生物学 第2版 — 第41章 浸透圧調節および排泄 —

Japanese translation of “Biology 2e”

Better Late Than Never
50 min readOct 22, 2019

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41 | 浸透圧調節および排泄

図41.1 | 人間がリサイクルできるものをリサイクルして、残りを埋め立て地に捨てるように、私たちの体も可能なものを使ってリサイクルし、残りの廃棄物を排出します。私たちの体の複雑な系は、廃棄物を処理し、平衡のとれた内部環境を維持する方法を発達させてきました。(credit: modification of work by Redwin Law)

この章の概要

41.1:浸透圧調節と浸透圧平衡
41.2:腎臓および浸透圧調節の器官
41.3:排泄系
41.4:窒素性廃棄物
41.5:浸透圧調節機能のホルモン制御

はじめに

人間の水の消費についての1日の推奨摂取量は、コップ8~10杯です。健康的なバランスを達成するためには、人体は毎日8~10杯の水を排出するべきです。これは、排尿、排便、発汗、そしてわずかな程度ではありますが呼吸のプロセスを経て起こります。人体の器官や組織は、一定の温度、pH、溶質濃度(すべて恒常性の重要な要素)に保たれている液体に浸されています。体液中の溶質は主として無機塩と糖であり、浸透圧調節はこの無機塩と水分の平衡を保つプロセスです。浸透圧の恒常性は、気温、食事、気象状態などの外的要因の影響を受けるにもかかわらず、維持されます。

41.1 | 浸透圧調節と浸透圧平衡

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•浸透を定義し、分子内でのその役割を説明する
•浸透圧調節と浸透圧平衡が重要な身体機能である理由を説明する
•能動輸送メカニズムを記述する
•オスモル濃度とそれが測定される方法を説明する
•浸透圧調節動物または浸透圧順応動物、およびこれらの動物の道具立てがどのようにして動物をさまざまな環境に適応させるかを記述する

浸透とは、膜の両側の分子の不均衡によって引き起こされる浸透圧に反応して、水が膜を横切って拡散することです。浸透圧調節は、体液(水分と、電解質および非電解質とからなります)内で膜を横切る塩分および水分の平衡(浸透圧平衡)を維持するプロセスです。電解質は水に溶解するとイオンに解離する溶質です。対照的に、非電解質は水へ溶解してもイオンに解離しません。電解質も非電解質も浸透圧平衡に寄与します。体液には、血漿、細胞内のサイトゾル、間質液(体の細胞と組織の間の空間に存在する液体)が含まれます。体の膜(側膜、漿膜、細胞膜など)は半透膜です。半透膜は、特定の種類の溶質および水に対して透過性(または許容性)があります。半透膜の両側の溶液は、膜を横切る溶質および/または水の移動によって、溶質濃度を均一にする傾向があります。図41.2に見られるように、水中に置かれた細胞は、低張環境または「低塩」環境からの水分の獲得のために膨張する傾向があります。他方、より高い塩分濃度を有する溶液中に置かれた細胞は、高張環境または「高塩」環境への水分の損失のために、膜がしわになる傾向があります。等張性の細胞は、細胞の内側と外側に等しい濃度の溶質を持っています。これにより、半透膜である細胞膜の両側の浸透圧が等しくなります。

図41.2 | 高張環境に置かれた細胞は、水分の損失により収縮する傾向があります。低張環境では、細胞は水分の取り込みにより膨張する傾向があります。血液は等張環境を維持しているので、細胞は収縮も膨張もしません。(credit: Mariana Ruiz Villareal)

体は孤立して存在しているわけではありません。その系へは、一定的な水と電解質の入力があります。浸透圧調節が体内の膜を横切って達成されている一方で、過剰な電解質および廃棄物は腎臓に輸送されて排泄され、浸透圧平衡を維持するのを助けます。

浸透圧調節の必要性

生物学的な系は、食物と水の摂取を通じて、そして汗、尿、および糞便の形での排泄を通じて、水分と栄養素を交換して絶えず環境と相互作用します。浸透圧を調節するメカニズムがない場合、または病気がそのメカニズムを損なう場合、有害な廃棄物および水分を蓄積する傾向があらわれ、それは悲惨な結果をもたらす可能性があります。

哺乳動物の系は、膜を横切る全体の浸透圧だけでなく、血漿、細胞外液、および細胞内液という3つの主要な体液区分における重要な電解質の特定の濃度も調節するように進化してきました。浸透圧は膜を横切る水の移動によって調節されるので、3つの体液区分の容積も一時的に変化することがあります。血漿は体液区分の1つであるため、浸透圧は血圧に直接影響します。

細胞膜を横切る電解質の輸送

塩化ナトリウムなどの電解質は水中でイオン化します。つまり、電解質はそれらの成分イオンに解離します。水中では、塩化ナトリウム(NaCl)はナトリウムイオン(Na⁺)と塩素イオン(Cl⁻)に解離します。体液中で濃度が非常に厳密に調節されている最も重要なイオンは、カチオンのナトリウムイオン(Na⁺)、カリウムイオン(K⁺)、カルシウムイオン(Ca⁺²)、マグネシウムイオン(Mg⁺²)、および、アニオンの塩素イオン(Cl⁻)、炭酸イオン(CO₃⁻²)、炭酸水素イオン(HCO₃⁻)、およびリン酸イオン(PO₃⁻)です。電解質は排尿や発汗の間に体から失われます。この理由のために、運動選手は、増大する活動と発汗の際には電解質と体液を置き換えることが奨励されています。

浸透圧は溶液中の溶質の濃度に影響されます。それは溶質原子または分子の数に正比例し、溶質分子のサイズには依存しません。電解質はその成分イオンへと解離するため、それらは、本質的には、グルコースのように水中で解離しない化合物よりも、質量あたりでより多くの溶質粒子を溶液に加え、そして浸透圧に対してより大きな影響を与えます。

水は受動拡散によって膜を通過することができます。もし電解質イオンが膜を横切って受動的に拡散するならば、それぞれの体液区分内で特定のイオン濃度を維持することは不可能です。したがって、それらは体内の半透膜を横切るための特別な機構を必要とします。この移動は、促進拡散および能動輸送によって達成することができます。促進拡散は、溶質を移動させるためのタンパク質ベースのチャネルを必要とします。能動輸送は、イオンを濃度勾配に逆らって移動させるために、ATP変換、担体タンパク質、またはポンプの形態のエネルギーを必要とします。

オスモル濃度とミリ当量の概念

浸透圧を計算するためには、溶質濃度の測定方法を理解する必要があります。溶質の測定単位はモルです。1モルはその溶質のグラム分子量として定義されます。たとえば、塩化ナトリウムの分子量は58.44です。したがって、1モルの塩化ナトリウムの重量は58.44グラムです。溶液のモル濃度は、溶液1リットルあたりの溶質のモル数です。溶液の重量モル濃度は、溶媒1キログラムあたりの溶質のモル数です。もし溶媒が水の場合、水1キログラムは水1リットルに相当します。モル濃度と重量モル濃度が溶液の濃度を表すのに使われる一方で、電解質濃度は通常1リットルあたりのミリ当量(mEq/L)で表されます:mEq/Lはイオン濃度(ミリモル)に対して、イオンにある電荷の数を掛けたものに等しいです。ミリ当量の単位は、溶液中に存在するイオン(電解質は水溶液中でイオンを形成するので)、およびイオンにある電荷を考慮に入れます。

