フィリピンのココヤシ産業とWANICココナッツ・スピリッツ

dangkang
5 min readDec 16, 2016

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こんにちは、Wanicの徳久です。弊社の事業戦略を担当しています。代表の森住がフィリピンとWANICについてのストーリーを紹介したので、ここではフィリピンのココヤシ事情を紹介したいと思います。

弊社のクラフト・スピリッツである、ココナッツ・ウォーターから作られる世界初のココナッツ・スピリッツ「WANICココナッツ・スピリッツ2015」は100本の限定商品ですが、この100本のスピリッツを製造するために、約2600個のココヤシの実を購入しました。そして、現地のスタッフと協力し、ココナッツ・ウォーターを取り出し、アルコール発酵をさせ、約1400リットルのココナッツ・ワインを製造しました。さらに、これを蒸留し、完成したのが約140リットルのココナッツ・スピリッツです。

約2600個のココヤシの実

2600個のココヤシの甘みが凝縮され、純粋なスピリッツにも関わらず、ほんのりとした甘みと清涼感のあるWANICは、他のスピリッツと比較して、大変飲みやすい仕上がりとなっています。アルコール度数は42度ですが、その値を知らずに飲んでしまい、数杯飲み干した後、テーブルを立った際に、足下がふらつき、実は強いお酒だったと気づくほどの飲みやすい、とは実際にWANICを飲んでくださったお客様からいただいたご感想です。

WANICココナッツ・スピリッツ2015

さて、WANICココナッツ・スピリッツの原材料であるココヤシは多くの日本人にとって、あまり馴染みのない植物かと思います。南国ならではのエキゾチムを醸し出す存在、以上のイメージが沸かない方も多いかと思います。ここでは、簡単にココヤシの生態、フィリピンとココヤシについて少し説明をしたいと思います。

実は、フィリピンは、世界第2位のココヤシ生産量を誇る、ココヤシ大国です。2011年には年間1,524万トン[1]のココヤシを生産しています。

産業の乏しいフィリピンにとって、ココヤシは貴重な資源の1つと考えられています。その力の入り具合は、政府が、ココナッツ庁(Coconut Authority)と呼ばれる国家機関をフィリピン各地に設置していることからも伺えます。ココナッツを様々な用途へ利用したいと考えており、このような機関を設置しているのですね。例えば、トランス脂肪酸・コレステロールフリーのココナッツ・オイルは、ココヤシ庁によるココナッツ農家やオイル生産者の指導によって、高品質を保ち、世界中へと輸出されています。

ボホール島のココヤシ庁オフィス

とはいえ、1524万トンの生産量があるといわれても、いまいちピンとこない方も大勢いらっしゃると思います。では、ボトムアップにココヤシの実を推定することで、その規模感を想像していただきたいと思います。実際に、私がボホール島にて、ココヤシ・プランテーションのフィールドワークを行った際に、ココヤシ庁のスタッフから聞いたデータにもとづけば、1年あたりのココヤシの樹1房あたり、7–10のココヤシの実が育ちます。ココヤシの樹1本あたり平均7房あるとすると、1年あたりのココヤシの樹1本あたりのココヤシの実の生産量は49–70個です。2013年の統計によれば、フィリピン全域には、3億4千本のココヤシの樹が存在するとの報告があります[2]。この中には、若いココヤシも老いたココヤシも存在するでしょうから、仮に1本あたりの平均生産量を30個と低く見積もっても、1年あたり約100億個のココヤシの実が生産されている計算になります。

ボホール島のココナッツ農園

100リットルのココナッツ・スピリッツを製造するために、2600個のココヤシを使用したわけですが、毎年100億個ほど、生産されているとなると、Wanicが生態系にあたえる影響はわずかともいえます。今後飛躍的にココナッツ・スピリッツの需要が伸びたとしても、生態系を維持しつつ、ココヤシ産業を持続的に拡大するための十分な余力があると考えられます。

[1] FAO. (2013). FAOSTAT. Retrieved from http://faostat3.fao.org/faostat-gateway/go/to/download/Q/QC/E
[2] ビジネスアイ・ストリーム (2013) 東南ア、ココナツ生産急減. Retrieved from http://www.business-i.co.jp/mobile/featured_newsDetail.php?4386

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