3カ国のCivic Techコミュニティ集合| T4NT Handover Report 2

Code for AustraliaとアフリカのCivic Techの組織であるOpen upとTech for Non-tech(T4NT)のプログラムについて学ぶ中で気が付いたことや学んだことを書きます。

Nao Myoshu
Code for Japan
10 min readMay 26, 2019

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この記事では
- 実際のT4NTのプログラム
- 現地プログラムで引き継ぎの流れ
について紹介します。

T4NT Handoverプログラム現地の引き継ぎ初日、Open upが運営するスペースCodebridgeで集合します。
Open upのオフィスがあり、一部がコミュニティスペースとして運営されています。

Codebridgeにて、朝ごはんを食べながらの自己紹介の様子

T4NTのパッケージを開発したCode for AustraliaからLinaさん、Benさんが参加しています。

Linaさんは、プログラムの元となったニュージーランドで行われていたプログラムから今のパッケージを作り、過去に全6回行われたオーストラリアの講習を実施したファシリテーターです。

Benさんは、TFNTの重要な要素であるTechnical Facillitatorです。
Technical Facilitatorは、セッションのメインの講師であり、開発者と働く上で知っておくべきインターネット歴史などの基本的な内容から、働き方の違いなど、開発者の立場として話します。

加えて、Open upからは実際にセッションを行うメンバー、とそしてCode for Japanとして明主が参加します。

T4NTの流れ

今回南アフリカで実施するTFNTの大きな流れは以下の通りです。

  • ITについての基礎的なレクチャー
  • Jagan(専門用語)を学ぶグループワーク
  • Web開発についてのレクチャー
  • 開発者とのチームビルディングについてのレクチャー
  • 開発者によるデモ

講義形式のレクチャーとワークショップ形式のアクティビティで学びます。

T4NTにおける主要な役割は主に2つです。
- Technical Facilitator
- Facilitator

Technical Facilitator
開発者として、レクチャーの実施と、自身の経験を元に開発者と働くことについて話します。アクティビティでは技術的なコンテンツについてのサポートをします。

Facilitator
全体の企画、当日のイベントの進行を担当します。
参加者にとっては、初めて学ぶ技術的なコンテンツであるからこそ、ハードルを感じさせないようにウェルカムな雰囲気を作り出すことが欠かせません。

内容については、

人類史の中で、煙から遠距離における意思伝達の方法が始まり、現代のインターネットへ移り変わりについて、歴史的な情報技術のバックグラウンドについての話から始まります。

Web開発の基本的な内容に移り、プロジェクトのリーダーが自分たちが必要とするITツールは何であるかを理解して、ちゃんと技術者に発注ができるようにその種類と仕組みについて学びます。

最後には現役のエンジニアが今取り組んでいるプロジェクトを元にWeb開発の現場についての話や、彼らの働きについて話します。
開発者の実際の声を元に、開発者とうまく関係を築く方法について考えます。

実際のワークで参加者が書き出した専門用語

中でも特徴的なのが専門用語(Jargon)についてのアクティビティです。

“HTTP”や”DNS”など、非技術者が知っているようで実は意外と説明できない言葉たちを参加者で書き出し、壁に貼りだします。その後、張り出した単語について調べます。

わからない言葉を調べて自分たちで学ぶ、
日々進歩するテクノロージーを前に新しい情報をキャッチし続けなくてはならない開発者からすれば当たり前のことかも知れません。

書き出すことでお互いのITリテラシーのレベルを知ることで安心してワークに望めます。Technical Facilitatorのサポートもあり、そこにいる参加者同士で学ぶことで自分たちの解釈で理解を深めることができます。

引き継ぎのプロセス

過去にCode for Australiaが実際に使ったタイムジュール表を使いながら、翌日のイベントの実施について最終調整。

今回が初の国外での実施であり、文化に合わせた調整が重要です。
例えば、備品の購入については、現地で入手できるものをベースに検討します。

会場の設備や、入り口から会場までの人員の配置による導線の確認など一見細かすぎるように思いますが、

全てのことが当然とは思い込まず、国籍が違えば、文化背景や価値観が異なるメンバーであっても問題なく当日のプログラムを進行して、参加者に満足してもらうべく入念に準備します。

中でも印象的だったのが、導入部分におけるCode for conduct、行動規範の案内についてです。

Code for Conductはオープンソースのコミュニティなどではみられますが、日本ではあまり一般的ではないように思います。

オープンで多様性を尊重するコミュニティだからこそ、個人を大切にするルールがあることは素晴らしいと個人的に思います。

本国オーストラリアでは、他にもAcnnouledgement of Countlyと呼ばれる先住民を尊重しているという意思表示をします。

code for JapanのCode of Conductはこちら

番外編1:海外のCivic Techの人はどんなところで働いている?

ここで、Open Upのオフィスの中を少しだけ紹介。

Open upが運営するCodebridgeは、Cape Townの名所であるTeable Mountainの麓に位置するNewlandsという地区にあります。
建物は橋のたもとにあり、近くには大学やコワーキングスペースがあったりと、若い人たちが多く見られます。

2Fがオフィス、1Fはオープンスペースです。

オフィスには、Sexy Nerd Room(開発者の部屋)や、Google Meet Room(オンライン会議用部屋)など楽しげな名前がつけられており、それぞれのメンバーが働きやすいように部屋が分けられています。

2日目は実際に南アフリカの参加者に向けてTFNTのプログラムを実施します。

番外編2:Tech for Non-techで使っている便利ツール

比喩で伝える、IT用語

Jagonのワークでも使われている、比喩でたとえるIT関連の用語集です。

例えば、2段階認証(2 factor authentication)とは

2段階認証とは、シンデレラのガラスの靴である。
シンデレラは名前を告げること昨晩の12時にどこにいたかを告げることしかできません。王子様はそれらの情報に加えて、ガラスの靴が合うかでどうかで本人であるという、2段階の認証をしています。

というように、必ずしも、間違いがなく正確というではないかも知れないが、技術について詳しくない人が不必要なハードル感じずに、まず初めの一歩として親しむ上では良い例ではないでしょうか

二段階認証だけでも、番犬の例えなど例えは様々で読んでるだけで面白いです。

将来の自分に送るメール

今日の学びを忘れないために、
「3ヶ月後の自分に伝えたいことはなんですか?」
など、セッションの振り返りとして将来の自分に送るメールを参加者に描いてもらいます。

振り返りの意味だけではなく、3ヶ月後にTFNTのことについてメールをみることでCode Forコミュニティのことを思い出してもらうことにもつながります。

プログラムの振り返りのアクティビティとして使ってみるのはいかがでしょうか。

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