはB抗原を含まないO型血液は、あらゆる血液型の人に注射しても免疫反応を誘発しません。したがって、Oは万能供血者と見なされます。AB型の血液を有する人は、あらゆる血液型からの血液を受け入れることができるため、AB型は万能受血者と見なされます。

学習へのリンク

ノーベル賞のウェブサイト(http://openstaxcollege.org/l/blood_typing)で血液型判定ゲームをプレイして、血液型の理解を深めてください。

40.3 | 哺乳動物の心臓と血管

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•心臓の構造を記述し、心筋がどのように他の筋肉と違うかを説明する
•心周期を記述する
•動脈、静脈、毛細血管の構造、そして血液が体をどのように流れるかを説明する

図40.10に示されるように、心臓は、循環器系の3つの部分、すなわち冠循環(心臓のために働く血管)、肺循環(心臓と肺)、体循環(体の系)に血液を送り出す複雑な筋肉です。心臓に固有の冠循環は、心臓から来る主動脈(大動脈)から直接血液を取り込みます。肺循環および体循環の場合、心臓はそれぞれ肺または体の他の部分に血液を送り込まなければなりません。脊椎動物では、肺は胸腔内で心臓の比較的近くにあります。拍出する距離が短いということは、心臓の右側の筋肉壁が左側ほど厚くないことを意味します。左側の筋肉壁は、足の親指まで血液を送り出すのに十分な圧力を生み出さなければなりません。

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図40.10 | 哺乳類の循環器系は、体循環、肺循環、冠循環の3つの循環に分かれています。血液は体循環の静脈から心臓の右心房へ、そして右心室へと送り出されます。その後、血液は肺循環に入り、肺によって酸素化されます。肺循環から、血液が左心房を通って心臓に再び入ります。血液は、左心室から大動脈を通って体循環に再び入り、体の他の部分に分配されます。心臓に血液を供給する冠循環は示されていません。

循環器系についての次の記述のうち、間違っているものはどれですか?
a.肺静脈の血液は脱酸素化されている。
b.下大静脈の血液は脱酸素化されている。
c.肺動脈の血液は脱酸素化されている。
d.大動脈の血液は酸素化されている。

心臓の構造

血液が肺循環および体循環の中の距離を移動しなければならないことの結果として、心筋は非対称的です。図40.11に示されるように、心臓の右側は肺循環に血液を送るため、体循環で全身に血液を送り出さなければならない左側よりも小さくなります。人間では、心臓はだいたい握りこぶしの大きさです。それは4つの区画に分けられています:2つの心房と2つの心室です。右側に1つの心房と1つの心室があり、左側に1つの心房と1つの心室があります。心房は血液を受け取る区画であり、心室は血液を送り出す区画です。右心房は、脳から来る頸静脈と腕から来る静脈からの血液を流す上大静脈と、下部の器官や足から来る静脈からの血液を流す下大静脈とを介して、脱酸素化された血液を受け取ります。さらに、右心房は、心臓自体からの脱酸素化された血液を流す冠状静脈洞からも血液を受け取ります。次に、この脱酸素化された血液は、房室弁または三尖弁(一方向にのみ開いて血液の逆流を防ぐような結合組織のフラップ)を介して、右心室へと受け渡されます。心臓の左側の区画を分離する弁は、二尖弁または僧帽弁と呼ばれます。右心室が満たされた後、右心室は再酸素化のために、半月弁(または肺動脈弁)を迂回して、肺動脈を通して肺へと血液を送り出します。血液が肺動脈を通過した後、右半月弁が閉じて血液が右心室に逆流するのを防ぎます。左心房は肺静脈を介して肺から酸素が豊富な血液を受け取ります。この血液は、二尖弁または僧帽弁(心臓の左側にある房室弁)を通って左心室へと流れます。そこでは、血液は大動脈(体の主要な動脈)を通ってポンプで送り出され、酸素化された血液が体の器官と筋肉に送られます。ひとたび血液が左心室から大動脈内に送り出されると、大動脈半月弁(または大動脈弁)が閉じて血液が左心室に逆流するのを防ぎます。この送り出しのパターンは二重循環と呼ばれ、すべての哺乳動物に見られます。

ビジュアルコネクション

図40.11 | (a)心臓は主として膜に囲まれた厚い筋肉層(心筋と呼ばれます)でできています。一方向弁が4つの区画を分けています。(b)冠状動脈および冠状静脈を含む冠状動脈系の血管が、心臓の筋肉組織を酸素化した状態に保ちます。