したがって、1の電荷を有するイオンについて、1ミリ当量は1ミリモルに等しいです。カルシウムのように2の電荷を有するイオンの場合、1ミリ当量は0.5ミリモルに等しいです。電解質濃度を表すもう1つの単位はミリオスモル(mOsm)であり、これは溶媒1キログラムあたりの溶質のミリ当量の数です。体液は通常280~300mOsmの範囲内に維持されています。

浸透圧調節動物および浸透圧順応動物

飲むことができる淡水を持たずに海で漂流している人は、重度の脱水症の危険があります。なぜなら、人間の体は、体液と比較して高張性である海水を飲むようには適応できていないからです。金魚のように比較的狭い範囲の塩分にしか耐えることができない生物は、狭塩性と呼ばれています。すべての硬骨魚類の約90%は淡水か海水のどちらかに制限されています。それらは反対の環境では浸透圧調節ができません。しかしながら、サケのようないくつかの魚類は、その生涯の一部を淡水で、一部を海水で過ごすことが可能です。比較的広い範囲の塩分に耐えることができるサケやモーリーのような生物は、広塩性生物と呼ばれています。これは、一部の魚類があらゆる種類の水中環境で生き残るために浸透圧調節メカニズムを進化させてきたために可能となっています。それらが淡水に住んでいるときには、図41.3aに示されるように、環境が比較的低張性であるため、それらの体は水を取り込む傾向があります。このような低張環境では、これらの魚は水をあまり飲みません。代わりに、それらは非常に希薄な尿をたくさん排出するとともに、えらを通して塩分を能動的に輸送することによって電解質バランスを達成します。高張性の海洋環境に移動すると、これらの魚類は海水を飲み始めます。図41.3bに示されるように、それらはえらと尿を通じて過剰な塩分を排出します。一方、ほとんどの海洋性無脊椎動物は海水と等張であるでしょう(浸透圧順応動物)。それらの体液濃度は海水濃度の変化と一致します。軟骨魚類の血液の塩分成分は硬骨魚類に似ています。しかしながら、サメの血液には有機化合物の尿素とトリメチルアミンオキシド(TMAO)が含まれています。これは、それらの電解質組成が海水の組成と類似していることを意味するものではありません。それらは、高濃度の尿素を貯蔵することによって海水との等張性を達成します。尿素を分泌するこれらの動物は、尿素排出動物と呼ばれます。TMAOは、高い尿素レベルの存在下でタンパク質を安定化させ、同レベルの尿素にさらされた他の動物で起こるであろうペプチド結合の破壊を防ぎます。サメは直腸腺を持つ軟骨魚で、塩分を分泌して浸透圧調節を助けます。

図41.3 | 魚類は浸透圧調節動物ですが、(a)淡水環境または(b)塩水環境で生き残るためには異なるメカニズムを使用しなければなりません。(credit: modification of work by Duane Raver, NOAA)

キャリアへのつながり

透析技師

透析は、拡散と限外濾過によって血液から廃棄物と余分な水分を除去する医療プロセスです。腎機能が機能しなくなった場合、人工的に体から廃棄物を取り除くために透析を行わなければなりません。これは患者を生存させるために不可欠なプロセスです。一部の事例では、患者は腎臓移植に適格となるまで人工透析を受けます。腎移植の候補者ではない他の人では、透析は生涯にわたって必要となります。

透析技師は通常、病院や診療所で働いています。この分野におけるいくつかの役割には機器の開発および保守が含まれますが、ほとんどの透析技師は患者の直接の治療に従事しています。彼らの職務上の責務は、通常は登録看護師の直接監督の下に行われるものであり、透析治療の提供に焦点が置かれています。これには、患者の病歴および現在の状態を見直すこと、治療の前および最中における患者のニーズを評価して対応すること、ならびに透析プロセスを監視することが含まれます。治療には、患者のバイタルサインを記録して報告することと、正確で無菌の手順でもって溶液および機器を準備することが含まれます。

41.2 | 腎臓および浸透圧調節の器官

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•腎臓が哺乳類の系における主要な浸透圧調節の器官としてどのように機能するかを説明する
•腎臓の構造と腎臓の各部の機能を記述する
•ネフロンがどのようにして腎臓の機能単位であるかを記述し、それが能動的に血液を濾過して尿を生成する方法を説明する
•尿の形成における3つのステップ:糸球体濾過、尿細管再吸収、尿細管分泌を詳述する

腎臓が主要な浸透圧調節器官ではありますが、皮膚や肺もそのプロセスの中で役割を果たしています。水分と電解質は皮膚の汗腺を通して失われます。それは皮膚表面を保湿し、冷やすのを助けます。一方で、肺は粘液分泌物の形で、そして水蒸気の蒸発を通して少量の水を排出します。

腎臓:主要な浸透圧調節器官

図41.4に示されるように、腎臓とは、腹腔内の肝臓のすぐ下で後部に位置する一対の豆のような形状をした構造です。副腎はそれぞれの腎臓の上に位置します。腎臓は血液を濾過して浄化します。人体内の血液はすべて腎臓によって1日に何度も濾過されています。これらの器官は、この機能を果たすために肺を通じて吸収された酸素のほぼ25%を使い果たします。酸素は、腎臓細胞が好気呼吸を通じてATPの形で化学エネルギーを効率的に製造することを可能にします。腎臓から出てくる濾液は尿と呼ばれます。

図41.4 | 腎臓は血液を濾過し、尿を生成します。尿は尿道を通じて排出される前は膀胱に蓄えられています。(credit: modification of work by NCI)

腎臓の構造

図41.5に示されるように、外部的には、腎臓は3つの層によって囲まれています。最外層は強固な結合組織層で、腎臓筋膜と呼ばれます。2番目の層は腎周囲脂肪被膜と呼ばれ、腎臓を所定の位置に固定するのに役立ちます。最も内側の3番目の層は腎被膜です。内部的には、腎臓は3つの領域 — 外側の皮質、中央の髄質、および腎臓の門と呼ばれる領域の腎盂 — を持っています。門は、豆の形状のへこんだ部分であり、そこから血管や神経が腎臓に出入りします。それはまた、尿管のための出口でもあります。腎皮質は、腎臓の機能単位であるネフロンの存在のために粒状になっています。髄質は、腎錐体と呼ばれる複数の錐体状の組織の塊からなります。錐体の間には腎柱と呼ばれる空間があり、血管がそこを通っています。腎乳頭と呼ばれる錐体の先端は、腎盂のほうを向いています。それぞれの腎臓には、平均して8つの腎錐体があります。腎錐体と隣接する皮質領域は、あわせて腎葉と呼ばれます。腎盂は腎臓の外側の尿管につながっています。腎臓の内側では、腎盂が2つまたは3つの大腎杯と呼ばれる拡張部に分岐し、さらにそれが小腎杯に分岐します。尿管は、腎臓から出て膀胱内へと排出される尿を保持する管です。

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図41.5 | 腎臓の内部構造が示されています。(credit: modification of work by NCI)

腎臓についての次の記述のうち、間違っているものはどれですか?
a.腎盂は尿管へと排出する。
b.腎錐体は髄質の中にある。
c.皮質が被膜を覆っている。
d.ネフロンは腎皮質の中にある。

