とてつもない可能性を持つブロックチェーンにも限界はあるのだろうか。前回 は「社会にとっての役割」という観点からブロックチェーンを考えた。今回は核心に近づいて、ステップごとに「実際に何をするものか」というミクロな視点からデータが動く仕組みを単純化して捉えることで、ブロックチェーンの本質に迫り、その境界を見極めながらその可能性を追求してみよう。 要点の復習 まだピンと来ないという方や、暗号通貨と何が違うのかと疑問に思う方の方が世の中には多いと思うので、まずブロックチェーンの復習をしておきたい。どんなに複雑なことも小さなステップに分けて「何をするものか」に着目すれば、特段難しい事はない。本稿の目的は、ブロックチェーンは地球規模の一台のコンピュータである、ということを平易な言葉を使ってその仕組みから理解してもらうことにある。後ほど詳しくアナロジーを紹介するので、私たちが慣れ親しんだコンピュータとの比較から、ブロックチェーンの役割をすっきりと整理していただきたい。

ブロックチェーンに足りないもの
ブロックチェーンに足りないもの

この問いに答えるためには、ブロックチェーンの仕組みだけに注目して、分散台帳技術などといったように捉えているだけでは足りない。ブロックチェーンが我々の社会においてどのように位置づけられ、その役割を果たすのかといった観点から、もう一度、ブロックチェーンとは何かについて定義を試みることで、その意思とはどのようなものかが見えてくる。 今年6月にバルセロナで世界中の開発者が集まったIPFS Campで大勢で食事していた時、「ブロックチェーンを作ることは国を作るようなもんだよね」と誰かがボソッと言った。僕は周囲の反応に驚いた。誰一人として疑問を呈することなく、笑みを浮かべながらそうだよなと頷いていたからだ。たったその一言で、出会ったばかりのエンジニア達は「お前もそう思ってたのか」と仲良くなり、ラポールを形成していった。世界のエンジニア達の間ではそれはすでに共通認識なんだなと感じた。 昨年のWeb3 SummitのJuan Benetによるスピーチでも、サイバースペース独立宣言に触れ、インターネットが法域を得つつあるという話があった。「ブロックチェーンが何をするかというと、経済学や法律などを体系化し、ソフトウェアが金融や、法体制を飲み込んでいく」との指摘は、あまり広く認知されていないかもしれない。しかしこうした事は実際にスマートコントラクトを書いて、それがブロックチェーン上で自律的に執行されるのを見ることで、より実感が湧くだろう。

ブロックチェーンの意思とは何か?
ブロックチェーンの意思とは何か?
Senshi M. Onions

Senshi M. Onions

Secured Finance CEO🇨🇭/ Institutional DeFi / ex-Head of Derivatives Structuring / IPFS & Filecoin / Web3 / Trusted Web Task Force for Cabinet Secretariat Japan