心臓についての次の記述のうち、間違っているものはどれですか?
a.僧帽弁は、左心室と左心房を隔てている。
b.血液は二尖弁を通って左心房に移動する。
c.大動脈弁と肺動脈弁はどちらも半月弁である。
d.僧帽弁は房室弁である。

心臓は3つの層で構成されています。図40.11に示される、心外膜、心筋、および心内膜です。心臓の内壁には、心内膜と呼ばれる裏打ちがあります。心筋は心筋細胞からなり、これは心臓壁の中間層であり大部分を構成します。細胞の外層は心外膜と呼ばれ、そのうちの2番目の層は、心臓を囲んで保護する心膜と呼ばれる膜状の層構造です。それは活発なポンピングのための十分な空間をもたらしますが、心臓と他の構造との間の摩擦を減らすために心臓を所定の位置に保つこともします。

心臓には、心臓の筋肉に血液を供給するそれ自身の血管があります。冠状動脈は大動脈から分岐し、冠のように心臓の外面を囲みます。それらは、心筋に酸素を供給する毛細血管に分岐した後に冠状静脈に再び収束し、脱酸素化された血液を右心房に戻します。そこから血液は肺循環を通して再酸素化されます。心筋は安定した血液の供給がないと死んでしまいます。アテローム性動脈硬化症は、脂肪性プラークの蓄積による動脈の閉塞です。冠状動脈のサイズ(狭い)と心臓自体に作用するというそれらの機能のために、アテローム性動脈硬化症はこれらの動脈において致命的であり得ます。アテローム性動脈硬化症から生じる血流の低下およびそれに続く酸素欠乏は、狭心症として知られる激しい痛みを引き起こし、そして動脈の完全な閉塞は心筋梗塞を引き起こすでしょう。これは心筋組織の死であり、一般に心臓発作として知られています。

心周期

心臓の主な目的は、体中に血液を送り出すことです。それは心周期と呼ばれる繰り返しシーケンスで行われます。心周期は、心臓の筋肉を収縮させ弛緩させる電気的シグナルによって、心臓への血液の充満と排出とを調整することです。人間の心臓は1日に10万回以上拍動します。それぞれの心臓周期において、心臓は収縮して(収縮期)、血液を押し出し、それを体中に送り出します。図40.12に示されるように、これの後に弛緩期(拡張期)が続き、ここで心臓は血液で満たされます。2つの心房は同時に収縮し、2つの房室弁を通して2つの心室に血液を送り込みます。房室弁を閉じると、単音節の「ドクン」という音が発生します。少し遅れて、2つの心室は同時に収縮し、半月弁を通して大動脈と(肺動脈経由で)肺に血液を送る動脈へと血液を送り込みます。半月弁を閉じると、単音節の「ドクン」という音が発生します。

図40.12 | (a)心臓拡張期には、心筋が弛緩し、血液が心臓に流れ込みます。(b)心房収縮期の間、2つの心房は収縮し、血液を2つの心室に送り込みます。(c)心房拡張期の間、2つの心室は収縮し、血液を心臓の外へ送り出します。

心臓のポンプ作用は、心筋を構成する心筋細胞による機能です。図40.13に示される心筋細胞は、骨格筋のように横紋状になっていますが、平滑筋のように律動的にそして不随意に拍動する独特の筋肉細胞です。それらの細胞は、心筋に独特な介在板によって接続されています。それらは一定期間は自己刺激され、栄養素と電解質の正しい平衡が与えられていれば、単離された心筋細胞でも拍動するでしょう。

図40.13 | 心筋細胞は、心臓組織に見られる横紋のある筋肉細胞です。(credit: modification of work by Dr. S. Girod, Anton Becker; scale-bar data from Matt Russell)

心筋細胞の自律的な鼓動は、心臓の鼓動を計時するために電気的シグナルを使用する心臓の体内ペースメーカーによって調節されています。図40.14に示されるように、電気的シグナルと機械的作用は密接に絡み合っています。体内ペースメーカーは、右心房の壁の近くに位置する洞房(SA)結節から始まります。SA結節から電荷が自然発生的にパルスして、2つの心房を一斉に収縮させます。このパルスは、右心房と右心室の間の房室(AV)結節と呼ばれる第2の結節に到達し、そこで約0.1秒間停止してから心室の壁に広がります。電気インパルスはAV結節からヒス束に入り、次に心室中隔を通って延びる束の左右の脚に入ります。最後に、プルキンエ線維が心尖から心室の心筋までインパルスを伝え、それから心室が収縮します。この休止によって、心室が血液を送り出す前に、心房が心室内へと血液を送り出して完全に空になることが可能になります。心臓内の電気インパルスは、体を流れる電流を発生させ、この電流は電極を使用して皮膚上で測定することができます。この情報は、心電図(ECG)、すなわち心筋の電気インパルスの記録として観察することができます。