腎臓は血液を濾過するため、その血管ネットワークは腎臓の構造と機能における重要な構成要素です。腎臓に必要なものを供給する動脈、静脈、神経は、腎門において出入りします。腎臓の血液供給は、大動脈が腎動脈(それらが通過する腎臓の領域に基づいてそれぞれ名前が付けられています)に分岐することで始まり、下大静脈に合流するために腎静脈から出ることで終わります。腎動脈は腎臓に入るといくつかの区動脈に分裂します。それぞれの区動脈はさらにいくつかの葉間動脈に分裂し、腎柱に入って血液を腎葉に供給します。葉間動脈は腎皮質と髄質の接合部で分裂して弓状動脈を形成します。「弓の形をした」弓状動脈は、髄質錐体の基部に沿って円弧を形成しています。皮質放射状動脈は、その名前が示すように、弓状動脈から放射状に広がります。皮質放射状動脈は多数の輸入細動脈に分岐し、次にネフロンに血液を供給する毛細血管に入ります。静脈は動脈の経路をたどり、区静脈がないことを除いて同様の名前を持っています。

前述のように、腎臓の機能単位はネフロンです(図41.6を参照)。それぞれの腎臓は、腎皮質に点在する100万を超えるネフロンで構成されており、矢状に切断したときに粒状の外観を呈します。腎皮質の奥深くにある皮質ネフロン(85%)と、腎髄質の近くの腎皮質にある傍髄質ネフロン(15%)という、2種類のネフロンがあります。ネフロンは3つの部分で構成されています — 腎小体、尿細管、そして皮質放射状動脈に由来する付随毛細血管網です。

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図41.6 | ネフロンは腎臓の機能単位です。糸球体および尿細管は腎皮質に位置し、集合管は髄質の錐体に位置します。(credit: modification of work by NIDDK)

ネフロンについての次の記述のうち、間違っているものはどれですか?
a.集合管は遠位尿細管内へと排出する。
b.ボーマン嚢は糸球体を取り囲んでいる。
c.ヘンレのループは近位尿細管と遠位尿細管の間にある。
d.ヘンレのループは遠位尿細管へと排出する。

腎小体

腎皮質内に位置する腎小体は、糸球体として知られる毛細血管のネットワークと、ボーマン嚢と呼ばれるそれを囲むカップ形の区画である嚢とで構成されています。

尿細管

尿細管は、糸球体から発出する長く曲がりくねった構造であり、機能に基づいて3つの部分に分けることができます。最初の部分は、糸球体に近接しているため、近位尿細管(PCT)と呼ばれます。それは腎皮質の中に留まっています。2番目の部分は、腎髄質を通過するループ(下行脚と上行脚を伴います)を形成するため、ヘンレのループ、またはネフロンループと呼ばれます。尿細管の3番目の部分は遠位尿細管(DCT)と呼ばれ、この部分も腎皮質に限定されています。ネフロンの最後の部分であるDCTは、髄質錐体を裏打ちする集合管に接続してその内容物を排出します。集合管は複数のネフロンから内容物を集め、それらが腎髄質の乳頭に入る際に一緒に融合します。

ネフロン内の毛細血管網

腎動脈に由来する毛細血管網は、濾過する必要がある血液をネフロンに供給します。糸球体に入る枝は輸入細動脈と呼ばれます。糸球体を出る枝は輸出細動脈と呼ばれます。糸球体内では、毛細血管網は糸球体毛細血管床と呼ばれます。ひとたび輸出細動脈が糸球体を出ると、それは、尿細管の一部を囲み相互作用する尿細管周囲毛細血管網を形成します。皮質ネフロンでは、尿細管周囲毛細血管網がPCTとDCTを囲んでいます。傍髄質ネフロンでは、尿細管周囲毛細血管網はヘンレのループの周囲にネットワークを形成し、直細血管と呼ばれます。

学習へのリンク

このウェブサイト(http://openstaxcollege.org/l/kidney_section)にアクセスして、腎臓のもう1つの冠状部分を観察して、ネフロンの働きのアニメーションを探索してください。

腎臓の機能と生理

腎臓は3段階のプロセスで血液を濾過します。第1に、ネフロンは糸球体の中の毛細血管網を通過する血液を濾過します。タンパク質を除くほとんどすべての溶質は、糸球体濾過と呼ばれるプロセスによって糸球体へと濾しとられます。第2に、濾液が尿細管に集められます。溶質のほとんどは、尿細管再吸収と呼ばれるプロセスによってPCTに再吸収されます。ヘンレのループでは、濾液は溶質および水分を腎髄質および尿細管周囲毛細血管網と交換し続けます。この段階で水分も再吸収されます。その後、尿細管分泌中に追加の溶質および廃棄物が尿細管に分泌されます。これは、本質的には尿細管再吸収とは逆のプロセスです。集合管は、ネフロンから来る濾液を収集し、髄質乳頭で融合します。ここから、乳頭は濾液(これから尿と呼ばれます)を小腎杯に送り、小腎杯は最終的に腎盂を介して尿管につながっています。このプロセス全体が図41.7に示されています。

図41.7 | ネフロンのそれぞれの部分は、廃棄物の濾過と恒常性の平衡の維持において異なる機能を果たします。(1)糸球体は、圧力によって小さな溶質を血液から押し出します。(2)近位尿細管は、濾液からイオン、水分、および栄養素を間質液へと再吸収し、間質液から毒素および薬物を濾液へと能動的に輸送します。近位尿細管はまた、アンモニア(NH₃)を濾液中に選択的に分泌することによって血液のpHを調整します。アンモニアは濾液中でH⁺と反応してNH₄⁺を形成します。濾液が酸性であるほど、より多くのアンモニアが分泌されます。(3)ヘンレのループの下行脚はアクアポリンを含む細胞によって裏打ちされています。アクアポリンによって、水分が濾液から間質液へと移動できます。(4)ヘンレのループの上行脚の薄い部分では、Na⁺イオンとCl⁻イオンが間質液中に拡散します。厚い部分では、これらの同じイオンが間質液へと能動的に輸送されます。水分ではなく塩分が失われるため、濾液は上行脚を上がるにつれてどんどんと希釈されます。(5)遠位尿細管では、K⁺イオンおよびH⁺イオンが濾液中に選択的に分泌される一方で、Na⁺イオン、Cl⁻イオン、およびHCO₃⁻イオンが再吸収され、血中のpHおよび電解質平衡が維持されます。(6)集合管が濾液から溶質および水分を再吸収し、希薄な尿を形成します。(credit: modification of work by NIDDK)

糸球体濾過

糸球体濾過は、高い血圧および輸入細動脈の特殊な膜によって、ほとんどの溶質を濾しとります。糸球体の血圧は、全身の血圧に影響を与える要因からは独立して維持されます。糸球体毛細血管網の内皮細胞間の「漏れやすい」接続によって、溶質が容易に通過することが可能になります。タンパク質のような高分子を除き、糸球体毛細血管内のすべての溶質は受動拡散によって通過します。濾過プロセスのこの段階ではエネルギーは必要ありません。糸球体濾過率(GFR)は、腎臓によって1分あたりに形成される糸球体濾液の量です。GFRは複数のメカニズムによって調節されており、腎臓機能の重要な指標です。

学習へのリンク

腎臓の血管系の詳細についてさらに学ぶためには、このレビュー(http://openstaxcollege.org/l/kidneys)および血流のステップをクリックして進んでください。

