空き家活用作戦会議第4回@富山県砺波市

Fumina Nakazaki(中﨑史菜)
7 min readJun 30, 2019

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第4回空き家活用作戦会議

富山県砺波市出町地区の空き家を活用するため、株式会社ミズカミが主催する毎月1回の「空き家活用作戦会議」。4回目となる今回は初めての参加者も含めて12名が集まりました。

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会場は”焼きたてパンとコーヒーの店「霜月」”。実はここ、空き家を改装して開店したお店なので会場にはぴったりの場所なんです。

「自分が所有する空き家をなんとかしたい」と本会議に1回目から参加している鷲北裕子さんは、なんとこの数ヶ月で空き家を活用する決断をし、会議参加メンバーと共に空き家の片付けを完了させました。

今回の会議では、そんな鷲北さんから空き家活用に向けた実践と今後の計画についてプレゼンが行われました。

プレゼンする鷲北裕子さん

鷲北さんが所有する空き家は昭和2年に建てられた築92年の木造2階建。お祖父様、お父様が営んでいた鋸屋の店舗兼住宅です。間口が三間なので壊して駐車場にするには長細く、これまで放置してきたという鷲北さん。

さらには古い家を壊すと、左右の家が傾くこともあります。単に自分の家だけではなく近所の方にも関わる問題のため、「なんで厄介な不動産を遺したんだ」と父親を恨めしく思ったこともあったそう。

しかし「空き家活用作戦会議」に参加したことがきっかけで、壊す選択肢ではなく「活用する」選択肢を選ぶことができました。そうやって決意すると、歴史を感じられるすりガラスや建具が残っていること、そして店舗として活用できる物件であることに感謝の気持ちが生まれてきたそうです。

片付け前の空き家

片付けは2日間にわたって行われました。本会議のメンバーをはじめとしてのべ24人が参加。8竿のタンスや畳などを断捨離しました。

「ここは母と私が生まれ育った家。家族だけで掃除すると、思い出が蘇って掃除が進みません。いろんな方にお尻を叩かれながら片付けできたのがよかった」と鷲北さん。有志がトラックを出し、クリーンセンターへ運んで処分しました。

廃棄するものはクリーンセンターへ

鷲北さんがクリーンセンターを活用するのは初めてのことだったので、畳・本・金属などそれぞれの分別についてあらかじめ調べておけばもっとスムーズだったという反省点は残りつつも、2日間の活動で開かずの間が開き、まっさらな状態になりました。

2日間の片付けでまっさらな状態に

片付けが終わると、お父さんがノコギリの見立てをしていた場所で記念撮影。

思い出の場所で記念撮影

2代にわたって鋸屋を営んでいた古民家のため、「空き店舗」と言える今回の物件。

空き家には店舗の名残が

第2回空き家作戦会議で「空き店舗活用助成金」について学んでいた鷲北さんは、この助成金を活用することにしました。商工会のサポートもあり、最大で200万円の補助金がもらえることになりました。

鷲北さんは現在「臨床美術」と呼ばれる活動をされています。クリエイティブな活動をすることで、認知症の方の症状が軽減したり、子供のメンタルケアに繋がったりという効果が期待できるそう。

現在、毎月公民館で高齢者を対象にしたアート教室を行なっていますが、今度は自らの空き家を活用して行うことにしました。単に臨床美術を行う教室としてだけでなく、駅近・病院の近くという出町地区の立地を生かして、高齢者がいつでも集まることができ、店番などの役割を担える場所を作りたいというのが現在の構想です。

「”楽しい”を企画すると、自然と人が集まります。でも、それを続けていくにはビジネスにする必要があるんです。継続した活動にするために、地域の高齢者の方々と共に新しい仕事を生み出していきたい。そして自分の生家が、古いけれどみんなが集まってほっこりでき、悩みを吐き出せる場所になれば嬉しい」と鷲北さん。

まずは「棚ショップ」(リサイクル品や手作り品を売るための棚を貸し出し、マージンをもらうビジネスモデル)のような小さな場所貸しや、ヨガやパッチワークなど大人向けの教室から初めてみようとアイディアを膨らませています。

「今回、古民家を掃除するにあたり多くの人が手伝ってくださいました。さらに、古民家を活用するためのスキルを持った人たちも『手伝おうか』とどんどん声をかけてくれています。パッチワーク・ヨガなどを教えることができる友達や、介護福祉士・精神保健福祉士・薬剤師・看護師などの資格を持った友達がたくさんいることに改めて気付かされたんです。その人たちの力を借りながら、準備を進めていきます」

アイディアや意見を発表する参加者

鷲北さんの発表を受け、参加者していた「NPO法人石動まっちゃプロジェクト」のメンバーからは、成功事例の紹介がありました。空き家から出た骨董品を出品する骨董市や、日本全国からファンが集うコスプレイベントなどの収益で運営しながら、すでに富山県内の空き家20軒ほどを片付けたという石動まっちゃプロジェクト。その空き家の持ち主はほとんどが、県外在住者。持ち主に代わって、地元に残っているからこそできる空き家活用を推進しています。

また他の参加者からは「私は砺波に移住して、自分の家を採算度外視で解放するようになりました。近所の家に勝手に出入りしていた昭和の時代のような生活を、令和でもしていきたいんです」という声も聞かれました。「居場所づくり」には正解がなく、オーナーの想いも様々。そんな多様性にも気づけた今回の会議でした。

グループディスカッションの時間も

いらないものを片付けたら、いろんな景色が見えるようになったという鷲北さん。

「空き家をこれからどうしようか」とお悩み中のあなたも、まずは片付けから始めることで見えてくるものがあるかも。

毎週第4木曜日開催の「空き家活用作戦会議」、次回は2019年7月25日(木)です。

第5回「空き家活用作戦会議」
▼日時:2019年7月25日(木)13:30〜15:30
▼場所:焼きたてパンとコーヒーの店「霜月」
(〒939–1365 富山県砺波市三島町5−5)
▼内容:砺波市出町地区での空き家活用事例のご紹介
・ 店舗付き住宅を住まいに改装
・貸家として改装…など
▼主催:株式会社ミズカミ

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