図40.14 | 心臓の鼓動は、ECGの特徴的な測定値を引き起こす電気インパルスによって調節されます。シグナルは洞房結節で開始されます。それからシグナルは(a)心房に広がり、それらを収縮させます。シグナルは(b)房室結節で遅延されてから(c)心尖に伝えられます。この遅延は、(d)心室が収縮する前に心房が弛緩することを可能にします。ECGサイクルの最後の部分では、次の鼓動のために心臓が準備します。

学習へのリンク

このサイト(http://openstaxcollege.org/l/electric_heart)にアクセスして、心臓の「ペースメーカー」の動作を確認してください。

動脈、静脈、および毛細血管

心臓からの血液は、血管の複雑なネットワークによって体中に運ばれます(図40.15)。動脈は心臓から血液を運び出します。主たる動脈は大動脈で、これが主幹動脈に分岐していき、その主幹動脈がさまざまな手足や器官に血液を運びます。これらの主幹動脈には、脳に血液を送る頸動脈、腕に血液を送る上腕動脈、そして、胸部に(その後、それぞれ肝臓、腎臓、胃のための肝動脈、腎動脈、胃動脈に)血液を送る胸部動脈が含まれます。腸骨動脈は下肢に血液を持っていきます。主幹動脈は小動脈に分岐し、次に細動脈と呼ばれる細い血管に分岐して、身体の筋肉や器官の奥深くまで到達します。

図40.15 | 人間の主要な動脈と静脈が示されています。(credit: modification of work by Mariana Ruiz Villareal)

細動脈は毛細血管床に分岐します。毛細血管床には多数(10から100)の毛細血管があり、それが体の細胞と組織の間に分岐します。毛細血管は、赤血球を一列に収めることができる細径管であり、細胞レベルで栄養素、廃棄物、および酸素を組織と交換するための部位です。体液もまた、毛細血管から間質腔に入り込みます。毛細血管は再び細静脈へと収束し、小静脈につながり、最後に主静脈につながって二酸化炭素の多い血液を心臓に戻します。静脈は血液を心臓に戻す血管です。主静脈は、主幹動脈と同じ器官や四肢から血液を排出します。体液もリンパ系を介して心臓に戻されます。

異なる種類の血管の構造は、それらの機能または層を反映しています。血管の壁を形成する3つの異なる層(または膜)があります(図40.16)。最初の膜は内皮細胞による滑らかな、内側の裏打ちであり、これは赤血球と接触します。内皮膜は心臓の心内膜と連続しています。毛細血管においては、この細胞の単層が、内皮細胞と赤血球との間での酸素および二酸化炭素の拡散の場所、ならびにエンドサイトーシスおよびエキソサイトーシスによる交換部位です。毛細血管の部位での物質の移動は血管収縮(血管が細くなること)および血管拡張(血管が太くなること)によって調節されます。これは血圧の全体的な調節において重要です。

静脈と動脈には両方とも、内皮を包む2つのさらなる膜があります:中膜は平滑筋で構成され、最外層は結合組織(コラーゲンと弾性線維)です。弾性結合組織は血管を伸ばして支持し、そして平滑筋層は血管収縮および血管拡張を通じて血管抵抗を変えることによって血流を調節するのを助けます。動脈は、新たに送り込まれてくる血液のより高い圧力および速度に対応するために、静脈よりも厚い平滑筋および結合組織を有しています。静脈は、血圧と血流速度がはるかに低いため、壁が薄くなっています。さらに、静脈は、血液の逆流を防ぐための弁を有するという点で動脈とは構造的に異なります。静脈は重力に逆らって血液を心臓に戻さなければならないため、骨格筋の収縮は血液が心臓に戻るような流れを助けます。

図40.16 | 動脈と静脈は3つの層から構成されています:外側の外膜、中間の中膜、そして内側の内膜です。毛細血管は単層の上皮細胞、すなわち内膜からなります。(credit: modification of work by NCI, NIH)

40.4 | 血流と血圧の調節

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•体を通じる血流のシステムを記述する
•血圧がどのように調節されるかを記述する

血圧(BP)とは、血液によって血管の壁に対して加えられる圧力であり、体中に血液を押し出すのに役立ちます。収縮期血圧は、心臓が鼓動している間に血液が血管に及ぼす圧力の量を測定します。最適な収縮期血圧は120mmHgです。拡張期血圧は、心拍の間の血管内の圧力を測定します。最適な拡張期血圧は80mmHgです。ホルモン、ストレス、運動、摂食、座っていること、および立っていることなど、多くの要因が血圧に影響を及ぼします。体を通る血流は、血管の大きさ、平滑筋の作用、一方向弁、そして血液自体の液圧によって調節されます。