尿細管再吸収および尿細管分泌

尿細管のPCT部分で尿細管再吸収が起こります。ほとんどすべての栄養素が再吸収され、これは受動輸送または能動輸送のいずれかによって起こります。水分といくつかの重要な電解質の再吸収は調節されており、ホルモンの影響を受けることがあります。ナトリウム(Na⁺)は最も豊富なイオンであり、そのほとんどは能動輸送によって再吸収され、次いで尿細管周囲毛細血管に輸送されます。Na⁺は尿細管の外に能動輸送されるため、浸透圧を均一にするために水分がそれに続きます。水分はまた、PCT中のアクアポリン(または水分チャネル)の存在により、独立して尿細管周囲毛細血管に再吸収されます。これは、尿細管周囲毛細血管における低い血圧および高い浸透圧のために起こります。しかしながら、すべての溶質には最大輸送量があり、過剰分は再吸収されません。

ヘンレのループでは、膜の透過性が変化します。下行脚は水を透過し、溶質を透過しません。上行脚では、逆のことが当てはまります。さらに、ヘンレのループは腎髄質に侵入します。腎髄質は自然には塩分濃度が高く、尿細管から水分を吸収して濾液を濃縮する傾向があります。浸透勾配は、それが髄質内に深く移動するにつれて増加します。図41.8に示されるように、ヘンレのループの両側では反対の機能が実行されるため、これは対向流増幅系として機能します。その周りの直細血管は対向流交換系として機能します。

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図41.8 | ヘンレのループは、エネルギーを使用して濃度勾配を作り出す対向流増幅系として機能します。下行脚は水透過性です。水分は濾液から間質液に流れるため、脚の内側のオスモル濃度は腎髄質へと降下するにつれて増加します。底部では、オスモル濃度は間質液よりもループの内側の方が高いです。したがって、濾液が上行脚に入ると、Na⁺およびCl⁻イオンが細胞膜に存在するイオンチャネルを通って出ていきます。さらに上に行くと、Na⁺は濾液から能動輸送されて出ていき、Cl⁻が続きます。オスモル濃度は、1リットルあたりのミリオスモル(mOsm/L)の単位で与えられます。

ループ利尿薬は高血圧の治療に使用されることのある薬です。これらの薬物はヘンレのループの上行脚によるNa⁺イオンとCl⁻イオンの再吸収を抑制します。副作用は、それらが排尿を増加させることです。あなたはなぜそうなのだと思いますか?

濾液がDCTに達するまでに、ほとんどの尿と溶質が再吸収されています。もし体が追加の水分を必要としている場合には、この時点ですべてを再吸収することができます。さらなる再吸収はホルモンによって制御されますが、これについては後の節で説明します。尿細管分泌と組み合わされた再吸収が不足すると、廃棄物の排出が起こります。代謝性廃棄物、尿素、尿酸、特定の薬などの望ましくない産物は尿細管分泌によって排泄されます。尿細管分泌の大部分はDCTで起こりますが、一部は集合管の初期部分で起こります。腎臓はまた、過剰のH⁺イオンを分泌することによって酸-塩基平衡を維持します。

尿細管の一部は近位および遠位と命名されていますが、腎臓の断面では、尿細管は互いに接近して配置され、お互いに接触するとともに糸球体とも接触しています。これにより、異なる細胞タイプ間の化学的メッセンジャーの交換が可能になります。たとえば、ヘンレのループのDCT上行脚は、緻密斑と呼ばれる細胞の塊を有し、これは傍糸球体細胞と呼ばれる輸入細動脈の細胞と接触しています。緻密斑および傍糸球体細胞は、一緒になって、傍糸球体複合体(JGC)を形成します。JGCは、酵素のレニンとホルモンのエリスロポエチンを分泌する内分泌構造です。血液量、血圧、または電解質平衡の変化によりホルモンがDCT内の緻密斑細胞の引き金を引くと、これらの細胞は輸入細動脈および輸出細動脈の毛細血管にその問題を直ちに伝達し、それが収縮または弛緩して腎臓の糸球体濾過率を変化させます。

キャリアへのつながり

腎臓専門医

腎臓専門医は腎臓の疾患 — 腎不全の原因となる疾患(糖尿病など)と腎疾患によって引き起こされる症状(高血圧など)の両方 — を研究し、取り組みます。血圧、血液量、および電解質平衡の変化が腎臓専門医の管轄の範囲に含まれます。

腎臓専門医は通常、患者を紹介してきたり、特定の診断や治療計画について相談してきたりした他の医師たちと協力して働きます。患者は通常、尿中の血液やタンパク質、非常に高い血圧、腎結石、腎不全などの症状のために腎臓専門医に紹介されてきます。

腎臓病学は内科の下位専門分野です。腎臓専門医になるためには、医科大学院に加えて、内科医学で資格を得るために追加の訓練を受けます。さらに、特に腎臓障害とそれに伴う身体への影響の研究に2年以上を費やす必要があります。

41.3 | 排泄系

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•微生物に存在する液胞がどのようにして廃棄物を排出するのかを説明する
•蠕虫の炎細胞と腎管が排泄機能を果たして浸透圧平衡を維持する方法を記述する
•どのようにして昆虫がマルピーギ管を使用して廃棄物を排出し、浸透圧平衡を維持するかを説明する

微生物や無脊椎動物は、哺乳類の腎臓系や排尿機能よりも原始的で単純なメカニズムを使って代謝性廃棄物を取り除きます。複雑な腎臓の以前には、生物の中で3つの排泄系が進化していました:液胞、炎細胞、マルピーギ管です。

微生物における収縮性液胞

生命の最も基本的な特徴は細胞の存在です。言い換えれば、細胞は生命の最も単純な機能単位です。細菌は単細胞の原核生物で、最も複雑さの少ない生命プロセスを有しています。しかしながら、細菌のような原核生物は膜に包まれた液胞を含みません。細菌、原虫、菌類のような微生物の細胞は細胞膜によって包まれており、それらを使用して環境と相互作用します。人間のいくつかの白血球を含むいくつかの細胞は、エンドサイトーシス(すなわち細胞内の細胞膜の包み込みによる小胞の形成)によって食物を飲み込むことができます。その同じ小胞は、細胞内環境と相互作用し代謝産物を交換することができます。図41.9に示されるアメーバのような単細胞の真核生物では、細胞性廃棄物と過剰な水分はエキソサイトーシス(収縮性液胞が細胞膜と融合して、環境中へと廃棄物を排出すること)によって排出されます。収縮性液胞(CV)は、食物や水分を貯蔵する液胞とは混同されるべきではありません。

図41.9 | アメーバなどのいくつかの単細胞生物は、エンドサイトーシスによって食物を摂取します。食物小胞は、食物を消化するリソソームと融合します。廃棄物はエキソサイトーシスによって排泄されます。

プラナリアの炎細胞と蠕虫の腎管

身体の代謝的な要求を分担する器官系を有するように多細胞系が進化するにつれて、個々の器官は排泄機能を果たすように進化しました。プラナリアは淡水に生息する扁形動物です。それらの排泄系は、高度に分岐した管系に接続された2本の小管からなります。図41.10aに示されるように、小管内の細胞は、顕微鏡下で見たときにゆらめく炎のように見える繊毛の塊を有するため、炎細胞(または原腎管)と呼ばれます。繊毛は、小管の中で排泄物を推進し、体表面に開いている排泄孔を通じて体外に排出します。繊毛はまた、間質液から水を吸い込み、濾過することができます。価値のあるすべての代謝産物が再吸収によって回収されます。炎細胞は、寄生性のサナダムシや自由生活性のプラナリアを含む、扁形動物に見られます。それらはまた生物の浸透圧平衡も維持します。

