CfAUSによる現地でのT4NTプログラムの実施| T4NT Handover Report 3

Code for AustraliaとアフリカのCivic Techの組織であるOpen upとTech for Non-tech(T4NT)のプログラムについて学ぶ中で気が付いたことや学んだことを書きます。

Nao Myoshu
Code for Japan
8 min readMay 26, 2019

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Citrusdalの参加者で集合写真

この記事では、
- Code for Australiaによる現地でのプログラムの実施について
- 実際にプログラムを実施してみて気が付いたことについて
紹介します。

T4NT Handoverプログラム2日目はCode for Australiaのメンバーが実際にプログラムを実施します。Capetownから車で約2時間、Citrusdalという町で現地の行政職員を招きプログラムを行います。

T4NTの講師として、
技術面のレクチャーで講師をするTech Facilitatorと全体の進行を務めるFacilitatorが進行を務めます。

Code for Australiaから、
TFNTのファシリテーターのLinaと、エンジニアのBenが話します。

セッションの流れ

セッションは大きく5つの項目に分けられます。
・IT技術についての基礎的なレクチャー
・Jagan(専門用語)の学び方についてのグループワーク
・Web開発についてのレクチャー
・開発者とのチームビルディングについてのレクチャー
・開発者によるデモ

IT技術についての基礎的なレクチャー
インターネットと情報通信技術の歴史と仕組みについてT4NTで一番初めのレクチャーです。

コンピューターのアウトプット/インプット/メモリ/プロセッサーなどの概念を人間の脳で説明

計算機から始まるコンピューター、モールス信号に始まる情報通信技術の歴史について学び、現在のWebの基本的な仕組みについて理解します。

Web開発についてのレクチャー

APIについての説明

次に、ClientとServerの関係や、開発言語, Library, Frameなどより具体的で技術的な内容に移り、そのあとの開発者によるデモを通して、どのようにプログラムが動いているのかを実際のコードとインターフェイスを比較しながら見ます。

開発者とのチームビルディングについてのレクチャー
最後は、開発者とのチームビルディングについて。
開発者がしていることを学んだ上で、良好な関係を築くにはどうするべいいのかを考えます。

T4NTのアクティビティ

アクティビティで発表する行政職員の参加者

T4NTは、コンテンツの内容自体よりもその伝え方のフォーマット(Flame)に特徴があります。

特徴的なのがJagon(専門用語)を学ぶアクティビティです。

このセッションではAnalogy(たとえ)を使って、
語句を検索する習慣と新しい概念を自分がすでに知っているものに例え、自分の知識に結びつける方法を学びます。

例えば、一つ参加者の例えを紹介すると、

URLはインターネット上の住所のようなものである。
Aさんの家は緯度経度(IPアドレス)で表せるけれども、A市X丁目Y番地 〇〇アパート XXX号室のように住所(URL)として人の目で見たときにわかりやすく表現することができます。

重要なのは全てを網羅する事ではありません。
知らない単語に出会った時に、いかに早く自分のものにするかにあります。

グループワークを通して、テック業界にいても知らない単語が自分以外の人にもあることを知り、他の人の例え方から知識の身につけ方について考えます。

専門用語に対するアレルギーを無くし、技術者に的確に要件を伝えられるようになることを目指します。

プログラムに対するニーズ、参加者層について

今回のセッションでは実は午後のプログラムを大幅に変えて、開発者とのチームビルディングについての話を無くし、本来のコンテンツではない人間中心デザインのワークショップを実施しました。

今回の参加者であった行政職員は、
自分たちが実際にWebに関わることは日常の業務ではないものの、IT技術への興味関心からプログラムへ参加してくれました。

その場合、T4NTのプログラムは
「Web開発プロジェクトにおいて、プロジェクトオーナーが必要なアウトプットを得るために知っておくべきこと」であるため、

現在Web開発プロジェクトのオーナーであったり、過去の反省を活かして次回のプロジェクトで改善したいなど、なかなか自身の経験、動機無しにはレクチャーの内容はあまり実りのあるものになりません。

今回のような参加者のように日常業務で漠然と解決したい課題があるレベルの場合は、T4NTのプログラムよりも人間中心デザインのワークショップなど、課題を明らかにしてそれに対してチームで解決策を考えてみるワークショップの方が結果的に満足度も高かったです。

Web開発が採用するべきソリューションとして決定しているプロジェクトのオーナーにこそT4NTのプログラムは効果を発揮するのだと感じました。

番外編:プロジェクトの管理に使われているツールを紹介

Trello.com

プロジェクトの管理はTrello boardで行ないます。
カンバン方式でチケットごとにタスクを管理できるできるので進捗が一目瞭然です。
カード内にチェックリストを設け、担当者にメンションをつけることで準備の進捗も誰でも確認することができます。

Google Spreadsheet

イベント当日のタイムレーブルはGoogle Docsのスプレッドシートで管理します。
各コラムには、セッションの担当者、各セッションで目的にしていること、準備物について書かれています。

当日は時間の管理に使い、また各休憩ごとに集まり、簡単な振り返りとして各セッションで目的としていた内容がカバーできたかをこのシートを確認し、休憩の後に実施する内容を全員で認識合わせします。

後日、気づいた点をメモをとして残していた物を元に、終わってから各人の振り返りに使い、次回の実施の際はは振り返りを元にタイムテーブルの確認、というように同じシートに情報を貯めます。

基本的に情報をなるべくまとめて管理することを意識しているため、共同作業が可能なツールを使い誰でもいつでも記入できるようにしています。

明確にタスクとしてリストアップされているので、必ずしも全体の背景やコンテクストを理解していなくても、これらのツールを見れば誰でも進行できるように設計されています。

加えて、回数を重ねてアップデートされているタイムラインとタスク一覧なので、確認事項に従うことで抜け漏れなく余計な心配をせずに準備をすることができます。

前日は特に抜け漏れがないか心配になるイベントの企画ですが、このように情報がまとめられていることで、効率的に短時間で準備を済ますことができ、安心して当日を迎えられると感じました。

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