血液はどのようにして体を流れるか

血液は拍動する心臓の働きによって体中に押し出されます。律動的な拍動のそれぞれでは、血液は、最初は主たる動脈である大動脈に沿って、心臓から離れるように高い圧力および速度で押し出されます。大動脈では、血液は30cm/秒で移動します。血液が動脈、細動脈、そして最終的に毛細血管床へと移動するにつれて、その移動速度は約0.026cm/秒まで劇的に遅くなります。これは、大動脈内の移動速度よりも1000倍遅いです。個々の細動脈および毛細血管の直径は大動脈の直径よりはるかに細いです。連続性の法則によれば、流体はより細い直径のチューブを通るときにはより速く移動するはずですが、速度は実際にはより遅くなります。なぜなら、毛細血管をすべて合わせた全体の直径は、個々の大動脈の直径よりはるかに大きいからです。

体内のほぼ全ての細胞に達する毛細血管床を通る移動速度が遅いことによって、ガスと栄養素の交換が助けられ、また間質腔への体液の拡散も促進されます。血液が毛細血管床を通って細静脈、静脈、そして最後に主たる大静脈まで通過した後、流速は再び増加しますが、それでもなお大動脈内の初期速度よりはるかに遅いです。血液は主に、血管壁内の平滑筋の律動的な動きによって、そして体が動くにつれて骨格筋の作用によって動きます。大部分の静脈は重力に抗して血液を動かさなければならないので、一方向弁が血液の静脈内の逆流を防止します。骨格筋の収縮は静脈血流を促進するので、長時間座っていた後には立ち上がり、頻繁に動くことが重要です。そうすれば、血液が四肢に溜まることはありません。

毛細血管床を通る血流は、身体の必要性に応じて調節され、そして神経シグナルおよびホルモンシグナルによって方向付けられます。たとえば、大量の食事の後には、消化器系の血管の血管拡張および他の血管の血管収縮によって、大部分の血液が胃へと向けられます。運動の間には、血液は血管拡張によって骨格筋へと向けられ、消化器系への血液は血管収縮によって少なくなります。図40.17に示されるように、いくつかの毛細血管床に入る血液は、前毛細血管括約筋と呼ばれる小さな筋肉によって制御されます。もしこの括約筋が開いている場合、血液は毛細血管の関連する枝に流れます。もしすべての括約筋が閉じている場合、血液は細管路を通って細動脈から細静脈に直接流れます(図40.17参照)。これらの筋肉によって、毛細血管床が血流を受け取る際に体が正確に制御することが可能になります。いかなる瞬間においても、私たちの毛細血管床の約5~10%だけが、実際にその中に血液を流しています。

ビジュアルコネクション

図40.17 | (a)前毛細血管括約筋は、毛細血管を通る血流を調節する平滑筋の輪です。それらは必要とされるところへ向けた血流の移動を制御するのを助けます。(b)静脈内の弁は血液が逆行するのを防ぎます。(credit a: modification of work by NCI)

静脈瘤とは、弁が正しく閉じなくなり、血液が逆流してしまうことによって生じる拡大した静脈です。静脈瘤はしばしば脚に最も顕著に現れます。あなたはなぜそうなのだと思いますか?

学習へのリンク

循環器系の血流を見てください。(http://cnx.org/content/m66654/1.3/#eip-id1171733853207)

タンパク質や他の大きな溶質は毛細血管を離れることはできません。水分質の血漿の喪失は、毛細血管内、特に細静脈の近くに高浸透圧溶液を生じさせます。これにより、毛細血管を出る血漿の約85%が最終的に細静脈近くの毛細血管へと拡散して戻ります。残りの15%の血漿は、間質液から近くのリンパ管へと流れ出します(図40.18)。リンパの中の液体は、間質液と組成が似ています。リンパ液は、大静脈を介して心臓に戻る前にリンパ節を通過します。リンパ節は、白血球で満たされた結合組織の迷路を通しての浸透によってリンパを濾過する特殊な器官です。白血球は、リンパが血流に戻る前に、細菌やウイルスなどの感染性物質を除去してリンパを洗浄します。洗浄された後、リンパは、平滑筋のポンピング作用、骨格筋の作用、および心臓の右心房に入る大静脈の接合部付近に戻ってきた血液へと合流させる一方向弁によって心臓に戻ります。