図41.10 | (a)プラナリアの排泄系では、炎細胞の繊毛が管細胞によって形成された小管を通して廃棄物を押し出します。小管は分枝構造につながっており、それが体の側面全体に沿って位置する細孔につながっています。濾液はこれらの孔を通して分泌されます。(b)ミミズのような環形動物では、腎管が体腔(体の空洞)からの体液を濾過します。腎管の開口部で繊毛を打ち付けると、体腔から小管に水が吸い込まれます。濾液が小管を通過するにつれて、栄養素および他の溶質が毛細管によって再吸収されます。窒素性廃棄物および他の廃棄物を含む濾過された液体は膀胱に貯蔵され、そして体の側面の孔を通して分泌されます。

図41.10bに示されるように、ミミズ(環形動物)は、わずかに進化した腎管と呼ばれる排泄構造を持っています。ミミズのそれぞれの節には、一対の腎管があります。それらは繊毛を伴う小管を有するという点で炎細胞に似ています。排泄は、腎管孔と呼ばれる細孔を通して起こります。それらは、排泄前に、毛細管網による管での再吸収のためのシステムを有するという点で、炎細胞よりも進化しています。

昆虫のマルピーギ管

図41.11に示されるハチのような節足動物の一部の種では、マルピーギ管が腸の裏打ちに見られます。それらは通常は対となって見られ、小管の数は昆虫の種によって異なります。マルピーギ管は回旋状のため表面積が増加しており、再吸収と浸透圧平衡の維持のための微絨毛で裏打ちされています。マルピーギ管は直腸の壁にある特殊な腺と協調的に作用します。体液は、腎管の場合のようには濾過されません。尿は、血リンパ(昆虫と他の節足動物やほとんどの軟体動物に見られる血液と間質液の混合物)に浸っているマルピーギ管を裏打ちする細胞による小管分泌メカニズムによって産生されます。尿酸のような代謝性廃棄物は小管の中へと自由に拡散します。小管を裏打ちする交換ポンプが存在し、それはH⁺イオンを細胞内へ、K⁺イオンやNa⁺イオンを外へと能動輸送します。水分は受動的に続いて、尿を形成します。イオンの分泌は浸透圧を変化させて、それが水分、電解質、および窒素性廃棄物(尿酸)を小管に引き込みます。これらの生物が低水分環境に直面すると、水と電解質は再吸収され、尿酸は濃いペーストまたは粉末として排泄されます。廃棄物を水に溶かさないことは、これらの生物が水を節約するのを助けます。これは乾燥した環境での生命にとって特に重要です。

図41.11 | 昆虫や他の陸生の節足動物のマルピーギ管は、血リンパから窒素性廃棄物やその他の溶質を除去します。Na⁺イオンおよび/またはK⁺イオンは小管の内腔に能動輸送されます。水分は浸透によって小管に入り、尿を形成します。尿は腸を通過して直腸に入ります。そこでは、栄養素が血リンパに拡散して戻ります。Na⁺イオンおよび/またはK⁺イオンが血リンパに汲み上げられ、そして水分が続きます。濃縮された廃棄物はその後に排泄されます。

学習へのリンク

このビデオ(https://openstax.org/l/malpighian)で、解剖されたゴキブリと、クローズアップされたマルピーギ管の外観を観察してください。

41.4 | 窒素性廃棄物

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•水生動物と陸生動物がその系から有毒なアンモニアを除去する方法を比較対照する
•脊椎動物のアンモニア代謝の主な副生成物を鳥類、昆虫、爬虫類のものと比較する

生物学的な系の4つの主要高分子のうち、タンパク質と核酸の両方に窒素が含まれています。窒素含有高分子の異化(すなわち分解)の間に、炭素、水素、および酸素が抽出され、炭水化物および脂肪の形で貯蔵されます。過剰な窒素は体から排出されます。窒素性廃棄物は有毒なアンモニアを形成する傾向があり、それは体液のpHを上昇させます。アンモニアそれ自体の形成は、生物学的な系からATPの形態のエネルギーを必要とするとともに、それを希釈するために大量の水も必要とします。水中環境に住んでいる動物は水中にアンモニアを放出する傾向があります。アンモニアを排出する動物はアンモニア排出動物と言われます。陸生生物は窒素性廃棄物を排出するために他のメカニズムを進化させてきました。動物は、アンモニアを尿素や尿酸のような比較的無毒な形に変換することによって、アンモニアを解毒しなければなりません。人間を含む哺乳動物は尿素を生産しますが、爬虫類と多くの陸生無脊椎動物は尿酸を生産します。主要な窒素性廃棄物として尿素を分泌する動物は、尿素排出動物と呼ばれます。

陸生動物における窒素性廃棄物:尿素回路

尿素回路は、哺乳動物がアンモニアを尿素に変換する主要なメカニズムです。尿素は肝臓で作られ、尿の中で排泄されます。アンモニアが尿素に変換される全体の化学反応は、2NH₃(アンモニア) + CO₂ + 3ATP + H₂O → H₂N-CO-NH₂(尿素) + 2ADP + 4Pᵢ + AMPです。

図41.12に示されるように、尿素回路は、5つの異なる酵素によって触媒される5つの中間段階を利用して、アンモニアを尿素に変換します。アミノ酸のL-オルニチンは、さまざまな中間体に変換された後に、尿素回路の最後で再生されます。したがって、尿素回路はオルニチン回路とも呼ばれます。酵素のオルニチントランスカルバミラーゼは、尿素回路における重要なステップを触媒し、それが欠乏すると体内に有毒なレベルのアンモニアが蓄積することがあります。最初の2つの反応はミトコンドリアの中で起こり、最後の3つの反応はサイトゾルの中で起こります。血液中の尿素濃度(血液尿素窒素またはBUNと呼ばれます)は、腎臓機能の指標として使用されます。

図41.12 | 尿素回路はアンモニアを尿素に変換します。

進化へのつながり

窒素性廃棄物の排出

進化論によれば、生命は水中環境で始まったことが示唆されています。陸生の生命形態が進化したときに、変わりゆく環境に適応するように尿素回路のような生化学的経路が進化したことを見たとしても驚くには当たりません。おそらく、乾燥した条件が水を節約する手段としての尿酸経路の進化をもたらしました。

鳥類や爬虫類の窒素性廃棄物:尿酸

鳥類、爬虫類、そしてほとんどの陸生の節足動物は、有毒なアンモニアを尿素の代わりに尿酸または密接に関連した化合物グアニン(グアノ)に変換します。哺乳動物もまた、核酸の分解中にいくらかの尿酸を形成します。尿酸は、核酸の中にみられるプリンに似た化合物です。それは水に不溶性であり、そして白色のペーストまたは粉末を形成する傾向があります。それは鳥類、昆虫、そして爬虫類によって排泄されます。アンモニアから尿酸への変換はより多くのエネルギーを必要とし、アンモニアから尿素への変換よりもはるかに複雑です(図41.13)。

