SXSW Online 2021からみるこれからの世界＜後半＞
前半では、SXSWのConferenceをいくつかピックアップし共有しました。
前半はこちら↓
SXSW Online 2021からみるこれからの世界＜前半＞
後半では、世界が動いている方向と広告代理店としての私たちの課題についてシェアします。
世界が動いている方向と私たちの課題
私たちが参加したコンテンツに多く登場したキーワードが「2020 New world Disorder｣でした。
2020年は、それまでのトレンド予想は大きく外れ、誰もが予期せぬ状況に柔軟に対応しなければいけませんでした。コロナの影響により、私たちの当たり前は崩れ新しい日常や新しいノーマルを世界が団結して見つける必要がありました。
計り知れない経済への打撃や私たちの当たり前が崩壊したことを「New World Disorder」と呼んでおり、国や企業の力関係が大きく変わった1年であったと感じます。
2020年、私たちは自粛や生死にかかわるニュースなどを目の当たりにする過程で、自分がどんな人で、どんな立ち位置いるのか、どう生きていきたいかというのを考えた1年でした。そして、かつてあったリアルなつながりが遮断された中、より強いつながりを求めるようにもなりました。
今年のキーノートやセッションの多くは人権、ヘイト、支援、サステナビリティなど、私たちの倫理観と道徳観を試すようなものが多数存在しました。
初日に登場したStacey Abramsは、アメリカの作家・弁護士・政治家で、黒人やマイノリティの政治参加を支援する活動家。紛争解決のための対話や異文化コミュニケーションの専門家であるPriya Parkerは、作家のAnand Giridharadasと対談し、昨年からのコロナ禍でオンラインに移行する人々のコミュニケーションや、米国のBLM抗議活動等を振り返り、社会が変化する中で異なるバックグランドを持つ人々が互いを理解する為の手法を紹介し、その重要性を語りました。
スタートアップのピッチや出展ブースでも、どのように私たちをアシストし、より良い未来を創っていけるかを問うものが多数ありました。
これからは、もはや個々の多様性を受け入れるだけの時代は終わり、みんなで同じ未来へ向かっていく団結力が問われていく時代が来ていると感じます。
個人個人が生きやすく過ごせるための手助けを、企業や人々が団結して解決していくこと。Meaningfulな団結（Solidarity）とは、まさに新しい価値を作り出すための団結だと私たちは考えます。
これまでは国や一つの人種の問題に対してどこか他人事だったとしても、コロナや気候変動など、国や地域、宗教の違いなどは関係なしに様々な困難が降りかかってきています。
だからこそ個人としても広告代理店で働く人としても、価値を出していかないといけないと感じました。
NYにあるGREYのP&Gを担当するプランナーのセッションで印象的だったのは、「広告業界は世界で最もコンテンツを作っている業界。私たちはとても発信力のある人達だ」という言葉です。
この時代にこの広告を流すことでどう変わるのか、しっかりと時代の流れを理解できているのか、「意味のある役割」をそのブランドが「誰のために」果たすのか（個人としても企業としても）考えていくことは私たちにもできるとのではないかと感じました。
ここでいう「団結」は「みんなで頑張って良いことしよう！」と慈善活動を促すのではなく、人々が生きやすい世の中をどう創っていけるのか、をブランドと一緒に考えるだけで、そこに人が集まって少しずつマイナスがゼロに、１が２になっていくと思います。
そのブランド、そのプロダクトは世の中にどのような意味や価値観をもたらすのか、社会の中でどんな立ち位置なのか。Meaningful Roleをただブランド戦略の資料の中に入れ込むだけでなく、広告を通してその意味を広めていく必要があります。
もはやこの世の中はいち企業、いちスタートアップ、いちエージェンシーだけで解決できる課題はありません。だからこそ仲間を見つけ、ゴールに向かっていくことが重要ではないでしょうか。
written by
McCann Tokyo
Strategic Planner
Shifa Khan / Rina Deguchi
Copywriter
Nanako Abe
Momentum Japan
Experience Designer
Marin Fukao