図40.18 | 毛細血管からの体液は、圧力勾配を下って拡散することによって、また浸透によっても間質腔および毛細リンパ管内に移動します。1日に平均的な心臓によって送り出される7200リットルの体液のうち、1500リットル以上が濾過されます。(credit: modification of work by NCI, NIH)

進化へのつながり

血液循環における脊椎動物の多様性

脊椎動物では血液循環が異なって進化してきており、異なる動物では、圧力の必要量、器官と血管の位置、および器官の大きさにおいてバリエーションを示すことがあります。長い首を持つ動物と寒い環境で生活する動物は、明確に異なる血圧の適応を有しています。

キリンのような首の長い動物は、重力に逆らって心臓から血液を上方に押し上げる必要があります。心臓より2.5メートルも高いキリンの頭の高さに達するためには、左心室のポンピングから必要とされる血圧は、250mmHg(mmHg =水銀柱ミリメートル、圧力の単位)に相当します。しかしながら、もし抑制と均衡が整っていないと、この血圧がキリンの脳にダメージを与えます(特に水を飲むために下に曲げたときに)。これらの抑制と均衡には、弁と心拍出量を減らすフィードバックメカニズムが含まれます。竜脚類などの首の長い恐竜は、さらに高く、最大で心臓から10メートルの高さまで血液を送り出さなければなりませんでした。これには600mmHgを超える血圧が必要だったでしょうが、それは巨大な心臓でしか達成できなかったでしょう。そのような巨大な心臓の証拠は存在しません。必要な血圧を低下させるようなメカニズムとしては、これらの動物が大きくなるにつれて代謝が遅くなることが含まれます。それらは、日常的には木のてっぺんの葉を食べてはおらず、地面の草を食べていたようです。

冷たい水の中で生活しているクジラは、血液の温度を維持する必要があります。これは、熱交換が起こるように静脈と動脈が互いに接近していることによって達成されます。このメカニズムは対向流熱交換と呼ばれます。血管と全身は、熱損失を防ぐために、厚い脂肪層で保護されてもいます。寒い環境に住んでいる陸上動物では、熱を保持し代謝を遅らせるために、厚い毛皮と冬眠が使用されます。

血圧

体内での血流の圧力は、血管の壁に対する液体(血液)の静水圧によって生み出されます。液体は、高い静水圧領域から低い静水圧領域へと移動します。動脈では、心臓近くの静水圧が非常に高く、血流が細動脈に流れ、細動脈の狭い開口部によって血流の速度が遅くなります。収縮期の間に、新しい血液が動脈に入ってくると、余分な血液による圧力の増加に対応するために動脈壁が伸びます。拡張期の間に、壁はその弾性特性のために正常に戻ります。図40.19にグラフで示されている収縮期と拡張期の血圧は、血圧の2つの圧力測定値を与えてくれます。たとえば、120/80は、収縮期に120mmHg、拡張期に80mmHgという測定値を示します。心周期を通じて、血液は比較的均一な速度で細動脈に流れ込み続けます。この血流に対する抵抗は末梢抵抗と呼ばれます。

図40.19 | 動脈と細動脈では、血圧と血液速度は関連しています。毛細血管および静脈では、血圧は下がり続けますが、速度は上がります。

血圧調節

心拍出量は、1分間に心臓から送り出される血液の量です。これは、1分あたりに発生する心臓の収縮の数(心拍数)に、1回拍出量(左心室の収縮ごとに大動脈に送り込まれる血液量)を掛けて計算されます。したがって、運動時のように心拍数を上げることによって心拍出量を増やすことができます。しかしながら、心臓がより大きな強度で収縮する場合のように、1回拍出量を増加させることによっても心拍出量を増加させることができます。1回拍出量は、収縮の合間により多くの血液が心臓に入るように体を周る血液循環を速めることによっても増加させることができます。激しい運動の間、血管は弛緩して直径が増大し、増加した心拍数を相殺して十分に酸素化された血液が筋肉に到達するのを確実にします。ストレスは血管の直径の減少を引き起こし、その結果血圧が上昇します。これらの変化は神経シグナルやホルモンによっても引き起こされることがあり、立ち上がったり横になったりすることでさえも血圧に大きな影響を与えることがあります。