図41.13 | 窒素性廃棄物はさまざまな種によって異なる形で排出されます。これらには、(a)アンモニア、(b)尿素、および(c)尿酸が含まれます。(credit a: modification of work by Eric Engbretson, USFWS; credit b: modification of work by B. “Moose” Peterson, USFWS; credit c: modification of work by Dave Menke, USFWS)

日常へのつながり

痛風

哺乳類は、細胞内の抗酸化剤として尿酸結晶を使用しています。しかしながら、多すぎる尿酸は腎臓結石を形成する傾向があり、痛風と呼ばれる痛みを伴う状態を引き起こすことがあります。図41.14に示されるように、痛風では、尿酸結晶が関節に蓄積します。痛風のリスクを減らすためには、食事中の窒素含有塩基の量を減らすような食品の選択が役立ちます。たとえば、紅茶、コーヒー、チョコレートにはキサンチンと呼ばれるプリンに似た化合物があり、痛風や腎臓結石のある人は避けるべきです。

図41.14 | 痛風は、この人の左親指の関節に見えるような炎症を引き起こします。(credit: “Gonzosft”/Wikimedia Commons)

41.5 | 浸透圧調節機能のホルモン制御

この節が終わるまでに、あなたは次のことができるようになります:
•腎臓が体の浸透圧の必要性を同期させるのを、どのようにしてホルモンの合図が助けるかを説明する
•エピネフリン、ノルエピネフリン、レニン-アンジオテンシン、アルドステロン、抗利尿ホルモン、心房性ナトリウム利尿ペプチドなどのホルモンが、どのようにして排泄物の除去を調節し、正しいオスモル濃度を維持し、その他の浸透圧調節機能を果たすのかを記述する

腎臓は体内の浸透圧平衡と血圧を維持するように機能しますが、それらはまた、ホルモンと協調して作用もします。ホルモンとは、体内でメッセンジャーとして働く小さな分子です。ホルモンは典型的には1つの細胞から分泌され、血流の中を移動して身体の他の部分の標的細胞に影響を及ぼします。ネフロンのさまざまな領域は、化学的メッセンジャーおよびホルモンに反応するための受容体を伴う特殊な細胞を有しています。表41.1は、浸透圧調節機能を制御するホルモンを要約しています。

表41.1

エピネフリンとノルエピネフリン

エピネフリンとノルエピネフリンはそれぞれ副腎髄質と神経系によって放出されます。それらは体が極端なストレス下にあるときに放出される逃走/闘争のホルモンです。ストレスの間、体のエネルギーの大部分は差し迫った危険と戦うために使われます。腎機能はエピネフリンとノルエピネフリンによって一時的に停止されます。これらのホルモンは血管の平滑筋に直接作用してそれらを収縮させることによって機能します。輸入細動脈が収縮すると、ネフロンへの血流が止まります。これらのホルモンはさらに一歩進み、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の引き金を引きます。

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン

図41.15に示されるレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系は、いくつかの段階を経て進行してアンジオテンシンIIを生成し、これは血圧および血液量を安定させるように作用します。レニン(傍糸球体複合体の一部によって分泌される)は、輸入細動脈および輸出細動脈の顆粒細胞によって産生されます。したがって、腎臓は血圧と血液量を直接制御します。レニンは、肝臓で作られるアンジオテンシノーゲンに作用し、それをアンジオテンシンIに変換します。アンジオテンシン変換酵素(ACE)は、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換します。アンジオテンシンIIは血管を収縮させることによって血圧を上昇させます。それはまた副腎皮質からミネラロコルチコイドのアルドステロンの放出も引き起こし、それが次に尿細管を刺激してより多くのナトリウムを再吸収させます。アンジオテンシンIIはまた、視床下部からの抗利尿ホルモン(ADH)の放出を引き起こし、腎臓での水分貯留を引き起こします。それはネフロンに直接作用して糸球体濾過率を低下させます。医学的には、血圧はACEを阻害する薬剤(ACE阻害剤と呼ばれます)によって制御することができます。

図41.15 | レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系は血圧と血液量を上昇させます。ホルモンのANPは拮抗作用があります。(credit: modification of work by Mikael Häggström)

ミネラロコルチコイド

ミネラロコルチコイドは副腎皮質によって合成されるホルモンであり、浸透圧平衡に影響を与えます。アルドステロンは、血中のナトリウム濃度を調節するミネラロコルチコイドです。血中のナトリウムのほとんどすべては、アルドステロンの影響下で尿細管によって回収されます。ナトリウムは常に能動輸送によって再吸収され、水は浸透圧平衡を維持するためにナトリウムに続くので、アルドステロンは体液中のナトリウムレベルだけでなく水分レベルも管理します。一方で、アルドステロンはナトリウム再吸収と同時にカリウム分泌も刺激します。対照的に、アルドステロンの不在は、ナトリウムが尿細管に再吸収されず、その全てが尿によって排泄されることを意味します。さらに、毎日の食事で運び込まれるカリウムは分泌されず、このK⁺の保持は血漿K⁺濃度の危険な増加を引き起こすことがあります。アジソン病を患っている患者は、副腎皮質に障害があり、アルドステロンを生成できません。彼らは絶えず尿中にナトリウムを失い、そして供給が補充されなければ、その結果は致命的になり得ます。

抗利尿ホルモン

前述のように、抗利尿ホルモンまたはADH(バソプレシンとも呼ばれます)は、その名のとおり、体液量(特に血液の量)が少ない場合に体が水分を節約するのに役立ちます。それは視床下部によって形成され、下垂体後葉に貯蔵され放出されます。それは集合管にアクアポリンを挿入することによって作用し、水分の再吸収を促進します。ADHは血管収縮剤としても働き、出血中の血圧を上昇させます。

心房性ナトリウム利尿ペプチドホルモン

心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は血管拡張剤として作用することによって血圧を下げます。それは、高血圧に反応して、あるいは睡眠時無呼吸症を患っている患者において、心臓の心房内の細胞によって放出されます。ANPは塩分放出に影響を及ぼします。そして水分は浸透圧平衡を維持するために受動的に塩分に続くので、それはまた利尿効果も有します。ANPはまた、尿細管によるナトリウムの再吸収を防ぎ、水の再吸収を減らし(したがって利尿薬として作用します)、そして血圧を下げます。その作用はアルドステロン、ADH、およびレニンの作用を抑制します。

