東南アジアで僕がHRTech事業を始める理由
日本発世界に通用すると思われるHRTech企業はどこだと思いますか?現在日本にあるXTechにおいて世界でも十分通用すると思う企業は僕が知るだけでもたくさんあります。
特に医療、バイオ、化学、AI、ハードなどの領域ではさすが日本と言われるくらいあるのではないでしょうか。
一方、例えばMobilityやHRにおいては海外から見ていて海外でも絶対ウケるなと個人として感じるところはあまりないです。Mobilityに関して言えば、規制産業を守ろうとする老害が多く、既にインフラがある程度あるということも遅れの原因としてあると思います。
既存インフラという意味においてはペイメントも同じですが、日本では少しずつ賑わってきていますね。一方でベトナムも現金利用率が東南アジアの中でも特に高く、成長の余白があり今後の成長が期待される分野であり、どんどん企業が投資をしています。
そして、日本のHRという領域を見ていて思うことは、『ガラパゴス』『マネタイズの容易さ』『性善説に基づくプロダクト設計』です。これらは日本で事業を行うメリットであると同時に海外からの参入障壁となる一方、海外進出を阻むものです。
『ガラパゴス』
新卒定期採用廃止というニュースが少し前に出ていますが、これまでこの新卒定期採用はHR企業にとって大きなドル箱でした。
長期雇用を目的とし、何のスキルも持たない学生をポテンシャル採用するために企業は莫大な予算を使います。
リーチする為にマーケティング費用、採用管理する為の費用、社内リソースだけでは足りない為一部採用をアウトソースする費用、スクリーニングする費用、そしてさらにはそれだけ採用にお金をかけた後、トレーニングにも大きな予算をかけます。私が新卒入社したコンサル会社は約3〜6ヶ月のトレーニングに一人当たり1,000万円の費用を使ってくれていました。感謝しかないですが。
さらにはこれらの費用もかけつつ、3年で新卒が辞めれば転職のエージェントも潤います。そしてそれを防ぐ為にリテンションやモチベーションを監視・向上を測るサービスも潤います。
つまり、日本では採用、教育、リテンション全てにお金をかける、そしてそれらが文化として根付いています。
『マネタイズの容易さ』
文化として根付くということはそこにお金を払うことがベースとしてあります。
そして一部の大企業を除いては採用、教育、リテンション全てをカバーすることはできません。これらが日本のHRTechが参入できる隙間であり、マネタイズが比較的容易な理由です。
また単価が高いというのも素晴らしい点です。日本とベトナムを比較すると大卒新卒の給与ベースだと現在では4〜5倍の違いですが、企業向けサービスの単価は8~10倍ほどの違いがあります。つまりベトナムを始めとした東南アジアの国では単価と比べても1/2しかお金を払わないということです。
『性善説に基づくプロダクト設計』
これは日本の素晴らしい点です。
基本的にサービスから価値を受けたのであれば、それに見合う対価を払うことが当然だと思っています。つまりプロダクトに多少の抜け穴があったとしても企業として、HRの担当者としてそれをハックして無料で使おうという人は日本では少ないです。
一方海外、東南アジアではどうでしょうか?
SpotifyやApple Musicなど映画や音楽にお金をかけてSubscription利用するという感覚はありません。基本それらは無料で聴けるし、映画であればベトナム語翻訳がついたものが無料で見ることができます。
つまり抜け穴を作らない完璧なプロダクトを要求されます。
それと同時にCompetitorは、競合他社ではなく、『無料』です。例えば不法駐車が取り締まられないのであれば、誰も有料の駐車場を使わないことと同じです。
つまり、競合は『無料』であり、低い単価を取りつつ『無料』を倒す完璧なプロダクトを作らないといけないということです。
と、ここまで諸々書きましたがこれだと『東南アジアで僕がHRTech事業を始めない理由』になってしまいますw。
ここまでのハードル、そして外国人というさらなるハードルがある中で僕が挑戦する理由は、1つです。
それは『新しい人の働き方を支えるプラットフォームを作り、そのプロダクトで東南アジア、世界のマーケットが取れるからです。』
正直、アジアの時代と言われる中で日本人としてここのマーケットが取れなければ今後もう日本から外に出るチャンスはないと思っています。
僕は個人として13年海外で生活する中で、「日本で始めていずれは海外に」というフレーズを恐らく100回以上聞いています。これは大企業、中小企業、スタートアップ全てそうです。
そして最近思うことはHRTechだけではなく、様々な領域において、日本はガラパゴスであり、日本から始めてはダメだということです。
「日本でまず船を作って、これから海外に行くから海中にも入れるようにしないといけないんだよね」と言っている様に聞こえます。だから「最初から潜水艦作ろ!」ということなんだと思います。
東南アジアはもちろんその国ごとに歴史があり、文化があり、法律があり、考え方も全く違うところはありつつもやはり地続きであり、
一国で成功したモデルを横展開するのは日本から発信するより遥かに容易です。もちろん最初にあげた3点においても耐えられるプロダクトがあればの話です。
そして今後GDPや人口が伸びる東南アジアで大きなマーケットを取るのは日本人が単価や支払い、法律などを気にして進出しない今しかないということです。
また個人として一番面白いと思っていることは、東南アジアの働き方が日本より進んでいるということです。
これは様々な理由がありますが、一言で言えば、「企業が頼りにならないから、自分で稼げるスキルを身につけ、本業副業構わず稼ぐ」ことが根付いているからです。
大企業に入るのは人によっては多少安定を求めていることもありますが、どちらかというと自分の履歴書に箔を付ける為です。
だからこそ本業副業構わず、個人がエンパワーされて、自由に働けるプラットフォームを作りたいと考えています。そしてベトナム、東南アジア、世界へと出て行きます。
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