重要用語

狭心症:プラークの蓄積による冠状動脈の部分的な閉塞と心筋への酸素の欠乏によって引き起こされる痛み

大動脈:心臓から血液を運び出す身体の主幹動脈

細動脈:動脈と毛細血管床をつなぐ小さな血管

動脈:心臓から血液を運び出す血管

アテローム性動脈硬化症:心臓の冠状動脈における脂肪性プラークの蓄積

房室弁:心臓の右側の心房と心室の間にある結合組織の一方向の膜性の弁。三尖弁としても知られている

心房:静脈から血液を受け取り、心室に血液を送る心臓の区画

二尖弁(または、僧帽弁、左房室弁):心臓の左側の心房と心室の間にある一方向の膜性の弁

血圧(BP):体中に血液を押し出すのを助ける動脈内の血液の圧力

毛細血管:個々の血球の通過を可能にする最小の血管で、酸素および栄養素交換の拡散部位

毛細血管床:特定の器官や組織に血液を運ぶために収束する多数の毛細血管

心周期:心臓の筋肉を収縮させたり弛緩させたりする電気的シグナルによって心臓を血液で満たしたり空にしたりすること

心拍出量:心拍数と1回拍出量の積として計算される、1分間に心臓によって送り出される血液の量

心筋細胞:横紋状であるが平滑筋のように不随意に収縮する特殊な心臓筋肉細胞

閉鎖循環器系:血液が体の間質液から分離され血管内に収められる系

冠状動脈:心臓組織に血液を供給する血管

冠状静脈:心臓組織から心臓の中の区画に血液を戻す血管

拡張期:心周期の弛緩期で、心臓が弛緩し、心室が血液で満たされているとき

二重循環:肺を通る肺循環と器官および体を通る体循環という2つの循環を流れる血液の流れ

心電図(ECG):心筋の電気インパルスの記録

心内膜:心臓の組織の最内層

心外膜:心臓の組織の最外層

えら循環:ガス交換用のえらを持つ動物に特有の循環器系。血液は酸素化のためのえらを通って流れる

血体腔:開放循環器系で血液が送り込まれる空洞

血リンパ:昆虫や他の節足動物とともにほとんどの軟体動物にも見られる血液と間質液の混合物

下大静脈:下部の器官と脚から来る静脈からの血液を流す

間質液:細胞間の液体

リンパ節:体液が心臓に戻る前にリンパをきれいにするような多数のマクロファージを含む特殊な器官

心筋梗塞(または、心臓発作):冠状動脈の完全な閉塞および心筋組織の死

心筋:心臓壁の中間層であり大部分を構成する心筋細胞

開放循環器系:血液が間質液と混合され、器官を直接に覆うような系

開口部:血管の間の穴で、開放循環器系を持つ昆虫、節足動物、および軟体動物の体を通じて血リンパの動きを可能にする

心膜:心臓を保護する膜層。心外膜の一部

末梢抵抗:心臓のポンピングによって動脈や血管の壁にかかる圧力に対する抵抗

血漿:細胞が除去された後に残る血液の液体成分

血小板:創傷部位に集まり、凝固因子と交差反応し、失血を防ぐための栓を形成する小さな細胞断片

前毛細血管括約筋:毛細血管床の血流を制御する小さな筋肉

肺・皮膚循環:両生類の循環器系。ガス交換のために肺と湿った皮膚へと血液が流れること

肺循環:心臓から離れ、酸素化が起こる肺を通り、再び心臓へと戻る血液の流れ

赤血球:ミトコンドリアを持たず(そして哺乳動物では核を持たない)、ヘモグロビンが詰まった小さな(7~8μm)両凹形の細胞。血液に赤い色を与える。体を通して酸素を輸送する

半月弁:大動脈と心臓の心室の間にある結合組織の膜性の弁(大動脈半月弁または肺半月弁)