重要用語

輸入細動脈:皮質放射状動脈から分岐して糸球体に入る細動脈

アンモニア:窒素原子1個と水素原子3個からなる化合物

アンモニア排出動物:主要な廃棄物としてアンモニアを排出する動物のことを記述する

アンジオテンシン変換酵素(ACE):アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換する酵素

アンジオテンシンI:レニン-アンジオテンシン-アルドステロン経路における産物

アンジオテンシンII:血圧を高めるためにさまざまな器官に影響を与える分子

抗利尿ホルモン(ADH):水分の損失を防ぐホルモン

抗酸化剤:活性酸素種による細胞破壊を防ぐ物質

弓状動脈:葉間動脈から分岐して腎錐体の基部上をアーチ状に延びる動脈

上行脚:ヘンレのループの一部で、腎髄質から腎皮質に上昇する部分

血液尿素窒素(BUN):血中尿素の推定値であり腎機能の指標

ボーマン嚢:糸球体を囲む構造

杯:腎盂と腎髄質を結ぶ構造

皮質(動物):腎臓や副腎のような器官の外層

皮質ネフロン:腎皮質にあるネフロン

皮質放射状動脈:弓状動脈から腎皮質へと広がる動脈

対向流交換系:尿細管からの溶質と水分の交換を可能にする尿細管周囲毛細血管網

対向流増幅系:尿の濃度の原因となる腎髄質における浸透圧勾配

下行脚:ヘンレのループの一部で、腎皮質から腎髄質へと下降する部分

遠位尿細管(DCT):糸球体から最も遠い尿細管の部分

輸出細動脈:糸球体から出る細動脈

電解質:水に溶解するとイオンに分解する溶質

炎細胞(または、原腎管):扁形動物に見られる排泄細胞

糸球体濾過:糸球体毛細血管網から糸球体への血液の濾過

糸球体濾過率(GFR):糸球体によって形成された1分あたりの濾液の量

糸球体(腎臓):毛細血管網を含む腎小体の部分

門:腎臓に入ったり出たりする前に血管、神経、尿管が集まる腎盂内の領域

下大静脈:人体の中の主な静脈の1つ

葉間動脈:区動脈から分岐して腎葉間に走る動脈

傍糸球体細胞:緻密斑からの刺激に反応する、輸入細動脈および輸出細動脈の中の細胞

傍髄質ネフロン:皮質内にあるが腎髄質に近いネフロン

腎臓:排泄機能および浸透圧調節機能を果たす器官

腎臓の葉:腎錐体と隣接する皮質領域

ヘンレのループ:腎髄質へとループする尿細管の部分

緻密斑:ナトリウムイオン濃度の変化を感知する細胞群。尿細管および集合管の一部に存在する

マルピーギ管:節足動物に見られる排泄用の小管

髄質:腎臓や副腎のような器官の中間層

微絨毛:細胞の表面積を増加させる細胞プロセス

重量モル濃度:溶媒1キログラムあたりの溶質のモル数

モル濃度:溶液1リットルあたりの溶質のモル数

モル:物質の分子量のグラム当量

腎管:環形動物にみられる排泄構造

腎管孔:腎管の終わりに見られる孔

ネフロン:腎臓の機能単位

非電解質:水に溶解してもイオンに分解しない溶質

浸透圧順応動物:その環境に基づいてその等張性を変える生物

浸透圧調節:水分と溶質の濃度が望ましいレベルに維持されるメカニズム

浸透圧調節動物:その環境に関係なくその等張性を維持する生物

浸透圧平衡:すべての区画内において所望の浸透圧および溶質濃度を乱すことなく、生物学的な系の内外へ出入りする水分および塩分の量のバランス

浸透圧:両側の溶質濃度を等しくするために膜にかかる圧力

腎周囲脂肪被膜:腎臓を固定する脂肪層

尿細管周囲毛細血管網:輸出細動脈が糸球体を出た後に尿細管を囲む毛細血管網

近位尿細管(PCT):糸球体の近くにある尿細管の部分

腎動脈:腎臓に入る動脈の枝

腎被膜:腎臓を包み込む層

腎柱:腎葉に血液を供給するプロセスで葉間動脈が通過する腎臓の領域

腎小体:糸球体とボーマン嚢

腎臓筋膜:腎臓を支える結合組織

腎盂:腎臓の中の領域であって、そこで杯が尿管に接合する

腎錐体:腎髄質の中の円錐状構造

尿細管:糸球体から生じるネフロンの小管

腎静脈:腎臓から出て下大静脈に入る静脈の枝

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン:血圧を上昇させるアンジオテンシンIIを活性化する生化学的経路

区動脈:腎動脈から分岐している動脈

半透膜:特定の溶質のみを通過させる膜

最大輸送量:再吸収中に尿細管から外へ輸送できる溶質の最大量

尿細管再吸収:糸球体で濾過除去された水分と溶質の再利用

尿細管分泌:再吸収されない廃棄物の分泌プロセス

尿素回路:アンモニアが尿素に変換される経路

尿素排出動物:主要な窒素性廃棄物として尿素を分泌する動物のことを記述する

尿管:腎臓から出ている尿を保持する管。膀胱に尿を運ぶ

尿酸:鳥類、昆虫、爬虫類のアンモニア代謝の副生成物

膀胱:尿管が中に尿を排出する構造。尿を蓄える

尿:腎臓によって生成され、体外に排泄される濾液

直細血管:傍髄質ネフロンのヘンレのループを囲む尿細管周囲網

血管拡張剤:血管の直径を増加させる化合物

バソプレシン:抗利尿ホルモンの別名

この章のまとめ

41.1 | 浸透圧調節と浸透圧平衡

半透膜の両側の溶質濃度は、膜を横切る水と溶質の動きに影響を及ぼします。浸透に重要なのは溶質分子の数であって、分子サイズではありません。浸透圧調節と浸透圧平衡は重要な身体機能であり、水分と塩分の平衡をもたらします。すべての溶質が半透膜を通過できるわけではありません。浸透は膜を横切る水の動きです。浸透は、溶質濃度がより高い側へ水を移動させることによって半透膜の両側で溶質分子の数を等しくするために起こります。促進拡散では、高濃度の領域から低濃度の領域へと溶質分子を移動させるためにタンパク質チャネルを利用する一方で、濃度勾配に逆らうように溶質を移動させるには能動輸送機構が必要とされます。オスモル濃度は、ミリ当量またはミリオスモルの単位で測定され、その両方とも溶質粒子の数およびそれらの電荷を考慮に入れます。淡水や海水の中に住んでいる魚類は、浸透圧調節動物または浸透圧順応動物として適応しています。

41.2 | 腎臓および浸透圧調節の器官

腎臓は哺乳類の系における主要な浸透圧調節器官です。それらは血液を濾過し、そして体液のオスモル濃度を300mOsmに維持するように機能します。それらは3つの層に囲まれており、その内部は皮質、髄質、腎盂という3つの異なる領域で構成されています。

腎臓に出入りする血液を輸送する血管は、大動脈から生じ、下大静脈と合流します。腎動脈は大動脈から分岐して腎臓に入り、そこで区動脈、葉間動脈、弓状動脈、そして皮質放射状動脈へとさらに分割されます。

ネフロンは腎臓の機能単位であり、それは能動的に血液を濾過して尿を生成します。ネフロンは腎小体と尿細管で構成されています。皮質ネフロンは腎皮質の中に見られ、一方で、傍髄質ネフロンは腎髄質に近い腎皮質の中に見られます。ネフロンは、2組の血管と腎臓内の組織液でもって、水分と溶質を濾過して交換します。

尿の形成には3つのステップがあります:糸球体で起こる糸球体濾過、尿細管で起こる尿細管再吸収、やはり尿細管で起こる尿細管分泌です。

41.3 | 排泄系

脊椎動物の腎臓や泌尿器系よりも単純であるような、廃棄物を排出するための多くの系が進化してきました。最も単純な系は、微生物に存在する収縮性液胞の系です。蠕虫の炎細胞と腎管は排泄機能を果たし、浸透圧平衡を維持します。いくつかの昆虫は、廃棄物を排泄し浸透圧平衡を維持するためにマルピーギ管を進化させました。

