4/6・東京の街並みに、美学はあるのか

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3 min readApr 15, 2016

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4.東京最強の正面性建築は『渋谷109』だと勝手に決めつける

一つも事例が浮かばなかった広場とセットの前者パターンに対し、街路との連携による後者のパターンでは、割と容易く複数の事例にたどり着くことができた

まず真っ先に思い浮かんだのが、渋谷スクランブル交差点から道玄坂方面を見据えたとき、真正面にそびえるシリンダー状のあの建築物、ご存知、渋谷109である

【渋谷109 正面性検証】

  • 建物高さは最も高いシリンダー部分で約50m
  • 距離は建物入り口から100m地点でスクランブル交差の横断歩道手前に差し掛かり、駅側に渡った歩道までがちょうど150m

驚くほど理想的な数値でテンション高まる

東京の過密性と多様性を象徴するかのように、1日あたり50万人もの不特定多数の人々が行き交うスクランブル交差点から

真っ直ぐに道玄坂方面を見据えるとき、ちょうど視界いっぱいに109ファサードの上下がすっぽり収まる

偶然にしては出来過ぎなストーリーだ

特筆すべきは、建物単体としての知名度もさることながら、スクランブル交差点やハチ公前広場など、駅前周辺の都市空間と一体的に想起される点で

例えるなら、自由の女神像の写真を見て、反射的にニューヨークと思い浮かんでしまうのと同じレベルで

いち商業ビルである渋谷109が渋谷の街そのものとほとんど一体化して認知されるに至っている

このように、建物と都市空間がひとつの塊として記憶される点が、正面性のある街並みの特徴といえると思う

ところで、渋谷109は竣工1979年と、すでにopenから35年以上も経っているかなり年季の入った建物だ

当たり前に、東急プラザ表参道原宿、東急プラザ銀座等のいまどき商業ビルと比較すると、見た目のインパクトでは大きく劣る

それでも、次々openする新規施設に埋もれることなく、今尚街の象徴であり続けているのは

土地建物の配置的な意味でも、人々の脳内イメージとしても

一建物が正面性によって街そのものと完全に一体化することで、忘れたくても忘れようが無い次元に達しているためであるといえると思う

この渋谷109の事例から言えることは

計画される建物が

たとえヨーロッパの教会建築のような歴史蓄積を持たずとも

有名建築家によるネームバリューに頼らずとも

都市空間との関係性に配慮し、建築の正面性を理想的な条件で確保することができれば

都市のアイデンティティ形成に貢献し得るという前向きな事実である

※ちなみに売り上げの方はH&M等の外資ファスト系の上陸以降だだ下がりで、ピーク時から100億近く落としている(逆にすげえ)
(参考URL: http://www.fcn.co.jp/02/wwd130909.html )

※渋谷パルコも1973年竣工の同世代で再開発決まってるし、渋谷109もそろそろかもしれない…
(参考URL: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160406-00000059-zdn_mkt-bus_all)

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5.当たり前のように正面性建築、浅草寺と東京駅

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