血清:凝固因子のない血漿

洞房(SA)結節:心臓の体内ペースメーカー。右心房の壁の近くに位置する

1回拍出量:左心室の収縮ごとに大動脈に送り込まれる血液の量

上大静脈:脳から来る頸静脈と腕から来る静脈からの血液を流す

体循環:心臓から離れて、体の脳、肝臓、腎臓、胃、その他の器官、四肢、筋肉を流れ、そしてその血液を心臓へと戻すような血液の流れ

収縮期:心周期の収縮期で、心室が動脈に血液を送り込んでいるとき

三尖弁:心臓の右側の心房と心室の間にある結合組織の一方向の膜性の弁。房室弁としても知られる

一方向循環:単一の循環内の血液の流れ。血液がえらを通って流れ、次に器官や体の他の部分を通り過ぎた後、心臓に戻る魚類で生じる

血管収縮:血管が細くなること

血管拡張:血管が太くなること

静脈:血液を心臓に戻す血管

大静脈:体の上部と下部から血液を戻す体の主静脈。上大静脈と下大静脈を参照

心室(心臓):血液を動脈に送り込む心臓の大きな下側の区画

細静脈:毛細血管床を静脈につなぐ血管

白血球:ウイルスや細菌からの身体の保護、死んだ細胞や他の廃棄物の除去など、異なる役割を持つ多くの種類がある、核を持つ大きな(30μm)細胞

この章のまとめ

40.1 | 循環器系の概要

ほとんどの動物では、循環器系は体を通じて血液を輸送するために使用されます。いくつかの原始的な動物は、水分、栄養素、ガスの交換に拡散を使います。しかしながら、複雑な生物は、体を通してガス、栄養素、そして廃棄物を運ぶために循環器系を使います。循環器系は、開放されている(間質液と混合されている)ことも、または閉鎖されている(間質液から分離されている)こともあります。閉鎖循環器系は脊椎動物の特徴です。しかしながら、進化中の適応とそれに伴う解剖学的構造の違いのために、異なる脊椎動物のグループ間では、心臓の構造と血液の循環に大きな違いがあります。魚類は一方向循環を伴う2つの区画からなる心臓を持っています。両生類は、血液がいくらか混ざり合う3区画の心臓を持つとともに、それらには二重循環があります。非飛行型の爬虫類のほとんどは3区画の心臓を持っていますが、血液の混ざりあいはほとんどありません。それらには二重循環があります。哺乳類と鳥類は、血液が混ざらない4区画の心臓と、二重循環があります。

40.2 | 血液の成分

血液の特定の成分には、赤血球、白血球、血小板、および凝固因子と血清を含む血漿が含まれます。血液は、体のpH、温度、浸透圧、栄養素の循環と廃棄物の除去、内分泌腺からのホルモンの分配、そして過剰な熱の放出にとって重要です。血液には血液凝固のための成分も含まれています。赤血球はヘモグロビンを含み、体内を循環して細胞に酸素を運搬する特殊な細胞です。白血球は、侵入する細菌、ウイルス、および他の外来生物を識別して標的にする免疫反応に関与しています。それらはまた、古い赤血球のような廃棄成分をリサイクルします。血小板および血液凝固因子は、創傷部位で可溶性タンパク質のフィブリノゲンを不溶性タンパク質のフィブリンへと変化させて血栓を形成します。血漿は、90%の水分とともに凝固因子や抗体などのさまざまな物質で構成されています。血清は凝固因子を含まない血液の血漿成分です。

40.3 | 哺乳動物の心臓と血管

心臓の筋肉は、循環器系の3つの部分、すなわち冠循環、肺循環、体循環に血液を送り出します。右側に1つの心房と1つの心室があり、左側に1つの心房と1つの心室があります。心臓のポンピングは心筋細胞の機能であり、これは骨格筋のように横紋状になっているものの平滑筋のように律動的かつ不随意にポンピングする特有の筋肉細胞です。体内ペースメーカーは、右心房の壁の近くに位置する洞房結節から始まります。SA結節から電荷パルスが発生し、2つの心房が一斉に収縮します。その後、パルスは右心房と右心室の間の房室結節に到達します。電気的シグナルが一時停止すると、心室が血液を送り出す前に心房からの血液が心室に完全に入り込むことが可能になります。心臓からの血液は、血管の複雑なネットワークによって体中に運ばれます。動脈は心臓から血液を運び出し、静脈は血液を心臓に戻します。

40.4 | 血流と血圧の調節

血液は主として、血管壁内の平滑筋の律動的な動きによって、そして体が動くにつれて骨格筋の作用によって体中を移動します。一方向弁は血液が静脈内を逆流するのを防ぎます。毛細血管床を通る血流は、体の必要性に応じて血流を増減させるために前毛細血管括約筋によって制御され、神経シグナルおよびホルモンシグナルによって方向付けられます。リンパ管は血液から漏れでた体液をリンパ節に運び、それは心臓に戻る前にそこで洗浄されます。収縮期には、血液が動脈に入り、動脈壁が伸びて余分な血液を収容します。拡張期には、動脈壁は正常に戻ります。収縮期および拡張期の血圧は、血圧についての2つの圧力測定値を与えます。

ビジュアルコネクション問題

1.図40.10 | 循環器系についての次の記述のうち、間違っているものはどれですか?
a.肺静脈の血液は脱酸素化されている。
b.下大静脈の血液は脱酸素化されている。
c.肺動脈の血液は脱酸素化されている。
d.大動脈の血液は酸素化されている。

2.図40.11 | 心臓についての次の記述のうち、間違っているものはどれですか?
a.僧帽弁は、左心室と左心房を隔てている。
b.血液は二尖弁を通って左心房に移動する。
c.大動脈弁と肺動脈弁はどちらも半月弁である。
d.僧帽弁は房室弁である。

3.図40.17 | 静脈瘤とは、弁が正しく閉じなくなり、血液が逆流してしまうことによって生じる拡大した静脈です。静脈瘤はしばしば脚に最も顕著に現れます。あなたはなぜそうなのだと思いますか?