41.4 | 窒素性廃棄物

アンモニアは、タンパク質や核酸などの窒素含有化合物の代謝によって生成される廃棄物です。水生動物は周囲の水環境にアンモニアを容易に排出することができますが、陸生動物はその系から有毒なアンモニアを除去するために特別なメカニズムを進化させてきました。尿素は脊椎動物のアンモニア代謝の主な副生成物です。尿酸は、鳥類、陸生節足動物、および爬虫類のアンモニア代謝の主な副生成物です。

41.5 | 浸透圧調節機能のホルモン制御

ホルモンの合図は、腎臓が体における浸透の必要性を同調させるのを助けます。エピネフリン、ノルエピネフリン、レニン-アンジオテンシン、アルドステロン、抗利尿ホルモン、および心房性ナトリウム利尿ペプチドのようなホルモンは、身体の必要性や異なる器官系間の通信を調整するのを助けます。

ビジュアルコネクション問題

1.図41.5 | 腎臓についての次の記述のうち、間違っているものはどれですか?
a.腎盂は尿管へと排出する。
b.腎錐体は髄質の中にある。
c.皮質が被膜を覆っている。
d.ネフロンは腎皮質の中にある。

2.図41.6 | ネフロンについての次の記述のうち、間違っているものはどれですか?
a.集合管は遠位尿細管内へと排出する。
b.ボーマン嚢は糸球体を取り囲んでいる。
c.ヘンレのループは近位尿細管と遠位尿細管の間にある。
d.ヘンレのループは遠位尿細管へと排出する。

3.図41.8 | ループ利尿薬は高血圧の治療に使用されることのある薬です。これらの薬物はヘンレのループの上行脚によるNa⁺イオンとCl⁻イオンの再吸収を抑制します。副作用は、それらが排尿を増加させることです。あなたはなぜそうなのだと思いますか?

レビュー問題

4.脱水状態の人間の患者に対して輸液を静脈内投与する必要がある場合は、彼または彼女には、________が投与されます。
a.体液に関して低張性である水
b.体液に関して等張性である濃度の生理食塩水
c.非電解質であるためにグルコース
d.血液

5.ナトリウムイオンは、________の中で濃度が最高になります。
a.細胞内液
b.細胞外液
c.血漿
d.上記のどれでもない

6.高張溶液中の細胞は、________傾向があります。
a.水分損失により収縮する
b.水分増加により膨張する
c.水が同じ速度で細胞に出入りするため、同じサイズを維持する
d.上記のどれでもない

7.緻密班は、________。
a.腎髄質に存在する
b.腎臓の外層に存在する高密度の組織である
c.DCTおよび集合管に存在する細胞である
d.毛細血管内に存在する

8.体液のオスモル濃度は、________に維持される。
a.100mOsm
b.300mOsm
c.1000mOsm
d.一定に維持されているわけではない

9.腎臓の上に位置する腺は、________です。
a.副腎
b.下垂体
c.甲状腺
d.胸腺

10.マルピーギ管におけるK⁺の能動輸送は、________を確実にします。
a.水がK⁺に続いて、尿を作ること
b.廃棄物と体液との間の浸透圧平衡が維持されること
c.aとbの両方
d.aでもbでもない

11.微生物の収縮性液胞は、________。
a.排泄機能を独占的に実行する
b.多くの機能を果たすことができ、そのうちの1つが代謝性廃棄物の排出である
c.細胞膜に由来する
d.bとcの両方

12.炎細胞は________に見られる原始的な排泄器官です。
a.節足動物
b.環形動物
c.哺乳動物
d.扁形動物

13.BUNは________です。
a.血液尿素窒素
b.血液尿酸窒素
c.血液量の指標
d.血圧の指標

14.人間は窒素性廃棄物を排出する前に________を蓄積します。
a.窒素
b.アンモニア
c.尿素
d.尿酸

15.レニンは________によって作られています。
a.傍糸球体装置の顆粒細胞
b.腎臓
c.ネフロン
d.上記のすべて

16.アジソン病患者は、________。
a.水分を保持する
b.塩分を保持する
c.塩分と水分を失う
d.多すぎるアルドステロンを有する

17.どのホルモンが「闘争か逃走か」反応を引き出しますか?
a.エピネフリン
b.ミネラロコルチコイド
c.抗利尿ホルモン
d.チロキシン

クリティカルシンキング問題

18.浸透圧平衡を達成するためには、なぜ排泄が重要なのでしょうか?

19.電解質イオンが能動輸送によって膜を横切って移動するのはなぜですか?

20.ヘンレのループと直細血管が濃縮された尿の形成にとって重要なのはなぜですか?

21.腎臓の構造を記述してください。

22.なぜ廃棄物の排出のために特殊な器官が進化したのでしょうか?

23.腎臓以外の2つの異なる排泄系を説明してください。

24.進化という観点からは、なぜ生物で尿素回路が進化したのでしょうか?

25.尿素と尿酸の形成を比較対照してください。

26.ホルモンがどのように血圧、血液量、腎機能を調節しているのかを記述してください。

27.レニン-アンジオテンシン-アルドステロン機構はどのように機能しますか?なぜそれは腎臓によって制御されているのでしょうか?

解答のヒント

第41章

1 図41.5 C 3 図41.8 ループ利尿薬は腎髄質への塩分の排出を減らし、それによってそのオスモル濃度を下げます。その結果、下行脚によって髄質に排出される水分が少なくなり、尿として排出される水分が増えます。4 B 6 A 8 B 10 C 12 D 14 C 16 C 18 排泄によって、生物は、蓄積されると有毒であることのある廃棄物の分子を自身から取り除くことが可能になります。それはまた、生物が水分と溶存溶質の量のバランスを保つことを可能にします。20 ヘンレのループは、腎髄質の中へとループする尿細管の一部です。ヘンレのループでは、濾液が溶質と水分を腎髄質と直細血管(尿細管周囲毛細血管網)と交換します。直細血管は対向流交換系として機能します。腎臓は、濾液がヘンレのループを通過する際に濾液を濃縮することによって、体の他の部分のオスモル濃度を一定の300mOsmに維持します。22 除去されなければ生物にとって有毒であることのある廃棄物を除去することは、生存のために非常に重要です。このプロセスを専門とし、他の器官とは別に機能するような器官を持つことは、その生物にとっての安全性のための対策を提供します。24 尿素回路は、陸生の生命形態が進化する際に、変化する環境に適応するように進化したと考えられています。乾燥した条件はおそらく水を節約する手段としての尿酸経路の進化をもたらしました。26 ホルモンは体内でメッセンジャーとして働く小さな分子です。ネフロンの異なる領域は特殊化された細胞を保有しており、それらは化学的メッセンジャーおよびホルモンに反応するための受容体を有します。ホルモンは腎臓にメッセージを伝えます。これらのホルモンの合図は、腎臓が体の浸透圧の必要性を同調させるのを助けます。エピネフリン、ノルエピネフリン、レニン-アンジオテンシン、アルドステロン、抗利尿ホルモン、および心房性ナトリウム利尿ペプチドのようなホルモンは、身体の必要性を調節するとともに異なる器官系間のコミュニケーションを助けます。

この訳文は元の本のCreative Commons BY 4.0ライセンスに従って同ライセンスにて公開します。 問題がありましたら、可能な限り早く対応いたしますので、ご連絡ください。また、誤訳・不適切な表現等ありましたらご指摘ください。この本は、https://openstax.org/details/books/biology-2e で無料でダウンロードできます。

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