レビュー問題

4.なぜ開放循環器系が一部の動物にとって有利なのでしょうか?
a.それらは使用する代謝エネルギーがより少ないから。
b.それらは動物が速く動くのを助けるから。
c.それらは心臓を必要としないから。
d.それらは大きな昆虫が成長するのを助けるから。

5.一部の動物は循環器系の代わりに拡散を使用します。その例は次のとおりです。
a.鳥類とクラゲ
b.扁形動物と節足動物
c.軟体動物とクラゲ
d.上記のどれでもない

6.肺を通って心臓へと戻る血流は、________と呼ばれます。
a.一方向循環
b.えら循環
c.肺循環
d.肺・皮膚循環

7.白血球は、________。
a.顆粒球または無顆粒球に分類できる
b.細菌やウイルスから体を守る
c.ルーコサイトとも呼ばれる
d.上記のすべて

8.血小板による栓の形成はどの時点で起こりますか?
a.大きな巨核球が何千もの小さな断片に分裂するとき
b.血小板が血流中に拡散したとき
c.血小板が血管の損傷部位に引き寄せられるとき
d.上記のどれでもない

9.人間では、血漿は血液の何%を占めていますか?
a.45%
b.55%
c.25%
d.90%

10.鳥類の赤血球は、________ために哺乳動物の赤血球とは異なります。
a.白くて核を持っている
b.核を持っていない
c.核を持っている
d.病気と闘う

11.心臓の体内ペースメーカーとは、________です。
a.心臓を通して電気インパルスを送る内部インプラント
b.洞房結節から房室結節へと続く心筋細胞の興奮
c.房室結節から洞房結節へと続く心筋細胞の興奮
d.洞の作用

12.心周期の収縮期の間、心臓は________。
a.収縮する
b.弛緩する
c.収縮と弛緩する
d.血液で満たされる

13.心筋細胞は、________ために骨格筋と似ています。
a.不随意的に拍動する
b.重量物を持ち上げるために使用される
c.律動的に脈動する
d.横紋状である

14.動脈は静脈とどのように違いますか?
a.動脈は、心臓からの圧力の変化に対応するために、より厚い平滑筋層を有する。
b.動脈は血液を運ぶ。
c.動脈は、より薄い平滑筋層および弁を有し、そして骨格筋の作用によって血液を移動させる。
d.動脈は薄壁であり、ガス交換に使用される。

15.高血圧は________の結果でしょう。
a.高い心拍出量と高い末梢抵抗
b.高い心拍出量と低い末梢抵抗
c.低い心拍出量と高い末梢抵抗
d.低い心拍出量と低い末梢抵抗

クリティカルシンキング問題

16.閉鎖循環器系について記述してください。

17.体循環について記述してください。

18.さまざまな血液型グループの原因を記述してください。

19.体内の血液の機能をいくつか挙げてください。

20.リンパ系は血流とどのように作用しますか?

21.心周期について記述してください。

22.毛細血管では何が起こりますか?

23.激しい運動中に血圧はどのように変化しますか?

解答のヒント

第40章

1 図40.10 C 3 図40.17 脚の血液は心臓から最も離れていて、心臓に到達するには上に流れなければなりません。4 A 6 C 8 C 10 C 12 A 14 A 16 閉鎖循環器系は閉ループ系であり、そこでは血液は空洞内で自由ではありません。血液は体の間質液から分離されており、血管内に収容されています。このタイプの系では、血液は体循環経路を周って心臓から一方向に循環してから心臓に戻ります。18 赤血球は、糖脂質と糖タンパク質からなる抗原と呼ばれるタンパク質で覆われています。A型とB型の血液を混合すると、血漿中の抗体が反対の抗原と結合するために血液が凝集します。O型血液には抗原はありません。Rh血液型は、Rh抗原を持っているか(Rh+)、またはRh抗原を持っていないか(Rh–)のいずれかです。20 毛細リンパ管は液体を血液からリンパ節へと送ります。リンパ節は白血球で満たされた結合組織を通しての浸透によってリンパを濾過します。白血球はリンパが血流に戻る前に、細菌やウイルスなどの感染性物質を除去してリンパを洗浄します。22 毛細血管は基本的に周囲のものとの間で物質を交換します。それらの壁は非常に薄く、細胞1つ分または2つ分の層でできており、そこでガス、栄養素、および廃棄物が拡散します。それらは毛細血管床(動脈や静脈を結ぶ複雑なネットワーク)として分布しています。

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